No.9
#[AV出演被害防止・救済法]
本日も、ひきつづき(>>7 | >>8)、今年の通常国会における"AV出演被害に関する国会質疑"を振り返ります。
今国会で、AV出演被害の問題を3番目に取り上げたのは、立憲民主党の柚木道義衆議院議員です。
(参考。動画)
<"AV出演被害"に関する今年の3月からの国会質疑)>
①2022年3月8日 参議院 内閣委員会(塩村あやか 参議院議員。立憲民主党)>>7
↓
②2022年3月16日 参議院 内閣委員会(江崎孝 参議院議員。立憲民主党) >>8
↓
③2022年3月25日 衆議院 本会議(柚木道義 衆議院議員。立憲民主党)
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今年の3月25日の国会会議録(※衆議院本会議)を参照します。
(2022年3月25日 衆議院 本会議 会議録より、引用。 )
<一部分を抜粋>
(前略。)
○2022年3月25日 細田博之 衆議院議長
この際、内閣提出、消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び柚木道義君外七名提出、消費者被害の発生及び拡大の防止並びに消費者の利益の一層の擁護及び増進を図るための消費者契約法等の一部を改正する法律案について、順次趣旨の説明を求めます。
国務大臣若宮健嗣君。
○2022年3月25日 若宮健嗣 消費者担当大臣)
ただいま議題となりました消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
近時の消費者契約に関する環境の変化、消費者被害の発生状況やその回復のための措置の運用状況等を踏まえ、消費者が事業者と安全で安心して取引を行うことができる環境を整備する必要があると考えられます。
そこで、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、消費者の利益の擁護を更に図るため、契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる類型を追加する等の措置を講ずるとともに、被害回復裁判手続の対象となる損害の範囲を拡大する等の措置を講ずる必要があるため、この法律案を提出した次第です。
次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、消費者契約法に関しては、意思表示を取り消すことができる不当な勧誘行為の類型として、消費者が消費者契約の締結についての勧誘を受けている場所において、相談を行うための連絡をする旨の意思を示したにもかかわらず、威迫する言動を交えて、連絡することを妨げること等を追加することとしています。
事業者の損害賠償責任の一部を免除する契約条項については、当該条項において事業者等の重大な過失を除く過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていないものを無効とすることとしています。
新たに事業者の努力義務として、消費者の求めに応じて、解除権の行使に関して必要な情報を提供することや解約料の算定根拠の概要を説明すること、また、適格消費者団体からの要請に応じて、契約条項の開示や解約料の算定根拠を説明すること等を規定するほか、勧誘時の事業者の情報提供の努力義務について、知識及び経験に加え、年齢及び心身の状態も考慮すべき事情として追加するとともに、これらを総合的に考慮することとしています。
第二に、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律に関しては、共通義務確認訴訟の対象を拡大することとし、対象となる損害については、算定の基礎となる主要な事実関係が相当多数の消費者について共通すること等の要件を満たす慰謝料を追加することとしています。また、被告とすることができる者に、被用者の選任等について故意又は重大な過失により相当の注意を怠った事業監督者等の個人を加えることとしています。
共通義務確認訴訟における和解について、共通義務の存否にかかわらず和解をすることができることとしています。
消費者に対する情報提供の充実を図るため、簡易確定手続において、事業者等は知れている対象消費者等に対して一定の事項を通知しなければならないものとすることのほか、共通義務確認訴訟の時点で裁判所が事業者等に対して対象消費者等の氏名等が記載された文書を開示することを命ずることができるものとすることとしています。
特定適格消費者団体が行う通知や回収した金銭の分配の業務の支援等を行うため、内閣総理大臣が認定する消費者団体訴訟等支援法人に係る制度を新設することとしています。
その他、経過措置等所要の規定を設けることとしております。
以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
○2022年3月25日 細田博之 衆議院議長
提出者柚木道義君。
●2022年3月25日 柚木道義 衆議院議員
立憲民主党の柚木道義でございます。
ただいま議題となりました消費者被害の発生及び拡大の防止並びに消費者の利益の一層の擁護及び増進を図るための消費者契約法等の一部を改正する法律案、いわゆる消費者権利実現法案又は消費者被害防止法案につきまして、提出者を代表して、提案理由及び内容の概要を説明いたします。
来月四月一日からの民法改正施行による成年年齢十八歳引下げに対応した法整備として、また増加する高齢者の消費者被害対策として、四年前の消費者契約法改正で追加された消費者契約取消権の行使のための要件は、余りに厳格過ぎて、実効性に欠けます。
そして、近年多様化する消費者被害対策としての細かな契約取消し類型の追加は、実際には被害の後追いになってしまっており、肝腎の消費者被害の防止や救済が困難となっている現状があります。
さらに、成年年齢引下げについては、今後、四月一日以降の十八歳、十九歳の若年者は、これまでは消費者被害から逃れる無条件の守りの盾として有していた未成年者の契約取消権を失う事態が民法制定以降初めて発生します。
そのため、あらゆる種類の契約における若年被害者拡大の懸念が、法律関係団体、消費者関係団体始め、数多く寄せられています。
例えば、十八歳アダルトビデオ出演強要問題も、これまでの政府の対応では全く不十分であり、既に事業者は手ぐすねを引いて待ち構えているのです。
このままでは、十八歳アダルトビデオ出演強要被害の拡大も必至です。
実は、現行の消費者契約法でも、事業者の不当な勧誘行為があれば、消費者、つまり契約者は、締結した契約を取り消すことができます。
しかし、被害者は立証することが非常に困難であり、被害防止や救済への効果が上がっていないと被害者や支援団体からの指摘もあり、四月一日を目前として、十八歳現役女子高生のアダルトビデオなどと銘打っての被害拡大が非常に強く懸念されており、現在も対策が検討されています。
少なくとも、本法案の最大の柱であるつけ込み型勧誘に係る包括的な契約取消権を認める規定があったならば、アダルトビデオ出演強要問題を含めて、不当な消費者契約の取消しについて、大きな一歩となり得たのです。
政府法案にはない本法案の包括的契約取消権の規定があれば、巧妙化する様々な類型の消費者被害に対応でき、消費者被害の防止や救済が可能となるのです。
だからこそ、昨年の通常国会への法案提出に続いて、四月一日を目前とするこのタイミングで、改めて、この包括的取消権を第一の柱として提案するものであります。
(後略。)
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(後略。)
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上述のとおり、柚木道義衆議院議員は、今年の年3月25日の本会議で、
「十八歳アダルトビデオ出演強要問題も、これまでの政府の対応では全く不十分」
と指弾しました。
ちなみに、若宮健嗣消費者担当大臣は、このあとの記者会見でつぎのように述べています。
(2022年3月25日 若宮内閣府特命担当大臣記者会見要旨より、引用。)
●2022年3月25日 記者
成年年齢の引下げについてお伺いします。4月から始まる青年年齢の引下げでは、18歳、19歳の未成年者取消権がなくなることで、若年者がアダルトビデオなどに意に沿わない出演契約を結ばされて、深刻な被害が発生するのではと指摘されています。
平成29年に関係府省会議で決定された今後の対策では、消費者庁は被害者が締結している契約が消費者契約に該当し、事業者により不当な勧誘等がなされている場合には、適格消費者団体がアダルトビデオの出演強要問題における不当な勧誘等に対して、実効的に差止請求ができるよう環境整備を図るというふうに書かれています。
この環境整備がこれまでどのように進んできているのかということと、こうした被害を発生させないために、消費者庁として他にどんなことに取り組んでいくお考えかということを教えてください。
〇2022年3月25日 若宮健嗣 消費者担当大臣
まず、今ご指摘いただいた成年年齢の引下げについては、今、若者に発生している被害の事例も念頭に置きながら、こういった被害を極力少なくしていかなければいけない、なくしていかなければいけないというところが一番のポイントでございます。
それと今ご指摘いただきましたように、先般、29年当時の適格団体の話でございますけれども、実際にはアダルトビデオへの出演を強要されるといった痛ましい被害が残念ながら続いてしまっているということは、私自身も承知をいたしているところでございます。
29年当時に適格団体がアダルトビデオの出演の強要問題について、実効的に差止請求ができるような環境整備を図る、今、お話になったとおりでございますけれども、具体的には消費者庁が開催する適格団体向けの勉強会におきまして、被害者支援団体から被害実態についてご講演いただく、こういった機会も設けまして、適格団体への情報共有を行っているところでもございます。
また、消費者庁、被害者支援団体、適格団体、この3者の会議を開催させていただき、支援団体から適格団体、可能な範囲で被害に関する情報共有が適宜行われるように調整を行ったところでもございます。
いずれにいたしましても、こうしたものをやはりなくしていかなければいけないなという気持ちには変わりのないところでございます。
AV出演強要に対する政府の直近の認識は、
「実際にはアダルトビデオへの出演を強要されるといった痛ましい被害が残念ながら続いてしまっている」
です。
わかっているのにもかかわらずほとんど何もしない。
傍観しているだけ。
無為無策。
これが、AV出演被害に対する政府の直近の有り様でした。
明日も、今国会における"AV出演被害に関する質疑と応答"をみていきます。
(参考。動画)
<"AV出演被害"に関する今年の3月からの国会質疑)>
①2022年3月8日 参議院 内閣委員会(塩村あやか 参議院議員。立憲民主党)>>7
↓
②2022年3月16日 参議院 内閣委員会(江崎孝 参議院議員。立憲民主党) >>8
↓
③2022年3月25日 衆議院 本会議(柚木道義 衆議院議員。立憲民主党)
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