No.40
#[AV出演被害防止・救済法]
7月7日に公開した当ブログのつづきです。
6月23日からAV出演被害防止・救済法が施行されました。
(参考)
このたび成立したAV出演被害防止・救済法の正式名称は、
「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」
です。
AV出演被害防止・救済法が施行される前日(2022年6月22日)、警察庁は、配下の各警察に対して、AV出演被害に関する2つの通達を発しました。
2022年6月22日、警察庁がAV出演被害に関して発した2つの通達
●アダルトビデオ出演被害問題に係る対策の推進について(通達)
●性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律の施行について(通達)
「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律の施行について(通達)」につきましては、7月7日の当ブログでふれました。
本日は、もうひとつの
「アダルトビデオ出演被害問題に係る対策の推進について(通達)」
についてみていきます。
2022年6月22日 警察庁 アダルトビデオ出演被害問題に係る対策の推進について(通達)
警察庁は、AV出演強要問題が公然化した2016年から、同問題の「対策の推進」に関する通達を出してきました。
発出の推移は以下のとおりです。
<AV出演被害に関する警察庁の通達>
①平成28年(2016年)6月28日 警察庁丁保発第119号「アダルトビデオへの強制的な出演等に係る相談等への適切な対応等について(通達)」
↓
②平成29年(2017年)3月31日 警察庁丁保発第40号 警察庁丁少発第80号「アダルトビデオ出演強要問題及びいわゆる「JKビジネス」問題に対する緊急対策の推進について(通達)」
↓
③平成30年(2018年)3月26日 警察庁丁保発第45号「アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について(通達)」
↓
④令和元年(2019年)7月11日 警察庁丁保発第63号「アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について(通達)」
↓
⑤令和4年(2022年)3月24日 警察庁丁保発第65号「アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について(通達)
↓
⑥令和4年(2022年)6月22日(※今回) 警察庁丁保発第114号「アダルトビデオ出演被害問題に係る対策の推進について(通達)」
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各々の通達の中に記されている「各種法令の適用を視野に入れた取締りの推進」の部分を比較、対照します。
「各種法令の適用を視野に入れた取締りの推進」
(1)①から⑤について
①平成28年(2016年)6月28日 警察庁丁保発第119号「アダルトビデオへの強制的な出演等に係る相談等への適切な対応等について(通達)」
↓
②平成29年(2017年)3月31日 警察庁丁保発第40号 警察庁丁少発第80号「アダルトビデオ出演強要問題及びいわゆる「JKビジネス」問題に対する緊急対策の推進について(通達)」
↓
③平成30年(2018年)3月26日 警察庁丁保発第45号「アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について(通達)」
↓
④令和元年(2019年)7月11日 警察庁丁保発第63号「アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について(通達)」
↓
⑤令和4年(2022年)3月24日 警察庁丁保発第65号「アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について(通達)
警察庁はAV出演強要に関して、これまで、配下の各警察に対して以下の法律の適用を指示してきました。
<AV出演強要に対して適用する法律>
●刑法 強制性交等罪
●刑法 淫行勧誘罪(※③の2018年3月26日の通達で追加)
●刑法 強要罪
●刑法 傷害罪
●刑法 暴行罪
●刑法 脅迫罪
●職業安定法 第63条第2号(有害業務就業目的の職業紹介等)
●労働者派遣法 第58条(有害業務就業目的の労働者派遣)
●労働基準法 第5条(強制労働の禁止)
●児童福祉法 第34条第1項第6号(児童に淫行をさせる行為)
「その他関係法令の適用を視野に入れた取締りを推進すること」
(2)⑥について
⑥令和4年(2022年)6月22日 警察庁丁保発第114号「アダルトビデオ出演被害問題に係る対策の推進について(通達)」
今回の通達において警察庁は、新たな法律を追加しました。
下記の赤字が、新たに追加されたものです。
<AV出演強要に対して適用する法律>
● AV出演被害防止・救済法
●刑法 わいせつ物頒布等罪
●刑法 強制性交等罪
●刑法 淫行勧誘罪
●刑法 強要罪
●刑法 傷害罪
●刑法 暴行罪
●刑法 脅迫罪
●私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(※リベンジポルノ防止法)
●職業安定法
●労働者派遣法
●売春防止法
●著作権法
●児童福祉法
●児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(※児童買春・児童ポルノ処罰法)
●風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(※風営法)
確認します。
<今回の通達で、削除された法律>
〇労働基準法 第5条(強制労働の禁止)
〇児童福祉法 第34条第1項第6号(児童に淫行をさせる行為)
<今回の通達で、追加された法律>
〇AV出演被害防止・救済法
〇刑法の「わいせつ物頒布等罪」
〇リベンジポルノ防止法
〇売春防止法
〇著作権法
〇児童買春・児童ポルノ処罰法
〇風営法
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対象範囲が広がりました。
今後の警察の動向に注目が集まります。
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(推移。AV出演被害防止・救済法)
<衆議院>
(1)2022年5月25日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考)
・堤かなめ 議員(立憲民主党) ※当ブログ(前)、当ブログ(後)を参照。
↓
(2)2022年5月27日(本会議) 全会一致で可決(※参考)
↓
<参議院>
(3)2022年6月14日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考)
①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※当ブログを参照。
②佐々木さやか 議員(公明党) ※当ブログを参照。
③梅村聡 議員(日本維新の会) ※当ブログを参照。
④倉林明子 議員(日本共産党) ※当ブログを参照。
↓
(4)2022年6月15日(本会議) 可決(※参考)。成立
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