No.24
#[AV出演被害防止・救済法]
本日から、AV出演被害防止・救済法が施行
昨日(2022年6月22日)、AV出演被害防止・救済法(性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律)が公布されました。
(参考)
●令和4年6月22日(水曜日) 官報
<AV出演被害防止・救済法>
・36ページ
・37ページ
・38ページ
・39ページ
(参考)
<AV出演被害防止・救済法>
〇附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日の翌日から施行する。ただし、第五章(※罰則)の規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
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AV出演被害防止・救済法は、本日(2022年6月23日)から施行されます。
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AV出演被害防止・救済法案に対する審議 ~2022年5月25日 衆議院内閣委員会
今回も、昨日にひきつづき、5月25日の衆議院内閣委員会における立憲民主党の堤かなめ議員の質疑と、それに対する答弁をみてみます。
(推移。AV出演被害防止・救済法案)
<衆議院>
(1)2022年5月25日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考)
↓
(2)2022年5月27日(本会議) 全会一致で可決(※参考)
↓
<参議院>
(3)2022年6月14日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考)
①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※当ブログを参照。
②佐々木さやか 議員(公明党) ※当ブログを参照。
③梅村聡 議員(日本維新の会) ※当ブログを参照。
④倉林明子 議員(日本共産党) ※当ブログを参照。
↓
(4)2022年6月15日(本会議) 可決(※参考)
(動画)
〇2022年5月25日 衆議院インターネット審議中継 衆議院内閣委員会
〇2022年6月14日 YouTube 衆議院内閣委員会(※堤かなめ議員の質疑)
(※音声の文字化は、筆者。)
●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
先ほどもございましたが、十分な周知、ぜひよろしくお願いいたします。
また、任意解除権は、性行為映像制作物の公表がおこなわれた日から1年が経過したら行使できなくなります。
悪質な事業者であれば、巧妙な手口で出演者に解除権を行使させないようにして1年が経過してしまうような懸念があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇2022年5月25日 森山浩行 法案提出者(立憲民主党。衆議院議員)
ご指摘の通り、悪質な事業者が巧妙な手口で出演者に任意解除権を行使させないようにして、性行為映像制作物の公表がおこなわれた日から1年が経過してしまう、といった事態も想定をされます。
そこで本法案では、出演者が制作公表者等による不実告知により誤認をし、または制作公表者等による威迫により困惑し(先ほど申し上げました)、これらによって、性行為映像制作物の公表がおこなわれた日から1年を経過するまでに任意解除をしなかった場合には、当該出演者が当該制作公表者等から任意解除をすることができる旨を記載した書面を受領した日から1年を経過するまではなお任意解除をすることができる、としております。
(参考)
第十三条 出演者は、任意に、書面又は電磁的記録により、その出演者の性行為映像制作物への出演に係る出演契約の申込みの撤回又は当該出演契約の解除(以下この条において「出演契約の任意解除等」という。)をすることができる。ただし、当該出演者に係る性行為映像制作物の公表が行われた日から一年を経過したとき(出演者が、制作公表者若しくは制作公表従事者が第五項の規定に違反して出演契約の任意解除等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことによりその告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は制作公表者若しくは制作公表従事者が第六項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによって当該期間を経過するまでにその出演契約の任意解除等をしなかった場合には、当該出演者が、当該制作公表者又は制作公表従事者が内閣府令で定めるところによりその出演契約の任意解除等をすることができる旨を記載して交付した書面を受領した日から一年を経過したとき)は、この限りでない。
(森山浩行 法案提出者)
すなわち、悪質な業者が不実告知や威迫、困惑行為によって出演者に任意解除権を行使させないようにしても出演者の任意解除権は消滅しない、こととして出演者の保護を図っているところでございます。
また、本法案はそもそも、その13条5項6項におきましてそのような制作公表者等による任意解除妨害目的の不実告知および威迫、困惑行為を明確に禁止をし、その違反に対しては20条において「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」と言う 重い刑を課すことにしており、当該行為に対しては強い抑止効果が働くものと考えております。
●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
いまお答えありましたように、任意解除権は強力な武器でございますけれども、AV出演被害を受けた人が実際に行使することができなければ絵に描いた餅、となってしまいます。
法律、契約といったことに詳しくない人でも容易に解除権を行使できるような工夫、支援が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇2022年5月25日 山井和則 法案提出者(立憲民主党。衆議院議員)
おっしゃる通りであります。
容易に解除権が行使できるような工夫、支援。
さらに、この問題についての周知、広報。
法案について、必要だと考えております。
そこでこの法案が成立た場合における法律の所管官庁には、AV出演契約をした人が容易に解除権を行使することができるよう法律についてのQ&Aの形で解説したものを――役所のホームページを含め――公表をしたり、解除権を行使するための書面の雛形を作成してこれも公表するなどの具体的な工夫、支援の措置を求めたい、と考えております。
たとえばわたしも先週ですね、こちらにございますけれど、ぱっぷすさんが編集されたポルノ被害の声を聞くという本がございますけれど、こういう本を読ませていただき被害の実態、問題点、そういうものについてわたしもも学ばせていただきました。
●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
法律についてQ&Aの形で解説したものを公表したり、解除権を行使するための書面の雛形、これ、大変大事だと思います。
そういったものを公表していただくということで、ぜひよろしくお願いいたします。
法案附則第4条は法施行後2年以内の検討を規定し、同条第2項では検討事項として、性行為映像制作物の公表期間の制限が特に例示されています。
この趣旨をご説明ください。
〇2022年5月25日 山井和則 法案提出者(立憲民主党。衆議院議員)
これは非常に重要な検討事項であります。
いわゆる「忘れられる権利」というものでございます。
一度販売されたアダルトビデオが永遠に公開、拡散され、デジタルタトゥーとなるということは何としても防ぐべきである、との考えから、この検討規定に入れさせていただきました。
この項目はわたしたちの修正要望により追加されたものでありますが、その内容は、出演契約の締結期に定めることとしている性行為映像制作物の公表の期間について、「〇〇年以内としなければならない」旨の規定を設けることで、いわゆる忘れられる権利を保護する措置について規定を設けることの可否について検討をおこなう、規定をしたものであります。
(参考)
<附則>
第四条 この法律の規定については、この法律の施行後二年以内に、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
2 前項の検討に当たっては、性行為映像制作物の公表期間の制限及び無効とする出演契約等の条項の範囲その他の出演契約等に関する特則の在り方についても、検討を行うようにするものとする。
●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
忘れられる権利、これも大変重要だと思っております。
ぜひ検討、お願いいたします。
それでは、性行為を伴うAVの禁止については立憲民主党として、この法律とは別途検討を続けることが可能である、と考えますがいかがでしょうか。
〇2022年5月25日 森山浩行 法案提出者(立憲民主党。衆議院議員)
はい。本法案は、現に生じているAV出演被害について現にある不適正な出演契約を無力化するための特則、そして、流布したAVの差止請求等を規定することによりまして必要な対策を講ずることを目的とするものでありますので、性行為を伴うAVに関する契約をもその規律の対象に含めているところでございます。
その一方で、性行為をおこなうAV自体の禁止を同じ法案に盛り込むということは、いま申し上げたことと論理的に整合しないため、本法案には盛り込まれなかったところでありますけれども、このことは、本法案と別に性行為を伴うAV自体の禁止について検討を続けることをなんら妨げるものではございません。
このため立憲民主党として、本法が成立したのちも、性行為を伴うAV自体の禁止について支援団体の方々とともに議論をしながら検討を続けることはもちろん可能であります。
●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
性行為を伴うAV自体の禁止について検討を続けることをこの法案は何ら妨げるものではない、というふうにお答えいただきました。
山井議員も森山議員もこの間、本当に、「被害をなくしたい」、また「被害そのものをなくしたい」、また「被害者を何とか救済したい」、そういう強い思いでずっとこれまで論じ議論されて来られましたし、また本当に、関係者の皆様も、今日もおこしになっていらっしゃる方もたくさんおられます。
本当に、この間のご尽力に、わたくしからも感謝申し上げたいと思います。
映画やテレビで殺人のシーンがあったとしても、それはあくまでも演技であって、実際に撮影の際に人を殺すことはありません。
しかしながら、性交については演技ではなく実際に撮影現場でおこなわれることもある、と聞いております。
この場合、妊娠や性感染症、鬱やPTSDなどの危険性がございます。
また撮影現場で暴行、陵辱行為など、個人の尊厳や人権、とりわけ若者や女性の尊厳や人権を踏みにじる行為がおこなわれた場合、心身の安全や健康に影響を及ぼすことになりかねません。
人間の尊厳と人権の尊重という観点から、立憲民主党としてAVなどにおけるあらゆる性的搾取を根絶するため今後も全力で取り組むことをお誓い申し上げまして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。
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(動画)
〇2022年6月14日 YouTube 衆議院内閣委員会(※堤かなめ議員の質疑)
(再掲。山井和則 法案提出者)
「忘れられる権利」
「性行為映像制作物の公表の期間について、『〇〇年以内としなければならない』旨の規定を設ける(略)ことの可否について検討をおこなう」
(再掲)
<附則>
第四条 この法律の規定については、この法律の施行後二年以内に、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
2 前項の検討に当たっては、性行為映像制作物の公表期間の制限及び無効とする出演契約等の条項の範囲その他の出演契約等に関する特則の在り方についても、検討を行うようにするものとする。
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今後は、「忘れられる権利」に関する論議を刮目して待っています。
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