No.17
#[AV出演被害防止・救済法]
昨日(2022年6月15日)、参議院の本会議で、AV出演被害防止・救済法案が可決されました。
(経緯。AV出演被害防止・救済法案)
<衆議院>
①2022年5月25日 内閣委員会で可決
↓
②2022年5月27日 本会議で可決
↓
<参議院>
③2022年6月14日 内閣委員会で可決
↓
④2022年6月15日 本会議で可決
(参考。日本国憲法第59条第1項)
「法律案は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる」
AV出演被害防止・救済法案の"附則の第1条"を確認します。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日の翌日から施行する。ただし、第五章(※罰則)の規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
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(再掲)
<参議院>
③2022年6月14日 内閣委員会で可決
本日も、昨日にひきつづき、AV出演被害防止・救済法案に関する6月14日の参議院内閣委員会の審議をみてみます。
今回は、佐々木さやか議員の質疑です。
2022年6月14日 参議院内閣委員会 質疑者
①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※昨日の当ブログを参照。
↓
②佐々木さやか 議員(公明党)
(動画)
〇2022年6月14日 参議院インターネット審議中継 参議院内閣委員会
〇2022年6月14日 YouTube 参議院内閣委員会(※佐々木さやか議員の質疑)
(※音声の文字化は、筆者。)
●2022年6月14日 佐々木さやか 参議院議員(公明党)
公明党の佐々木さやかです。
まず、質問の機会をいただきましたことに、感謝申し上げます。
AV出演被害は、出演者に将来にわたって取り返しのつかない重大な被害を生じさせるものであり、極めて深刻な問題でございます。
被害者救済のために、と、今回の法案提出、法案審議にご尽力いただきました提出者はじめ、関係者の皆様に心から敬意を表し感謝を申し上げます。
わたしがこの問題に初めて向き合いましたのは今から6年前でございます。
まさかAV出演をさせられるとは思わずに契約をしてしまって、「出演しないなら高額な違約金を払え」、このように脅される。
そして、一度出演してしまえば、半永久的にですね、ネットなどで動画が流される、ということでございます。
こういった被害はいわば重大な人権侵害でありまして、絶対にあってはならない、との思いで、党としてプロジェクトチームを立ち上げて、啓発や現行法での取り締まり強化、こういったことにも取り組んでまいりました。
しかしながら、現場で被害救済に携わる団体の皆さんからは、現行法上の詐欺ですとか刑法違反などを訴えても業者はなかなか応じない、と。
立証もむずかしく、実際の被害回復や動画などの消去をですね、おこなう方法というものは事実上なかなかない、と。
被害者から相談を受けても何の手立てもないんだ、と。
こういった切実なお声をいただいたわけでございます。
現行法で限界があるのであれば新法でですね、被害者救済のための強力な解約、契約解消の手段また被害回復のための権利を創設するしかないのではないか、と。
このように考えました。
そうした同じ思いの下で、上川陽子先生を座長とする与党プロジェクトチーム、そして超党派の先生方と真剣な議論をさせていただきまして今回の法案が提出されるに至ったわけでございます。
今回の法案は、こうした被害救済の観点から年齢性別を問わずAVの出演者について被害者側に使いやすいこれまでにない強力な契約解消の方法を認め、被害回復のためにこれまでに比べて容易に動画の削除などを要求できるよう差止めの権利を法律上明確に規定するなど、するものであるというふうに考えております。
また、相談体制についてもしっかりと充実をしていく。
このように今回の法案は、いま現実に苦しんでいる被害者をどう救済するのか、という思いからつくられたものでありまして、現実に被害救済が進むことが期待されます。
けっして、性交を合法化するとか、違法なものを合法化するような法案ではない、ということも強調をしておきたいと思います。
そこで、あらためて、立法趣旨につきまして、被害救済のために被害者に寄り添ったものである、という点。
そして、性交合法化、との誤解に関連してお答えをいただきたいと思います。
〇2022年6月14日 上川陽子 衆議院内閣委員長代理
お答えをいたします。
本法案でございますが、AV出演被害が出演者の心身と私生活にも将来にわたって取り返しのつかない重大な被害をもたらすことから、その被害の発生と拡大の防止を図り、被害を受けた出演者の救済のために徹底した対策を講ずることにより、出演者の個人としての人格を尊重しその心身との健康と私生活の平穏等を保護しようとするものであります。
今回、救済対象に対しましても、出演者の年齢、性別を問わない、ということにしたところでございます。
本法案に対しまして、「性交を含む契約を合法化するものなのではないか」との声がございます。
本法案におきましては、性交を含むもの、として性行為を定義し、この概念を用いて性行為映像制作物や出演契約、これを定義をしているわけでありますが、これは性交を含む契約が現に存在をすること、そしてAV出演被害の背景となっていることから、このような契約の効力これを制限するために本法案の対象として明示したものでございます。
そして、本法案の目的で、第1条におきまして、
「他の法令による契約の無効及び性行為その他の行為の禁止又は制限をいささかも変更するものではない」
ということをこの法律の実施及び解釈の基本原則と位置付けております。
さらに、実施および解釈の基本原則の基本原則を具体的に述べた第3条3項におきまして、
「この法律のいかなる規定も、公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為を無効とする民法第90条の規定その他の法令の規定により無効とされる契約を有効とするものと解釈してはならない」
と規定をしております。
したがいまして、本法案は、契約が有効か無効かに関する現行法上の立場をなんら変更するものではなく、現在合法であると言えない契約を合法化するものではないということは明らかでございます。
本法案が真に被害の防止、被害者の救済に結びつくためには、相談体制の整備そして充実が不可欠である、ということでございます。
この点につきましては、先ほど先生からもこのPTの話、触れていただきました。
その前からこの問題に向き合いつづけそして御党におきましても長らく寄り添いながら取り組んでこられました佐々木さやか先生からも、強いご指摘がありまして、こうした相談体制の整備充実がインフラとして極めて重要である、と。
こうしたことについて、これ、極めて重要なポイントである、というふうに認識をしております。
しっかりとした相談体制の下で、出演契約に対する特則、プロバイダ責任制限法の特例、罰則等の措置、こうしたことがしっかりと活用されることによってこの法案の目的が達成されるものと確信をしております。
●2022年6月14日 佐々木さやか 参議院議員(公明党)
AV業界というのは、スカウト、プロダクション、著作権者でありますメーカー、メーカーからの下請けの制作会社、プラットフォーム事業者、の多数の関係者が関与することが特徴のひとつでございます。
被害者を守る観点から、こうした関係者全体について今回の法案はきちんと網羅をし規制を及ぼすことになっているのか、を伺いたいと思います。
〇2022年6月14日 国重とおる 衆議院内閣委員長代理
佐々木委員のご質問にお答えをいたします。
ご指摘の関係者のうち、AVの制作公表をおこなう者として出演者との間で出演契約を締結する者につきましては、「制作公表者」として、本法案でさまざま規制が設けられております。
さらに、この「制作公表者」だけではなく、その周辺の関係者からも不当な行為があればそこから出演者を守る必要があることは佐々木委員ご指摘の通りであります。
そこで、第2条第8項では、「制作公表従事者」という定義を設け、出演者との契約関係がなくてもAVの制作公表の過程に従事する者につきましては、この定義に該当することとし、一定の規制を設けております。
具体的には、出演者の任意解除を妨げるために、不実のことを告げたり、威迫して困惑させるような行為をおこなった場合には、その「制作公表従事者」についても罰則の対象としております。
さらに第5条第3項では、「制作公表従事者」以外の者をも対象として、出演契約の内容や出演契約に係る説明義務の内容に関し出演者を誤認させるような説明その他の行為はしてはならない、との禁止規定を設けております。
もし「制作公表従事者」がこの禁止規定に違反した場合には、出演者は第11条にもとづき出演契約を取消し、さらに第15条にもとづく差止請求をおこなうことも可能であります。
このように直接契約関係のない周辺の関係者についても一定の規制を設け被害者を守る仕組みを工夫しているところであります。
●2022年6月14日 佐々木さやか 参議院議員(公明党)
つづきまして15条の差止請求権について伺いたいと思います。
これも被害救済のため非常に重要な権利でございますけれども、契約を解除または取消し等をした場合に、受け取った報酬があれば返還をする、と。
それと解除等の関係については、衆議院の内閣委員会でも議論がありましたけれども、仮に報酬を返還することができなくてもですね、解除等を行使することを妨げない、と。
では、この差止請求権についてはどうなのか、確認をさせていただきたいと思います。
受け取った報酬を返還するか否かにかかわらず、直ちに行使できる、ということでよろしいでしょうか。
〇2022年6月14日 国重とおる 衆議院内閣委員長代理
ご質問にお答えいたします。
出演契約を取消し、また解除した場合、各当事者はその相手方を原状に復させる義務を負うことになりますが、取消権や解除権を行使するために原状回復義務を履行しなければならないというものでありません。
つまり、出演料を返還できない状況であったとしても、契約の取消しまたは解除をすることはできます。
そして、出演契約の取消しまたは解除をおこなったときには、第15条に規定をする差止請求権を行使することができることとしておりまして、出演料を返還することは差止請求権行使の前提条件ではありません。
このように、受け取った報酬を返還するか否かにかかわらず契約の取消しまたは解除をすることにより、ただちに第15条に規定する差止請求権を行使することができます。
●2022年6月14日 佐々木さやか 参議院議員(公明党)
ですので、被害者のかたが、契約を解消したい、と思った場合に、
「してもいいけど、報酬を返還しないかぎりダメだよ」
というようなことは言えませんし、また差止めについても同様である、ということでございます。
この差止めの対象となる対象物についてひとつ確認したいと思いますけれども、ひとつの映像を制作物としてですね、ひとつの映像として配信されているものは当然だと思いますが、その全体の他、一部をですね、その一部を切り取った宣伝用の画像ですとか、いわゆるサムネイル画像なども、この差し止めの対象になるということでよろしいでしょうか。
〇2022年6月14日 国重とおる 衆議院内閣委員長代理
本法案、第15条は、出演契約に基づくことなく性行為映像制作物の制作公表がおこなわれたときや、出演契約の取消し、解除があった時に、出演者がその性行為映像制作物の制作公表の停止、予防を請求することができる旨、を定めております。
このような差止請求権を規定したのは、自己の性行為に係る姿態を撮影した性行為映像制作物が意思に反して公衆の目に触れることになる場合には、その者の性をめぐる個人としての尊厳が著しく害されることから、人格権に基づき差止めを求めることができる、こととしたものであります。
この点、ひとつの映像として配信されている性行為映像制作物の一部を切り取った宣伝用の画像やいわゆるサムネイル画像などであっても、本法案第15条の趣旨に鑑みまして、性行為映像制作物の全体と同様に出演者は第15条により差止めを請求することができます。
●2022年6月14日 佐々木さやか 参議院議員(公明党)
今日の質疑では被害救済という観点からいくつか確認をさせていただきましたけれども、指摘もさせていただいた通り今回の法案は現実にですね、被害者を救済するにはどうしたらいいかということを現場で被害救済当たっていらっしゃる方々からも様々なご意見を伺って、真剣に議論をさせていただいてこの条文の構成等も作らせていただいたというふうに思っております。
この法案がですね、成立することによって、いまも、いまこのときもですね、苦しんでいらっしゃる被害者の方々が一人でも多く、この被害回復、救済につながることをですね、強く願いまして、質問を終わらせていただきます。
大変にありがとうございました
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(再掲。国重とおる 衆議院内閣委員長代理)
(略)、取消権や解除権を行使するために原状回復義務を履行しなければならないというものでありません。
つまり、出演料を返還できない状況であったとしても、契約の取消しまたは解除をすることはできます。
(再掲。佐々木さやか議員)
被害者のかたが、契約を解消したい、と思った場合に、「してもいいけど、報酬を返還しないかぎりダメだよ」というようなことは言えません。
(再掲。国重とおる 衆議院内閣委員長代理)
具体的には、出演者の任意解除を妨げるために、不実のことを告げたり、威迫して困惑させるような行為をおこなった場合には、その「制作公表従事者」についても罰則の対象としております。
さらに第5条第3項では、「制作公表従事者」以外の者をも対象として、出演契約の内容や出演契約に係る説明義務の内容に関し出演者を誤認させるような説明その他の行為はしてはならない、との禁止規定を設けております。
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明日も、6月14日の参議院内閣委員会における質疑と応答をみていきます。
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