2022年8月2日の投稿(時系列順)[1件]
2022年8月2日 この範囲を新しい順で読む
#[AV出演被害防止・救済法]
今年の通常国会における"AV出演被害に関する国会質疑"を振り返っています。
(参考。動画)
<"AV出演被害"に関する今年の3月からの国会質疑)>
①2022年3月8日 参議院 内閣委員会(塩村あやか 参議院議員。立憲民主党) ※当ブログ
↓
②2022年3月16日 参議院 内閣委員会(江崎孝 参議院議員。立憲民主党) ※当ブログ
↓
③2022年3月25日 衆議院 本会議(柚木道義 衆議院議員。立憲民主党) ※当ブログ
↓
④2022年3月28日 参議院 決算委員会(塩村あやか 参議院議員。立憲民主党) ※当ブログ
↓
⑤2022年3月29日 衆議院 消費者問題特別委員会(本村伸子 衆議院議員。日本共産党) ※当ブログ
↓
⑥2022年3月29日 参議院 法務委員会(安江伸夫 参議院議員。公明党) ※当ブログ
↓
⑦2022年3月30日 衆議院 厚生労働委員会(山井和則 衆議院議員。立憲民主党) ※当ブログ
↓
⑧2022年3月31日 参議院 内閣委員会(塩村あやか 参議院議員。立憲民主党) ※当ブログ(前)、当ブログ(後)
↓
⑨2022年3月31日 衆議院 本会議(早稲田ゆき 衆議院議員。立憲民主党) ※当ブログ
↓
⑩2022年4月4日 参議院 決算委員会(塩村あやか 参議院議員。立憲民主党) ※当ブログ(前)、当ブログ(後)
↓
⑪2022年4月7日 衆議院 消費者問題特別委員会(柚木道義 衆議院議員。立憲民主党)※当ブログ(前)、当ブログ(後)
↓
⑫2022年4月8日 衆議院 厚生労働委員会(山井和則 衆議院議員。立憲民主党) ※当ブログ
↓
⑬2022年4月13日 衆議院 厚生労働委員会(吉田とも代 衆議院議員。日本維新の会) ※当ブログ
↓
⑭2022年4月14日 衆議院 本会議(山田勝彦 衆議院議員。立憲民主党) ※当ブログ
↓
⑮2022年4月15日 衆議院 文部科学委員会(宮本岳志 衆議院議員。日本共産党) ※当ブログ
↓
⑯2022年4月19日 衆議院 消費者問題特別委員会(吉田統彦 衆議院議員。立憲民主党) ※当ブログ
↓
⑰2022年4月19日 衆議院 本会議(森山浩行 衆議院議員。立憲民主党) ※当ブログ
↓
⑱2022年4月20日 衆議院 厚生労働委員会(山井和則 衆議院議員。立憲民主党) ※当ブログ(前)
--------------------------------------------------------
昨日は、4月20日の山井和則衆議院議員の国会質疑を途中まで参照しました。
本日は、4月20日の質疑のつづきをみてみます。
後編です。
国会会議録を参照します。
(2022年4月20日 衆議院 厚生労働委員会 会議録より、引用。 )
【後編】山井和則衆議院議員が2022年4月20日の衆議院厚生労働委員会でおこなった質疑(AV出演被害)
○2022年4月20日 堂薗幹一郎 法務省 大臣官房審議官
お答えいたします。
一般に、取り消された行為は、御指摘のとおり、初めから無効であったものとみなされますので、無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務、原状回復義務を負うこととされております。
未成年者が法定代理人の同意を得ずにした法律行為が取り消された場合にもこれらの規律が適用され、取り消された契約に基づく債務の履行として未成年者から給付を受けていた者は、未成年者にこれを返還して、当該法律行為がなかったのと同様の状態に復させる義務を負うことになります。
●2022年4月20日 山井和則 衆議院議員(立憲民主党)
つまり、これは、配付資料五ページにありますように、原状回復の義務というのが取消権にあるんです。
第百二十一条の二、無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負うと、原状回復義務が取消権にはあったと。
そこでなんですけれども、今、私たち与野党で議論をしております。
やはり、契約の解除だけではなく、取消権並みの原状回復義務が必要だ、遡及効が必要だ、こういうことについて、今、与野党で協議をしております。
つまり、それがなかったら、繰り返し言いますけれども、なぜ今十八歳、十九歳の方がAV出演を契約でされていないのかというと、メーカー側あるいはプロダクション側にとったら、後で原状回復義務、回収しなさいといったら大きな損害を被るから、これはやめておこうという抑止力になっているわけです。
ところが、今回、私たち、今、議員立法を与野党で協議しておりますけれども、その中にも取消権と同じ効力の原状回復義務を入れることができるか、これは入れねばならないと思いますけれども、そこがポイントなんですね。
そこで、法務省にあえてお聞きします。
一般論として、取消権でなく、アダルトビデオ契約の解除において、遡及効、つまり原状回復義務を事業者に負わせる法律を作ることは、一般論として可能ですか。
○2022年4月20日 堂薗幹一郎 法務省 大臣官房審議官
お答えいたします。
解除の原則的規定である民法五百四十五条第一項では、当事者の一方が解除権を行使したときは、各当事者は、相手方を原状に復させる義務を負うとされているところでございます。
ある類型の契約について法定の解除権を設ける場合に、その効果として原状回復義務を負うものとすることは、解除に関するこのような原則的規定に合致するものであり、可能であると考えられるところでございます。
●2022年4月20日 山井和則 衆議院議員(立憲民主党)
これは非常に重要な答弁で、与野党で合意すれば、取消権並みに強力な、契約の解除とセットで原状回復義務、つまり、店頭に出ているビデオの回収、インターネットで売られるやつの回収、その法律を作ることは法律的には可能だと。
これは非常に重要な答弁であります。
そこで、もう一つポイントは、今、もう一つ議論させていただいておりますのは、与党の方々も大変頑張ってくださっております、私たちもそれを応援する立場です、そういう前提で言いますと、撮影が終わった後、一定期間、無条件に取り消せるようにする、そういうことが必要なんではないかという議論をしておりました。
この一定期間ですね。
では、お伺いします。未成年者取消権の行使可能期間は何年ですか。
その期間が長い理由は何ですか。
法務省、お答えください。
○2022年4月20日 堂薗幹一郎 法務省 大臣官房審議官
お答えいたします。
未成年者取消権を含む取消権につきましては、追認をすることができるときから五年間行使しないときは時効によって消滅するとされ、行為のときから二十年経過したときも同様であると規定されているところでございます。
未成年者が親権者の同意を得ずにした法律行為は、民法第五条第一項の規定に反するものであるため取り消すことができるものとする必要がある一方で、法律行為をいつまでも取り消すことができることとすると、余りにも法律関係が不安定なものとなるところでございます。
そこで、権利関係を確定し、法律関係を安定させる観点から、追認することができるときから五年という消滅時効期間が定められたものと理解しているところでございます。
●2022年4月20日 山井和則 衆議院議員(立憲民主党)
これも重要な答弁であります。
つまり、短過ぎたら意味がないと。
かといって、残念ながらですけれども、私たちは長い方がいいと思っているんですけれども、ただ、長過ぎるのも法務省としてはいかがなものかということで、五年。
具体的に言いますと、二十五歳までですから、十八歳の人の場合は七年、現状では。
現状では、十八歳即契約、撮影した人の場合は、二十五歳になるまでの七年、それで二十歳直前の人は五年、最短五年ということなんですね。
これについては、五ページ目にありますように、取消権の期間の制限、第百二十六条、取消権は、追認することができるときから五年間行使しないときは時効という、五年間ということなんです。
ですから、今、与野党で協議しておりますが、これぐらいの、昨日、岸田総理が答弁されましたけれども、契約解除可能期間、やはりこれぐらいの長さが必要なのではないかというふうに思います。
そこで、後藤大臣にお伺いをしたいんですが、今後、児童福祉法改正法案も議論をいたしますが、今、瀬戸際なんですね。
このまま議員立法なしにこの国会が終わったら、現役高校生アダルトビデオはもう激増、急増する危険性があります。
そういう高校三年生出演のアダルトビデオが増えることは、高校生や子供への性犯罪、性暴力を助長する懸念はないか、児童福祉法の理念に反すると思わないか。
そこは、大臣、いかがでしょうか。
○2022年4月20日 後藤茂之 厚生労働大臣
先ほどから山井委員が本当に熱心に述べておられます、若年層への性暴力被害が深刻化するのではないかという大変大きな懸念については、私としても共有をいたしております。
アダルトビデオへの出演の強要や性暴力は、あってはならない重大な人権侵害でありまして、政府一丸となって対応すべき課題と認識しておりますので、厚生労働省としても、内閣府を中心とした性暴力被害の防止に関する取組に協力しておりまして、できることは引き続き適切に対応していきたいというふうに考えております。
また、性暴力が十八歳未満の児童を対象としたものであれば、まさに児童の健全育成といった児童福祉法の理念からいっても、全く許されるものではないというふうに考えております。
以上でございます。
●2022年4月20日 山井和則 衆議院議員(立憲民主党)
時間がありませんので、最後に一問だけ質問させていただきます、内閣府。
昨日、岸田首相は本会議で、未成年者取消権がなくなったことにつけ込む性的搾取は許さないということを答弁されましたが、具体的にどのような性的搾取かお答えくださいということと、よく、今まで内閣府は国会答弁で、意に反するアダルトビデオ出演はあってはならないという答弁をされているんです。
私、実は、ここは残念ながら、非常にちょっと重要なポイントなんです。
つまり、今朝の朝日新聞にもインターネットで出ておりましたけれども、残念ながら、例えば、断りにくい雰囲気で撮影しちゃった、あるいは本当に、今朝も朝日新聞にも出ていましたけれども、お金がなくて、どうしてもそのときはそういう撮影をされちゃった、でも、半年、一年たって、就職したい、学校に行きたい、結婚したいとか、様々な中で、やっぱり取り消してというケースは当然あると思うんですね、動画が一生残るというのはもう耐えられないことですから。
そういう意味では、内閣府としては、結局、高校三年生のアダルトビデオが増えることは、意に反しないアダルトビデオだったらオーケーということなのか。
意に反してなくても、やはり高校生の現役のアダルトビデオはよくないということなのか。
これは本質的なことなので、内閣府の見解をお聞きしたいと思います。
○2022年4月20日 吉住啓作 内閣府 大臣官房審議官
お答えいたします。
アダルトビデオ出演被害について、具体的には、モデルやアイドル等への憧れや好奇心を利用する、顔は映さない、絶対にばれない等と説明することにより契約に至るといった悪辣な手口はあってはならないということを岸田総理は答弁されたものと認識をしております。
このような昨今の巧妙化する手口については、更なる情報収集の必要があると考えております。
このため、先般決定した「アダルトビデオ」出演強要問題緊急対策パッケージにおいて、手口の更なる情報収集を行い、注意喚起するとともに、教育啓発や各種相談窓口とも情報を共有し、活用を促すこととしております。
●2022年4月20日 山井和則 衆議院議員(立憲民主党)
もう時間なので終わりますが、極めて残念ですね。
内閣府がこの国会の場で高校三年生のアダルトビデオはよくないという答弁をできない、しないというのは、私は非常に残念です。
でも、責めるわけではありません。
そこの部分は、与野党で、私たちで協議をして、しっかりと対応していきたいと思います。
ありがとうございました。
--------------------------------------------------------
明日も、今年の通常国会における"AV出演被害に関する国会質疑"をみてみます。
--------------------------------------------------------
(参考)
6月15日に成立したAV出演被害防止・救済法の正式名称は、
「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」
です。
(ツイート埋め込み処理中...)Twitterで見る
(ツイート埋め込み処理中...)Twitterで見る
(ツイート埋め込み処理中...)Twitterで見る
(推移。AV出演被害防止・救済法)
<衆議院>
(1)2022年5月25日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考)
・堤かなめ 議員(立憲民主党) ※当ブログ(前)、当ブログ(後)を参照。
↓
(2)2022年5月27日(本会議) 全会一致で可決(※参考)
↓
<参議院>
(3)2022年6月14日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考)
①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※当ブログを参照。
②佐々木さやか 議員(公明党) ※当ブログを参照。
③梅村聡 議員(日本維新の会) ※当ブログを参照。
④倉林明子 議員(日本共産党) ※当ブログを参照。
↓
(4)2022年6月15日(本会議) 可決(※参考)。成立
--------------------------------------------------------
2022年6月23日からAV出演被害防止・救済法が施行されました。
AV出演被害防止・救済法が施行される前日(2022年6月22日)、警察庁は、配下の各警察に対して、AV出演被害の取り締まりに関する2つの通達を発しました。
●アダルトビデオ出演被害問題に係る対策の推進について(通達)
●性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律の施行について(通達)
--------------------------------------------------------