性犯罪に関する覚書  ~AV出演強要、セクハラ、etc.

旧タイトルは、「香西咲さんを勝手に応援するブログ」です。(※2014年~2022年)

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2022年6月の投稿30件]

2022年6月30日 この範囲を時系列順で読む


#[AV出演被害防止・救済法]

7日前の6月23日(木曜日)から、AV出演被害防止・救済法が施行されました。

AV出演被害防止・救済法に関して、最近ネットで、以下のような書き込みを目にすることがあります。

「AV新法のようなあたらしい法律をつくときは、有識者や業界関係者を招集して、論議をしなければならない」
「論議をおこなった結果、法律案の骨子が“報告書”というかたちでまとめられる」
「“報告書”に対して国民から意見を募る」
「国会に各種参考人を呼び、問題点を探る」
「各省庁や業界団体と調整して、擦り合わせをおこなう」
  ↓
「今回のAV出演被害防止・救済法は、これらがおこなわれなかった」

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この種のことを書いているごく少人数のひとたちは、「閣法」と「議員立法」の違いがわかっていないようです。

「閣法」は、内閣が提出する法案です。
いっぽう、「議員立法」は、国会議員が発案する法案です。

(再掲)
「AV新法のようなあたらしい法律をつくときは、有識者や業界関係者を招集して、論議をしなければならない」
「論議をおこなった結果、法律案の骨子が“報告書”というかたちでまとめられる」
「“報告書”に対して国民から意見を募る」
「国会に各種参考人を呼び、問題点を探る」
「各省庁や業界団体と調整して、擦り合わせをおこなう」


これは、「閣法」の場合のプロセスです。
残念ながら、今回のAV出演被害防止・救済法は、「閣法」でなく、「議員立法」です。

4月4日の参議院決算委員会でのやりとりをふりかえってみます。

(2022年4月4日 参議院決算委員会 会議録より、引用。) 

<一部分を抜粋>
●2022年4月4日 塩村あやか 参議院議員(立憲民主党)
(前略。)
本日は四月四日でございます。
未成年者取消し権が行使できなくなりまして既に穴が空いているような状態です。
早く穴を埋めなくてはいけないという問題意識からお伺いいたします。

閣法議員立法ではどちらが早く対応できるのか、お伺いいたします。

〇2022年4月4日 林 伴子 内閣府 男女共同参画局長
お答え申し上げます。

一般論ではございますが、閣法、内閣提出法案、いわゆる閣法として政府が法案を提出するためには、通常は、有識者の方々から成る審議会などの検討やその答申などを踏まえて具体的な条文案を作りまして、その条文案を内閣法制局で審査をしてもらい、そして、その上で国会提出のための閣議決定を経るなどの段階を必要としております
それで、国会に提出した後、国会での御審議、採決の上可決すれば、成立するものと認識しております。

他方、議員立法につきましては、国会議員の方々が提出し、議事に付されて過半数の賛成が得られれば可決、成立すると認識をしております。


●2022年4月4日 塩村あやか
ありがとうございます。

今の御答弁は、明らかに議員立法が早い、穴を埋めることができるという御答弁だと思います。

総理も先週の決算委員会で何度も議員立法という言葉を出して、まずは議員立法、その上で政府として対応を考えていきたいと答弁をしていました。
私は、この総理答弁、前向きだと思っています。

また、総理は、この立法措置を行わなくてはいけない、その内容、議論の状況、それを見守った上で対応を考えていきたいとも御答弁されているんですね。つまり、ボールは立法府にあるわけです。

資料十を御覧ください。
金融庁は、十八歳、十九歳への貸付けを貸金業者に毎月報告させることとしました。
金融庁は監督官庁なのでできるのだと思いますが、その監督官庁を将来的に決めるためにも、今回は行政府よりも立法府が迅速に動けるということは今の答弁でも明らかですから、私たちもこの若年層を守る議員立法を超党派で急がせなくてはいけないと思っています。

資料十一です。
民法の特例法は聞いたことがないという声もありますが、前例はあるので御確認ください。

資料十二を御確認ください。
ワシントンポストの記事です。
十代の性的搾取問題を質問した女性議員を笑う国会が取り上げられています。
その根底に子供や女性を軽視しているということがあると思われています。
そんなことはないのだということを議員立法の成立で示すこともまた重要だというふうに思います。
もうボールは私たち立法府にあります。
しかも、早くできるということでございます。

各党各会派の皆様、子供を性搾取、性被害から守るためにも超党派の取組をお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
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(再掲)
「AV新法のようなあたらしい法律をつくときは、有識者や業界関係者を招集して、論議をしなければならない」
「論議をおこなった結果、法律案の骨子が“報告書”というかたちでまとめられる」
「“報告書”に対して国民から意見を募る」
「国会に各種参考人を呼び、問題点を探る」
「各省庁や業界団体と調整して、擦り合わせをおこなう」


ちなみに、今回のAV出演被害防止・救済法に関連する「パブリックコメント」については、以下の取り扱いとなっています。
※注 施行規則について。)

(e-Gov【電子政府の総合窓口】 パブリック・コメント 性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律施行規則の制定についてより、引用。)

<一部分を抜粋>
本件は、AV出演被害防止・救済法の施行に伴い所要の施行規則を定めるもので、公布日の翌日施行とされているAV出演被害防止・救済法の公布・施行と同時に公布・施行する必要があり、行政手続法第39条第4項第1号に掲げる「公益上、緊急に命令等を定める必要がある場合」に該当するため、同法に定める意見公募手続を行いませんでした。
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(再掲)
「AV新法のようなあたらしい法律をつくときは、有識者や業界関係者を招集して、論議をしなければならない」
「論議をおこなった結果、法律案の骨子が“報告書”というかたちでまとめられる」
「“報告書”に対して国民から意見を募る」
「国会に各種参考人を呼び、問題点を探る」
「各省庁や業界団体と調整して、擦り合わせをおこなう」


もう少しお勉強をしてから書き込みをおこなってほしいものです。
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(参考)
AV出演被害防止・救済法の正式名称は、
性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律
です。






(推移。AV出演被害防止・救済法
<衆議院>
(1)2022年5月25日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ・堤かなめ 議員(立憲民主党) ※当ブログ(前)当ブログ(後)を参照。
 ↓
(2)2022年5月27日(本会議) 全会一致で可決(※参考
 ↓
<参議院>
(3)2022年6月14日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※当ブログを参照。
 ②佐々木さやか 議員(公明党) ※当ブログを参照。
 ③梅村聡 議員(日本維新の会) ※当ブログを参照。
 ④倉林明子 議員(日本共産党) ※当ブログを参照。

 ↓
(4)2022年6月15日(本会議) 可決(※参考
成立

〔 3358文字 〕 編集

2022年6月29日 この範囲を時系列順で読む


#[AV出演被害防止・救済法]

6日前の6月23日(木曜日)から、AV出演被害防止・救済法が施行されました。

(参考)
同法の正式名称は、
性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律
です。






(推移。AV出演被害防止・救済法
<衆議院>
(1)2022年5月25日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ・堤かなめ 議員(立憲民主党) ※当ブログ(前)当ブログ(後)を参照。
 ↓
(2)2022年5月27日(本会議) 全会一致で可決(※参考
 ↓
<参議院>
(3)2022年6月14日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※当ブログを参照。
 ②佐々木さやか 議員(公明党) ※当ブログを参照。
 ③梅村聡 議員(日本維新の会) ※当ブログを参照。
 ④倉林明子 議員(日本共産党) ※当ブログを参照。

 ↓
(4)2022年6月15日(本会議) 可決(※参考
成立
--------------------------------------------------------

6月15日にAV出演被害防止・救済法が成立したあと、内閣府は同法に関する手引き等を公開しました。

(参考)
<内閣府>
法律についてのQ&A
解説 ※当ブログ(1)当ブログ(2)当ブログ(3)を参照。
概要
条文
経過規定
府令 ※当ブログを参照。

本日も、ひきつづき、解説をみてみます。

(参考)
解説(1)
解説(2)
解説(3)


引用。内閣府)

性行為映像制作物への出演被害の防止・救済の仕組み

(6)契約条項の無効
出演者に対してプロダクション会社が指定する性行為映像制作物に出演させる義務を課すような、性行為映像制作物を特定せずに、出演者に契約の相手方その他の者が指定する性行為映像制作物への出演をする義務を課す契約の条項は、無効です(第10条第1項)。

なお、性行為映像制作物への出演とは関係ないテレビ出演などの一般的な芸能活動のあっせんも含まれた包括的なマネジメント契約を結んでいるような場合には、性行為映像制作物への出演をする義務を課す契約条項は無効となりますが、性行為映像制作物への出演とは関係のない一般的な芸能活動に係る契約条項は有効なものとして存続することとなります。


また、次のような出演契約の条項は、無効となります(第 10 条第2項)。

・出演者の債務不履行による損害賠償の額の予定や違約金を定める条項

(例えば、「出演者が撮影場所に来なかった場合には○○万円を支払う」など)


・制作公表者の債務不履行や債務の履行に際してされた自身の不法行為により出演者に生じた損害賠償責任の全部・一部を免除する条項や、制作公表者にその責任の有無や限度の決定権限を付与する条項

(例えば、「性行為に係る姿態の撮影の際に出演者に健康被害が生じても(又は出演者が妊娠しても)、賠償の責任を負わない」、「制作公表者の過失により契約によらない公表が行われても、賠償の責任を負わない」、「損害の額は制作公表者が定める」など)


・出演者の権利を制限し又はその義務を加重する条項であって、信義則(民法第1条第2項)に反して出演者の利益を一方的に害するものと認められるもの

(例えば、本法に基づく「差止請求権を放棄する」など法に基づく被害者保護の規定を一方的に害するような条項)

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(7)契約の取消し
[Q:制作公表者が契約書等交付義務(第6条)や説明義務(第5条第1項)に違反したときは、出演者は、その出演者の性行為映像制作物への出演に係る出演契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができます。

[制作公表従事者が契約内容について出演者を誤認させるような説明その他の行為をした場合(第5条第3項違反)も、同様です。]

取消しがあった場合については、出演契約事項に限らず、出演契約全体について初めから無効であったものとみなされます(民法第121条)。

契約の取消しは、契約の時から20年、追認することができる時から5年間で時効消滅します(民法第126条)。

出演契約を取り消した場合、出演者は、差止請求を行うことができます。

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(8)法定義務違反による解除
出演者は、次の場合には、履行の催告(民法第 541 条)をすることなく、直ちに出演契約の解除をすることができます(第 12 条)。

撮影の期間制限(第7条第1項)や撮影時の安全性・任意性の確保義務(第7条第3項)に違反して、その出演者の性行為映像制作物への出演に係る撮影が行われたとき。
この「撮影」には、「カメラテスト」など出演者の性行為映像制作物への出演に係る撮影に密接に関連する出演者の撮影も含まれます。


映像の確認(第8条)の規定に違反して、出演者に対し、撮影された映像のうち当該出演者の性行為映像制作物への出演に係る映像であって公表を行うものを確認する機会を与えることなく、性行為映像制作物の公表が行われたとき

・公表の期間制限(第9条)の規定に違反して、同条の期間を経過する前に性行為映像制作物の公表が行われたとき

出演者は、法定義務違反により出演契約を解除した場合、差止請求を行うことができます。
また、出演者は制作公表者に対し債務不履行による損害賠償請求(民法第415条)又は不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)をすることができる場合があります。

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(9)任意解除
出演者は、当該出演者に係る性行為映像制作物の公表が行われた日から1年間は、任意に、書面又は電磁的記録により、出演契約の申込みの撤回又は当該出演契約の解除(以下「出演契約の任意解除等」といいます。)をすることができます。(第13条第1項)

この任意に解除等ができる「1年間」の期間は、経過規定により、

・法律の施行の日から起算して2年を経過する日までの間(令和4年(2022 年)6月23日から令和6年(2024 年)6月22日までの間)にされた出演契約等については、「2年間」

・法律の施行の日から起算して2年を経過する日の翌日から起算して1年を経過する日までの間(令和6年(2024 年)6月23日から令和7年(2025 年)6月22日までの間)にされた出演契約等については、「公表から1年」か「法律の施行の日から起算して4年6か月」までのいずれか遅い日まで(公表から1年又は令和8年(2026年)12月22日のいずれか遅い日まで)

任意に解除等ができます(附則第3条)。


なお、この出演契約の任意解除等の権利が行使できる期間を経過しても、出演契約に基づく公表期間が経過した場合には、差止請求を行うことができます。

また、取消しや法定義務違反解除に該当する事由があった場合でも、出演契約の任意解除等は可能です。

出演契約の任意解除等をした場合でも、取消しや法定義務違反解除に該当する事由を根拠にした損害賠償請求は可能です(民法545条第4項)。
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(再掲。内閣府)
また、次のような出演契約の条項は、無効となります(第 10 条第2項)

・出演者の債務不履行による損害賠償の額の予定や違約金を定める条項(例えば、「出演者が撮影場所に来なかった場合には○○万円を支払う」など)

・制作公表者の債務不履行や債務の履行に際してされた自身の不法行為により出演者に生じた損害賠償責任の全部・一部を免除する条項や、制作公表者にその責任の有無や限度の決定権限を付与する条項(例えば、「性行為に係る姿態の撮影の際に出演者に健康被害が生じても(又は出演者が妊娠しても)、賠償の責任を負わない」、「制作公表者の過失により契約によらない公表が行われても、賠償の責任を負わない」、「損害の額は制作公表者が定める」など)

・出演者の権利を制限し又はその義務を加重する条項であって、信義則(民法第1条第2項)に反して出演者の利益を一方的に害するものと認められるもの(例えば、本法に基づく「差止請求権を放棄する」など法に基づく被害者保護の規定を一方的に害するような条項)




AV出演被害防止・救済法は、一朝一夕(いっちょういっせき)でつくられたものではありません。

(再掲。赤沢りょうせい衆議院議員【自民党】)
過去5年自民党ワンツー議連の検討を踏まえ、未成年や18歳、19歳だけでなく、全年齢・全男女を対象に被害防止・救済を大幅強化する法案内容が明らかに

5年間の蓄積があります。
今後は、さらなる強化が求められます。

〔 3892文字 〕 編集

2022年6月28日 この範囲を時系列順で読む


#[AV出演被害防止・救済法]

5日前の6月23日(木曜日)から、AV出演被害防止・救済法が施行されました。

(参考)
同法の正式名称は、
性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律
です。






(推移。AV出演被害防止・救済法
<衆議院>
(1)2022年5月25日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ・堤かなめ 議員(立憲民主党) ※当ブログ(前)当ブログ(後)を参照。
 ↓
(2)2022年5月27日(本会議) 全会一致で可決(※参考
 ↓
<参議院>
(3)2022年6月14日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※当ブログを参照。
 ②佐々木さやか 議員(公明党) ※当ブログを参照。
 ③梅村聡 議員(日本維新の会) ※当ブログを参照。
 ④倉林明子 議員(日本共産党) ※当ブログを参照。

 ↓
(4)2022年6月15日(本会議) 可決(※参考
成立
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6月15日にAV出演被害防止・救済法が成立したあと、内閣府は同法に関する手引き等を公開しました。

(参考)
<内閣府>
法律についてのQ&A
解説 ※当ブログ(1)当ブログ(2)を参照。
概要
条文
経過規定
府令 ※当ブログを参照。

本日も、ひきつづき、解説をみてみます。

(参考)
解説(1)
解説(2)



引用。内閣府)

性行為映像制作物への出演被害の防止・救済の仕組み

(3)撮影
性行為映像制作物への出演に係る撮影は、出演者が出演契約書等の交付・提供を受けた日か説明書面等の交付・提供を受けた日の遅い日から1か月を経過した後でなければ、行うことはできません(第7条第1項)。

この規定は、性行為映像制作物の撮影を行う者に対する義務規定であり、1か月の期間を短縮する旨を出演者と合意したとしても無効です。

この規定に違反した場合、出演者は法定義務違反による出演契約の解除(第 12 条第1項第1号)が可能です。


撮影において、出演者は、出演契約で定められていても、性行為に係る姿態の撮影を拒絶することができます
また、これによる損害賠償責任を負いません(第7条第2項)。

撮影に当たっては、出演者の健康の保護(生殖機能の保護を含む。)その他の安全及び衛生並びに出演者が性行為に係る姿態の撮影を拒絶することができるようにすることその他その債務の履行の任意性が確保されるよう、特に配慮して必要な措置を講じなければならないこととされています(第7条第3項)。

このため、出演者の生命身体の安全に関わるような性行為に係る姿態の撮影や不衛生な性行為に係る姿態の撮影、中絶を余儀なくされるような望まぬ妊娠を避けるなどの措置が必要です。

また、撮影に際し、インタビュー形式で出演者のプライバシーに関わることや出演者の特定を容易にするようなことを質問し答えさせるような行為など、性行為に係る姿態の撮影以外であっても、任意性が確保されるような措置が必要です。

この規定に違反した場合、出演者は法定義務違反による出演契約の解除(第12条第1項第1号)が可能です。


なお、性行為に係る姿態の撮影を行うに当たり、暴行又は脅迫等を用いた場合には強制わいせつ罪又は強制性交等罪(刑法第176条、刑法第177条)が成立し、抗拒不能にさせるなどして撮影を行った場合には準強制わいせつ及び準強制性交等罪が成立します(刑法第178条)。

「カメラテスト」等の名称によるかを問わず、出演者の性行為映像制作物への出演に係る撮影に密接に関連して出演者の裸体(本法の「性行為に係る人の姿態」にとどまらず、衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に性器、肛門又は乳首の周辺部、でん部又は胸部が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものも含まれます。)を撮影する場合についても、性行為映像制作物への出演に係る撮影と同じ扱いになります(第7条第4項)。
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(4)映像の確認の機会
制作公表者は、性行為映像制作物の公表までの間に、出演者に対し、出演契約に基づいて撮影された映像のうち当該出演者の性行為映像制作物への出演に係る映像であって自身の権原に基づき公表するものを確認する機会を与えなければなりません(第8条)。

これは、出演者の想定とは異なる映像が公表される事態を防ぐためであり、出演者が、確認の機会を与えられた上で、これを拒否することは可能です。

撮影した映像を閲覧する時間や確認に基づく判断・回答までに十分な時間的余裕がない場合には、「確認の機会を与えた」とはいえません

確認の機会を与える対象は「制作公表者が当該公表に関する権原を有するものに限る」とされていますが、これは、撮影した映像のうち公表する部分を決定(したり、公表方法や公表する者を決定したり)する権原を持つ者に、確認の機会を与える義務を負わせる趣旨です。

例えば、企画だけを担当する制作公表者は、このような義務を負いません。

メーカーが性行為映像制作物を制作し、メーカーとの間で契約をしたプラットフォーマーがネットで配信する場合、確認の機会を与える義務を負うのはメーカーです。

この規定に違反した場合、出演者は、民法第541条の催告をすることなく、直ちに出演契約の解除をすることができます(第 12 条第1項第2号)。
また、これによる損害賠償責任を負いません(同条第2項)。

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(5)公表の制限
性行為映像制作物の公表は、当該性行為映像制作物に係る全ての撮影が終了した日から4か月を経過した後でなければ行ってはなりません(第9条)。

この規定は、性行為映像制作物の公表を行う者に対する義務規定であり、4か月の期間を短縮する旨を出演者と合意したとしても無効です。

「全ての撮影が終了した日」とは、編集等が終わっている必要はありませんが、性行為に係る人の姿態の撮影や解除権を行使しようとする出演者の撮影だけではなく、当該性行為映像制作物において使用する全ての映像の撮影が終了した日を指します。

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(再掲。内閣府)
性行為映像制作物への出演に係る撮影は、出演者が出演契約書等の交付・提供を受けた日か説明書面等の交付・提供を受けた日の遅い日から1か月を経過した後でなければ、行うことはできません(第7条第1項)。この規定は、性行為映像制作物の撮影を行う者に対する義務規定であり、1か月の期間を短縮する旨を出演者と合意したとしても無効です

性行為映像制作物の公表は、当該性行為映像制作物に係る全ての撮影が終了した日から4か月を経過した後でなければ行ってはなりません(第9条)。この規定は、性行為映像制作物の公表を行う者に対する義務規定であり、4か月の期間を短縮する旨を出演者と合意したとしても無効です

内閣府はこのたび、AV出演被害防止・救済法解説を作成しました。
同解説からは、「AV出演被害防止・救済法の執行を『(ばん)遺漏なきものにしよう』」とする気概が感じられます。
明日も、内閣府が公開している解説についてみていきます。

〔 3284文字 〕 編集

2022年6月27日 この範囲を時系列順で読む


#[AV出演被害防止・救済法]

4日前の6月23日(木曜日)から、AV出演被害防止・救済法が施行されました。

(参考)
同法の正式名称は、
性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律
です。






(推移。AV出演被害防止・救済法
<衆議院>
(1)2022年5月25日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ・堤かなめ 議員(立憲民主党) ※当ブログ(前)と、当ブログ(後)を参照。
 ↓
(2)2022年5月27日(本会議) 全会一致で可決(※参考
 ↓
<参議院>
(3)2022年6月14日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※当ブログを参照。
 ②佐々木さやか 議員(公明党) ※当ブログを参照。
 ③梅村聡 議員(日本維新の会) ※当ブログを参照。
 ④倉林明子 議員(日本共産党) ※当ブログを参照。

 ↓
(4)2022年6月15日(本会議) 可決(※参考
成立
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6月15日にAV出演被害防止・救済法が成立したあと、内閣府は同法に関する手引き等を公開しました。

(参考)
<内閣府>
法律についてのQ&A
解説 ※当ブログ(1)を参照。
概要
条文
経過規定
府令 ※当ブログを参照。

本日も、昨日にひきつづき、解説をみてみます。

引用。内閣府)

性行為映像制作物への出演被害の防止・救済の仕組み

(2)出演契約に係る説明義務
(1)②で述べた出演契約事項の案に加えて、次の事項等を記載し又は記録した書面又は電磁的記録(以下「説明書面等」といいます。)を交付・提供して説明することを義務付けています(第5条第1項)。
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・性行為映像制作物及び性行為映像制作物の撮影に密接に関連する撮影(「カメラテスト」などを含む。)に当たって、出演契約書等・説明書面等を交付した日から1か月間は撮影してはならない(熟慮期間)こと(第5条第1項第1号、第7条第1項、第4項)、

・性行為映像制作物及び性行為映像制作物の撮影に密接に関連する撮影において出演者は損害賠償責任を負うことなく性行為に係る姿態等の撮影を拒絶することができること、撮影に当たっては、出演者の健康の保護(生殖機能の保護を含む。)その他の安全及び衛生並びに出演者が性行為に係る姿態の撮影を拒絶することができるようにすることその他その債務の履行の任意性が確保されるよう、特に配慮して必要な措置を講じなければならないこと(第5条第1項第1号、第7条第2項~第4項)

・出演者は公表される映像を確認できること(第5条第1項第1号、第8条)、

全ての撮影が終了した日から4か月間は公表してはならない(熟慮期間)こと(第5条第1項第1号、第9条)、

・出演契約において性行為映像制作物が特定されていない場合には契約条項は無効となること(第5条第1項第1号、第10条第1項)、

・出演者の債務不履行による損害賠償額の予定や違約金を定める条項・制作公表者の損害賠償責任を軽くする条項・出演者の権利を制限し又は義務を加重する条項は無効となること(第5条第1項第1号、第 10条第2項)、

・制作公表者が書面交付義務説明義務に違反した場合や制作公表従事者が出演者を誤認させる説明等を行った場合、出演者は出演契約の取消しができること(第5条第1項第1号、第 11 条)、

・撮影・確認の機会の付与・公表について、法律の規定違反があった場合、出演者は出演契約の解除ができること(第5条第1項第1号、第12条第1項)、

・性行為映像制作物の公表から1年間(経過規定が適用される場合はその期間)は無条件で出演契約を解除することができ、通知を発した時に効果が生じること、出演契約の任意解除等に関する規定に反する特約で出演者に不利なものは無効になること、制作公表者及び制作公表従事者はこの解除について不実告知や威迫して困惑をさせてはならないこと(第5条第1項第1号、第 13 条第1項、第2項、第4項~第6項)、

・出演者は損害賠償責任を負うことなく出演契約の解除ができること(第5条第1項第1号、第12条第2項、第13条第3項)、

・出演契約が解除された場合、契約当事者は原状回復義務を負うこと(第14条)、

・差止請求権やプロバイダ責任制限法の特例があること(第5条第1項第1号、第15条、第16条)、

・取消権や制作公表者等が法定義務に違反した場合の解除権が5年間行使可能であること(第5条第1項第2号)、

・顔などの撮影された映像により、出演者が特定される可能性があること(第5条第1項第3号)、

・国が整備した相談窓口(性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター)等の名称、連絡先等(第5条第1項第4号)、

内閣府令で定める事項(性行為に係る姿態を撮影する際の相手方に係る性感染症の有無に関する検査の実施状況、出演契約書等の案及び説明書面等の言語が出演者の理解できる言語(母語など)と異なる場合には出演契約書等の案及び説明書等の事項を出演者が指定する言語により翻訳したもの)(第5条第1項第5号、府令第3条)
--------------------------------------------------------

これらの記載がない説明書面等を交付された場合、出演者は書面交付義務違反による出演契約の取消しができます(第 11 条、第5条第1項)。また、この場合には罰則があります(第 21 条第1号。詳細は後述)。

また、制作公表者は、出演者が内容を容易かつ正確に理解できるよう、丁寧に、かつ、分かりやすく説明する必要があります(第5条第2項)。

さらに、制作公表者以外の者は、出演契約の内容やそれ以外の説明事項に関し、出演者を誤認させるような説明その他の行為をしてはならないこととされています(第5条第3項)。

その際、公表期間や性行為に係る姿態の具体的内容、顔の映像等により出演者が特定される可能性があることなど出演者の判断に影響の大きい事項、撮影・公表の期間制限や相談窓口、損害賠償責任を負うことなく任意解除ができることやその行使期間など特に出演者の保護に資する事項については見やすくする(例えば、フォントサイズを14ptと大きい文字にする、赤枠で囲むなど)ことが望ましいと考えられます。
--------------------------------------------------------

(再掲。内閣府)
「公表期間」
「性行為に係る姿態の具体的内容」
「顔の映像等により出演者が特定される可能性がある」
「撮影・公表の期間制限」
「相談窓口」
「損害賠償責任を負うことなく任意解除ができることやその行使期間」
 ↓
フォントサイズを14ptと大きい文字にする、赤枠で囲む
--------------------------------------------------------

内閣府が作成したAV出演被害防止・救済法解説は、()()(さい)穿(うが)つ内容となっています。

明日も、内閣府が公開している解説についてみていきます。

〔 3198文字 〕 編集

2022年6月26日 この範囲を時系列順で読む


#[AV出演被害防止・救済法]

3日前の6月23日(木曜日)から、AV出演被害防止・救済法が施行されました。

(参考)
同法の正式名称は、
性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律
です。






(推移。AV出演被害防止・救済法
<衆議院>
(1)2022年5月25日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ・堤かなめ 議員(立憲民主党) ※当ブログ(前)と、当ブログ(後)を参照。
 ↓
(2)2022年5月27日(本会議) 全会一致で可決(※参考
 ↓
<参議院>
(3)2022年6月14日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※当ブログを参照。
 ②佐々木さやか 議員(公明党) ※当ブログを参照。
 ③梅村聡 議員(日本維新の会) ※当ブログを参照。
 ④倉林明子 議員(日本共産党) ※当ブログを参照。

 ↓
(4)2022年6月15日(本会議) 可決(※参考
成立
--------------------------------------------------------

6月15日にAV出演被害防止・救済法が成立したあと、内閣府は同法に関する手引き等を公開しました。

(参考)
<内閣府>
法律についてのQ&A
解説
概要
条文
経過規定
府令 ※当ブログを参照。

本日は、解説をみてみます。

引用。内閣府)

性行為映像制作物への出演被害の防止・救済の仕組み

(1)出演契約
①出演契約の締結
出演契約は、アダルトビデオ(以下「性行為映像制作物」といいます。)ごとに出演契約を締結しなければなりません(第4条第1項)。

新たな出演契約を締結せずに、撮影した映像を再編集するなどして、既存の性行為映像制作物と同一性のない性行為映像制作物を制作公表する場合には、その主体が制作公表者であるか制作公表者から映像を譲渡された第三者であるかを問わず、第4条第1項違反することになります。


②出演契約書等
出演契約は、書面又は電磁的記録によらなければ効力を生じません(第4条第2項)。

書面又は電磁的記録のいずれによるかは、当事者の合意によって決まります。

電磁的記録による場合、出演者が利用するパソコンやスマートフォン等により閲覧できるファイル形式により電子メール等で送付することなどを想定しています。

出演契約に係る書面又は電磁的記録(以下「出演契約書等」といいます。)には、契約当事者を特定するために必要な事項や契約締結の日時・場所のほか、次の事項を明記することを義務付けています(第4条第3項、出演契約書等への明記が義務づけられている事項を「出演契約事項」といいます。)。

・出演者が性行為映像制作物に出演すること(同項第1号)、

・撮影の予定日時・場所(同項第2号)、

撮影の対象となる性行為に係る姿態の具体的内容(同項第3号)、

性行為に係る姿態の相手方を特定するために必要な事項(同項第4号)、

性行為映像制作物の公表の具体的方法・期間(同項第5号)、

・性行為映像制作物の公表を行う者を特定するために必要な事項(同項第6号)、

・報酬の額及び支払の時期(同項第7号)、

内閣府令で定める事項(頒布又は上映する国名又は地域名(国内であれば都道府県名)及び公衆送信を行う国名又は地域名(インターネット配信を行う場合は配信するウェブサイト等を運営する者の氏名・名称及び所属地の国名又は地域名))(同項第8号、府令2第2条)
なお、「国名又は地域名」のうち「地域名」とは、台湾、香港、マカオ等をいい、特定国内の州名等を指すものではありません。なお、公衆送信を国内で行う場合についてもその旨を明示する必要があります。


③出演契約書等における出演契約事項の記載の程度
契約当事者を特定するために必要な事項」としては、企業名のほか、企業の住所や連絡先などが必要です。

また、出演契約書等における出演契約事項の記載は、出演者の契約締結に係る判断材料として十分な程度に具体的な内容であることが必要です。

例えば、
撮影の対象となる性行為に係る姿態の具体的内容
は、
・性交、性交類似行為、出演者が自己の性器等を触る行為、他人が出演者の性器等を触る行為、出演者が他人の性器等を触る行為に係る姿態のいずれが撮影されるのか、
・性交類似行為に係る姿態を撮影する場合はその具体的態様、
・出演者が自己の性器等を触る行為、他人が出演者の性器等を触る行為、出演者が他人の性器等を触る行為に係る姿態を撮影する場合は、その触る部位及び具体的態様、
・その他出演者の契約締結に係る判断に影響を与える重要な事項(避妊の具体的方法、性行為の回数、特殊な性癖に対応した性行為に係る姿態の撮影の有無など)
を具体的に明示する必要があります。

性行為に係る姿態の相手方を特定するために必要な事項」は、候補者やそのキャスティングに当たっての判断基準を明示するなど可能な限り明らかにしておく必要があります。

性行為映像制作物の公表の具体的方法」は、販売される媒体や公衆送信の形態(インターネット配信やテレビ放送など)、視聴方法等に加えて、それを視聴可能となる条件や場所について、どのような制限があるかについて明示することが必要となります。

性行為映像制作物の公表の期間」は、例えば、具体的な始期と終期を明示する方法(例えば「202X 年〇月〇日から 202X 年〇月〇日まで」など)や特定日を起点として期間を明示する方法(例えば「202X 年〇月〇日から○○」など)など具体的な期間が簡単にわかる方法により明示する必要があります。
公表期間の設定に当たっては、制作公表者等の責務(第3条第1項)を踏まえ、出演者のライフイベント等を考慮し私生活の平穏等を害しないものとすることが求められます。
期間が特定されない場合(例えば「作品による売上高が〇円に達するまで」、「事業主が公表の必要がないと判断するまで」など)は、明示したことにはなりません。
なお、具体的な期間を明示した上で、「出演者が公表の停止を求めた場合には、その期間までとする」など出演者の意思に従って公表期間を短縮するのであれば、可能です。

性行為映像制作物の公表を行う者を特定するために必要な事項」は、出演者が出演契約を解消した場合の差止請求権の実効性を確保するためのものです。
これは、性行為映像制作物の公表を行う者が制作公表者以外の者であるときに記載すべき事項であり、例えば、配信プラットフォーマー(動画配信サイト)を利用する場合やオンライン販売、DVD等の店舗販売、DVDレンタルを行うこととされている場合には、これらを行う者が該当します。

出演契約事項の記載がない出演契約書等を交付された場合、出演者は書面交付義務違反による出演契約の取消しができます(第6条、第 11条)。また、この場合には罰則があります(第 21 条第2号。詳細は後述)。


④出演契約書等の交付等義務
制作公表者は、出演者との間で出演契約を締結したときは、速やかに、当該出演者に対し、出演契約書等を交付・提供しなければならないこととされています(第6条)。

これは、契約書等を用いて周囲の人や性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターなどに相談する機会を設けるためです。

交付・提供がなかった場合には、撮影の期間制限(第7条第1項)により、撮影はできません

出演契約書等の交付等義務に違反した場合、出演者は書面交付義務違反による出演契約の取消しができます(第6条)。また、この場合には罰則があります(第 21 条第2号。詳細は後述)。

--------------------------------------------------------

(再掲。内閣府)
性行為映像制作物の公表の期間」は、例えば、具体的な始期と終期を明示する方法(例えば「202X 年〇月〇日から 202X 年〇月〇日まで」など)や特定日を起点として期間を明示する方法(例えば「202X 年〇月〇日から○○」など)など具体的な期間が簡単にわかる方法により明示する必要があります。

公表期間の設定に当たっては、制作公表者等の責務(第3条第1項)を踏まえ、出演者のライフイベント等を考慮し私生活の平穏等を害しないものとすることが求められます。

期間が特定されない場合(例えば「作品による売上高が〇円に達するまで」、「事業主が公表の必要がないと判断するまで」など)は、明示したことにはなりません。

なお、具体的な期間を明示した上で、「出演者が公表の停止を求めた場合には、その期間までとする」など出演者の意思に従って公表期間を短縮するのであれば、可能です。




明日も、内閣府が公開している解説についてみていきます。

〔 3795文字 〕 編集

2022年6月25日 この範囲を時系列順で読む


#[AV出演被害防止・救済法]

2日前の6月23日(木曜日)から、AV出演被害防止・救済法が施行されました。

(参考)
同法の正式名称は、
「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」






(推移。AV出演被害防止・救済法
<衆議院>
(1)2022年5月25日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ・堤かなめ 議員(立憲民主党) ※当ブログ(前)と、当ブログ(後)を参照。
 ↓
(2)2022年5月27日(本会議) 全会一致で可決(※参考
 ↓
<参議院>
(3)2022年6月14日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※当ブログを参照。
 ②佐々木さやか 議員(公明党) ※当ブログを参照。
 ③梅村聡 議員(日本維新の会) ※当ブログを参照。
 ④倉林明子 議員(日本共産党) ※当ブログを参照。

 ↓
(4)2022年6月15日(本会議) 可決(※参考)。成立

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6月15日にAV出演被害防止・救済法が成立したあと、内閣府は同法に関する手引き等を公開しました。

(参考)
<内閣府>
法律についてのQ&A
解説
概要
条文
経過規定
府令



法律についてのQ&Aは、大変わかりやすいです。

本日は、法律についてのQ&Aでなく、府令をみてみます。

最初に、AV出演被害防止・救済法を確認します。

AV出演被害防止・救済法
<抜粋>

 (出演契約)
第四条 出演契約は、性行為映像制作物ごとに締結しなければならない。


2 出演契約は、書面又は電磁的記録でしなければ、その効力を生じない。


3 前項の出演契約に係る書面又は電磁的記録(以下「出演契約書等」という。)には、制作公表者及び出演者の氏名又は名称その他制作公表者及び出演者を特定するために必要な事項並びに当該出演契約の締結の日時及び場所のほか、次に掲げる事項(当該制作公表者に係る部分に関する事項に限る。)を記載し、又は記録しなければならない。

 一 当該出演者が性行為映像制作物への出演をすること。

 二 当該出演者の性行為映像制作物への出演に係る撮影を予定する日時及び場所

 三 前号の撮影の対象となる当該出演者の性行為に係る姿態の具体的内容

 四 前号の性行為に係る姿態の相手方を特定するために必要な事項

 五 当該性行為映像制作物の公表の具体的方法及び期間

 六 当該性行為映像制作物の公表を行う者が制作公表者以外の者であるときは、その旨及び当該公表を行う者の氏名又は名称その他当該公表を行う者を特定するために必要な事項

 七 当該出演者が受けるべき報酬の額及び支払の時期

 八 その他内閣府令で定める事項


 (出演契約に係る説明義務)
第五条 制作公表者は、出演者との間で出演契約を締結しようとするときは、あらかじめ、その出演者に対し、前条第三項に規定する事項(同項各号に掲げる事項については、当該制作公表者に係る部分に関する事項に限る。次条及び第二十一条第二号において「出演契約事項」という。)について出演契約書等の案を示して説明するとともに、次に掲げる事項についてこれらの事項を記載し又は記録した書面又は電磁的記録(以下「説明書面等」という。)を交付し又は提供して説明しなければならない。

 一 第七条から第十六条までに規定する事項

 二 第十一条の取消権については追認をすることができる時から、第十二条第一項の解除権については出演者が当該解除権を行使することができることを知った時から、それぞれ、時効によって消滅するまで、五年間行使することができること。

 三 撮影された映像により出演者が特定される可能性があること。

 四 第十七条第一項の規定により国が整備した体制における同項に規定する相談に応じる機関(同条第二項の規定により都道府県が整備した体制における当該相談に応じる機関があるときは、当該機関を含む。)の名称及び連絡先

 五 その他内閣府令で定める事項


(出演契約の任意解除等)
第十三条 出演者は、任意に、書面又は電磁的記録により、その出演者の性行為映像制作物への出演に係る出演契約の申込みの撤回又は当該出演契約の解除(以下この条において「出演契約の任意解除等」という。)をすることができる。ただし、当該出演者に係る性行為映像制作物の公表が行われた日から一年を経過したとき(出演者が、制作公表者若しくは制作公表従事者が第五項の規定に違反して出演契約の任意解除等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことによりその告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は制作公表者若しくは制作公表従事者が第六項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによって当該期間を経過するまでにその出演契約の任意解除等をしなかった場合には、当該出演者が、当該制作公表者又は制作公表従事者が内閣府令で定めるところによりその出演契約の任意解除等をすることができる旨を記載して交付した書面を受領した日から一年を経過したとき)は、この限りでない。
--------------------------------------------------------

つぎは、内閣府令を参照します。
「布令」にはどのようなことが書かれているのでしょうか。

内閣府令

○内閣府令第四十一号
性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律(令和四年法律第七十八号)第四条第三項第八号第五条第一項第五号及び第十三条第一項の規定に基づき、性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律施行規則を次のように定める。

 令和四年六月二十二日
   内閣総理大臣岸田文雄


性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律施行規則

(定義)
第一条この府令において使用する用語は、性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律(令和四年法律第七十八号。以下「法」という。)において使用する用語の例による。

(出演契約の内容)
第二条 法第四条第三項第八号に規定する内閣府令で定める事項は、性行為映像制作物について頒布又は上映を行う国名又は地域名(国内の一部で頒布又は上映を行う場合にあっては、その都道府県名)及び公衆送信を行う国名又は地域名(自動公衆送信装置(著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第二条第一項第九号の五イに規定する自動公衆送信装置をいう。)を用いる場合にあっては、当該自動公衆送信装置の設置者の氏名又は名称及び住所地の属する国名又は地域名)とする。

(説明義務の内容)
第三条 法第五条第一項第五号に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。

 一 性行為に係る姿態の相手方の性感染症の検査の実施に関する事項

 二 出演契約書等の案及び説明書面等に記載され又は記録されている事項(この号に掲げる事項を除く。)の出演者が指定する言語による翻訳(出演契約書等の案及び説明書面等に表示されている言語が出演者が理解する言語と異なる場合に限る。)


(出演契約の任意解除等の妨害後の書面の交付)
第四条法第十三条第一項の規定により交付する書面(次項から第五項までにおいて単に「書面」という。)には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 法第十三条第一項の規定に基づき、当該書面を受領した日から起算して一年を経過するまでは、書面又は電磁的記録による通知により出演契約の申込みの撤回又は当該出演契約の解除を行うことができること。

 二 法第十三条第二項及び第三項の規定に関する事項

 三 制作公表者の氏名又は名称、住所及び電話番号

 四 出演契約の申込み又は締結の年月日

 五 出演契約の内容


2 書面には日本産業規格Z八三〇五に規定する十二ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いなければならない。


3 書面に記載するに際し、第一項第一号及び第二号に掲げる事項の内容については、赤枠の中に赤字で記載しなければならない。


4 書面に表示する言語は、出演者が理解できる言語でなければならない。


5 制作公表者は、書面を出演者に交付した際には、直ちに出演者が当該書面を見ていることを確認した上で、第一項第一号及び第二号に掲げる事項の内容について出演者に説明しなければならない。


附則

1 この府令は、法の施行の日から施行する。


2 法附則第三条第一項に規定する出演契約に係る法第十三条第一項の規定により交付する書面についての第四条第一項第一号の規定の適用については、同号中「一年」とあるのは「二年」と、法附則第三条第二項に規定する出演契約に係る法第十三条第一項の規定により交付する書面についての第四条第一項第一号の規定の適用については、同号中「経過」とあるのは「経過し、かつ、法の施行の日から起算して四年六月を経過」とする。

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明日は、内閣府が公開している解説をみてみます。

〔 4171文字 〕 編集

2022年6月24日 この範囲を時系列順で読む


#[AV出演被害防止・救済法]

自民党の山田太郎参議院議員(デジタル大臣政務官 兼 内閣府大臣政務官)と言えば、常日頃より、表現の自由を声高に叫んでいる人物として有名です。

(参考)
山田太郎議員のホームページ

昨日、AV出演被害防止・救済法が施行されました。

(推移。AV出演被害防止・救済法案
<衆議院>
(1)2022年5月25日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ・堤かなめ 議員(立憲民主党) ※当ブログ(前)と、当ブログ(後)を参照。
 ↓
(2)2022年5月27日(本会議) 全会一致で可決(※参考
 ↓
<参議院>
(3)2022年6月14日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※当ブログを参照。
 ②佐々木さやか 議員(公明党) ※当ブログを参照。
 ③梅村聡 議員(日本維新の会) ※当ブログを参照。
 ④倉林明子 議員(日本共産党) ※当ブログを参照。

 ↓
(4)2022年6月15日(本会議) 可決(※参考

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山田太郎議員は、今回、AV出演被害防止・救済法案に対してどのような対応をとったのでしょうか。
山田太郎議員のYouTubeのチャンネルをみてみます。

〇2022年5月25日 山田太郎 参議院議員 【第496回】《トピックス》実務で党内で関わったAV新法を解説《特集》絶版本もスマホで閲覧可能に!国会図書館デジタル化、舞台裏に迫る(2022/05/25)

(※音声の文字化は、筆者。)

0:17:13から)
●2022年5月25日 山田太郎 デジタル大臣政務官 兼 内閣府大臣政務官(参議院議員)
たしかにAVっていうのは「忘れられる権利」ともよく言われたりするんだけれども、一度出ると、いまネットとかでもいわゆる拡散してしまって、「なかなか消すことができないよね」と。
ということで、「一生残る可能性がある」と。
ということで、「やっぱり重たいよね」という話もあって。

自民党の党内の中でも当初、(AV契約に対して未成年者取消権がなくなることについて)すごい異論がありました。

実はわたしもですね、これは言っちゃってよいと思いますけど、塩村あやかさんから、直接わたしのところへ来て、うちの部屋で話をして、自民党にちょっと繋いで、党内でぼくも少しうごいた経緯もあります。
まあ、そういう意味でちょっと、スタートのところをふくめて途中の経緯ー

特に、「表現の自由に関してこの新しいAV新法は問題にならないのか」と。
というようなことはずっとですね、実務者のほうから問い合わせをされながら、いちおう条文等の内容に関してもわたしも実は党内でレビューをしてきた人間なので。
あまり、これ、固まるまでは、いわゆる衆議院へ出るまでは、わたしがこう発言をするとですね、ぼくのところへ「ワー」って来たり、いろんなことでひっくり返っちゃたりおかしくなったりしたらまずいので、水面下で、みなさんには説明ができないで来ちゃましたし、外には発表してこれなかったんですが。
いちおう、衆議院の方に出たということで、できるかぎりのことは皆さんに今日少しお伝えしてもいいんじゃないかな、というように思います。

で、「今回のAV新法は、非常に革新的なのは、これはぼくもずっと言ってきたんだけれども、18歳19歳って言うんだけれども、自分がやっぱり未熟で年とは関係なくたしかに契約はしたものの、しかもその契約は手練手管で巧みにうまくやったりするとか、いわゆる勧誘するひとが。
というのもあるから、「20だろうと21だろうと、やっぱりそういうので被害に遭っちゃうひとはいるんじゃないの」ということで、「年齢をそもそも18、19だけに限るっていうのはおかしいんじゃないの」、っていう議論はしたんですね。


新法は共産党も含めて実務者、入っているんですよ。今回。
それが否定したいんだったら、新法のあれから抜けてほしいと思いますよ。

そうじゃないと、何をもって、どういう議論でー
これをちゃんと積み上げてきてー
そうとう大変だった。これ。

いろんなひとたちからも批判もあったし、「もうちょっと強化するべき」というのもあったし。
「強化しすぎだ」とか、いろいろな業界団体から、「これじゃまわらなくなっちゃう」とか。
いろいろあったんだけれども、そういろいろなところも意見も、まあ、全部は聞き切れていないとは思いますけれども。

今回、成人年齢を引き下げてしまっているから急いでる。
そういう人たちに対する手当。
それ以外でも苦しんでいるひとたちがいる、当事者がいる、ということだから。


それともうひとつは、けっこうこれもシビアだったんだけれども、表現に関して。

たとえばいくつかある。
マンガ、アニメ、ゲームに関しては絶対及ばないよね」という話は、ぼくはこれは、最初の段階からかなり(くさび)を打ってですね、この実務者に対してはやっておきました。

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山田太郎議員は、AV出演被害防止・救済法の推進者であったようです。
「めでたし、めでたし」です。

〔 2264文字 〕 編集

2022年6月23日 この範囲を時系列順で読む


#[AV出演被害防止・救済法]

本日から、AV出演被害防止・救済法が施行

昨日(2022年6月22日)、AV出演被害防止・救済法(性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律)公布されました。

(参考)
●令和4年6月22日(水曜日) 官報
<AV出演被害防止・救済法>
 ・36ページ
 ・37ページ
 ・38ページ
 ・39ページ

(参考)
<AV出演被害防止・救済法>
〇附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日の翌日から施行する。ただし、第五章(※罰則)の規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
--------------------------------------------------------

AV出演被害防止・救済法は、本日(2022年6月23日)から施行されます。




AV出演被害防止・救済法案に対する審議 ~2022年5月25日 衆議院内閣委員会

今回も、昨日にひきつづき、5月25日の衆議院内閣委員会における立憲民主党の堤かなめ議員の質疑と、それに対する答弁をみてみます。

(推移。AV出演被害防止・救済法案
<衆議院>
(1)2022年5月25日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ↓
(2)2022年5月27日(本会議) 全会一致で可決(※参考
 ↓
<参議院>
(3)2022年6月14日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※当ブログを参照。
 ②佐々木さやか 議員(公明党) ※当ブログを参照。
 ③梅村聡 議員(日本維新の会) ※当ブログを参照。
 ④倉林明子 議員(日本共産党) ※当ブログを参照。

 ↓
(4)2022年6月15日(本会議) 可決(※参考


動画
2022年5月25日 衆議院インターネット審議中継 衆議院内閣委員会
2022年6月14日 YouTube 衆議院内閣委員会(※堤かなめ議員の質疑)

(※音声の文字化は、筆者。)

●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
先ほどもございましたが、十分な周知、ぜひよろしくお願いいたします。
また、任意解除権は、性行為映像制作物の公表がおこなわれた日から1年が経過したら行使できなくなります。
悪質な事業者であれば、巧妙な手口で出演者に解除権を行使させないようにして1年が経過してしまうような懸念があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇2022年5月25日 森山浩行 法案提出者(立憲民主党。衆議院議員)
ご指摘の通り、悪質な事業者が巧妙な手口で出演者に任意解除権を行使させないようにして、性行為映像制作物の公表がおこなわれた日から1年が経過してしまう、といった事態も想定をされます。

そこで本法案では、出演者が制作公表者等による不実告知により誤認をし、または制作公表者等による威迫により困惑し(先ほど申し上げました)、これらによって、性行為映像制作物の公表がおこなわれた日から1年を経過するまでに任意解除をしなかった場合には、当該出演者が当該制作公表者等から任意解除をすることができる旨を記載した書面を受領した日から1年を経過するまではなお任意解除をすることができる、としております。

(参考)
第十三条 出演者は、任意に、書面又は電磁的記録により、その出演者の性行為映像制作物への出演に係る出演契約の申込みの撤回又は当該出演契約の解除(以下この条において「出演契約の任意解除等」という。)をすることができる。ただし、当該出演者に係る性行為映像制作物の公表が行われた日から一年を経過したとき(出演者が、制作公表者若しくは制作公表従事者が第五項の規定に違反して出演契約の任意解除等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことによりその告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は制作公表者若しくは制作公表従事者が第六項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによって当該期間を経過するまでにその出演契約の任意解除等をしなかった場合には、当該出演者が、当該制作公表者又は制作公表従事者が内閣府令で定めるところによりその出演契約の任意解除等をすることができる旨を記載して交付した書面を受領した日から一年を経過したとき)は、この限りでない


(森山浩行 法案提出者)
すなわち、悪質な業者が不実告知や威迫、困惑行為によって出演者に任意解除権を行使させないようにしても出演者の任意解除権は消滅しない、こととして出演者の保護を図っているところでございます。

また、本法案はそもそも、その13条5項6項におきましてそのような制作公表者等による任意解除妨害目的の不実告知および威迫、困惑行為を明確に禁止をし、その違反に対しては20条において「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」と言う 重い刑を課すことにしており、当該行為に対しては強い抑止効果が働くものと考えております。


●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
いまお答えありましたように、任意解除権は強力な武器でございますけれども、AV出演被害を受けた人が実際に行使することができなければ絵に描いた餅、となってしまいます。
法律、契約といったことに詳しくない人でも容易に解除権を行使できるような工夫、支援が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

〇2022年5月25日 山井和則 法案提出者(立憲民主党。衆議院議員)
おっしゃる通りであります。
容易に解除権が行使できるような工夫、支援。
さらに、この問題についての周知、広報。
法案について、必要だと考えております。

そこでこの法案が成立た場合における法律の所管官庁には、AV出演契約をした人が容易に解除権を行使することができるよう法律についてのQ&Aの形で解説したものを――役所のホームページを含め――公表をしたり、解除権を行使するための書面の雛形を作成してこれも公表するなどの具体的な工夫、支援の措置を求めたい、と考えております。

たとえばわたしも先週ですね、こちらにございますけれど、ぱっぷすさんが編集されたポルノ被害の声を聞くという本がございますけれど、こういう本を読ませていただき被害の実態、問題点、そういうものについてわたしもも学ばせていただきました。


●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
法律についてQ&Aの形で解説したものを公表したり、解除権を行使するための書面の雛形、これ、大変大事だと思います。
そういったものを公表していただくということで、ぜひよろしくお願いいたします。

法案附則第4条は法施行後2年以内の検討を規定し、同条第2項では検討事項として、性行為映像制作物の公表期間の制限が特に例示されています。
この趣旨をご説明ください。

〇2022年5月25日 山井和則 法案提出者(立憲民主党。衆議院議員)
これは非常に重要な検討事項であります。
いわゆる「忘れられる権利」というものでございます。
一度販売されたアダルトビデオが永遠に公開、拡散され、デジタルタトゥーとなるということは何としても防ぐべきである、との考えから、この検討規定に入れさせていただきました。
この項目はわたしたちの修正要望により追加されたものでありますが、その内容は、出演契約の締結期に定めることとしている性行為映像制作物の公表の期間について、「〇〇年以内としなければならない」旨の規定を設けることで、いわゆる忘れられる権利を保護する措置について規定を設けることの可否について検討をおこなう、規定をしたものであります。


(参考)
<附則>
第四条 この法律の規定については、この法律の施行後二年以内に、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
2 前項の検討に当たっては、性行為映像制作物の公表期間の制限及び無効とする出演契約等の条項の範囲その他の出演契約等に関する特則の在り方についても、検討を行うようにするものとする


●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
忘れられる権利、これも大変重要だと思っております。
ぜひ検討、お願いいたします。

それでは、性行為を伴うAVの禁止については立憲民主党として、この法律とは別途検討を続けることが可能である、と考えますがいかがでしょうか。

〇2022年5月25日 森山浩行 法案提出者(立憲民主党。衆議院議員)
はい。本法案は、現に生じているAV出演被害について現にある不適正な出演契約を無力化するための特則、そして、流布したAVの差止請求等を規定することによりまして必要な対策を講ずることを目的とするものでありますので、性行為を伴うAVに関する契約をもその規律の対象に含めているところでございます。

その一方で、性行為をおこなうAV自体の禁止を同じ法案に盛り込むということは、いま申し上げたことと論理的に整合しないため、本法案には盛り込まれなかったところでありますけれども、このことは、本法案と別に性行為を伴うAV自体の禁止について検討を続けることをなんら妨げるものではございません。

このため立憲民主党として、本法が成立したのちも、性行為を伴うAV自体の禁止について支援団体の方々とともに議論をしながら検討を続けることはもちろん可能であります。


●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
性行為を伴うAV自体の禁止について検討を続けることをこの法案は何ら妨げるものではない、というふうにお答えいただきました。

山井議員も森山議員もこの間、本当に、「被害をなくしたい」、また「被害そのものをなくしたい」、また「被害者を何とか救済したい」、そういう強い思いでずっとこれまで論じ議論されて来られましたし、また本当に、関係者の皆様も、今日もおこしになっていらっしゃる方もたくさんおられます。
本当に、この間のご尽力に、わたくしからも感謝申し上げたいと思います。

映画やテレビで殺人のシーンがあったとしても、それはあくまでも演技であって、実際に撮影の際に人を殺すことはありません。

しかしながら、性交については演技ではなく実際に撮影現場でおこなわれることもある、と聞いております。
この場合、妊娠や性感染症、鬱やPTSDなどの危険性がございます。
また撮影現場で暴行、陵辱行為など、個人の尊厳や人権、とりわけ若者や女性の尊厳や人権を踏みにじる行為がおこなわれた場合、心身の安全や健康に影響を及ぼすことになりかねません。
人間の尊厳と人権の尊重という観点から、立憲民主党としてAVなどにおけるあらゆる性的搾取を根絶するため今後も全力で取り組むことをお誓い申し上げまして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。
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動画
2022年6月14日 YouTube 衆議院内閣委員会(※堤かなめ議員の質疑)

(再掲。山井和則 法案提出者)
忘れられる権利
性行為映像制作物の公表の期間について、『〇〇年以内としなければならない』旨の規定を設ける(略)ことの可否について検討をおこなう

(再掲)
<附則>
第四条 この法律の規定については、この法律の施行後二年以内に、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
2 前項の検討に当たっては、性行為映像制作物の公表期間の制限及び無効とする出演契約等の条項の範囲その他の出演契約等に関する特則の在り方についても、検討を行うようにするものとする。

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今後は、「忘れられる権利」に関する論議を刮目(かつもく)して待っています。

〔 5071文字 〕 編集

2022年6月22日 この範囲を時系列順で読む


#[AV出演被害防止・救済法]

先週の水曜日(2022年6月15日)に、AV出演被害防止・救済法案が、参議院の本会議で可決されました。

(推移。AV出演被害防止・救済法案
<衆議院>
(1)2022年5月25日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ↓
(2)2022年5月27日(本会議) 全会一致で可決(※参考
 ↓
<参議院>
(3)2022年6月14日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※当ブログを参照。
 ②佐々木さやか 議員(公明党) ※当ブログを参照。
 ③梅村聡 議員(日本維新の会) ※当ブログを参照。
 ④倉林明子 議員(日本共産党) ※当ブログを参照。

 ↓
(4)2022年6月15日(本会議) 可決(※参考

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AV出演被害防止・救済法案に対する審議 ~2022年5月25日 衆議院内閣委員会

動画
2022年5月25日 衆議院インターネット審議中継 衆議院内閣委員会

本日と明日は、5月25日の衆議院内閣委員会における立憲民主党の堤かなめ議員の質疑と、それに対する答弁をみてみます。

動画
2022年6月14日 YouTube 衆議院内閣委員会(※堤かなめ議員の質疑)

(※音声の文字化は、筆者。)

(前略)

●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
第13条第6項では、「出演者を威迫して困惑させてはならない」とされています。
この「威迫して困惑させる」とはどのような行為なのでしょうか。
また、どのように証明するのか、お聞かせください。

〇2022年5月25日 森山浩行 法案提出者(立憲民主党。衆議院議員)
他人に対して言語や動作で気勢を示し、その他人を戸惑わせ、どうしてよいかわからなくなるような状況に置くことを威迫と言います。

たとえば、出演者の自宅や実家に大人数で押しかけたり、出演したことが親に知られることを恐れている出演者に対して「親に電話をして経緯を話すぞ」と伝えたりすることにより、出演者を戸惑わせる行為などがこれに該当することとなります。

威迫行為があったことは、それがSNS上などでされればその記録などによって証明されることが考えられますが、いずれにせよ公表後1年(当面は2年ですけれども)以内であれば、出演者は書面等で通知をすることで一方的に任意解除をおこなうことが可能であり、出演者側で証明の負担を負う、ということありません。
ご指摘の本法案第13条第6項の違反に対しては罰則が設けられており、この適用については出演者が証明の負担を負うものではございません


●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
出演者が証明の負担を負うことがない、という点は重要だ、と思います。

次に、任意解除によって原状回復義務が発生し、出演者は出演料を返さなくてはならなくなります。
これを返すことができない場合、出演者は解除権を行使できない事態になるのでしょうか
それともならないのでしょうか。
教えてください。

〇2022年5月25日 山井和則 法案提出者(立憲民主党。衆議院議員)
重要なご質問、ありがとうございます。

答弁の前に、一言、この間の経緯と御礼を申し上げたいと思います。
この議員立法を短期で超党派で作り上げる段にあたりましては、本当に、法制局のサイトウ部長さんそしてナカヤ課長さん、そして法務省のタナセさん、そして内閣府の林局長さんをはじめとする、本当にこれ、議員と役所と法制局が必死になって作らせていただきましたし、また、きっかけは2月以降“ヒューマンライツ・ナウ”の伊藤和子先生をはじめとする方々やこの被害者支援に取り組むNPO法人のパップさんの金尻カズナ理事長さんはじめとする方々が、これ、本当に深刻な被害が広がる、ということで党派を超えて訴えられまして、そのことを踏まえて今日に至りました。

いまいただきました質問についてでありますが、結論から言いますと、出演料の返還は契約解除の条件ではありません

13条の2に規定される任解除は、2項に規定される通りその旨の通知を発した時に効力を生じ、14条に規定される通りその効果として各当事者はその相手方を原状に復させる義務を負うものであります。

解除権を行使するために原状回復義務を履行せなばならないものではないため、出演者は出演料の直ちに返還できない状況であっても契約を解除することができます。

つまり、出演料の返還は契約解除の条件ではございません


●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
いま山井議員からございましたように、たくさんの方々のご尽力によったということ。
また、ご批判もまたありましたが、それも含めて皆さんの意向がこの法案に反映されているのではないか、と思っております。

それでは次に、出演契約が解除されたときは、たとえば、制作公表者は制作したDVDの販売を停止したり動画の配信を消したりすることになりますけれども、これはいつまでに行われるのでしょうか。

〇2022年5月25日 森山浩行 法案提出者(立憲民主党。衆議院議員)
はい。すぐです。
本法案では、制作公表者が法定の義務に違反した場合の解除権や任意解除権などの解除権が定められており、この解除権が行使されれば契約関係は解消されることになります。
この解除権が行使されれば、その効果としてすぐにDVDの販売を停止したり動画の配信を停止するべきものとなります。


●2022年5月25日 堤かなめ 衆議院議員(立憲民主党)
すぐに、ということでございますね。

それでは附則3条では、法施行から2年間は任意解除権の行使可能期間を1年から2年に延ばす特例が設けられていますが、その趣旨は何か教えてください。

〇2022年5月25日 山井和則 法案提出者(立憲民主党。衆議院議員)
任意解除権は強力な権利でありまして、被害者を守ることができる最強の武器であります。
この解除権の行使も含めて出演者の相談に応じる体制を整備し出演者が相談できることが広く知られるようになるには一定の時間が必要であります。
そのため、制度が広く周知され相談体制の整備が図られるまでの暫定的な措置として、施行後2年間は解除期間を1年間から2年間に延長しております。

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堤かなめ議員の質疑はまだつづきます。
残りは明日のブログでみてみます。

動画
2022年6月14日 YouTube 衆議院内閣委員会(※堤かなめ議員の質疑)

〔 2870文字 〕 編集

2022年6月21日 この範囲を時系列順で読む

AV契約の取消しや解除。出演料の返還は?

No. 22 , AV出演被害 , by 管理人 NO IMAGE

#[AV出演被害防止・救済法]

先週の水曜日(2022年6月15日)に、AV出演被害防止・救済法案が、参議院の本会議で可決されました。

(推移。AV出演被害防止・救済法案
<衆議院>
(1)2022年5月25日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ↓
(2)2022年5月27日(本会議) 全会一致で可決(※参考
 ↓
<参議院>
(3)2022年6月14日(内閣委員会) 全会一致で可決(※参考
 ①塩村あやか 議員(立憲民主党) ※当ブログを参照。
 ②佐々木さやか 議員(公明党) ※当ブログを参照。
 ③梅村聡 議員(日本維新の会) ※当ブログを参照。
 ④倉林明子 議員(日本共産党) ※当ブログを参照。

 ↓
(4)2022年6月15日(本会議) 可決(※参考


“AV出演被害防止・救済法”は、今週の木曜日(2022年6月23日)から施行されます。(※参考

AV契約の取消しや解除をおこなった場合、出演料を返還しなければならないのか




本日は、AV契約の取消しや解除をおこなった場合、出演料を返還しなければならないのか、について確認をします。
6月14日の参議院内閣委員会におけるやりとりをみてみます。

動画
2022年6月14日 参議院インターネット審議中継 参議院内閣委員会

(※音声の文字化は、筆者。)

●2022年6月14日 佐々木さやか 参議院議員(公明党)
つづきまして15条の差止請求権について伺いたいと思います。
これも被害救済のため非常に重要な権利でございますけれども、契約を解除または取消し等をした場合に、受け取った報酬があれば返還をする、と。
それと解除等の関係については、衆議院の内閣委員会でも議論がありましたけれども、仮に報酬を返還することができなくてもですね、解除等を行使することを妨げない、と。
では、この差止請求権についてはどうなのか、確認をさせていただきたいと思います。
受け取った報酬を返還するか否かにかかわらず、直ちに行使できる、ということでよろしいでしょうか。

〇2022年6月14日 国重とおる 衆議院内閣委員長代理(公明党)
ご質問にお答えいたします。
出演契約を取消し、また解除した場合、各当事者はその相手方を原状に復させる義務を負うことになりますが、取消権や解除権を行使するために原状回復義務を履行しなければならないというものでありません
つまり、出演料を返還できない状況であったとしても、契約の取消しまたは解除をすることはできます
そして、出演契約の取消しまたは解除をおこなったときには、第15条に規定をする差止請求権を行使することができることとしておりまして、出演料を返還することは差止請求権行使の前提条件ではありません。
このように、受け取った報酬を返還するか否かにかかわらず契約の取消しまたは解除をすることにより、ただちに第15条に規定する差止請求権を行使することができます。


●2022年6月14日 佐々木さやか 参議院議員(公明党)
ですので、被害者のかたが、契約を解消したい、と思った場合に、
してもいいけど、報酬を返還しないかぎりダメだよ
というようなことは言えませんし、また差止めについても同様である、ということでございます。
--------------------------------------------------------

〇2022年6月14日 山下貴司 衆議院内閣委員長代理(自民党)
(前略。)
まず大前提としてですね、「出演料を返還しなければ契約を解除できない」というふうに言われることがありますが、これは事実ではありません
事実と異なることでございます。

確かに出演契約が解除されたあと、各当事者はその相手方に対して原状に回復させる義務を負うことになりますけれども、原状回復義務はまず解除があってそのあとに初めて生ずるものでございまして、解除権を行使する条件として原状回復義務を同時履行しなければならないということではない、というのは先ほど国重衆議院議員がおっしゃった通りでございます。

ですから出演者は、出演料をただちに返還できない状態であっても契約が解除できます
このことは強調しておきたいと思いますし、また、出演契約の任意解除を妨げるために 事実でないことを告知したりあるいは出演者を威迫して困惑をさせた場合においてはこれは罰則の対象にもなる犯罪にもなる、ということで、これは違う、ということは周知していきたいと思います。


●2022年6月14日 倉林明子 参議院議員(日本共産党)
契約を解除するとですね、出演者も原状回復義務を負う、と。
そして、報酬は返還、ということになります。
これが解除権行使のハードルとなって、解除権があっても実際には行使できない、と。
こういう懸念の声も上がっているわけです。
(略。)
また、契約違反がなくて任意で解除する場合、これ、返金が必要となる。
これがハードルになり得る、ということも考えられるわけです。
(略。)
特に、出演者が解除権を行使できるようにするために、報酬の返金がハードルとなる、と。
こんなことのないようにしないといけないと思うんだけれども具体的にどんな手立てをお考えか。

〇2022年6月14日 宮崎政久 衆議院内閣委員長代理(自民党)
(前略。)
そして、出演料の返還が解除権行使の前提にはならない
今日、再度、答弁もさせていただいているところでございますし、また、出演者の解除権の行使を妨げるために不実の告知をするような場合には、13条5項に違反して罰則の適用がある。
これ、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、法人の場合は、両罰規定もございます。
こういったこともございます。

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このたび赫赫(かっかく)たる法律が成立しました。
冒頭でも記したとおり、“AV出演被害防止・救済法”は、今週の木曜日(2022年6月23日)から施行されます。(※参考
今週の木曜日からは、「知らなかった」では済まされません。
違反者には刑事罰が待っています。

〔 2684文字 〕 編集

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■ご挨拶

香西咲さんを勝手に応援するサイトの管理人です。

これまで"ワードプレス"を使ってブログの記事を書いてきました。
2022年5月15日(月)のことです。
突如、"ワードプレス"が初期化されました。
ブログの記事のデータがすべて消えました。
当方が借りているサーバーの仕様変更が原因のようです。
バックアップデータからの復旧を試みました。
叶いませんでした。
茫然自失となりました。
これまで書き溜めてきた記事は、もう元に戻りません。
心機一転、ブログをリニューアルをすることにしました。
これからは、"ワードプレス"でなく、“てがろぐ”を用いて、また一から書いていきます。
今後は、これまでのような長文でなく、短めの文章を心掛けたいと思います。

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