“改正刑法の叩き台をつくる2回目の会議の議事録”(18) 安藤久美子准教授③ 「性犯罪者」「逮捕されるまで、ずっと犯罪を繰り返し続けることになってしまう」

刑事法(性犯罪関係)部会は、現在、改正刑法案の叩き台づくりをおこなっています。

(参考。組織図)
法務省
 |(設置)
法制審議会
 |(設置)
刑事法(性犯罪関係)部会

刑事法(性犯罪関係)部会が作成した叩き台は実質、内閣が国会へ提出する法案となります。

本日もひきつづき、第2回刑事法(性犯罪関係)部会における安藤久美子准教授の論説をみてみます。

(参考。2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 議事概要より。)

2021年11月29日 第2回 刑事法(性犯罪関係)部会
専門家からのヒアリング
(※ぱっぷす【1】【2】【3】【4】)
(※矢野恵美教授【1】【2】【3】)
(※Safe Campus【1】【2】【3】)
(※西田公昭教授【1】【2】)
(※桝屋二郎准教授【1】【2】【3】)
(※安藤久美子准教授【1】【2】【3】)

(2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 議事録より、引用。)

<23~24ページ>
2021年11月29日 安藤久美子(聖マリアンナ医科大学准教授)

スライド20枚目

先ほど挙げた障害特性の中で、「相手の気持ちや表情を読み取れない」という項目について、もう少し具体的にみていきます。

こちらのスライドに挙げている内容は、全て「拒否」を示す表現となっており、これらを表情・態度・行動に分けて提示しているのですが、加害者はこれらの反応を、被害者による「拒否」反応として正しく捉えられないだけではなく、逆にむしろ喜んでいるという反対の意思表示として認識する場合さえもあります。

そして、このような明らかに誤った認識やこだわり行動の原因として、発達障害や知的障害による特性が大きく関与している場合については、ケースによっては責任能力の判断にも影響を与える可能性があるかもしれません。

一方で、こうした特徴というのは障害がない加害者にも認められることもあり、その場合には冒頭に述べた、例えば、ジェンダーに関する誤った認識などを基盤に、「女性だから、ただ恥じらっているように見せているだけだ」などと、加害者にとって都合よく解釈して、相手の気持ちや表情を正しく読み取らないようなフィルターがかかっているということもあります。

スライド21枚目

二つ目の再犯につながりやすい要因は「支配性・攻撃性」です。

こうした支配性や攻撃性が再犯を動機付ける背景にある場合には、単純にストレス解消のひとつの手段として性犯罪が行われていたり、劣等感や自己評価の低さから、八つ当たり的に怒りの発散として性犯罪を行ったりする場合もあります。

あるいはまた、過去に加害者自身が性的な被害を受けたことがあるような場合には、その仕返し行動として、新しい被害者を生み出してしまう場合もありますし、元々攻撃的なパーソナリティを持っている人であることもあります。

いずれの場合でも、被害者として、失敗しない弱い者を狙って行うことが多く、自分の劣等感や自己評価の低さへの怒りや、生活等の中で生じたストレスを解消するために行うわけですから、自分の絶対的な強さを誇示するために、凶器を使って見せかけの強さを装うような場合もあります。

スライド22枚目

三つ目の再犯につながりやすい要因は「依存性」です。

精神医学における性に関する障害類型として「パラフィリア障害」という項目があり、この項目の中には露出症、フェティシズム、窃触症、窃視症、小児愛などが含まれています。

それぞれの障害の内容を見てみると、完全に刑法に触れる行為となっておりますが、精神医学の中ではこうした行為も性し好の障害として分類し、治療の対象として捉えています。

スライド23枚目

もう少し詳しく説明しますと、性に関する障害には、し好の異常や行動の異常がありますが、これは質的な異常と量的な異常に分けられます。

この中の質的な異常の方をパラフィリア障害と名付けています。
このパラフィリア障害は、普通でない対象、行為または状況に関して、反復的に強烈な性的衝動を感じたり、空想を抱いたり、性的行動を反復することを特徴としています。
この「反復的で強烈な性的衝動」、「性的行動を反復」というところで、ぴんと来られる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは正に依存行動を示しています。

スライド24枚目

この依存行動というのは御存じのとおり、行動を繰り返すほど、さらに高まってきます。

スライド25枚目

それによって、ますます依存性が高まってきますと、家庭生活や社会生活が崩壊する危険があるということは頭では分かっていながらも、自分ではやめられずに犯行を繰り返してしまうという流れがあります。

この時に、彼らが頭の中でどう考えているかというと、もちろん「捕まったらどうしよう」などと考えてはいるのですけれども、その一方で「あと1回だけ、この1回でやめよう」、あるいは、「この1回なら大丈夫だ、今回もきっとうまくいく」などとも思っていて、多くの人たちが、「自分はいつでもこの性犯罪をやめられる」と考えているのです。

しかし、加害者本人が「いつでもやめられる」と思っていても、依存行動のひとつになっている場合には、簡単にはやめられないですし、たとえ中断した時期があっても、そうした時期は自身が思っていたようには続かない。
その繰り返しの中で、結局は逮捕されるまで、ずっと犯罪を繰り返し続けることになってしまうのです。

スライド26枚目

最後に、性犯罪の再犯防止の取組について、私見を述べさせていただきます。

現在も、各機関では再犯防止に向けたさまざまな施策が講じられており、刑事施設では性犯罪に特化した治療プログラムがありますし、保護観察所においてもプログラムの改良を重ねられながら実施されていることと思います。

しかし、再犯防止に最も重要なのは保護観察を終え、完全に社会復帰した後の生活をどう支えるかというところだと思うのですが、ここにはプログラムがありません。

そこで、私たち研究チームでは、彼らが施設に出て、社会復帰した後にも社会内で治療を継続させなければ、本当の意味での再犯は防止できないという観点から、社会内で実行可能な治療プログラムを開発してまいりました。

スライド27枚目(ホームページ上は画像非掲載)】

こうした取組は、新聞等でも取り上げられました。

(参考)
・全定協ブログ「性犯罪プログラム」

スライド28、29、30枚目

プログラムの概要を御紹介させていただきますと、これは発達障害や知的障害等がある方にも理解しやすいように、視覚的支援を取り入れ、絵や図を多用した内容となっております。

また、性犯罪の専門家でないと治療ができないとなりますと、プログラムの適用範囲が狭まってしまいますので、専門家でなくても、地域の精神保健に携わるスタッフであれば誰でも実施できるプログラムとなるよう開発し、社会に発信しております。

受刑中には物理的に問題は発生しないため、治療の検証には制限があります。

施設内での治療効果を持続させるためにも、社会復帰後の実世界の中で、どう介入し、支援するかということが再犯防止に最も大切であると考えております。

以上で発表を終わります。御清聴ありがとうございました。

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明日も、第2回刑事法(性犯罪関係)部会における安藤久美子准教授の論説をみていきます。
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(※参考)

2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 議事概要

(ヒアリング)について
以下の6組10名の方から、ヒアリングを実施した。

・桝屋二郎 氏(東京医科大学精神医学分野准教授)

・佐保田美和 氏(Safe Campus代表)、本田義明 氏(Safe Campus)、中村彩夏 氏(Safe Campus

・西田公昭 氏(立正大学心理学部対人・社会心理学科教授)

・安藤久美子 氏(聖マリアンナ医科大学神経精神科学准教授)

矢野恵美 氏(琉球大学法科大学院教授)

金尻カズナ 氏(NPO法人ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会)理事長)、岡恵 氏(理事)、後藤稚菜 氏(相談員)

専門家からのヒアリング
(※ぱっぷす【1】【2】【3】【4】)
(※矢野恵美教授【1】【2】【3】)
(※Safe Campus【1】【2】【3】)
(※西田公昭教授【1】【2】)
(※桝屋二郎准教授【1】【2】【3】)
(※安藤久美子准教授【1】【2】【3】)
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(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 刑法の性犯罪規定の改正に関する取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会
  ・2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 ※ヒアリング
  ・2021年12月27日 第3回刑事法(性犯罪関係)部会
  ・2022年1月26日 第4回刑事法(性犯罪関係)部会・・・予定

(参考。2021年9月16日に上川陽子法務大臣がおこなった諮問)
諮問第117号

近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。

第一、相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備
一、刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法第178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。
二、刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。
三、相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。
四、刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。
五、配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。
六、性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。

第二、性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備
一、より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。
二、被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。

第三、相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処罰を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備
一、性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。
二、性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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