“改正刑法の叩き台をつくる2回目の会議の議事録”(15) 桝屋二郎準教授③ 過去に受けた逆境体験や心の傷によって、健康を害する行動や性的な逸脱が出てくる

本日も、一昨日昨日にひきつづき、第2回刑事法(性犯罪関係)部会における桝屋二郎準教授の論説をみてみます。
刑事法(性犯罪関係)部会は、現在、改正刑法案の叩き台づくりをおこなっています。
同部会が作成した叩き台は実質、内閣が国会へ提出する法案となります。

2021年11月29日 第2回 刑事法(性犯罪関係)部会
専門家からのヒアリング
(※ぱっぷす【1】【2】【3】【4】)
(※矢野恵美教授【1】【2】【3】)
(※Safe Campus【1】【2】【3】)
(※西田公昭教授【1】【2】)
(※桝屋二郎准教授【1】【2】【3】)

(2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 議事録より、引用。)

<7ページ>
2021年11月29日 齋藤梓 委員(公認心理士)

桝屋先生、お話ありがとうございました。

今まで女子のお話をいろいろ教えていただいたのですけれども、10代男子も長期的な視点での判断や同意が難しいと思うのですけれども、そうした性行為による男子の傷つきについて、何か思うことというのはございますでしょうか。

——————————————————–

<7ページ>
2021年11月29日 桝屋二郎(東京医科大学准教授)

先ほど述べた脳の成熟に関しては男子も女子も変わりません。

ホルモンに関しては男女間にははっきり差があります。
そういう意味では、男児の場合はテストステロンの分泌が高まるので、10代というのは性衝動がすごく大きくなっている状態になるわけです。
そういう中で不適切な性交渉をやはり持ちやすくなる、それは、自分から性交渉を持ちたいと行動する場合もあれば、相手から何らかのアプローチがあってという場合もあるのですけれども、やはり先ほど述べた休眠効果というのは男女問わず出てきますので、後々になって自分が行った性行為の意味付けというものを、やはり捉え直したり見つめ直したりする機会が男性にもやってまいります。
そのときに、いわゆる傷つきが出てくる子もいれば、そこまでの傷つきが出てこない子も当然いるわけで、ただ、やはり傷つく子がいるのは確かで、そのことが原因で、自分が何かすごく汚れてしまったような感覚とか、汚されてしまったような感覚を持って、それが精神症状につながって、その後すごく本人を苦しめる、例えば強迫的な行動が出てしまったりとか、不安がすごく高まって、その後、長年にわたって苦しめられるということはよくあるかと思います。

——————————————————–

<7ページ>
2021年11月29日 齋藤梓 委員(公認心理士)

ありがとうございます。

——————————————————–

<7ページ>
2021年11月29日 金杉美和 幹事(弁護士)

桝屋先生、本日はありがとうございます。

今の齋藤委員の御質問とかぶるかなと思ったのですが、もしかして少し切り口が違うかもしれませんので、お尋ねいたします。
逆境的小児期体験をした場合にいろいろな問題行動が出てくるというのは、被虐体験をしたのが男児であっても同じように問題行動等が出てくるということでよろしいでしょうか。
また、その場合、性的逸脱行動が出てくることもあるというお話がありましたが、それも男児の場合でも同じことが起こり得るということでよろしいでしょうか。

——————————————————–

<7~8ページ>
2021年11月29日 桝屋二郎(東京医科大学准教授)

先ほど出たACEスタディーというのは、

(参考。桝屋二郎 東京医科大学准教授)
ACEというのは、逆境的小児期体験あるいは小児期逆境体験という言い方をよくされますけれども、つまり、幼い頃あるいは小さな頃に受けたいろいろな逆境体験、心の傷が神経発達の混乱を生んで、その後、その神経発達の混乱のために様々な社会的な障害、例えば、認知が少しほかの方とずれていったりとか、あるいは情緒面で落ち着かなくなったりとかということとなって、社会的な不適応を生じるようになり、健康を害する行動、例えば、お酒をすごく飲むとか、自傷をするとか、あるいは性的な逸脱が出てくるというようないろいろな健康面の問題行動を経て疾病状態、病気の状態になって、社会にもっと不適応になって、最終的に早く亡くなるということがアメリカの大規模な調査で分かってまいりました。

男女問わずの研究成果になりますので、例えば、男児でいわゆる児童虐待を受けていたような子供がそのような経過をたどるということはよく知られておりますけれども、同じように、どれぐらい心の傷つき、脳の傷つきがあったかというところにやはり影響はされてくると思います。
だから、当然、男児であっても性的な傷つきでACEスタディーのような経過をとることはございます。
それは御指摘のとおりかと思います。

——————————————————–

<8ページ>
2021年11月29日 金杉美和 幹事(弁護士)

ありがとうございました。

——————————————————–

<8ページ>
2021年11月29日 今井猛嘉 委員(法政大学教授)

大変貴重な御報告をありがとうございました。

基本的なことだけ確認なのですが、人の脳の成熟には25年以上掛かるというお話で、頂いた資料を見ますと、恐らく医学的な、生理学的な見地からのお話だと思って聞いていました。

しかし、その中では自分が行う性的行為の意味付けということにも言及されていたように思いますので、これが細胞学的、生理学的な意味での25年という数値なのか、それとも、社会的ないろいろな経験値が上がっていくことも含まれたお話なのかということと、それに関連して、例えば成熟して25年たった以降には、その人なりの認知のパターンができていると思われますので、その後、いろいろと他のあり得べき行動パターンを教えても、受容性が低いということになると理解しても
よいのでしょうか。

そこを教えていただきたいと思います。

——————————————————–
<8ページ>
2021年11月29日 桝屋二郎(東京医科大学准教授)

すごく難しい問題になりますけれども、いわゆる20年以上成熟に時間が掛かるというのは、飽くまで生物学的・脳科学的な話になります。

少なくともこの20年を超す年数に関しては、脳は成熟の中で変化を続けているということになります。
その脳をどう使って、どういう行動を選択するのかというのは、それまでの教育だとか、経験だとか、いわゆるその人の持って生まれた性質や特性も含めて、いわゆる脳だけでの問題ではないということにはなります。

ただ、どう行動を選択するかの中で、脳の抑制機能がどれぐらい働くかとか、あるいは脳がどれぐらい衝動的になっているかというのは大きく影響してきますので、脳の成熟にそれぐらい掛かるということが、イコール全員が衝動的になるとか、全員が短絡的になるというわけでは全然ないのですけれども、ただ、やはり脳の衝動性とか、あるいは抑制の効きづらさというものが、それまでのその人の経験だとか、学習だとか、あるいは特性だとかというものに大きく影響して行動選択をしていくというのは確かですので、いわゆる切り分けはなかなか難しいとは思います。

衝動的でも教育でカバーできる部分とか、あるいは、いろいろな環境の調整だとか保護でカバーできる部分も当然あるわけですけれども、やはりそこはその分、そのようなカバーを手厚くしないと、なかなか衝動性等を止められないということも出てくるかと思います。

だから、どちらも不可分で、両方が影響し合って、その人の選択とか行動とか、あるいは認知というのが結果として生まれてくると考えていただければ一番いいのかなとは考えています。

——————————————————–

<8ページ>
2021年11月29日 今井猛嘉 委員(法政大学教授)

よく分かりました。
どうもありがとうございます。

——————————————————–
<8ページ>
2021年11月29日 長谷川桂子 幹事(弁護士)

10代の場合、後々自分を苦しめることになるような不適切な性行動というのが分からずに、見掛け上同意してしまうということがあるということ、性交同意年齢というのを考える上で、とても材料になると思いました。

他方、短絡的に迎合的なものではなくて、自分が嫌でも断れないというような年齢的なものもあると思うのですが、その辺りは脳科学的な見地からはどのようなことになっていましょうか。

——————————————————–

<8~9ページ>
2021年11月29日 桝屋二郎(東京医科大学准教授)

相手からの申出だったりアプローチを断るかどうかというのは、やはり今まで築いてきた相手との関係性に大きく影響してくるので、そこは脳の問題だけでは一概には言えない部分だとは思うのです。

ただ、先ほど述べたように、断れないという中に、失いたくないとか、ばかにされたくないとか、あるいはつながりをなくしてしまいたくないというような思いがあって断れないという意味では、先ほど言ったように、つながりを求める、あるいは脳の成熟のアンバランスさというのはやはり影響しているということを考えざるを得ないかなとは思いますので、断る、断らないというのは、先ほども言いましたけれども、それまでのいろいろな教育だったりとか、関わりだとか、あるいは、ほかの人とのどれだけ温かい人間関係を築けているかとか、いろいろなことが影響してくる分野ではありますから、一概に脳だけでは言えないのですけれども、やはり今日のお話も相当影響していると考えていいかと思います。

——————————————————–

<9ページ>
2021年11月29日 井田良 部会長(中央大学教授)

ありがとうございました。
御議論は尽きないのですけれども、これで終了させていただきたいと思います。
桝屋先生、本日は専門的な知見について、我々にも大変分かりやすい言葉で御説明くださり、誠にありがとうございました。
お話しいただいた内容につきましては、今後のこの部会の審議に役立たせていただきたいと思います。
本部会を代表して心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。
(後略。)

——————————————————–

明日も、第2回刑事法(性犯罪関係)部会における専門家のかたの論説をみていきます。
——————————————————–

(※参考)

(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 刑法の性犯罪規定の改正に関する取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会
  ・2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 ※ヒアリング
  ・2021年12月27日 第3回刑事法(性犯罪関係)部会
  ・2022年1月26日 第4回刑事法(性犯罪関係)部会・・・予定

(参考。組織図)
法務省
 |(設置)
法制審議会
 |(設置)
刑事法(性犯罪関係)部会

(参考。2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 議事概要より。)

2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 議事概要

(ヒアリング)について
以下の6組10名の方から、ヒアリングを実施した。

・桝屋二郎 氏(東京医科大学精神医学分野准教授)

・佐保田美和 氏(Safe Campus代表)、本田義明 氏(Safe Campus)、中村彩夏 氏(Safe Campus

・西田公昭 氏(立正大学心理学部対人・社会心理学科教授)

・安藤久美子 氏(聖マリアンナ医科大学神経精神科学准教授)

矢野恵美 氏(琉球大学法科大学院教授)

金尻カズナ 氏(NPO法人ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会)理事長)、岡恵 氏(理事)、後藤稚菜 氏(相談員)

——————————————————–

(参考。2021年9月16日に上川陽子法務大臣がおこなった諮問)
諮問第117号

近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。

第一、相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備
一、刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法第178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。
二、刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。
三、相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。
四、刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。
五、配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。
六、性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。

第二、性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備
一、より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。
二、被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。

第三、相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処罰を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備
一、性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。
二、性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。