“改正刑法の叩き台をつくる2回目の会議の議事録”(14) 桝屋二郎准教授② 「13歳で冷静で長期的な視点での判断や同意をする」「難しい」

2021年11月29日 第2回 刑事法(性犯罪関係)部会
専門家からのヒアリング
(※ぱっぷす【1】【2】【3】【4】)
(※矢野恵美教授【1】【2】【3】)
(※Safe Campus【1】【2】【3】)
(※西田公昭教授【1】【2】)
(※桝屋二郎准教授【1】【2】)

刑事法(性犯罪関係)部会は、現在、改正刑法案の叩き台づくりをおこなっています。

(参考。組織図)
法務省
 |(設置)
法制審議会
 |(設置)
刑事法(性犯罪関係)部会

刑事法(性犯罪関係)部会が作成した叩き台は実質、内閣が国会へ提出する法案となります。

本日も、昨日にひきつづき、第2回刑事法(性犯罪関係)部会における桝屋二郎准教授の論説を参照します。

(参考。2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 議事概要より。)

2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 議事概要

(ヒアリング)について
以下の6組10名の方から、ヒアリングを実施した。

・桝屋二郎 氏(東京医科大学精神医学分野准教授)

・佐保田美和 氏(Safe Campus代表)、本田義明 氏(Safe Campus)、中村彩夏 氏(Safe Campus

・西田公昭 氏(立正大学心理学部対人・社会心理学科教授)

・安藤久美子 氏(聖マリアンナ医科大学神経精神科学准教授)

矢野恵美 氏(琉球大学法科大学院教授)

金尻カズナ 氏(NPO法人ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会)理事長)、岡恵 氏(理事)、後藤稚菜 氏(相談員)

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(2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 議事録より、引用。)

<5~6ページ>
2021年11月29日 桝屋二郎(東京医科大学准教授)

スライド10枚目

10代のトラウマについて考える際の留意点を少しお話しておきたいのですけれども、子供というのは、いわゆる小さな大人、ミニチュアの大人ではないということです。
日々発達、成長、変化をしている存在で、大人を単に小さくしているような存在ではないわけで、当然、成長とか発達の過程で、年齢によって出来事とか物事に対して認知あるいは認識に違いが出てきます。
つまり、理解力が当然育っていないので、その理解のできる範囲でしか自分に起こっている出来事が理解できないわけですね。
そうすると、自分の分かる範囲で理解をするということが起こるので、どうしても自己関連付けを起こしやすくなります。

つまり、自分のせいで今の状況が起こっている、自分が何かしでかした、あるいは、自分が何か悪いことをしたとか、自分が原因でこういうことが起こったということを感じやすくなるので、そこで傷ついたり、自己肯定感が下がる、自分を責めるということが生じやすくなります。

また、自分の分かる範囲で理解をするので、どうしても全体的な視点とか客観的な視点を持ちにくいので、短絡的な行動や衝動的な行動になりやすいということがございます。

こういう中でいろいろな傷つき体験を経ると、その傷つき体験が、その時点では、本人が、例えばこの人とつながりたいということで性行為をしたと思っていても、徐々にいろいろなことを理解し、成長する中で、実はあれは対等な同意ではなくて、いわゆる性暴力だったのだというようなことに認識が変化し、後からすごく傷ついて、その時点でトラウマ反応が起こるということがございます。

よくPTSDには潜伏期間があるという言い方をしますけれども、その潜伏期間がすごく長く、もう何年にもわたって大きな問題を起こさなかった人が、数年たってから、自分が受けた行為というのがすごくひどい行為だったのだというのが分かって、PTSDを発症したりすることがございますけれども、それを休眠効果、スリーパー・エフェクトという言い方をいたします。

子供の心と体というのは、本当にトラウマに弱く、傷つきやすく、しかも、そのトラウマというのは、先ほど述べたACEスタディーのように、最終的に様々な問題行動だったり疾病を生じることで、病気で亡くなる場合もあれば自殺で亡くなる場合もありますけれども、早く亡くなってしまうというような、生涯にわたる悪影響を及ぼす可能性があるということが分かっております。

スライド11枚目

まとめになりますけれども、本日お話しさせていただきましたように、脳科学的にも精神医学的にも、13歳で冷静で長期的な視点での判断や同意をするというのは、やはり難しいと考えざるを得ないかなとは考えています。

脳科学やホルモンの観点からも10代は短絡的・衝動的な行動に走りやすいです。

例えば、いわゆる避妊をしてほしくても、その相手がやってくれない場合、それを止める力もないし、先ほど述べたようにつながりを重視して、ここで拒否したら嫌われるかもしれないというような中で、避妊をしないまま妊娠をしてしまうということも非常に多いですし、例えば、先ほど私は少年院に勤務をしているということを言いましたけれども、女子少年が妊娠中に少年院に入ってくることがよくあるのですけれども、その場合にも、やはり相手の男の子だったり、あるいは男性と、離れたくない、別れたくないという思いで体を許して、その結果として妊娠をするのだけれども、少年院に入院している間に相手と別れたりすると、相手と関係性を保つために行った性行為の結果ということだと、相手と別離すると、そこまでの愛情を持てなくて、結局は乳児院に預けざるを得なかったりということが多々生じたりすることがございます。

だから、本当に様々な悪影響が出てきますので、今挙げた事例が虐待に当たるかというのは議論がありますけれども、結果的に次世代の虐待、例えば今述べたように乳児院に預けざるを得ないような状況になったりということも出てくるので、ここは留意が必要な点かなと思っています。

あとは、脳機能に偏りを持つような場合、先ほど述べたように、知的能力障害を含む神経発達症群、つまり発達障害があると、いわゆる脳の成熟のタイムラグ、あるいは短絡的・衝動的な行動というのが更に顕著になるので、この点は、より配慮が必要ということになるかと思います。

そして、早すぎる性行為で心身が傷ついた場合、その後の長い人生に長期的な、あるいは深刻な悪影響を及ぼす可能性がありますので、その点にもやはり留意をして、性行為の同意年齢等を考えていく必要があろうと考えています。

やはり今後、早すぎる性行為のリスク、あるいは十分な準備をしてからの性行為のメリット、こういうことを教える教育の機会というのを作るべきと考えております。

以上になります。

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<6ページ>
2021年11月29日 井田良 部会長(中央大学教授)

桝屋先生、ありがとうございました。

それでは、10分ほど質疑応答の時間がございますので、御質問のある方はいらっしゃいますか。

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<6ページ>
2021年11月29日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

脳科学の視点から、またホルモンのこともとてもよく説明していただき、よく理解できました。
ありがとうございます。

スライド
「13歳は冷静で、長期的な視点での、判断や同意が難しい場合が多くなる。」
と書いていただいているのですけれども、何歳であれば冷静で長期的な視点での判断や同意ができるようになると思われますか。

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<6ページ>
2021年11月29日 桝屋二郎(東京医科大学准教授)

本当にこれは難しい問題で、当然、人の成長というのは個人差があるので、絶対にここで線引きができるというものではないのですけれども、先ほど言いましたように、やはり、いわゆる脳の成熟を考えると、20歳を過ぎてやっと成熟してくるということを考えると、できるだけ20歳に近い年齢にしていただいた方が、脳科学あるいは精神医学的な視点でいうと、有り難いと思っています。

例えば、いわゆる10代の前半から半ばでは、やはり当然、脳の成熟を含めて、早いのではないかと考えますので、できるだけ20歳に近付くような形での御検討が望ましいのではないかと考えます。

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<6ページ>
2021年11月29日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

ありがとうございます。

あと、スリーパー・エフェクトによって後から被害に気付くということをお話しされていたのですけれども、それは脳の成熟によって気付くのか、あるいは社会的な経験によって気付くのかということと、何をきっかけに気付くのでしょうか。

気付いた時点が大体いつ頃になるのかということは、被害を認識して訴えられる期間、公訴時効とも関連してきますので、そちらについてお伺いしたいと思います。

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<6~7ページ>
2021年11月29日 桝屋二郎(東京医科大学准教授)

この気付くタイミングというのは、脳の成熟というよりは、取り囲むいろいろな情報だったり、あるいは環境だったりの影響が大きいのだろうと思います。

やはり、今、インターネット社会になって、いろいろな情報が若い子でも手に入るようになってまいりましたので、自分がされた性的な行動というのが、どういう社会的な位置付け、意味付けをされているのかというのが、情報として比較的手に入りやすくなっているのは確かで、私の臨床の体験としては、そういったニュースだとか、いろいろなブログの日記だとか、あるいはいろいろな方の体験談みたいなものを経て自身の性被害に気付いていくケースが、多いだろうと思っています。

先ほども少し触れましたけれども、早すぎる性交渉自体への罪悪感については、体験当時から持っている子が多いのですね。
あれはあの人とつながるために必要だったとか、あるいは、あの人が望んだのだからあれは必要だったという形で、どちらかというと自分に言い聞かせているような状態であったところ、いろいろな情報を得るうちに、やはり違うのだと、あれは本来在るべきものではなかったのだということに気付いていく、その年齢がはっきりいつかというのは分からない、言えないのですけれども、ただ、早い子だともう、17、8歳ぐらいで気付く子もいれば、二十歳を超えて気付く子もいるというような状況かなとは思います。

だから、10代前半のいろいろな性行為で傷ついて、いわゆる10代後半になってトラウマ等の精神科的ないろいろな症状が出てきて、受診するというのは、ケースとしてはよく認められるかなと思っています。

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<7ページ>
2021年11月29日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

とてもよく分かりました。
ありがとうございます。

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明日も、第2回刑事法(性犯罪関係)部会における桝屋二郎准教授の論説をみていきます。
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(※参考)

(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 刑法の性犯罪規定の改正に関する取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会
  ・2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 ※ヒアリング
  ・2021年12月27日 第3回刑事法(性犯罪関係)部会
  ・2022年1月26日 第4回刑事法(性犯罪関係)部会・・・予定

(参考。2021年9月16日に上川陽子法務大臣がおこなった諮問)
諮問第117号

近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。

第一、相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備
一、刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法第178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。
二、刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。
三、相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。
四、刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。
五、配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。
六、性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。

第二、性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備
一、より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。
二、被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。

第三、相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処罰を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備
一、性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。
二、性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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