“改正刑法の叩き台をつくる2回目の会議の議事録”(9) 慶応大学の有志団体Safe Campusの方々②「地位や立場を利用するということが不同意に入る」

本日も昨日にひきつづき、改正刑法の叩き台をつくる2回目の会議におけるSafe Campusの方々の論説をみてみます。

2021年11月29日 第2回 刑事法(性犯罪関係)部会
(※ぱっぷす【1】【2】【3】【4】)
(※矢野恵美教授【1】【2】【3】)
(※Safe Campus【1】【2】)

(2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 議事録より、引用。)

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2021年11月29日 本田義明 Safe Campus(慶応大学の学生有志の団体)

スライド9枚目

続いて、性交同意年齢を引き上げるべき根拠を二つ御説明します。
一つ目は、性教育が足りていないから、二つ目は、自分自身がされていることへの認識ができないからです。

まず一つ目ですが、日本の義務教育では中学校における性教育の歯止め規定が存在しており、受精などは学ぶものの、妊娠に至る過程や性交の取扱いは各学校の判断に委ねられております。
ここで、性教育が不十分であることを示す二つの事例を御紹介します。
一つ目は男子中学生が友人から教わったアダルトビデオを基にした間違った知識を信じた事例、二つ目は、中学生のカップルがセックスをしたときに、男性が避妊具を付けていなかった事例です。
これらの背景には、性に関する知識が不十分であることに加え、同意に必要な知識も欠如していることがあります。

スライド10枚目

次に、自分自身がされていることへの認識ができないからという理由に関連する若者の声を御紹介します。
どのように性に関する知識を得ているか、また、自分の同意能力についてどう思うかという質問について、22歳女性のAさんは、高校生で彼氏ができてから性的な事柄を調べるようになった、13歳当時はそもそも性行為を理解できなかった。
16歳女性のBさんは、小学校高学年ぐらいから性的なことに関心を持った。
中学生で同意・不同意の判断ができたかは疑問が残ると回答しました。
20歳男性のCさんは、6歳頃から性的なことに関心を持ち、中学生の頃には一通りの知識があったため、同意はできたと思うと回答しました。
これらを踏まえると、性的な事柄へ関心を持つ時期は個人差が大きいといえます。
また、性行為や性被害を正しく認識できず、性行為のリスクやその回避方法の知識が不足しているために、仮に同意があったとしても、それが真の同意ではない可能性が高いと考えられます。

スライド11枚目

続いて、性交同意年齢に関する例外規定についてです。
性交同意年齢を16歳に引き上げた場合、私たちの懸念としては、16歳と15歳の恋愛関係にある者同士の性行為などが不同意性交として強制性交等罪で罰せられることです。私たちは、性交同意年齢未満の者との性行為を全て処罰するべきではないと考えており、ここで例外に当たる状況を二つ御紹介します。

まず、15歳、すなわち性交同意年齢未満の者同士の性行為です。
彼らの場合、そもそも同意能力がなく、教育も受けていないため、処罰をすることは適切ではないと考えます。

二つ目は、一方が16歳未満、他方が16歳以上の次のようなケースです。
高校1年生同士で、一方は15歳、他方は16歳、3年間交際していて、親同士も恋愛関係を知っており、行為に及ぶまでに互いに信頼関係を築いている。
避妊方法や性的な行為の結果も理解しており、適切に避妊をして、その都度、合意を確認しながら性行為を行った。
このように対等な関係や性行為への正しい理解があり、15歳の側にも同意の能力があるとみられ、行為中も同意を取っている場合には、問題はないと考えます。

最後に、例外だが問題点がある事例です。
中学校3年生と2年生で、先輩・後輩の関係にあるところ、先輩が後輩に行為を迫り、後輩は断ることができず行為に及んだ結果、その後それがトラウマになった。
この例では、先輩にも十分な教育の機会が与えられていないため、処罰されることには疑問が残りますが、被害者は長期的な精神的被害を受けるため、加害者への教育や事後対応、被害者への救済措置が必要であると考えます。

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<12~13ページ>
2021年11月29日 佐保田美和 Safe Campus(慶応大学の学生有志の団体)

それでは、最後に、地位・関係性を利用した犯罪類型の創設に関しても、事例を挙げながら意見を述べさせていただきます。
スライド12枚目

まず、私たちは先輩・後輩関係や上司と部下、10歳以上の差など比較的大きい年齢差があるなどといったこと自体は問題だとは認識していません。
むしろ、これは私の体感ではありますが、常に同級生とだったり、同じポジションの人同士で交際しているということの方がまれなのではないかとも感じます。
例えば、高校卒業後に教師と付き合って結婚するというような例や、マッチングアプリなどで大幅に年上の相手を積極的に探すというような事例もお聞きします。
ただし、一方でその関係性が対等なものでなければ真の同意は得られないものと認識しています。
そして、地位や立場を利用するということが不同意に入ると考えています。
ですので、断れない、あるいはそもそも合意が成立し得ないような状況を利用した場合は、処罰されるべきなのではないかと考えています。

これから、幾つかの事例を基に一部を改変した例を二つ御提示します。それぞれに対して、私たちSafe Campusの意見と、より一般的と思われる意見も紹介します。

スライド13枚目

まず、1例目は家庭教師と生徒の例です。
かいつまんで御説明します。
高校1年生と27歳の家庭教師、講師の「ストレス発散に良いよ」という言葉を信じて避妊なしで性行為をした。
生徒はしばらくしてから集中力が低下した。
講師はふだんから高価なプレゼントをあげるなどしていた。
生徒はほとんど性行為の知識がなかった。
こちらの例では、金銭的な優越性を利用しているとも思われ、また、生徒の真面目な性格や知識のなさに付け込んで、だまして、断れないよう誘導していると思います。
また、その後、生徒が心身に支障を来しているということからも、同意があったとするのは無理があり、加害者の男性は処罰されるべきであると思います。
ただし、一方で団体外の学生からは、16歳ならそれくらい判断できるのではないかといった意見や、そもそもプレゼントを受け取ることへの疑問を示すような意見も見られました。

スライド14枚目

2例目は、大学における性被害の事例です。
同じダンスサークルに所属する大学1年生と3年生の後輩と先輩、先輩はオーディションの審査や指導をする立場にある。
ある日、後輩が買い出しに誘われて、その後、先輩の家に行くことになった。
帰ろうとしたところ、先輩が同意なく性行為に及んで、後輩はそれを明確に拒否することができなかった。
後輩はその後、心身に支障を来して大学を中退してしまった。
こちらの例ではほぼこの先輩・後輩の両者は師弟関係にあるといえると思います。
そもそも買い出しや家に行くことを断るのは不可能ではないでしょうか。
また、先輩はオーディションの審査をする立場であることから、断ることによってこの女性が不利益を被る可能性があり、ノーと言うことは非常に困難な状況です。
こうした例は、残念ながら、特に大学生などでよく聞く話で、私たちは強い問題意識を持って活動に取り組んでいます。
一方で、例えば、先輩がどれくらい強く出たのかが気になる、男性側に加害の意識がなさそうなので、処罰するのは難しいのではないかといった意見もあり、刑法において処罰されるべきと考えるかどうかは意見が分かれたところです。
このような状況自体が同意への理解の浅さを示しているのではないかとも思います。

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明日も、第2回刑事法(性犯罪関係)部会におけるSafe Campusの方々の論説をみていきます。
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(※参考)

(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 刑法の性犯罪規定の改正に関する取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会
  ・2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 ※ヒアリング
  ・2021年12月27日 第3回刑事法(性犯罪関係)部会
  ・2022年1月26日 第4回刑事法(性犯罪関係)部会・・・予定

(参考。組織図)
法務省
 |(設置)
法制審議会
 |(設置)
刑事法(性犯罪関係)部会

(参考。2021年9月16日に上川陽子法務大臣がおこなった諮問)
諮問第117号

近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。

第一、相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備
一、刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法第178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。
二、刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。
三、相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。
四、刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。
五、配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。
六、性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。

第二、性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備
一、より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。
二、被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。

第三、相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処罰を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備
一、性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。
二、性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

(参考。2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 議事概要より。)

2021年11月29日 第2回刑事法(性犯罪関係)部会 議事概要

(ヒアリング)について
以下の6組10名の方から、ヒアリングを実施した。

・桝屋二郎 氏(東京医科大学精神医学分野准教授)

・佐保田美和 氏(Safe Campus代表)、本田義明 氏(Safe Campus)、中村彩夏 氏(Safe Campus

・西田公昭 氏(立正大学心理学部対人・社会心理学科教授)

・安藤久美子 氏(聖マリアンナ医科大学神経精神科学准教授)

矢野恵美 氏(琉球大学法科大学院教授)

金尻カズナ 氏(NPO法人ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会)理事長)、岡恵 氏(理事)、後藤稚菜 氏(相談員)

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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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