【第1回「刑事法(性犯罪関係)部会」の議事録が公開(3)】「暴行・脅迫要件は、被害者がいつでも拒絶できるという非現実的な事態を前提としております」

先日、第1回刑事法(性犯罪関係)部会議事録が公開されました。

(参考。当ブログ)
第1回刑事法(性犯罪関係)部会議事録について>
2021年11月27日
2021年11月28日

いまから5年前、刑法の性犯罪規定が大幅に改正されました。
法務省はいま、この改正された規定をさらに変えようとしています。

(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

刑事法(性犯罪関係)部会の任務は、改正法案の叩き台の策定です。
この叩き台は実質、内閣が国会へ提出する法案となります。

本日もひきつづき、同部会の第1回目の会合で出された意見をみていきます。

2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会 議事録(3)
(1)(2)

(2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会 議事録より、引用。)

<10~11ページ>
2021年10月27日 小島妙子 委員(弁護士)

私の方から何点か申し上げたいと思います。

まず、改正の要否・当否ということについてなのですが、一昨年無罪となった事件で、そのうち二つは、二審で逆転有罪となっております。

(参考。当ブログ)
2021年5月16日

改正の要否等については、暴行・脅迫要件や抗拒不能要件が既に緩和されているので十分だという意見がありますが、裁判体によって法の適用にばらつきがあると、下級審において混乱が生じていることが問題だと思います。

構成要件を明確にして、処罰されるべきものが処罰されていくようにすることが必要だと考えております。

2点目として、暴行・脅迫要件ですが、性犯罪の被害者像、人は性被害を受けたときにどのような状態になって、どのような行動を取るのかに関しまして、精神医学や被害者心理学の発展により、新しい知見が得られるようになりました。

これまでは、被害者が性的自由を侵害された場合に、加害者に対して抵抗することができると考えられてきましたが、物理的にも心理的にも抵抗が困難な場合があるということが、明らかになってきました。

例えば、物理的に抵抗できない例としては、恐怖で動けなくなることがありますし、心理的に抵抗できない例としては、学校や職場など、当事者間に支配・従属関係がある場合、学生・生徒や部下は、先生・上司の性的要求を拒絶できない場合があります。

このような場合に、加害者は暴行・脅迫なしで被害者の性的自由を侵害することができます。

暴行・脅迫要件は、被害者がいつでも拒絶できるという非現実的な事態を前提としております。

我々は、新たな知見を前提に、性犯罪の犯罪化を考えるべきだと思っています。

被害者像の転換ということを前提にすべきだということです。

3点目として、同意・不同意の問題があります。

刑法の性犯罪の規定の適用を見てみると、同意の有無が性犯罪の成立を作用しているように見えます。
しかしながら、そもそもいかなる事情があれば性行為に同意があると言えるのかについて、明らかになっていないことが問題だと思っています。

同意とは、自由な意思決定に基づく真摯な承諾があることが必要であるなどと言われておりますが、その意味するところは、必ずしも明らかではありません。

ホテルに入ることに同意した、一緒に酒を飲んだ、車に乗った、泥酔していた、密室で一緒にいたなどということをもって、性行為に同意があったと思われても仕方がないなどと言われています。

また、明確な拒絶の意思がないこと、すなわち、同意ではないことが、一般の人々にも司法関係者にも理解されていないことが問題だと思っています。

性行為については、明確な同意を取るべきであり、これを怠った場合のリスクは、同意を曖昧なままにして利益を得てきた者、多くは男性だと思いますが、これを取るべきだというのが私の考えです。

人権保障という観点から、このような考え方が一般の人々にも受け入れられるようになるような社会を目指すべきであり、刑法の改正にとどまらない課題だと思っています。

次に、法改正についての課題でございますが、やはり、不同意性交罪を新設して、意に反する性交を犯罪とする改正が必要だと考えております。

当罰性について、現時点でコンセンサスが得られる行為態様や被害者の状態を構成要件に盛り込み、これに併せて、当罰性についての判断は、年代や人々の認識、それに伴う社会規範に応じて変化するものなので、受皿規定として、今後の判例法理の発展を目指して、その意に反する、あるいはその他意に反する性交という規定を設けるべきであると考えています。

このほか、性交同意年齢の引上げなど、諮問に係る論点はいずれも緊急の課題であり、速やかに法改正が行われるよう、微力を尽くす所存でございます。

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<11ページ>
2021年10月27日 井田 良 部会長(中央大学教授)

ありがとうございました。
各論的事項にも踏み込む御意見だったと思いました。

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<11ページ>
2021年10月27日 金杉美和 幹事(弁護士)

検討会(性犯罪に関する刑事法検討会)から引き続いて参加をさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

検討会(性犯罪に関する刑事法検討会)も経まして、非常にこの問題が難しい問題だということは、重々理解をしております。
ただ、先ほどの法制審議会の総会で出た意見にもありましたように、そもそも平成29年の改正後に、更に改正の必要があるのかという要否、そして、当否の件についても、慎重に御議論いただきたいと思います。

先ほど、小島委員からも御指摘がありました下級審の裁判例のばらつきという点につきましては、法律の定め方やその解釈にばらつきがあるのか、あるいは個別の事件において訴訟活動を行った当事者等の問題なのかという観点から、本当にそれが法律の規定の仕方からくるものなのかという検討はしていただきたいと思っています。

また、当否の点につきましても、仮に刑法改正の必要があるとしても、本当に罪刑法定主義や刑罰法規の明確性の観点から、罪となる行為を明確に定めることができるのかどうかといった当否、あるいは罪刑の均衡という観点からも、是非、慎重な御議論をお願いしたいと思っています。

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<11~12ページ>
2021年10月27日 小西聖子 委員(弁護士)

今の御意見などを聞きまして、何度も今ここで出ましたけれども、私も精神医学を専門としておりますので、行動のリアリティ、つまり、実際に人がどういうふうに行動するのかということには、せめて関心を持ってそのことを理解して、法律について議論していただければと思います。

具体的に、今出たお話で言いますと、私も検討会(性犯罪に関する刑事法検討会)に参加させていただいておりましたが、その最中も、その後も、幾つかの精神鑑定をして、また、刑事裁判の場にも出ました。例えば、ずっと性的虐待があるようなケースで、19歳、20歳になって初めて明るみに出たようなケースでは、抵抗をしないこと、あるいは迎合して何とか被害を少なくしようとする方が、精神医学的な目から見ると自然です。

そこで抵抗があったら、むしろ驚く。

専門家にはこれは常識ですが、例えば、19歳の子が抵抗しなかったからといって、強制性交等罪で、最後の一つの性交について、法廷で、何で抵抗しないのか、実は同意があったのではないかっていうような議論をされるということは、本当に被害のリアリティを分かってもらえていないのだということを、やはり実感します。
(2017年)の改正で何とかなっていることがかなり多いのではないかと、金杉幹事が言われましたけれども、現場で見ても、やはり、足りていない。

例えば、虐待の後の二十歳ぐらいの人たちが、一体どういう行動をしているのか、どれが普通なのか、どういうのが普通の在り方なのかというのが、分かってもらっていないなと、実際に思います。

また、そういうことがよく分かっていないために、小さい子供の被害がそのまま見過ごされて、例えば、この前、幼少期のネグレクトや中学生になってからの性的虐待のPTSDがあって、軽い知的障害があって、それで、そのことが誰にも分からずに、犯罪行為につながっていって、被害者の方は若いのにもう前科が20回とか、そのようになっているケースも見ました。

被害者が加害者化してしまう。

そういう点では、早く正しく相手を罰することができるということ、特に若年被害者に関してそれができることが、多くの人の健康とか幸福に役に立つのだと思います。

是非、法制審議会の中でも、そういうリアリティということを尊重して議論していただければと思っています。

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(参考。法制審議会 刑事法(性犯罪関係)部会 名簿より。)

赤字は、性犯罪に関する刑事法検討会で委員をしていたかた

部会長
井田 良 中央大学教授

委員
・今井猛嘉 法政大学教授
川出敏裕 東京大学教授
・川原隆司 法務省刑事局長
・北川佳世子 早稲田大学教授
木村光江 日本大学教授
小島妙子 弁護士
小西聖子 武蔵野大学教授
齋藤 梓 公認心理師
・佐伯仁志 中央大学教授
・田中知子 東京地方検察庁公安部長
中川綾子 大阪地方裁判所部総括判事
橋爪 隆 東京大学教授
・藤本隆史 警察庁刑事局長
宮田桂子 弁護士
山本 潤 一般社団法人Spring幹事
・吉崎佳弥 最高裁判所事務総局刑事局長

幹事
・浅沼雄介 法務省刑事局企画官
池田公博 京都大学教授
・市原志都 最高裁判所事務総局刑事局第二課長
金杉美和 弁護士
・清 隆 内閣法制局参事官
・佐藤拓磨 慶應義塾大学教授
佐藤陽子 北海道大学教授
・嶋矢貴之 神戸大学教授
・中山 仁 警察庁刑事局捜査第一課長
・長谷川桂子 弁護士
・保坂和人 法務省大臣官房審議官
・吉田雅之 法務省刑事局刑事法制管理官

関係官
井上正仁 法務省特別顧問

赤字は、性犯罪に関する刑事法検討会で委員をしていたかた
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明日も、第1回刑事法(性犯罪関係)部会の議事録をみていきます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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