第1回「刑事法(性犯罪関係)部会」が開催されました(その3)。「性犯罪に関する刑事法検討会」における井上正仁法務省特別顧問の発言をみてみます

2021年10月27日 第1回「刑事法(性犯罪関係)部会」(③)
(※

本日もひきつづき、1週間前(2021年10月27日)に開催された法制審議会の第1回刑事法(性犯罪関係)部会についてみていきます。

(参考。当ブログ)
<「刑事法(性犯罪関係)部会」の開催について>
2021年10月24日
2021年10月31日
2021年11月2日

法制審議会の刑事法(性犯罪関係)部会は、今後、法務大臣から諮問された刑法の性犯罪規定の改正について論議します。
最終的には、改正法案の叩き台を作成します。

今回の刑事法(性犯罪関係)部会の構成人員は以下のとおりです。

(参考。法制審議会 刑事法(性犯罪関係)部会 名簿より。)
<委員>
井田 良 中央大学教授
今井猛嘉 法政大学教授
川出敏裕 東京大学教授
川原隆司 法務省刑事局長
北川佳世子 早稲田大学教授
木村光江 日本大学教授
小島妙子 弁護士
小西聖子 武蔵野大学教授
齋藤 梓 公認心理師
佐伯仁志 中央大学教授
田中知子 東京地方検察庁公安部長
中川綾子 大阪地方裁判所部総括判事
橋爪 隆 東京大学教授
藤本隆史 警察庁刑事局長
宮田桂子 弁護士
山本 潤 一般社団法人Spring幹事
吉崎佳弥 最高裁判所事務総局刑事局長

<幹事>
浅沼雄介 法務省刑事局企画官
池田公博 京都大学教授
市原志都 最高裁判所事務総局刑事局第二課長
金杉美和 弁護士
清 隆 内閣法制局参事官
佐藤拓磨 慶應義塾大学教授
佐藤陽子 北海道大学教授
嶋矢貴之 神戸大学教授
中山 仁 警察庁刑事局捜査第一課長
長谷川桂子 弁護士
保坂和人 法務省大臣官房審議官
吉田雅之 法務省刑事局刑事法制管理官

<関係官>
井上正仁 法務省特別顧問
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「関係官」の任に就かれているのは、井上正仁さんです。
法務省特別顧問をされています。

昨年から今年にかけて、法務省内で、性犯罪に関する刑事法検討会が開催されました。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第5回(2020年8月27日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第6回(2020年9月24日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第7回(2020年10月20日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第11回(2021年1月28日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第14回(2021年3月30日)※議事録公開
第15回(2021年4月12日)※議事録公開・・・取りまとめ報告書(案)
第16回(2021年5月21日)※議事録公開・・・取りまとめ報告書

16回目の会議で、取りまとめ報告書が策定されました。
この最後の会議で、井上正仁さんは以下の発言をしています。
議事録を参照します。

2021年5月21日 第16回性犯罪に関する刑事法検討会

(2021年5月21日 第16回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<11~12ページ>
2021年5月21日 井上正仁 法務省特別顧問(東京大学名誉教授)

井田座長を始めとして、皆様本当にお疲れさまでした。

昨年(2020年)6月から1年、16回にわたり、議論を積み重ねてこられましたが、先ほど審議官も触れられたように、コロナ禍の下、かなり多くの方がウェブ会議システムでの参加を余儀なくされるという非常に不慣れな形で、従来のような意味での一体性が欠けるところがある一方で、例えば、愛犬の鳴き声が聞こえたり、また、あれは仙台だったのではないかと思うのですけれども、窓の外からセミの盛んな鳴き声が聞こえてくるという、不思議な臨場感、親近感も感じられる中で、非常に精力的で真剣な議論であったと思います。

その議論の結果、様々な物の見方やアイデアが示され、多角的な視点、視角から、問題の全体像が明らかにされ、かつ、今後詰めるべき論点や課題が的確に整理されるに至ったのは、大きな成果だったと思われます。

私個人としては、ただ拝聴するだけでしたけれども、性被害の実態、実情について、いかにこれまで自分が認識不足であったかということを反省させられ、大きく目を開かされましたし、また、皆様とはかなり年代が違って、昭和の古い世代なものですから、いかに自分が無意識にいろいろな固定観念に縛られていたかということをも自覚させられ、考え直させられることが多々ありました

各委員の御意見は一様ではないと言いますか、率直に申して、相当対立し、異なっていますけれども、今後、これを基に、主要な各論点について具体的な結論を得るべく、そして更に法改正が必要な点については、それに向けて一層検討を進めていくことが必要になります。

それに当たっては、それぞれの論点、問題について、実質的な、言わば裸の必要性や妥当性について議論を深めるのはもちろんですけれども、刑法や刑事訴訟法という一国の基本法令の改正に関わる事柄ですので、それぞれの点についての法理論的な根拠付けや技術的な点の詰め、さらには、各事項相互の関係や法制度全体の中での整合性という点についても、より立ち入った検討が必要になる。

本検討会でも、ある程度は議論がなされたわけですけれども、まだまだ詰めるべきところが多々残されているというのが正直なところですので、今後、それらについて、更に一層検討を進めていっていただければと思います。

その意味で、なお「道半ば」というのが正確なところだと思いますけれども、同時に、今回の検討は、踏み出さなければならないステップですし、越えなければならない一つの山であったことも確かで、そのステップを刻み、一山越えたということは、やはり大きな意義があったと思います。

その意味で、皆様のこれまでの非常に熱心な御議論、御献身に対し、深く敬意を表する次第です。

どうもありがとうございました。

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性犯罪に関する刑事法検討会は、上川陽子法務大臣へ取りまとめ報告書を提出しました。
その後、上川大臣は、法制審議会に対して、刑法の性犯罪規定改正の諮問をおこないました。

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会

(2021年9月16日 上川陽子法務大臣 諮問第117号より、引用。)

2021年9月16日 諮問第117号

近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。
     記
第1 相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備

刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

第178条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
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刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
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相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。

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刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
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配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。

(参考。現行刑法)
第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
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性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。

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第2 性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備

より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。

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被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。

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第3 相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処置を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備

性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。

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性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

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(再掲。井上正仁 法務省特別顧問)
性被害の実態、実情について、いかにこれまで自分が認識不足であったかということを反省させられ、大きく目を開かされました
いかに自分が無意識にいろいろな固定観念に縛られていたかということをも自覚させられ、考え直させられることが多々ありました

明日も、刑事法(性犯罪関係)部会についてみていきます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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