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【第1回「刑事法(性犯罪関係)部会」の議事録が公開(2)】 「より悪質な加害者ほど、逃げられない、抵抗できない、訴えられない人を狙います」

昨日のつづきです。
第1回刑事法(性犯罪関係)部会の議事録が公開されました。
いま法務省内で、刑法の性犯罪規定を改正する作業が進められています。

(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

刑事法(性犯罪関係)部会の任務は、改正法案の叩き台の策定です。
この叩き台は実質、内閣が国会へ提出する法案となります。
本日もひきつづき、同部会の第1回目の会合でどのような意見が出たのかをみていきます。

2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会 議事録(2)
(1)

(2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会 議事録より、引用。)

<8ページ>
2021年10月27日 井田 良 部会長(中央大学教授)

(前略)
それでは、審議に当たっての総論的な事項に関する御意見と、次回以降の審議の進め方に関する御意見とに分けて、それぞれお伺いしたいと思います。

まずは、総論的な事項について、御意見のある方は、御発言をお願いしたいと思います。

何でも御自由に御発言いただいて結構です。
いかがでしょうか。

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<8~9ページ>
2021年10月27日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

本日は貴重な場に参加させていただくことを感謝しています。
この歴史的な場で有益な議論がされることを、期待いたします。

簡単に意見を述べさせていただければと思います。

前回、「性犯罪に関する刑事法検討会」にも参加させていただきましたが、性暴力のリアリティとすごくずれたところで話が進み、かみ合わないなとずっと思ってきました。
特に、性暴力を受けている最中のことが理解されなかったと思います。

アメリカの調査では、レイプ被害者において、最も多く報告された反応は恐怖であり、その恐怖は一、二年続いていたことが報告されています。

日本でも、被害者の多くは、身体的暴力を受けず、逆らったらどうなるか分かっているのかなどと言葉で脅かされたり、相手の体が大きいので逆らえないと思ったと答えていて、加害者に圧倒されていることが分かっています。

それなのに、現在の法律の運用では、被害者が強く抵抗するか、完全に抵抗できない状態であることを求められ、さらに、被害を受けたこともない人間が、自分の限られた経験から自然か不自然かという判断をしています。

しかし、その判断自体が、人が外傷的事件に巻き込まれて恐怖にさらされた場合に起こる自然な反応を無視したものです。

考えるより先に体が勝手に反応してしまう、膝が震えて足に力が入らない、思考停止状態になって動けない、そのつもりはないのに相手に受動的に従ってしまうなどのように、危機的状態では生存に関わる脳の部分が急激に活性化され、生物学的な生存が優先される状態になることが、科学的に説明されています。

そのような神経生理学的な反応を理解せず、抵抗できたのでは逃げられたのではということは、被害者に不可能を強いているし、残酷です。

PTSDの発症率が半数となる性暴力は、犯罪の中でも最も凶悪なものの一つであると、精神医学的に認識されています。

被害者の回復を支えるためには、その人が性暴力をどう経験したかを理解することが、とても重要です。

議論をするに当たっては、そのような被害を受ける恐怖、悪寒、戦慄を感覚としてつかんでいただきたいと思います。

そのために、委員・幹事の方々には、お忙しいと思いますが、被害者の手記を読んでいただければと思います。
性暴力のリアリティを言語によって理解することには限界がありますが、性暴力を受けることがどういうことであるかを読むことにより、理解することの助けになると、精神科医、臨床心理士からも伝えられています。

より悪質な加害者ほど、逃げられない、抵抗できない、訴えられない人を狙います。
能力や力関係の差を利用して、自分がしたいことをしたいようにでき、後から訴えられそうもない人を選んでいるのです。
その中で、被害者は沈黙させられ、訴えられず、訴えても信用されず、被害を不自然だと判断され、なかったことにされてきました。
私の知り合いでも、食べることもできなくなり、学校にも行けず、悪夢にうなされ、心身に大きなダメージを受け、人生を狂わされた被害者の方の加害者の多くは、捕まることもなく笑って食事をして普通に生活しています。
被害者に不可能を強いる線引きをして、加害者を捕まえることも罰することもできない現状は、盗人を世に放っているのと同じです。
性暴力のリアリティを理解し、対等ではない立場で不十分な情報の中で、そしてノーを言えない状態に追い込んで、同意のない性行為をした場合の適切な法が定められることを期待します。

また、「第一」の「六」(性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること)のグルーミングについては、オンライングルーミングが今、大きな問題となっていますし、今後も被害が拡大していくことが予想されます。
グルーミングの過程では心理操作が行われるため、特に、社会心理学の視点から心理的操作について理解して、実態に即した議論がされることを望みます。

この法制審議会の場で、実りある議論がなされるように、非力ではありますが、力を尽くしていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

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<9ページ>
2021年10月27日 井田 良 部会長(中央大学教授)

ありがとうございました。
とても重要な視点をお教えいただいたと思います。

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<9~10ページ>
2021年10月27日 齋藤梓 委員(公認心理士)

この度は、貴重な議論に参加させていただきますことを、心よりお礼申し上げます。

私は、法律については門外漢ですけれども、被害について研究と臨床を行ってきた者として、議論で大事にしたいと思うことがございます。

平成29年(2017年)の改正の結構以前ですけれども、監護者性交等罪がなかった頃に、

(参考。監護者性交等罪)
<刑法>
第179条
②18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条(強制性交等罪)の例による。

性虐待の被害者の心理支援を担当していたとき、警察の方に、長年勤めていて、義理の親からのこのような被害を初めて聞いた、許してはいけないと言われました。

私は何を言っているのだろうと思いました。
被害者支援に携わる身として、その事例は決して珍しい事例ではなく、残念なことに大変よく遭遇する事例だったためです。

そして、平成29年(2017年)改正の前後ですけれども、肛門や口腔への性器挿入が強姦と同等になるということについて、司法関係者から、男性がレイプ被害に遭うというのはどういうことですかと聞かれました。
当時、司法関係者が大変混乱していらしたことを覚えています。
でも、私には混乱する理由が分かりませんでした。

さきの検討会(性犯罪に関する刑事法検討会)でも、限界事例として例に出されたかもしれないことが、心理職としては、特段、限界事例ではないと感じられる、つまり、ごく普通に人間にとって性暴力であり、苦痛で後遺症の甚大な出来事だと感じられることもありました。

法律が人の思考の枠組みを決めるとまでは申しませんが、人は、自分の知らないことや見えていないことは、思考の枠組みに入れることはできないのだと、自戒を込めて、本当に思います。

心理学や精神医学の知見をそのまま法律の文言にできないということは、よく承知しているのですけれども、知らなければ考えることさえ難しいのではないかと思います。

さきの検討会(性犯罪に関する刑事法検討会)でもお願いしたのですけれども、存在している実態を知って、被害者心理とか精神医学の知見を知っていただいて、より適切な法律について御検討いただきたいと思っています。

例えば、現在の法律では、性暴力のときに抵抗することが前提となっています。

検討会(性犯罪に関する刑事法検討会)では、様々、例示列挙される案も出ましたが、包括的な文言としては、やはり抵抗することが前提の意見が多く出されました。

しかし、実際は抵抗できない、抵抗することすら頭に浮かばないことの方が普通です。

抵抗することを前提とすることで、不同意を分かりやすくしているのかもしれませんけれども、それは普通の人間を前提としたものではないと、心理学からは考えられます。

また、性的同意年齢を考えるときには、現実の子供たちの発達というものを念頭に置いていただきたいですし、関係性のある中での性暴力・性犯罪について考えるときには、そこに、抵抗することが頭に浮かばない、関係性によって意思が抑圧される心理的なダイナミクスがあるというのを知っていただいて、検討いただきたいと思います。

議論の俎上にも、前提として、皆様の意識にさえ上がらないというような被害がないようにとも思っています。

最初にも申しましたとおり、私は法律については門外漢ですけれども、法律家の皆様が人の心理のどこに疑問を持って、どこを理解しにくいと感じるのかということについては、気が付く限りお話しできればと思っております。

違う分野の人間ですけれども、歩み寄って、より現実の人間に即した議論を行えれば、有り難いと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

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<10ページ>
2021年10月27日 井田 良 部会長(中央大学教授)

ありがとうございました。
大変貴重な意見を頂きました。

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(参考。法制審議会 刑事法(性犯罪関係)部会 名簿より。)

赤字は、性犯罪に関する刑事法検討会で委員をしていたかた

部会長
井田 良 中央大学教授

委員
・今井猛嘉 法政大学教授
川出敏裕 東京大学教授
・川原隆司 法務省刑事局長
・北川佳世子 早稲田大学教授
木村光江 日本大学教授
小島妙子 弁護士
小西聖子 武蔵野大学教授
齋藤 梓 公認心理師
・佐伯仁志 中央大学教授
・田中知子 東京地方検察庁公安部長
中川綾子 大阪地方裁判所部総括判事
橋爪 隆 東京大学教授
・藤本隆史 警察庁刑事局長
宮田桂子 弁護士
山本 潤 一般社団法人Spring幹事
・吉崎佳弥 最高裁判所事務総局刑事局長

幹事
・浅沼雄介 法務省刑事局企画官
池田公博 京都大学教授
・市原志都 最高裁判所事務総局刑事局第二課長
金杉美和 弁護士
・清 隆 内閣法制局参事官
・佐藤拓磨 慶應義塾大学教授
佐藤陽子 北海道大学教授
・嶋矢貴之 神戸大学教授
・中山 仁 警察庁刑事局捜査第一課長
・長谷川桂子 弁護士
・保坂和人 法務省大臣官房審議官
・吉田雅之 法務省刑事局刑事法制管理官

関係官
井上正仁 法務省特別顧問

赤字は、性犯罪に関する刑事法検討会で委員をしていたかた
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明日も、第1回刑事法(性犯罪関係)部会の議事録をみていきます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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【第1回「刑事法(性犯罪関係)部会」の議事録が公開(1)】 同部会は最終的に改正法案の叩き台を作成します。この叩き台は実質、内閣が国会へ提出する法案となります

先月(2021年10月)の27日、法制審議会の第1回刑事法(性犯罪関係)部会が開催されました。
刑事法(性犯罪関係)部会は以降、刑法の性犯罪規定の改正について論議します。
最終的には改正法案の叩き台を作成します。
この叩き台は実質、内閣が国会へ提出する法案となります。
いま、刑法の性犯罪規定の改正が現実のものとなっています。

(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

つい先日、第1回刑事法(性犯罪関係)部会議事録が公開されました。
1回目の会合ではどのようなことが話し合われたのでしょうか。
当該議事録を参照します。

2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会 議事録(1)

(2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会 議事録より、引用。)

(前略。)
<4ページ>
2021年10月27日 井田 良 部会長(中央大学教授)

(前略。)
それでは、さきの法制審議会総会におきまして、当部会において調査審議するように決定のありました諮問第117号につきまして、審議を行います。

まず、諮問を朗読してもらいます。

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<5ページ>
2021年10月27日 浅沼雄介 幹事(法務省刑事局企画官)

諮問第117号

近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。

第一、相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備
一、刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法第178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。
二、刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。
三、相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。
四、刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。
五、配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。
六、性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。

第二、性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備
一、より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。
二、被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。

第三、相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処罰を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備
一、性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。
二、性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

——————————————————–

<5ページ>
2021年10月27日 井田 良 部会長(中央大学教授)

次に、事務当局から、諮問に至る経緯及び諮問の趣旨等について説明をしてもらいます。

——————————————————–

<5~6ページ>
2021年10月27日 吉田雅之 幹事(法務省刑事局刑事法制管理官)

諮問第117号につきまして、諮問に至りました経緯及び諮問の趣旨等について御説明いたします。

平成29年(2017年)6月に成立した刑法の一部を改正する法律により、性犯罪の罰則について改正が行われましたが、改正法附則第9条において、
この法律の施行後3年を目途として、性犯罪における被害の実情、この法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする
こととされました。

法務省では、この検討に資するよう、平成30(2018年)年4月から、省内の関係部局の担当者を構成員として、「性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ」を開催し、各種の調査・研究やヒアリング等により実態把握を進め、令和2年(2020年)3月、その取りまとめ報告書を公表しました。

そして、同年(2020年)6月から、被害当事者、被害者心理・被害者支援関係者、刑事法研究者、実務家を構成員として、「性犯罪に関する刑事法検討会」を開催し、同検討会において、性犯罪に関する刑事の実体法・手続法の在り方に関する様々な論点について、法改正の要否・当否の議論が行われ、令和3年(2021年)5月、検討結果として、更なる検討に際しての視点や留意点が示されるなどした報告書が取りまとめられました。

法務省においては、この報告書を踏まえて検討し、近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると考え、今回の諮問に至ったものです。

次に、諮問の趣旨等について御説明いたします。

先ほど朗読した配布資料1を御覧ください。

今回の諮問におきましては、主に御審議いただきたい事項を、「第一」から「第三」までに分けて掲げております。

「第一」は、
相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備
です。
具体的には、「一」から「六」まで挙げており、
「一」として、現行法上、13歳以上の者に対する強制わいせつ罪及び強制性交等罪は「暴行又は脅迫を用いて」行われたことが要件とされ、また、準強制わいせつ罪及び準強制性交等罪は「心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」行われたことが要件とされておりますが、それらの要件を改正すること、
「二」として、現行法上、暴行・脅迫を用いなくても強制わいせつ罪又は強制性交等罪が成立することとされる年齢は「13歳未満」とされておりますが、その年齢を引き上げること、
「三」として、相手方が脆弱であることや相手方との間に一定の地位・関係性があることを利用して行われる性交等やわいせつな行為に係る罪を新設すること、
「四」として、現行法上、強制性交等罪の対象となる行為は、性交、肛門性交又は口腔性交とされ、陰茎以外の身体の一部又は物を挿入するわいせつな行為は、強制わいせつの罪の対象とされておりますが、そのようなわいせつな挿入行為について刑法における取扱いを見直すこと、
「五」として、配偶者間において強制性交等罪などが成立することを明確化すること、
「六」として、性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する、いわゆるグルーミング行為に係る罪を新設することといった事項について、御審議いただきたいと考えております。
「第二」は、「性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備」です。
具体的には、「一」として、現行法上、性犯罪の公訴時効期間は、強制性交等罪が10年、強制わいせつ罪が7年とされており、これを経過すると訴追ができないこととなりますが、より長期間にわたって訴追の機会を確保するために公訴時効を見直すこと、
「二」として、現行法上、捜査機関が被害者等から聴取した結果を記録した録音・録画記録媒体は、いわゆる伝聞証拠として証拠能力が認められないのが原則ですが、その証拠能力についての特則を新設することといった事項について、御審議いただきたいと考えております。
「第三」は、「相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処罰を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備」です。
具体的には、「一」として、性的姿態の撮影行為やその画像等を提供する行為に係る罪の新設、
「二」として、性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みの導入といった事項について、御審議いただきたいと考えております。

十分に御審議の上、できる限り速やかに御意見を賜りますよう、お願いいたします。

——————————————————–

<7ページ>
2021年10月27日 井田 良 部会長(中央大学教授)

次に、事務当局から、配布資料について説明をしてもらいます。

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<7ページ>
2021年10月27日 浅沼雄介 幹事(法務省刑事局企画官)

配布資料について御説明いたします。

まず、資料1は、先ほど朗読いたしました、諮問第117号です。

資料2は、事務当局からの説明で概要を申し上げた平成29年に成立した刑法の一部を改正する法律の附則第9条です。

資料3は、事務当局からの説明で触れました、「性犯罪に関する刑事法検討会」の取りまとめ報告書です。

資料4は、平成29年の刑法改正後の規定の施行状況に関する資料です。
改正部分の施行状況をお示しするという観点から、肛門性交・口腔性交のみを実行行為とする事件、男性を被害者とする事件、監護者わいせつ罪・監護者性交等罪の事件について、それぞれ起訴人員と件数などをまとめております。
また、強制わいせつ罪や強制性交等罪等の年次別起訴人員・不起訴人員に関する統計等についても記載しております。

資料5は、性犯罪に関するヒアリング調査の結果に関する資料です。
事務当局からの説明で触れました、「性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ」及び「性犯罪に関する刑事法検討会」において行ったヒアリングの結果が記載された議事録等です。

資料6は、性犯罪に関する諸外国の法制に関する資料であり、令和3年8月時点のアメリカ(ミシガン州・ニューヨーク州・カリフォルニア州)、イギリス、フランス、ドイツ、韓国、フィンランド、スウェーデン及びカナダの性犯罪に関する規定を抜粋し、法務省において仮訳したものです。

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<7ページ>
2021年10月27日 井田 良 部会長(中央大学教授)

次に、事務当局から、さきの法制審議会総会において出された御意見の紹介をしてもらいます。

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<7ページ>
2021年10月27日 浅沼雄介 幹事(法務省刑事局企画官)

今回の諮問がなされた9月16日の法制審議会総会において、委員の方から御発言のあった御意見について、概要を御説明いたします。

一つ目は、審議の進め方に関するもので、「性犯罪に関する刑事法検討会」においては、性犯罪の被害は甚大であるといった認識の下、各論点に関して充実した検討がなされており、法改正の要否・当否については、委員の方々の悩んだ末の御意見が多くあったものと理解している、諮問についての審議に当たっては、法改正の要否・当否も含め、十分に慎重な議論をお願いしたいというものでした。

二つ目は、諮問に掲げられた事項に関するもので、具体的には、
「第一」の「一」(刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法第178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること)については、先進諸国の諸事例も参考にした法整備が喫緊の課題であり、不同意性交等罪の導入等を求める被害当事者の声に寄り添いつつ、十分な審議をお願いしたい、
「第一」の「三」(相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること)については、就職活動生に対するセクシュアル・ハラスメントが横行している実態に鑑みると、幅広い関係性や場面に対応できる規定の整備が必要である、
「第一」の「五」(配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること)については、配偶者間でも性犯罪が成立することを明確化することには賛同できるが、家族やパートナーの在り方が多様化していることも念頭に置きつつ、十分な審議を行っていただきたい、
「第三」については、性的姿態の画像等を確実に剥奪できるようにすることは重要であり、実効的な法整備のための審議をお願いしたいというものでした。

(※参考 2021年9月16日 法制審議会総会 議事録

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<7~8ページ>
2021年10月27日 井田 良 部会長(中央大学教授)

現段階で、これまでの事務当局からの説明内容について御質問がございましたら、お願いいたします。

特に御質問はございませんか。それでは、諮問事項の審議に入りたいと思います。
本日(2021年10月27日)は、第1回の会議ですので、まずは、皆様から、審議に当たっての総論的な事項に関する御意見や、今後の審議の進め方に関する御意見を頂きたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

(一同異議なし)

特に御異議はないようですので、そのように進めさせていただきたいと思います。

それでは、審議に当たっての総論的な事項に関する御意見と、次回(2021年11月29日)以降の審議の進め方に関する御意見とに分けて、それぞれお伺いしたいと思います。

まずは、総論的な事項について、御意見のある方は、御発言をお願いしたいと思います。

何でも御自由に御発言いただいて結構です。
いかがでしょうか。

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最初にだれが発言をしたのでしょうか。
つづきは明日のブログでみてみます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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暴行・脅迫要件は撤廃されるのか(その6)。「性犯罪は心身の境界線の侵害であり、身体の統合性を破壊する行為である」、「性犯罪の保護法益は、性的自由・性的統合性」

日本は、「性犯罪天国」です。
性犯罪をおこなっても滅多なことでは捕まりません。
性犯罪者を支援しているのは、刑法のなかにある性犯罪規定です。
条文を確認します。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

第178条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条(第177条)の例による。
——————————————————–

暴行や脅迫を伴わない性犯罪は、無罪となります。
法務省は、いま、この性犯罪規定を改正しようとしています。
改正に向けて作業を進めています。

(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

上述のとおり、上川陽子法務大臣は先日(2021年9月16日)、法制審議会に対して、以下の10項目の改正を諮問しました。

(2021年9月16日 上川陽子法務大臣 諮問第117号より、引用。)

2021年9月16日 諮問第117号

近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。
     記
第1 相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備

刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

第178条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
——————————————————–

刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
——————————————————–

相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。

——————————————————–

刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
——————————————————–

配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。

(参考。現行刑法)
第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
——————————————————–

性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。

——————————————————–

第2 性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備

より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。

——————————————————–

被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。

——————————————————–

第3 相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処置を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備

性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。

——————————————————–

性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

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諮問をうけた法制審議会は、最終的に、改正法案の叩き台を策定します。
この叩き台が実質、改正法案となります。

(再掲。諮問第117号
2021年9月16日 上川陽子 法務大臣
刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること

(再掲。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

本日もひきつづき、前段の性犯罪に関する刑事法検討会で、暴行・脅迫要件、さらには抗拒不能要件についてどのような論議がなされたのかをみていきます。

暴行・脅迫要件の改正に関する論議(その6)
(※その1その2その3その4その5

(※その1その2その3その4その5)・・・2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会
(※その6)・・・2020年11月10日 第8回 性犯罪に関する刑事法検討会

(2020年11月10日 第8回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<1~2ページ>
2020年11月10日 井田 良 座長(中央大学教授)

それでは、議事に入りたいと思います。

前回会合でも申し上げましたとおり、本日からは、巡目の検討に入ることとし、まず、
「暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方」
について、その後、
「地位・関係性を利用した犯罪類型の在り方」
について、議論することとしたいと思います。

一巡目の検討は、本検討会において検討すべき論点を記載した資料12に沿って、各論点について一通りの御意見を頂く方法で進めてまいりました。

二巡目の検討も、基本的には資料12の論点・項目の順番に進めたいと考えておりますが、二巡目の検討では、議論を更に深めていく必要がありますので、一巡目での検討で頂いた御意見を土台としつつ、より突っ込んだ議論を積み上げていきたいと考えております。

本日配布いたしました意見要旨集は、各論点・項目の下に小見出しを付けておりまして、これまでの御意見を議論の際の観点ごとに整理したものとなっております。

このような観点を意識して議論することにより、一巡目よりも更に突っ込んだ議論をかみ合う形で行うことができると思いますので、本日の議論は、この意見要旨集に沿って進めることにしたいと考えております。

もちろん、議論のための観点は、今回の意見要旨集に記載したものが全てではないと思いますし、異なる観点ないしは違った角度からの御意見も頂けますと、議論が更に深まることになると思います。

限られた時間の中で、できるだけ多くの委員の方に御発言いただけるようにしたいと思います。

これまでの議論でも、すぐ時間切れになってしまって、思うように意見を述べられなかったという御不満をお持ちの委員もいらっしゃるかもしれません。
そういう意味で、過去の議論との重複を避けるためにも、また、なるべく各委員の御意見をコンパクトに御発言いただく、あるいは、まとめて御発言いただくためにも、意見要旨集を手元に置いて、必要に応じてこれを引用するなどして御発言いただくことをお願いしたいと思います。

早速、一つ目の大きなテーマであります
「暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方」
についての検討に入ります。

この論点については、まず、意見要旨集第1の2の「(1)」、すなわち、
「暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件を撤廃し、被害者が性交等に同意していないことを構成要件とすべきか」
という項目につき議論することとしたいと思います。

この項目については、一巡目の検討で、この意見要旨集
「① 保護法益」、
「② 処罰すべき性交等の範囲についての基本的考え方」、
「③ 暴行・脅迫等の要件の撤廃や「不同意」を要件とすることの要否・当否」
という観点から御意見を頂いております。

これらと同じ観点について別の御意見や反対する御意見がある場合は、例えば、「③について」などと、どの観点からの御意見であるのかを明示していただき、また、これまでに述べられていない観点からの御意見や、他の論点と関連するような御意見の場合には、そのことを明示して御発言いただければと考えます。

それでは、御意見のある方は、御発言をお願いしたいと思います。

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<2ページ>
2020年11月10日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

「① 保護法益」についてなのですけれども、

参考
性犯罪は心身の境界線の侵害であり、身体の統合性を破壊する行為であって、性犯罪の被害者は、自由意思を侵害されただけでなく、自分の心身が踏みにじられ、自分の体が犯罪の現場になったことに苦しむということを踏まえ、心身に関わる内容を保護法益に加えるべき

「性犯罪は心身の境界線の侵害であり、身体の統合性を破壊する行為である」という意見を入れてくださり、ありがとうございます。

次の「〇」の
性犯罪の保護法益は、性的自由・性的統合性であり、これを侵害すれば犯罪が成立すると考えるべき
についてなのですが、保護法益は、何を保護するのかということを考える非常に重要な概念だと思っています。

性的統合性という言葉を初めて聞きましたので、こちらは、小島委員から出た発言だと思いますけれども、どのような定義であるのか、何を含んでいるのかということをお伺いできればと思います。

看護師なので医療職としてお伝えしますと、医療の場では、全体は部分の総和ではないというふうに言われます。

心臓などの内臓や骨や筋肉を集めても、それで心身が機能するわけではなく、生命システムを働かせるための神経系の統合が重要であるという理解です。

性暴力のような外傷的出来事を察知すると、より古い神経回路の働きが優位になり、新しい脳機能等の統合性を失うということから、国連では身体の統合性と性的自己決定権の侵害を性暴力として定めております。

そのような身体の概念が、こちらの性的統合性の保護法益の中に取り入れられているのかも、併せて伺えればと思っておりますが、いかがでしょうか。

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<2~3ページ>
2020年11月10日 井田 良 座長(中央大学教授)

保護法益の内実について、一巡目の議論では、身体の統合性、あるいは、性的統合性というものを考えるべきだという御発言があり、今、山本委員からは、身体の統合性ということについて御説明いただきました。

統合性というのは、インテグリティーということですかね。

小島委員は性的統合性という言葉をお使いになっているということで、その趣旨について少し御説明いただきたいということでしたが、小島委員、よろしいでしょうか。

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<3ページ>
2020年11月10日 小島妙子 委員(弁護士)

性的統合性というのは、スウェーデン法やカナダ法などで、保護法益として言われていることでございまして、性的自由や性的自己決定権より少し広い概念として捉えられています。

各法制について、専門の先生方から教えていただきたいのですけれども、性的自由より広い概念で、被害者の尊厳とか自律とかまで含んだ概念として考えております。

身体の統合性について入っているかどうかということですが、もちろんその中に含まれているという理解でおります。

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<3ページ>
2020年11月10日 橋爪隆 委員(東京大学教授)

もしよろしければ、私からも小島委員にお伺いしたいのですが、通説は、性的自由性的自己決定権を性犯罪の保護法益として理解してきました。

性的自由性的自己決定権という理解と性的統合性という理解とで、どのような相違が生じるかにつきまして、具体的に御説明を頂けますと幸いです。

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<3ページ>
2020年11月10日 井田 良 座長(中央大学教授)

小島委員は、先ほど、性的統合性は、性的自由や自己決定より広い概念であるとおっしゃいました。

例えば、こういう事例だと、性的自由や自己決定の観点からは説明がしにくいけれども、性的統合性という概念であれば説明できるのだというような、何か具体的事例を幾つか挙げられて内容を御説明いただけると、とても有り難いですが、小島委員、いかがですか。

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<3ページ>
2020年11月10日 小島妙子 委員(弁護士)

過失犯の処罰等を考えるときは、性的統合性の方が考えやすいのかなと思いました。

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<3ページ>
2020年11月10日 井田 良 座長(中央大学教授)

過失犯処罰というのは、同意に関する過失責任を問うということですか。

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<3ページ>
2020年11月10日 小島妙子 委員(弁護士)

相手方に対して性的な行為をするときに必ず同意を取らなくてはいけない義務を課すというようなことを考えたときには、性的自己決定というよりは、もう少し広い概念で捉えた方が、保護法益として説明がしやすいのではないかと思います。

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<3ページ>
2020年11月10日 橋爪隆 委員(東京大学教授)

ありがとうございます。

多分、通説の立場からも、性的自由や性的自己決定権を保護法益とする以上、意思に反する性行為は違法であって法益侵害と評価されるはずです。

したがいまして、過失犯を処罰するか否かという問題と、保護法益をどのように解するかということは、私の理解では直結しないような印象を持っておりましたが、この点については更に勉強したいと思います。

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明日も、性犯罪に関する刑事法検討会における177条(強制性交等罪)と178条(準強制性交等罪)の論議をみてみます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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暴行・脅迫要件は撤廃されるのか(その5)。「177条(強制性交等罪)が成立しないときは178条(準強制性交等罪)が成立するという指摘もあるが、実際はそうでない」

巷間、日本の刑法の性犯罪規定は性犯罪者にとってありがたいきまり、と揶揄されています。
実際、性犯罪者が日本で性犯罪をおこなっても、余程のことがないかぎりは捕まりません。
いま法務省内で、この刑法の性犯罪規定を改正するための作業が進行しています。

(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

上川陽子法務大臣は先日(2021年9月16日)、法制審議会に対して、暴行・脅迫要件の撤廃などをふくむ以下の10項目の改正を諮問しました。

(2021年9月16日 上川陽子法務大臣 諮問第117号より、引用。)

2021年9月16日 諮問第117号

近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。
     記
第1 相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備

刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

第178条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
——————————————————–

刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
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相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。

——————————————————–

刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
——————————————————–

配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。

(参考。現行刑法)
第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
——————————————————–

性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。

——————————————————–

第2 性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備

より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。

——————————————————–

被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。

——————————————————–

第3 相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処置を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備

性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。

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性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

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(再掲。諮問第117号
2021年9月16日 上川陽子 法務大臣
刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること

(再掲。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

前回にひきつづき、本日も、前段の性犯罪に関する刑事法検討会暴行・脅迫要件、さらには抗拒不能要件についてどのような論議がなされたのかをみていきます。

暴行・脅迫要件の改正に関する論議(その5)
(※その1その2その3その4

2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会
(※

(2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<20ページ>
2020年8月27日 井田 良 座長(中央大学教授)

では、時間の関係もありますので、(177条に関する論議は)ひとまずそのぐらいにして、次は、178条(準強制性交等罪)に関する問題について、御意見ございますでしょうか。

(参考。刑法)
<現在>

第176条

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。

13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

第178条

1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。

2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条(177条)の例による。

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<20ページ>
2020年8月27日 渡邊ゆり 委員(東京地方検察庁検事)

地検の現場で捜査・公判を担当しておりますけれども、178条(準強制性交等罪)抗拒不能という言葉が用いられていまして、しかも、心神喪失と並んで書かれておりまして、実際にその範囲がどうなのだろうなということは、例えば、起訴・不起訴を決める段階などで悩む場合が多いところでございます。
実際に、今回見せていただきました資料を見ましても、178条(準強制性交等罪)についての裁判例でも一審と二審で判断が分かれているといったものも、やはり、178条(準強制性交等罪)の要件の定め方が背景としてあるのではないかなというふうに思います。
例えば、今までお話に出ていますように、薬物、飲酒その他、そういった問題状況列挙するというのも非常に有用な手法かと思いますし、また、そういったものを列挙するときに、一つ現場でやっていて思うことは、薬物だけが原因、あるいは飲酒だけが原因ではなくて、それらの一つ一つの要素が足し算のようになって、問題状況が生じているというところもございますので、そういったことが分かるような要件というのが望ましいのかなというふうに思います。
先ほど、177条(強制性交等罪)が成立しないときは、必ずや178条(準強制性交等罪)が成立するというような御指摘もございましたけれども、

(参考。宮田桂子 委員)
「177条(強制性交等罪)の暴行・脅迫要件を撤廃すべきであるという御議論なのですが、実は、177条(強制性交等罪)が成立しない場合には178条(準強制性交等罪)で救っている、そういうような判決はかなりございます」
「例えば、親から強姦されたということで、177条(強制性交等罪)で起訴されたものについて、どうも子供の方は、特に抵抗も示していないし、暴行・脅迫もなかったという前提で、お父さんが大好きなので、お父さんから嫌われたくないので、そのような行為を受け入れたという形で、178条(準強制性交等罪)の成立を認めた案件もございますし、暴行・脅迫が非常に弱いのだけれども、恐怖心で被害者がフリーズしてしまった、そのような精神状態で抵抗できるわけがないということで178条(準強制性交等罪)を成立させた事例もございます」
「今、お話を伺っておりますと、177条(強制性交等罪)だけの御議論のように聞こえてしまい、177条(強制性交等罪)と、それを補うものとして178条(準強制性交等罪)があるのだというところは、共通認識にしなければならないのではないかというのがまず1点」

「三つ目です。暴行・脅迫要件について、小西委員から、このような事例が有罪にならなかったのだという御指摘がありましたけれども、そこには検察官の立証の問題はなかったのかという視点も必要かと思います。検察官が、被害者がフリーズしてしまうような精神状態について理解し、きちんと立証していれば、177条(強制性交等罪)がもしも成立しなかったとしても、178条(準強制性交等罪)が必ずや成立するはずなのです」
「ですから、条文の問題なのか、立証の問題なのか、その辺のところをもう少し切り分ける必要があると思います」

私の実感としては、起訴時はもとより、公判段階でも、そういうことはないと考えておりまして、178条(準強制性交等罪)について、適正な処罰範囲の在り方とその構成要件の定め方を御検討いただきたいと思っておるところです。

——————————————————–

<20~21ページ>
2020年8月27日 小西聖子 委員(武蔵野大学教授)

先ほど、「177条(強制性交等罪)で救えないものは178条(準強制性交等罪)にいっているはずだ」というふうに宮田委員はおっしゃったのですけれども、実際にそうではないということは私も言いたいと思っています。
例えば、資料14(※非公開)の8ページのところですね。準強制性交等罪の事例の1で挙がっているものですけれども、実は、このケースは、私が直接鑑定をしたケースでございます。
一審では抗拒不能について非常に厳しい考え方がとられていまして、それが二審で覆ったとなっていますけれども、「抗拒不能」についてこういう一審のような考え方が可能なのであれば、とても、性的虐待のケースの実情というか、その人たちの被害について、適切な捉え方はできないと思います。
例えば、一審では、被告人に服従、盲従せざるを得ないような強い支配・従属関係にあったとまでは認め難いというふうに言っているのですが、これは、虐待における被虐待者のコントロールの実態について全く知らない人が言っていることだと思います。
日常生活ができなくなるわけではありませんし、むしろ、被害については非常に過小に表現することこそ、こういう症状の表れなのですね。
この方は、本当に、鑑定の最初のうち、何時間も被害のことや加害者のことを感情と共に語ることがなかったですし、しばらくして初めて、どういうふうに苦しかったかということは言えましたけれども、このような回避的な態度は、性的虐待の被害者に一般的なものです。
そういう中で、抗拒不能というのが絵に描いた餅のような形で考えられている実情があるのだということを、やはりちょっと知っていただきたいと思います。
法律のところまで私は言えませんけれども、こういうケースが実際に起こって、十分に理解がされないまま、判決が下りていることがあることは知っていただきたいと思います。

——————————————————–

<21ページ>
2020年8月27日 宮田桂子 委員(弁護士)

私は、178条(準強制性交等罪)で全部救えると言った覚えはありません。
そもそも178条(準強制性交等罪)で救えるのはどういう案件かといえば、これは、検察官が予備的な訴因として、178条(準強制性交等罪)の公訴事実を提示した場合です。
つまり、検察官が、こういう事実が178条(準強制性交等罪)に当たるという審判対象を設定した場合においては、177条(強制性交等罪)ではなく178条(準強制性交等罪)で、裁判所が有罪を認定できるという問題であります。
ですから、判断について、問題だというときに、そのとき検察官はどのような立証をしたかどのような審判対象を設定したかという問題意識は必ず持たなければならないと思っています。
そして、178条(準強制性交等罪)の抗拒不能というのは、主観的不能であるという説もかなり強い、つまり、当該本人が抵抗できないような状態になってしまう、先ほどのフリーズであるとか、あるいは、それこそグルーミング等も含めて、相当幅広に解釈し得る概念だということなのです。
ですから、これが狭いのだというふうに宣伝されることによって、みんながそういうふうに思い込んでいるけれども、私は、実際の判例等を見ていると、必ずしもそうではないのだということを思っています。
そうではない判決もあるということは間違いありません。
しかしながら、かなり幅広に、きちんと認定している判決もあるということは御指摘申し上げたいと思います。

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<21~22ページ>
2020年8月27日 井田 良 座長(中央大学教授)

私も、177条(強制性交等罪)と178条(準強制性交等罪)というのは、我々が普通に考えている以上に、連続性というのでしょうか、共通性というのでしょうか、そういうものを持っているのではないかという感じがしております。
いずれにしても、議論が尽きないところでございますけれども、時間の関係もございますので、本日のところは、第2の「2」

(参考。検討すべき論点
「〇 強制性交等罪の暴行・脅迫の要件、準強制性交等罪の心神喪失・抗拒不能の要件を撤廃し、被害者が性交等に同意していないことを構成要件とすべきか」

「〇 強制性交等罪の暴行・脅迫の要件、準強制性交等罪の心神喪失・抗拒不能の要件について、判例上必要とされる『被害者の抗拒を著しく困難にさせる程度』を緩和した要件とすべきか」

「〇 強制性交等罪や準強制性交等罪の構成要件として、暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能に加えて、又はこれらに代えて、その手段や状態を明確化して列挙すべきか」

「〇 被害者が性交等に同意していないことについて、一定の行為や状態が認められる場合に被告人側に立証責任を転換し、又はその要件の充足を推定する規定を設けるべきか」

「〇 行為者が、被害者が性交等に同意していないことの認識を有しない場合にどのように対処すべきか」

についての議論はこの辺りで一区切りとさせていただきたいと思います。

文言と、解釈の実際との間にかなり乖離があるのだとか、それから、抗拒困難という言葉自体が、適切とはいえないメッセージを発しているのだというような、非常に貴重な御指摘もありました。
この点については、今日述べられました御意見や、他の論点についての一巡目の検討結果も踏まえて、二巡目の検討で更に深めてまいりたいと思います。

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明日も、性犯罪に関する刑事法検討会における177条(強制性交等罪)と178条(準強制性交等罪)の論議をみてみます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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今年も、AV(アダルトビデオ)スカウトなど、多くのAV業界人が逮捕されました。今年の1月から現在までの逮捕に関する報道をふりかえってみます

今年(2021年)も数多(あまた)のAV(アダルトビデオ)関係者が逮捕されました。
逮捕容疑は、職業安定法違反などです。
今年(2021年)の1月から現在(2021年11月23日)までの逮捕に関する報道をふりかえってみます。

(参考。当ブログ)
<AV業界人の逮捕>
2021年1月31日
2021年3月4日
2021年3月7日
2021年5月20日
2021年9月17日
2021年9月18日
2021年10月27日
2021年10月28日
2021年11月22日

2021年1月28日報道
 ~AVスカウトを逮捕

(2021年1月28日 日テレ「女性につきまといスカウト行為 男4人逮捕」より、引用。)

2021年1月28日 日テレ

(前略。)

警視庁によりますと、****容疑者(36)ら男4人は、去年(2020年)12月、港区・六本木の路上で女性につきまとい、キャバクラやアダルトビデオの出演などの、スカウト行為をした疑いがもたれています。

(後略)

(参考。当ブログ)
2021年1月31日
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2021年3月3日報道
 ~AV制作会社社員を逮捕

(2021年3月3日 テレビ朝日「『AVに使うため』女子高校の卒業式を男が撮影か」より、引用。)

2021年3月3日 テレビ朝日

男は「アダルトビデオに使うために撮影した」と説明しています。
自称・アダルトビデオ制作会社社員、** ***容疑者(26)は1日、東京・北区にある女子高の敷地に無断で侵入した疑いが持たれています。
捜査関係者によりますと、当時、この学校では卒業式が行われていて、**容疑者はこの様子を撮影していました。

(略。)

**容疑者のビデオカメラには20人以上の女子生徒が映っていたということです。

(後略。)

(参考。当ブログ)
2021年3月4日
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2021年3月5日報道
 ~AV制作会社社長、男優らを逮捕


(2021年3月5日 朝日新聞「無修正わいせつ動画をネット配信、不特定多数が閲覧できる状態に」より、引用。)

2021年3月5日 朝日新聞

(前略。)

保安課によると、逮捕されたのは社長の** ***(40)=東京都(略)=、役員の** ***(40)=(略)=、「*****」の名称でAVに出演していた** **(38)=(略)=の3容疑者。
逮捕容疑は、昨年(2020年)12月9日に共謀し、ネット上の動画販売サイト「FC2コンテンツマーケットアダルト」に、自作の無修正のAVをアップロードしたというもの。
調べに対し、**容疑者(役員の** ***)は黙秘し、ほかの2人(社長の** ***と男優の** **)は容疑を認めているという。

(後略。)

(参考。当ブログ)
2021年3月7日
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2021年5月19日報道
 ~AV出演勧誘者を逮捕

(2021年5月19日 東海テレビ「『AVの勧誘受け出演してしまった』と警察に相談…26歳女性をマッサージモデルと偽り勧誘か 47歳男」より、引用。)

2021年5月19日 東海テレビ

去年(2020年)1月、当時26歳の女性をアダルトビデオの出演勧誘したとして、東京都の47歳の男が逮捕されました。
インターネットの掲示板でマッサージモデルと偽って募集していたということです。
逮捕されたのは東京都の無職・****容疑者(47)で、去年(2020年)1月、都内のホテルで名古屋市の当時26歳の女性をアダルトビデオに出演するよう勧誘した職業安定法違反の疑いが持たれています。
 警察によりますと、去年(2020年)8月、女性から「アダルトビデオの勧誘を受けて出演してしまった」などと相談があり、撮影を行ったホテルの予約履歴や防犯カメラの映像などから**容疑者が特定されました。
**容疑者はインターネットの掲示板にマッサージモデルと偽って募集していて、偽名を使って女性と連絡していたということです。

(後略。)

(参考。当ブログ)
2021年5月20日
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2021年9月16日報道
 ~AVスカウトを逮捕

(2021年9月16日 日本テレビ「『日本一フォロワーが多いスカウト』逮捕」より、引用。)

2021年9月16日 日本テレビ

アダルトビデオ出演の仕事をさせると知りながら、女性をAVプロダクションに紹介したとして、スカウトグループの代表の男が逮捕されました。男は自らを「日本一フォロワーが多いスカウト」などとかたっていました。
警視庁によりますと、スカウトグループの代表・****容疑者は、先月(2021年8月)24日、ツイッターで知り合った女性にアダルトビデオ出演の仕事をさせると知りながら、女性をAVプロダクションに紹介した疑いがもたれています。
**容疑者は、ツイッターに6万人あまりのフォロワーがいて、自らを「日本一フォロワーが多いスカウト」などとかたっていましたが、実際には6万人分のアカウントは7万円ほどで購入していたということです。調べに対し、容疑を認めているということです。

(参考。当ブログ)
2021年9月17日
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2021年10月26日報道
 ~AV出演勧誘者を逮捕

(2021年10月26日 産経新聞「『パパ活』女性にAV出演勧誘疑い 男2人逮捕」より、引用。)

2021年10月26日 産経新聞

(前略。)
逮捕容疑は昨年(2020年)7月と11月下旬、共謀し、アダルトビデオに出演させる目的で、当時19歳と24歳の女性2人をそれぞれ勧誘したとしている。
**容疑者らは、デートなどの見返りに金銭を受け取る「パパ活」の相手を探す女性らにマッチングアプリで接触し、報酬を渡す約束で出演を持ち掛けていた。

(後略。)

(参考。当ブログ)
2021年10月27日
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2021年10月27日報道
 ~AVスカウトを逮捕

(2021年10月27日 TBS「スカウトグループ『ビクトリー』 女性にAVや風俗紹介で4人逮捕」より、引用。)

2021年10月27日 TBS

東京・歌舞伎町の路上での声かけや、SNSによる募集で若い女性にアダルトビデオの仕事などを紹介したとして、スカウトの男4人が警視庁に逮捕されました。
職業安定法違反の疑いで逮捕されたのは、静岡県の無職・****容疑者(25)ら4人で、今年(2021年)に入り先月(2021年9月)までの間に、性的な業務であることを知りながら若い女性にアダルトビデオや派遣型風俗店の仕事を紹介するなどした疑いがもたれています。
**容疑者らは「ビクトリー」というスカウトグループで活動していて、歌舞伎町の路上で声かけをしたり、ツイッターで「もうかる仕事紹介します」と呼びかけていたということです。

(後略。)

(参考。当ブログ)
2021年10月28日
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2021年11月20日報道
 ~AV出演勧誘者を逮捕

(2021年11月20日 読売新聞「女性に『AVに興味ありませんか、ギャラ弾みます』と送信…撮影動画の投稿も」より、引用。)

2021年11月20日 読売新聞

宮城県警大和署などは(2021年11月)18日、仙台市宮城野区新田、会社員の男(32)を職業安定法違反と、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列の疑いで逮捕した。
発表によると、男は昨年(2020年)11月、県内の10歳代女性と仙台市内の20歳代女性に「AVの仕事とか興味ありませんか。ギャラはかなり弾みます」とツイッターでメッセージを送信し、AV出演を勧誘した疑い。

(後略。)

(参考。当ブログ)
2021年11月22日
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以上、今年に入ってからのAV業界人の逮捕に関する報道を概観しました。

現在、法務省は、刑法の性犯罪規定を改正するための作業をおこなっています。
2か月前、上川陽子法務大臣は、法制審議会に対して、刑法の性犯罪規定の改正に関する諮問をおこないました。
諮問のなかにはAV出演強要に関係する項目もあります。

(2021年9月16日 上川陽子法務大臣 諮問第117号より、引用。)

2021年9月16日 諮問第117号
第3 相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処置を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備

性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。

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性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

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法制審議会は今後、改正法案の叩き台をつくります。
こちらの行方にも関心があつまります。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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またAVスカウトが職業安定法違反で逮捕されました。「『AVの仕事とか興味ありませんか。ギャラはかなり弾みます』とツイッターでメッセージを送信」したようです

またAVスカウトが逮捕されました。
逮捕容疑は、職業安定法違反です、
2日前(2021年11月20日)の読売新聞の記事を参照します。

2021年11月20日

(2021年11月20日 読売新聞「女性に『AVに興味ありませんか、ギャラ弾みます』と送信…撮影動画の投稿も」より、引用。)

2021年11月20日 読売新聞

宮城県警大和署などは(2021年11月)18日、仙台市宮城野区新田、会社員の男(32)を職業安定法違反と、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列の疑いで逮捕した。

発表によると、男は昨年(2020年)11月、県内の10歳代女性と仙台市内の20歳代女性に「AVの仕事とか興味ありませんか。ギャラはかなり弾みます」とツイッターでメッセージを送信し、AV出演を勧誘した疑い。
(後略。)

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愚かなやつです。
警察は、AV出演を勧誘する輩(やから)に対して、職業安定法での摘発を強化しています。

この事件とは別に、先月(2021年10月)の末、ある男が逮捕されました。
産経新聞の報道をみてみます。

2021年10月28日

(2021年10月28日 産経新聞「『トー横』発信の男、少女と性交し盗撮 児童ポルノ製造容疑で逮捕」より、引用。)

2021年10月28日 産経新聞

16歳の女子高生と性交し、その様子を盗撮したとして、警視庁少年育成課は、児童買春・ポルノ禁止法違反(児童ポルノ盗撮製造)などの疑いで、住居不定、無職の*** **容疑者(21)を逮捕した。

(中略。)

逮捕容疑は、(2021年)4月30日と5月31日、新宿区歌舞伎町のホテルなどで、16歳の女子高生と性交し、その様子を盗撮したとしている。

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AVとは直接関係のない事件のようです。

4日前(2021年11月18日)のことです。
FRIDAY(講談社)は、上述の容疑者に関する情報を仔細に報じました。

2021年11月18日

(2021年11月18日 FRIDAY「21歳無職が逮捕…『トー横界隈』で少女を食い物にした卑劣手口」より、引用。)

<一部分を抜粋>
2021年11月18日 FRIDAY
(警視庁捜査関係者)

「TikTok」などのSNSを介して少女を誘い、ホテルやインターネットカフェに連れ込むのが***容疑者の手口でした。
(2021年)10月に「V」という歌舞伎町のスカウトグループのメンバーが女性をアダルトビデオの仕事などに斡旋したとして逮捕されましたが、***容疑者はこのスカウトグループともつながりがあったとされている。
自身が誘い出した未成年の少女をグループに紹介・斡旋していたと見られています。

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(再掲。FRIDAY)
10月に『V』という歌舞伎町のスカウトグループのメンバーが女性をアダルトビデオの仕事などに斡旋したとして逮捕されました

上述の***容疑者は、「V」こと、ヴィクトリー(ビクトリー)の者たちと関係があったようです。
先月(2021年10月)の事件をふりかえってみます。

(参考。当ブログ)
2021年10月28日

日本テレビ
(2021年10月27日 日本テレビ「女性勧誘しAV出演など紹介か 男4人逮捕」より、引用。)

2021年10月27日 日本テレビ

ツイッターや路上でスカウトした女性にアダルトビデオへの出演などの仕事を紹介したとして、スカウトの男4人が警視庁に逮捕されました。

警視庁によりますと、****容疑者と*****容疑者ら4人は、今年1月から9月にかけて、ツイッターや新宿区歌舞伎町の路上で勧誘した女性に、アダルトビデオへの出演や風俗店での仕事を紹介した疑いが持たれています。

4人はスカウトグループのメンバーで、SNSなどで女性に「もうかる仕事を紹介します」などと言って勧誘していました。
(後略。)

テレビ朝日
(2021年10月27日 テレビ朝日「「もうかる仕事しませんか」AVスカウト4人を逮捕」より、引用。)

2021年10月27日 テレビ朝日

キャバクラ店などで働く女性をターゲットに、SNSでアダルトビデオや風俗店などへの勧誘をしたとしてスカウトの男4人が逮捕されました。

福島県郡山市の風俗店経営者・*****容疑者(31)ら4人は今年1月から9月までの間、SNSで「もうかる仕事しませんか」などと女性を勧誘し、アダルトビデオや風俗店の仕事を紹介した疑いが持たれています。

(中略。)

**容疑者らは、過去にリーダーが摘発されたスカウトグループ「ヴィクトリー」のメンバーでした。

(後略。)

TBS
(2021年10月27日 TBS「スカウトグループ『ビクトリー』 女性にAVや風俗紹介で4人逮捕」より、引用。)

2021年10月27日 TBS

東京・歌舞伎町の路上での声かけや、SNSによる募集で若い女性にアダルトビデオの仕事などを紹介したとして、スカウトの男4人が警視庁に逮捕されました。

職業安定法違反の疑いで逮捕されたのは、静岡県の無職・****容疑者(25)ら4人で、今年に入り先月までの間に、性的な業務であることを知りながら若い女性にアダルトビデオや派遣型風俗店の仕事を紹介するなどした疑いがもたれています。

**容疑者らは「ビクトリー」というスカウトグループで活動していて、歌舞伎町の路上で声かけをしたり、ツイッターで「もうかる仕事紹介します」と呼びかけていたということです。

(後略。)

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(再掲。FRIDAY)
(2021年)10月に「V」という歌舞伎町のスカウトグループのメンバーが女性をアダルトビデオの仕事などに斡旋したとして逮捕されましたが、***容疑者はこのスカウトグループともつながりがあったとされている。自身が誘い出した未成年の少女をグループに紹介・斡旋していたと見られています

警察は、AVスカウトに対する取り締まりを強化しています。

もう一度、当ブログの冒頭で引用した記事を引きます。

(再掲。読売新聞)
男は昨年(2020年)11月、県内の10歳代女性と仙台市内の20歳代女性に「AVの仕事とか興味ありませんか。ギャラはかなり弾みます」とツイッターでメッセージを送信し、AV出演を勧誘した疑い

今年の夏に東京オリンピックが閉幕しました。
警察は依然として、AVスカウトに対する取り締まりをつづける意向のようです。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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暴行・脅迫要件は撤廃されるのか(その4)。「これまでとは違うところに踏み込もうとしているのだというメッセージ性を強く持ったような改正」

日本の刑法は、性犯罪者に対して寛容です。
犯人が余程のことをしないかぎりは無罪となるようになっています。
いま、この悪法を変えるための作業が進行しています。

(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

上川陽子法務大臣は2か月前(2021年9月16日)、法制審議会に対して、刑法の性犯罪規定の改正を諮問しました。
諮問は、10項目に及びます。
内容は以下のとおりです。

(2021年9月16日 上川陽子法務大臣 諮問第117号より、引用。)

2021年9月16日 諮問第117号

近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。
     記
第1 相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備

刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

第178条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
——————————————————–

刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
——————————————————–

相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。

——————————————————–

刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
——————————————————–

配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。

(参考。現行刑法)
第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
——————————————————–

性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。

——————————————————–

第2 性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備

より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。

——————————————————–

被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。

——————————————————–

第3 相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処置を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備

性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。

——————————————————–

性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

——————————————————–

(再掲。諮問第117号
2021年9月16日 上川陽子 法務大臣
刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること

上川陽子法務大臣から諮問をうけた法制審議会は、どのような法案の叩き台を作成するのでしょうか。

(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

本日も、前段の性犯罪に関する刑事法検討会で、暴行・脅迫要件についてどのような論議がおこなわれたのかをみていきます。

暴行・脅迫要件の改正に関する論議(その4)
(※その1その2その3

2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会
(※

(2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<17~18ページ>
2020年8月27日 上谷さくら 委員(弁護士)

今の議論の続きになるかもしれないのですけれども、私もやはり、現行の暴行・脅迫要件というのは、あまりにもハードルが高過ぎるということがあると思っています。
ただ、皆さんおっしゃったように、もちろん、私も同意のない性交というのは違法だと、思っているわけですが、そこから、現在の177条から暴行・脅迫要件を撤廃してしまうということになると、これまでの激しい暴行・脅迫を必要とするものと、それが全くないものが一つの条文の中に入るというのは、少し法律論として雑なのかなという気がしています。
同じ条文なのに、立証方法等が全然違うことになってしまって、それが逆に適用されづらい法律にならないのかという心配と、暴行・脅迫要件撤廃するということになると、刑の下限が相当に下がってくるだろうなというふうに思います。
諸外国の例を見ても、懲役6か月とかになってしまうかもという気持ちもしておりまして、やはり、同意のない性交を犯罪としてきちんと処罰していくためには、むしろ、現在ある暴行・脅迫緩和するとか文言を追加していくというふうに、きめ細かくしていくということによって、被害者救済につながっていくのではないかなというふうに私は考えています。

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<18ページ>
2020年8月27日 井田 良 座長(中央大学教授)

実務家の委員にお聞きしたいのですけれども、暴行・脅迫がないのに被害者の意思に反した場合があるのだということがよく言われるのですが、逆に、現行法の下では、激しい暴行・脅迫を加えられた場合であれば、直ちに犯罪は成立することになりますので、その限りで、暴行・脅迫要件には犯罪の成立を明確化する機能があるとはいえないのでしょうか。
被告人を弁護する側としても、強度の暴行・脅迫が認定されれば、これはお手上げだなと、事実関係を争えないなと、そう考えざるを得なくなるといった、そういう機能はないのでしょうか。

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<18ページ>
2020年8月27日 上谷さくら 委員(弁護士)

私から見れば、これはどう考えても抵抗できない暴行・脅迫ではないかと思われるものが、そうではないという事実認定になっている事案もあると思いますし、なぜこれで抵抗する余地があるのだろうというのが全く理解できないというケースも散見されているところです。

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<18ページ>
2020年8月27日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

(前略。)
日本に堕胎罪があり、堕胎罪があるために、母体保護法を用いて人工妊娠中絶をしなければいけないのに、産婦人科医療の現場では、加害者の同意がないと手術が難しいと言われることが報告されています。

妊娠に対する自己決定権すらない状態で、性的自由、性的自己決定権は、刑法の中でどのように考えられているのかということを、私は余り刑法に詳しくないので、そこも含めた保護法益の議論をしていただければというふうにも思っています。
(後略。)

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<19ページ>
2020年8月27日 佐藤陽子 委員(北海道大学教授)

先ほど、何人かの委員の方から、判例の中で抵抗していなかったことが挙げられているという御主張があったと思います。実際そのとおりだと思うのですけれども、恐らく判例を読んでみると、抵抗していなかったからという単独の理由で無罪にしたという事案はなく、客観的な事情を複数挙げて、抵抗できない状況ではなかったねと。
その上で、抵抗も実際していませんでしたよねという形の駄目押しで使われることが、非常に多くなっているかと思われます。
ただ、この抵抗していませんでしたよねという言葉が、非常に配慮がないというか、誤解を与える表現であるということは間違いないと思いますので、現在の暴行・脅迫イコール抵抗困難という構造が残っている限りは、恐らく判例の中でも、あなた抵抗していませんでしたよねという、ちょっと誤解を与える表現が今後も出てくる可能性があるかと思います。
ですからこの点でやはり、強制性交等罪などが成立するためには、被害者が抵抗しないといけないという理解は違うのだというメッセージを立法によって送る、改正によって送るというのが、非常に重要なのではないかなというふうに考えております。
ただし、不同意につきましては、委員の皆様がおっしゃっているとおり、単独で不同意としてしまうと、今度は不同意にもいろいろありますから、ヒアリングの先生も不同意にはグラデーションがあるというふうにおっしゃっていましたので、そのグラデーションの中で、明らかに黒であるという部分を示せるような何らかの要件というのが、どうしても必要になるのではないかなと考えております。なので、そういうふうな形の議論ができればいいなというふうに考えております。

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<19ページ>
2020年8月27日 金杉美和 委員(弁護士)

刑事弁護の観点から申し上げますと、177条の要件あるいは178条の要件が、被害者と被告人の置かれた状況等によってある程度柔軟に解釈されているので新たな立法の必要性はないのだという論理は分かるのですけれども、それはそれで、要件が曖昧だという点は問題だという認識は持っています。
例えばですけれども、現在の暴行・脅迫要件を撤廃するということには、やはり同意はできません。
177条の法定刑の下限が上げられたということとあいまって、先ほどからも御指摘のありましたように、逆に、重大な犯罪であるがゆえに、起訴あるいは有罪の認定に消極的になるということもあり得るとは思います。
ですので、もし考えられるとしたら、これはもちろん賛成ということではないのですけれども、不同意性交等罪に類するより軽い類型のものを、現在の177条、178条と別に規定をするという方向で、それが可能かどうかという方向で検討するのが適当なのではないかと考えています。
さらに、177条については、判例上必要とされている要件、

(参考。昭和33年6月6日の最高裁判決

その暴行または脅迫の行為は、単にそれのみを取り上げて観察すれば右の程度には達しないと認められるようなものであつても、その相手方の年令、性別、素行、経歴等やそれがなされた時間、場所の四囲(しい)の環境その他具体的事情の如何と相伴つて、相手方の抗拒を不能にし又はこれを著しく困難ならしめるものであれば足りると解すべきである

被害者の抗拒を著しく困難にさせる程度という要件を条文上に例えば書き込んでしまう、そして、不同意性交等罪、もっと軽い類型の中に、被害者の抗拒を著しく困難にさせる程度には至らない程度の暴行・脅迫といったものも含むと。

そして、さらに、不同意が外形的に認識できる状況について、客観的な要件を設けるという方向の検討の方が、刑事弁護の観点からはまだ賛成できるというふうに思います。

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<19~20ページ>
2020年8月27日 和田俊憲 委員(東京大学教授)

これまで各委員の皆様から出てきた御意見を聞くと、それぞれごもっともだというふうに思ってしまって、なかなか自分で明確に、こうだというのがあるわけではないのですけれども、一つは、177条の暴行・脅迫という言葉が、それ自体としてかなり強いイメージを持っていて、そこに加えて、最高裁判例があるものですから、

(参考。昭和33年6月6日の最高裁判決

その暴行または脅迫の行為は、単にそれのみを取り上げて観察すれば右の程度には達しないと認められるようなものであつても、その相手方の年令、性別、素行、経歴等やそれがなされた時間、場所の四囲(しい)の環境その他具体的事情の如何と相伴つて、相手方の抗拒を不能にし又はこれを著しく困難ならしめるものであれば足りると解すべきである

かなり伝統的に、制限的なイメージがついてしまっているということは否定できないと思います。

そうであるにもかかわらず、関係者の不断の努力によって、解釈上かなり、通常の解釈ではあり得ないぐらい、処罰範囲を広げてきているというのが実情だと思いますけれども、それが行き渡っていない、それは裁判の場だけでなく、そもそも被害届を出すかというところから考えてみると、国民の間にどういう範囲が性犯罪になるのかという意識、統一的なものが当然共有されていないという状態になっていると。
これはもう、伝統的な考え方から解釈論によって広げて、何とかカバーしていくという、そういう連続性を持った対応では限界があるということだと思いますので、先ほど佐藤委員からもメッセージという言葉がありましたけれども、やはり条文上明確にこれまでの考え方とはかなり違う処罰を本来すべきなのだと、そういうメッセージが伝わるような条文に、少なくともする必要があるのではないかというふうに思います。
具体的にどういう文言にするといいのか、あるいは、不同意犯罪化するのが一番それは明確なのかもしれませんけれども、それぞれメリット、デメリットは、これまでの委員の先生方御指摘のとおり、いろいろあると思いますので、そこは今後、一巡目に限らず、二巡目、三巡目で詰めて考えていくことになるのだと思いますが、少なくとも、これまでとは違うところに踏み込もうとしているのだというメッセージ性を強く持ったような改正というのが、条文上、求められるのではないかというふうに考えているところです。

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明日も、性犯罪に関する刑事法検討会における暴行・脅迫要件の論議をみてみます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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暴行・脅迫要件は撤廃されるのか(その3)。「『同意のないことの徴表が抵抗である』という言い方そのものに、とても不正確なところがある」

上川陽子法務大臣は2か月前(2021年9月16日)、法制審議会に対して、刑法の性犯罪規定の改正を諮問しました。
諮問は、10項目に及びます。
内容は以下のとおりです。

(2021年9月16日 上川陽子法務大臣 諮問第117号より、引用。)

2021年9月16日 諮問第117号

近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。
     記
第1 相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備

刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

第178条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
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刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
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相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。

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刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
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配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。

(参考。現行刑法)
第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
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性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。

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第2 性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備

より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。

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被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。

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第3 相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処置を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備

性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。

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性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

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(参考。広辞苑)
諮問
意見を尋ね求めること
下の者や識者の意見を求めること

(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

(再掲。諮問第117号
2021年9月16日 上川陽子 法務大臣
刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること

上川陽子法務大臣の諮問をうけて、法制審議会は、改正法案の叩き台づくりを開始しました。
先日(2021年10月27日)、第1回刑事法(性犯罪関係)部会を開きました。
刑法改正が現実のものとなってきました。

本日もひきつづき、暴行・脅迫要件について、前段の性犯罪に関する刑事法検討会でどのような論議がおこなわれたのかをみていきます。

(参考。当ブログ)
性犯罪に関する刑事法検討会での暴行・脅迫要件の論議>
2021年11月18日(その1)
2021年11月19日(その2)

暴行・脅迫要件の改正に関する論議(その3)
(※その1その2

2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会
(※

(2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<13~14ページ>
2020年8月27日 小西聖子 委員(武蔵野大学教授)

小島委員に総括的に言っていただいたのですけれども、

(※注)
昨日の当ブログを参照。

私は、同意のないことの徴表抵抗であるという言い方そのものに、とても不正確なところがあると思いますし、抵抗ができないことがあるということが常識になっているように思えないので、私が実際に鑑定した例なのですが、同意抵抗分かれている例を御紹介したいと思います。

突然見知らぬ男性に室内で性交を迫られて、自分は性交したくないという意思ははっきりしていたが、意識清明のまま、被害の間、体が動かなくなったケースがあります。
性交されてしまったケースです。
詳しく聞くと、体の震え、冷や汗、動悸などが同時に生じていました。
「Tonicimmobility」(トニック・イモビリティ)という概念で説明できる反応です。
本人の意思や意識とは関係なく生じる進化的な起源を持った生物学的な反応といわれています。
司法の過程においては、逃げられそうなのに抵抗しないのはなぜか、という視点でしか捉えられていなかったと思います。
そういう意味では、抵抗同意というのを一つのものとして、少なくとも先ほどから、「徴表」と言われていますけれども、徴表として、ここだけを重要に考えるのは非常に問題があると思っています。
そういう意味では、広い事情を拾うべきだという言い方に私は賛成です。

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<14~15ページ>
2020年8月27日 齋藤梓 委員(臨床心理士)

私も先ほど申し上げたとおり、

(※注)
一昨日の当ブログを参照。

そして、小島委員などがおっしゃっているとおりで、

(※注)
昨日の当ブログを参照。

その人の感情とか意思をないがしろにして、その人の体の侵襲をするというのは心身の侵害で、人生に深刻な影響を及ぼす暴力なので、それが適切に司法で認定されるということを願っているのですね。

つまり、不同意性交というのが適切に罪として認識されることを望んでおります。
ただ、性的同意という概念が浸透していない日本で、なかなか不同意性交という記載のみだと判断が難しいのであれば、ほかの文言を列挙していただくということにも賛同はしております。
委員の方々が今までおっしゃっていたとおり、暴行・脅迫というのは不同意の徴表であるということですけれども、運用に任せているからこそ、一方で幅広に解釈され、一方で被害届が受理されなかったり、不起訴であったりという事案が生じているので、暴行・脅迫ということで、その性交が意思に反するものが明示されるとだけしているということが、やはり問題なのではないかと思っております。
これも、ほかの委員の皆さんもおっしゃっていることですが、性交が意思に反しているならば人は抵抗するはずだとか、その抵抗が抑圧される暴行・脅迫があったなら、抵抗がなかったとしても不同意であるという考えは、やはり、私も臨床に携わっている中で、まだまだそれがずっとあるのだなということを感じています。
小西委員もおっしゃっていたとおり、精神医学とか心理学で明らかになっているとおり、「Tonic immobility」(トニック・イモビリティ)の状態や解離状態というのは、明らかな暴行・脅迫がなくても生じますし、力関係が作り出されて抵抗が抑圧されていくというような状態も、暴行・脅迫がなくても生じます。
人は、本当にたやすく抵抗できない状態になるということを、もっと知っていただきたいですし、それが適切に評価されるような文言になることを望みます。
資料22の不起訴事件の調査資料(※非公開)などを見ますと、確かに、読みようによって、それを犯罪ということが難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、性被害は、そもそも被害者の体験と加害者の認識が大きく異なる被害であるということは、しっかり考えた方がいいと思います。
また、どのような行為が相手を深刻に傷つける性犯罪なのかということが法律で定められていないというのは、加害者も自分の行為が性犯罪であるということを認識できないということにつながります。
それは、非常に問題なのではないかと思うのです。
私は、法律の具体的な文言に全く明るくないので、状態として述べさせていただきたいのですが、暴行や脅迫よりも言葉上程度の軽い脅しとか体を押さえつけるであっても抵抗できなくなりますし、継続的な被害は、そもそも強要された上であっても、一度性交したという事実自体が、その後の被害者の抵抗を抑圧していきますし、だまされるなどして密室に連れ込まれた時点で、抵抗したら危害を加えられると感じて、体が動かなくなるということも普通に生じますし、先ほどの小西委員の例でもあったような、予期していないような言動で混乱し、体が硬直するということもありますし、ドライブだけ、キスだけと思っていたのに、人気のない場所に連れていかれて性交を強要されれば動けなくなりますし、逃げられないと思って抵抗はできなくなります。
飲酒や薬物、睡眠や精神疾患、知的障害、そうしたいろいろなことに乗じたり、巧妙に、グルーミングのように心理的な操作を行う、力関係を作り出す、洗脳するといったこと、あるいはその人の脆弱性とか、様々な意味での立場の弱さとか、あるいは利害関係であるとか、依存を利用した場合など、そもそも抵抗ができなくなるということをきちんと反映していただきたいと思っております。
先ほど、被害者の意思に決定的な位置付けを与えることが負担という御意見もございましたけれども、そもそも現在の日本では、被害者が、自分が被害を受けたということを認識できていないという状態がありまして、そのことがとても大きな問題で、不同意性交は犯罪であるということを知らしめるということは非常に重要なことなのではないかと考えております。

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<15~16ページ>
2020年8月27日 宮田桂子 委員(弁護士)

(前略。)
(略)同意がないということの立証を行うということになりますと、ある程度、こういう場合には同意がないのだという推定規定を置くにしても、一つずつ置いてあるものに対する反証、例えば、被害者がその場で泣いていたというような事情を置くとします。
そうすると、被害者がなぜ泣いていたのかというような、被害者の非常に個人的な事情についても争点になり、争点の拡散が生じるということは間違いないのだろうと思っております。
ですから、同意なき性交罪を作った場合の立証の負担というのは、被害者にあるだけではなくて、争点が拡散していって、訴追する側についても、防御する側についても、非常に難しい問題が生じる場合があり得るのではないかということを指摘したいと思います。
(後略。)

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<16~17ページ>
2020年8月27日 橋爪隆 委員(東京大学教授)

端的な印象を申し上げますと、処罰すべき実態と、それをどのように刑罰法規として規定するかということは、分けて検討する必要があるような気がしております。
すなわち、被害者の意思に反する性的行為重大な法益侵害であり、これら全てを処罰の対象とするという発想自体は全く正当な判断であり、これが議論の出発点をなすことは明らかであるように思います。
もっとも、そのために、どのような処罰規定を設けることが適切か、特に、不同意性交罪を創設することが妥当かについては、更に二つの点について吟味した上で検討する必要があると考えます。
第一点は、仮に、不同意を成立要件としましても、被害者が同意していなかったこと、また、被告人が被害者の不同意を認識していたことについては、刑事裁判で厳格に証明する必要があるということです。

そして、被害者の内心自体を直接的に証明することは困難である以上、実際には外部的・客観的な事実関係から、同意があったか否かを認定する必要が生じます。

現行法の暴行・脅迫要件や抗拒不能要件は、正に、不同意を客観的に推認する要素として機能していたわけです。

したがって、仮に暴行・脅迫要件を撤廃して、不同意を成立要件とするとしても、不同意の事実については厳格な証明が必要であり、そのためには、判断資料となり得る客観的事実を明確化することが必要であると思います。

仮に、先ほどから御指摘がありましたように、暴行・脅迫要件が判断資料としては不十分であるというのであるならば、新たな行為態様を追加する、あるいは、新たな客観的な状況を追加するというアプローチもあり得るのかもしれません。

第二点ですが、不同意という言葉自体が、実は、かなり幅がある概念である点に注意する必要があると思います。

もちろん、相手と性行為を行う意思が全くなかったが、恐怖心から抵抗できず、性交に至った場合のように、同意がなかったことが明らかな事件もあると思います。

もっとも、例えば、被害者が一定の関係性を有する相手から性行為の要求を受けて、悩んだ挙げ句に、最終的には性交を甘受するに至ったような場合については、被害者の心理状態は多様であり、どこまでが不同意といえるかは、実は必ずしも明確ではないように思います。

また、例えば、被害者が錯誤に陥って性行為に応じており、真実を知っていれば性行為に応じなかったという場合については、判例理論に従いますと、被害者の同意は無効であり不同意と扱われることになりそうです。

しかし、例えば、結婚する、あるいは真剣に交際すると偽って、相手をだまして性交した場合について、被害者は錯誤に陥っており、有効な同意がなかったとして、犯罪の成立を肯定することは適当ではないと思われます。

すなわち、仮に、不同意性交罪を設けるとしても、その際には、不同意という文言、心理状態を明確かつ厳密に規定することが不可欠であり、また、今、幾つか申し上げましたようなグレーゾーンの事例に関して、どこまで処罰すべきかという点について、踏み込んだ議論が必要であると考えます。

繰り返し申し上げますが、私は、被害者の意思に反する性行為を罰するというアプローチ自体については、全く異存はございません
しかし、これを処罰するためには、不同意という文言を使えば解決するわけではなく、やはり、被害者の心理状態を明確に規定するか、あるいは、心理状態を徴表する行為態様や関係性等の客観的な要件を明確に規定する必要があるように考えているところです。
今後の議論におきましては、このような観点から、どのような規定ぶりが適切といえるかを検討する必要があると考えます。

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(再掲。諮問第117号
2021年9月16日 上川陽子 法務大臣
刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること

明日も、性犯罪に関する刑事法検討会における暴行・脅迫要件の論議をみてみます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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暴行・脅迫要件は撤廃されるのか(その2)。「被害者に抵抗を求めるような条件を課すことは適切ではない」。「暴行・脅迫なしで性的自由を侵害することが可能」

法務省内において、刑法の性犯罪規定を改正するための作業が進められています。
いま佳境に入っています。

(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

上川陽子法務大臣は先日(2021年9月16日)、法制審議会に対して、暴行・脅迫要件の撤廃などをふくむ以下の10項目の改正を諮問しました。

(2021年9月16日 上川陽子法務大臣 諮問第117号より、引用。)

2021年9月16日 諮問第117号

近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。
     記
第1 相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備

刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

第178条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
——————————————————–

刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
——————————————————–

相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。

——————————————————–

刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
——————————————————–

配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。

(参考。現行刑法)
第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
——————————————————–

性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。

——————————————————–

第2 性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備

より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。

——————————————————–

被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。

——————————————————–

第3 相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処置を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備

性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。

——————————————————–

性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

——————————————————–

(再掲。諮問第117号
2021年9月16日 上川陽子 法務大臣
刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること

(再掲。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

本日も昨日にひきつづき、前段の性犯罪に関する刑事法検討会暴行・脅迫要件の撤廃についてどのような論議がなされたのかをみていきます。

暴行・脅迫要件の改正に関する論議(その2)

2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会

(2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<10~12ページ>
2020年8月27日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

暴行・脅迫要件の撤廃若しくは要件の追加・緩和などを考えるときに、保護法益は何かということも、非常に大きな問題になると思います。
(略。)
不同意は、隠れた構成要件というふうにいわれることもあるかと思うのですけれども、それならば、やはり、不同意を前面に出していただいて、同意なくして性犯罪を犯したということをきちんと処罰していただければと思います。
(略。)
また、暴行・脅迫要件を撤廃するか、緩和するかについては、少なくとも緩和する必要があると思いますし、刃物などの武器で脅された場合の恐怖を考えれば、より重い法定刑にするという議論があってもよいのではないかとも思います。

抗拒不能に関しては、先ほどからも議論に出ていますけれども、あまりにもばらつきが多いとも感じています。
その判断が明確にできるような基準を、構成要件にして定めてもいいのではないかと思います。
(略)
私たちは、加害者の行動が犯罪になるのかを問いたいのであり、被害者に抵抗を求めるような条件を課すことは適切ではないと考えます。
(後略。)

——————————————————–

<12ページ>
2020年8月27日 木村光江 委員(東京都立大学教授)

先ほど橋爪委員がおっしゃっていたように、現行法の暴行・脅迫、あるいは抗拒不能の要件が、同意がないということの徴表だというのは、そのとおりだと思います。

(参考。2020年8月27日 橋爪隆 委員【東京大学教授】)
暴行・脅迫要件は、実際には、被害者の意思に反する性行為であることを明確に認定するための外部的な徴表として機能しているにすぎず、暴行・脅迫要件によって処罰範囲が過剰に限定されているわけではないと考えております

ただ、実際の裁判例を見ますと、委員の方々から御指摘があるとおりで、あまりにもばらつきが多いように思います。

性犯罪は、致傷になりますと、裁判員裁判対象事件になるわけで、そうなりますと、実際の裁判は恐らく、いろいろな事情を拾っているはずなのですけれども、暴行・脅迫の要件だけでそれを裁判員にうまく説明できるかという問題に直面するように思います。

他方で、確かに、不同意であることが一番重要であることは、そのとおりなのですけれども、資料21(性犯罪に係る不起訴事件調査)を拝見すると、同意がないことだけを要件にしますと、むしろ、起訴がかなり難しくなってしまうというような事情もあるのかもしれません。

なので、暴行・脅迫だけではなくて、もう少し広い事情を拾えるような用語として、その中に暴行・脅迫も含めるといった形に改める必要というのは、今後ますます増えるのではないかと思います。

——————————————————–

<12ページ>
2020年8月27日 池田公博 委員(京都大学教授)

不同意性交が、本人の意思に基づかずにその性的自由、性的尊厳、あるいは心身の完全性を侵害するということにおいて当罰性の認められる行為であるというのは、これまでの御指摘に出てきたとおりであろうと思います。

ただ、暴行・脅迫の要件を撤廃して、同意のないことに決定的な意味付けを与えるということにしますと、実際上の問題としては、前回の改正の際に指摘された親告罪であることによって生じていたのと同じ懸念、つまり、処罰にとって決定的な事情があったと述べる立場に置かれる被害者にとって負担となるのではないかという懸念があるようにも思われます。

(略。)

当罰性の認められる行為をどう切り出すかを検討するに当たりまして、同意のない性交を標準として行うこととして、被害時の被害者の意思そのものに焦点を当てるということも、もちろん考えられるわけですけれども、むしろ、この三つ目の「〇」にあるような

(参考。この三つ目の「〇」
〇 強制性交等罪や準強制性交等罪の構成要件として、暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能に加えて、又はこれらに代えて、その手段や状態を明確化して列挙すべきか

不同意を根拠付ける状況、手段、状態の有無を問う形にすることが、今述べたような観点からは適切であるように思います。

現在の暴行・脅迫要件も、木村委員からも御指摘があったように、同意の不存在を明確にうかがわせる客観的な徴表であると位置付けられると考えられますが、その上で、それに限られるものではないということを念頭に検討することが課題になると思います。

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<12~13ページ>
2020年8月27日 小島妙子 委員(弁護士)

私は、最初に申し上げましたように、暴行・脅迫要件を撤廃して、不同意性交罪を設けるということを提案したいと思います。
先ほど山本委員がおっしゃったように、保護法益をどう捉えるのかが重要であり、性的自由や性的統合性を侵害する罪であるとすると、侵害が発生すれば犯罪が成立するという立場でいくべきではないかと思います。
これを実現したのがスウェーデン刑法でありますが、非常に先進的に見えるかもしれませんが、被害者に生じた危害という視点から犯罪を考えていこうということだと思います。
我が国でもセクシュアル・ハラスメントについては、被害者の視点から考えるということになっています。
被害者に生じている法益侵害の側から把握すべきだという価値判断に基づいています。
被害者視点からみるということがグローバルな状況として起こりつつあると思われます。
我が国で暴行・脅迫なきレイプが不正な行為だと評価できるかということになると、抵抗できたはずなのだから不正とはいえないという考え方は、克服されていると思います。
フリーズなどで抵抗できないのは通常の反応であるということが近時の研究で明らかになっております。
当事者の地位・関係性を利用・濫用して性的行為が行われた場合、意に反する行為であっても拒絶できない場合があります。
被害者の抵抗が可能であることを前提とする暴行・脅迫要件は、非現実的な事態を前提としていると思われます。
重要なことは、暴行・脅迫なしで性的自由を侵害することが可能だという事実です。
強制わいせつ罪の成立についての平成29年の最高裁判例も、性的被害に係る犯罪や、その被害実態に対する社会一般の受け止め方が変化しているということを言っておりますし、被害者が受けた性的被害の有無や内容、程度にこそ目を向けるべきだと、被害者側の視点に立つべきだということも言っております。
平成31年の3件の無罪判決とその批判や、平成30年の財務省のセクハラ問題による事務次官の辞任というのは、社会一般の性的被害に対する受け止め方が大きく変化していることを示すものではないかと思います。
我々の社会において不同意性交は不正な行為だと評価されていると思います。
今後の課題としては、任意性、つまり、相手方の性交等に対する同意が自由な任意の意思によりなされたものかどうかの立証に係る手続上の問題点とか、任意性の判断に関する、より一般的な理論が必要になってくるのではないかと思います。
ところで、私どもが不同意性交罪を導入してほしいということを言っているときに、ただ内心の意に反するものを犯罪にするということを言っているわけではありません。
不同意というのは、内心の要素にとどまらず、それを徴表する具体的な行為との関連で判断するアプローチを取らなければいけないと思っております。
そこで、不同意の性交罪については、条文に解釈規定ないし認定基準として、客観的要素を列挙していく必要があります。
様々な立法提案がなされておりますが、威迫や不意打ち、欺罔、偽計、監禁や、抗拒不能についても、飲酒による影響や障害による影響、そういうことを条文に盛り込んで、誰が見ても、誰が執行しても、 性犯罪になる、ならないというのがある程度分かるような形で明示していく必要があります。
故意の問題もあります。
不同意性交罪を設けても、結局、行為者において、被害者の不同意について、故意を有することが必要になります。
構成要件的錯誤というのは、錯誤に陥ったことについて、理由の相当性を問うことなく故意を阻却してしまうことになるので、不同意性交罪だけ設けても、機能しないおそれがあります。
これを回避するような法技術が必要だと思います。
先ほど申し上げた客観的な解釈基準を設けるということや、それ以外にもいろいろ可能性としてはあります。
例えば、相手方の同意の確認を行為者の義務とし、これに反する性交は不同意性交罪にするとか、過失レイプ罪を設けるとか、諸外国の法令や実態に学びつつ、法改正を是非実現していただきたいと思います。

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(再掲。諮問第117号
2021年9月16日 上川陽子 法務大臣
刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること

明日も、性犯罪に関する刑事法検討会における暴行・脅迫要件の論議をみてみます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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暴行・脅迫要件は撤廃されるのか(その1)。「暴行・脅迫要件があることによって、ほとんど同じような事件であるのに運用で差が出てしまう」

先月(2021年10月)の27日、法制審議会の第1回刑事法(性犯罪関係)部会が開催されました。
同部会は、以降、刑法の性犯罪規定の改正について論議します。
最終的には、改正法案の叩き台を作成します。

(参考。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

上述のとおり、上川陽子法務大臣は2か月前(2021年9月16日)、法制審議会に対して、刑法の性犯罪規定の改正に関する10項目の諮問をおこないました。

(2021年9月16日 上川陽子法務大臣 諮問第117号より、引用。)

2021年9月16日 上川法務大臣 諮問第117号

諮問第117号

近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。

     記

第1 相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備

1 刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。

(参考。刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

第178条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

2 刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。

(参考。刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

3 相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。
4 刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。

(参考。刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

5 配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。

(参考。刑法)
第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

6 性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。
第2 性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備

1 より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。
2 被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。
第3 相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処置を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備

1 性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。
2 性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

——————————————————–

(再掲。諮問第117号)
刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること

今回、上川陽子法務大臣がおこなった諮問のひとつに、刑法の177条に規定されている暴行・脅迫要件の改正があります。

(参考。刑法)
177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

上川陽子法務大臣はなぜ、暴行・脅迫要件の改正を求めているのでしょうか。

(再掲。現時点までの流れ)
<刑法の性犯罪規定の改正>

性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会
  ・2021年10月27日 第1回刑事法(性犯罪関係)部会

前段の性犯罪に関する刑事法検討会で、暴行・脅迫要件についてどのような論議がかわされたのかをみてみます。

暴行・脅迫要件の改正に関する論議

2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会

(2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<4~5ページ>
2020年8月27日 小島妙子 委員(弁護士)

私は、暴行・脅迫要件を撤廃して、同意なき性交を処罰の対象とするという立場から、現行法の問題について申し上げたいと思います。
(略。)
また、裁判例を見ると、同意なき性交であることを認めながら、暴行・脅迫要件や抗拒不能要件を欠くとして無罪となったものがあります。

性犯罪の保護法益が性的自由・性的統合性であり、これを侵害すれば犯罪が成立するとするべきだと考えておりまして、強度の暴行・脅迫を手段とすること、抗拒不能を要件とする必要はないのではないか、この暴行・脅迫要件や抗拒不能要件が壁となって、同意なき性交が不処罰とされている現状には問題があり、法改正を要する、と考えております。
(略。)
性行為については、明確な同意を得るべきであり、これを怠った場合のリスクは、同意を曖昧なままにして利益を得てきた者が、主として男性だと思うのですけれども、これが取るべきだと思います。
(後略。)

——————————————————–

<6ページ>
2020年8月27日 齋藤梓 委員(臨床心理士)

(前略。)
今回配布された資料の中で、これでも有罪になるのだなと思うような事案もあれば、これで無罪になるのかと思う事案もあります。

私たちが経験した中でも、大変類似した事件であっても、この事件は有罪になったにもかかわらず、この事件は警察で届出も受け付けてもらえなかったというようなことがあります。

このように、ほとんど同じような事件であるのに運用で差が出てしまうというのは、やはり問題なのではないかと思います。

そのため、暴行・脅迫であるとか、抗拒不能であるとか、地位・関係性であるとか、そういったものがきちんと話し合われて、適切に要件が検討されるということを私は望んでおります。

——————————————————–

<7ページ>
2020年8月27日 宮田桂子 委員(弁護士)

(前略。)
同意なき性交罪の創設という話でございますけれども、各国の同意なき性交罪の構成要件を見てみますと、例えば、このような条件があった場合には同意がないものとみなすというふうな形で、同意なき性交に対する一種の縛りをかけています。

暴行・脅迫要件であるとか、あるいは抗拒不能要件は、例えば被害者の非常に大きな恐怖感であるとか、あるいは被害者がだまされてしまった状況であるとか、そういうようなものの一つの徴表として、一定の縛りをかけるものとして、今まで機能しているものだと思っています。

ですから、同意なき性交という構成要件を作ることによって、本当に処罰範囲が広がるのかどうなのかということも、我々は考えなければならないかと思います。
(後略。)

——————————————————–

<7~8ページ>
2020年8月27日 小西聖子 委員(武蔵野大学教授)

(前略。)
今、驚愕とか恐怖の話を宮田委員がされましたけれども、これまでは、暴行・脅迫の要件として、抵抗があるはず、同意していない者は抵抗するのが普通であって、判決によっては、抵抗しなければ本気ではないのだろうという推論がなされているわけです。

しかし、実態の調査、これは日本では余りありませんが、海外の文献を26文献くらい、少しレビューして調べてみると、例えば、一般の人の中から性犯罪の被害に遭った人を見付けて調べたり、あるいは、司法に関わった方を調べたり、いろいろな調査が行われており、数%から、調査対象によっては90%ぐらいの人が反応ができていない、要するに、自分の意思は、もちろん性交されたくなかったのだけれども、有効に反応ができていないという実態が調査されています。

そういう恐怖や驚愕を感じたときの人の反応をよく分かっていない限り、この問題を実態に合わせて検討するということが難しいのではないかと思います。
(後略。)

——————————————————–

<8~9ページ>
2020年8月27日 橋爪隆 委員(東京大学教授)

私は刑法の研究者ですので、実務の現実の運用について語り得るものではありませんが、研究者としての理解から、判例実務における暴行・脅迫要件の意義について、思うところを申し上げます。
強制性交等罪の暴行・脅迫の意義について、判例は、相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度のものという基準を示しておりまして、これ自体は、暴行・脅迫について、一定の重大性を要求するようにも思われます。

(参考。昭和24年5月10日 最高裁判所 判決文。)

論旨は、『被告人が被害者に暴行脅迫を加えた事実はなく、仮りにそのような事実があつたとしても、被害者が抗拒不能に陥つたという事実は全記録の何処にも発見することができない』と主張しているけれども、刑法第177条にいわゆる暴行又は脅迫相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度のものであることを以て足りる

そうして被告人が被害者にその程度の暴行脅迫を加えたという事実は、原判決挙示の証拠によつて十分立証されている

しかし、その後の判例は、抗拒を著しく困難ならしめる程度の判断については、暴行・脅迫それ自体を単独で評価するのではなく、周囲の状況や従前からの人間関係などの具体的状況を総合的に考慮した上で、被害者の抗拒を困難にする程度といえるかを判断すべき旨を示しています。

(参考。昭和33年6月6日の最高裁判決

その暴行または脅迫の行為は、単にそれのみを取り上げて観察すれば右の程度には達しないと認められるようなものであつても、その相手方の年令、性別、素行、経歴等やそれがなされた時間、場所の四囲(しい)の環境その他具体的事情の如何と相伴つて、相手方の抗拒を不能にし又はこれを著しく困難ならしめるものであれば足りると解すべきである

したがって、暴行・脅迫の程度それ自体ではなく、被害者の抵抗を物理的又は心理的に困難ならしめる事情があったかということが、本罪の成否においては重要であるといえます。
このように、暴行・脅迫要件は、実際には、被害者の意思に反する性行為であることを明確に認定するための外部的な徴表として機能しているにすぎず、暴行・脅迫要件によって処罰範囲が過剰に限定されているわけではないと考えております。
そして、このような理解に従って、実務的な運用が行われているのであるならば、特段の問題は生じないようにも思われます。
もっとも、やはり、現行法は暴行・脅迫という文言を用いており、判例の定義も、相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度という表現を用いております。
したがって、これを限定的・制限的に捉える解釈の余地が全くないわけではありません。
先ほど御指摘がございましたように、もし、現場の判断においてばらつきが生じているのであるならば、それは、現行法が暴行・脅迫という文言を用いていることに起因するところが大きいと思われます。
また、国民一般の視点から見ても、暴行・脅迫要件によって、性犯罪の成立範囲が過剰に限定されているかのような印象を与えることは適当ではないと思います。
このような状況を踏まえますと、仮に、現在の実務の運用において大きな問題がないとしても、暴行・脅迫要件が誤解を与えかねない要件であり、また、ばらつきをもたらしやすい原因となり得ることを踏まえた上で、改正の可能性も含めて、処罰規定の在り方について検討することが必要であると考えます。

——————————————————–

(再掲。橋爪隆 委員)
(判例は)周囲の状況や従前からの人間関係などの具体的状況を総合的に考慮した上で、被害者の抗拒を困難にする程度といえるかを判断すべき旨を示しています
  
したがって、暴行・脅迫の程度それ自体ではなく、被害者の抵抗を物理的又は心理的に困難ならしめる事情があったかということが、本罪の成否においては重要である
  
暴行・脅迫要件は、実際には、被害者の意思に反する性行為であることを明確に認定するための外部的な徴表として機能しているにすぎず
  
暴行・脅迫要件によって処罰範囲が過剰に限定されているわけではない
  
もし、現場の判断においてばらつきが生じているのであるならば、それは、現行法が暴行・脅迫という文言を用いていることに起因するところが大きいと思われます
  
暴行・脅迫要件が誤解を与えかねない要件であり、また、ばらつきをもたらしやすい原因となり得ることを踏まえた上で、改正の可能性も含めて、処罰規定の在り方について検討することが必要であると考えます

明晰な論理展開です。
明日も、性犯罪に関する刑事法検討会における暴行・脅迫要件の論議をみてみます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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