先月、上川陽子法務大臣は、法制審議会に対して刑法の性犯罪規定の改正を諮問しました(その9)。地位・関係性を利用しておこなわれる性犯罪④

4年前(2017年)のことです。
刑法の性犯罪規定が改正されました。
110年ぶりの大改正でした。

(参考)
2018年10月22日
 NHK
 性犯罪に関する刑法~110年ぶりの改正と残された課題

よろこばしい反面、踏み込まれなかった領域も多々あります。

(参考)
2021年3月6日
 ハフポスト
 なぜ、性犯罪の刑法改正が必要なの? いま知ってほしいこと、わかりやすく解説

法務省は昨年(2020年)、同省内に、性犯罪に関する刑事法検討会を設置しました。
性犯罪に関する刑事法検討会は、積み残された問題に対する論議を開始しました。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第5回(2020年8月27日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第6回(2020年9月24日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第7回(2020年10月20日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第11回(2021年1月28日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開・・・AV出演強要についても論議
第14回(2021年3月30日)※議事録公開
第15回(2021年4月12日)※議事録公開・・・取りまとめ報告書(案)
第16回(2021年5月21日)※議事録公開・・・取りまとめ報告書

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今年(2021年)の5月21日、性犯罪に関する刑事法検討会は、上川陽子法務大臣に対して、取りまとめ報告書を提出しました。
これを受けて上川大臣は、3か月後、法制審議会に対して、刑法の性犯罪規定の改正を諮問しました。

法務省内
<刑法の性犯罪規定の改正に向けて>

性犯罪に関する刑事法検討会で、改正の有無を審議
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会

(参考。当ブログ。性犯罪に関する刑事法検討会で出された意見と、上川陽子法務大臣の諮問)

<上川陽子法務大臣問がおこなった諮問>
2021年10月13日(1)
2021年10月19日(7)

<AV出演強要に関して(於;性犯罪に関する刑事法検討会)>
2021年10月14日(2)・・・3名の委員(東大教授、東大教授、京大教授)の意見
2021年10月15日(3)・・・齋藤梓委員、山本潤委員の意見
2021年10月16日(4)・・・小島妙子委員の意見

<「地位・関係性」を利用した性犯罪について(於;性犯罪に関する刑事法検討会)>
2021年10月17日(5)・・・齋藤梓委員、 上谷さくら委員、小島妙子委員の意見
2021年10月18日(6)・・・齋藤梓委員の意見

<「地位・関係性」を利用した性犯罪について(於;国会)>
2021年10月20日・・・自民党の大岡敏孝衆議院議員の質疑

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本日も、「地位・関係性」を利用した性犯罪に関する意見をみてみます。
2021年2月16日の第12回性犯罪に関する刑事法検討会で、金杉美和委員は、以下の発言をしました。

2021年2月16日 第12回性犯罪に関する刑事法検討会

地位・関係性を利用する罰則の在り方(三巡目の論議)

(2021年2月16日 第12回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<27~28ページ>
2021年2月16日 金杉美和 委員(弁護士)

やはり地位・関係性を利用する罰則を、その地位・関係性を特別に類型化してそれを利用してという形にすることは難しいという問題意識は皆さんと共通です。

私自身もセクハラの被害者側の民事事件にたくさん携わっていますし、これは本当に許されないと思っています。

ただ、刑法で犯罪として規定するということになると、やはり立証の問題ですとか、いろいろな問題が出てきて難しい。

特別のそういう地位・関係性の利用・濫用、上司と部下、起こりやすい類型というのを、監護者性交等以外に類型化することも難しいと思います。

かつ、意思のみに係らしめる地位・関係性の利用というところを主観的な要件だけで立証していくというのは、やはりなかなか難しいのだろうと思っています。

ですので、私の意見は、本日の四つ目のテーマの暴行・脅迫要件のところとも絡むのですけれども、現状において、暴行・脅迫や著しく抵抗を困難にしたかどうか、あるいは刑法178条(準強制性交等罪)の抗拒不能にしたかどうかということは、具体的な加害者と被害者の関係性ですとか、地位の上下ですとか、そういったことを考慮して、実際にはそれほど強度な有形力の行使でなかったとしても、この関係性にあっては抵抗することが著しく困難だという認定を行っていて、刑法177条、あるいは176条(強制わいせつ罪)の暴行・脅迫の要件が柔軟に解釈されているという問題が従前から指摘されていると思います。
私は、そこと絡めてなのですけれども、一段階軽い類型としてそういう処罰の類型を作るということを考えています。

具体的には、以前から申し上げていたとおり、威力または威迫を用いて、明示した意思に反して性交等を行った場合とわいせつ行為を行った場合というのを、例えば、その法定刑を性交等の場合は7年以下、わいせつ行為の場合は5年以下など、一段階軽い類型で規定するということです。

こういう軽い類型を設けた場合に、今、著しく抵抗を困難にしたとまではなかなか言いづらいけれども、例えば、先ほどの、お給料を上げるだとか、あるいは、もし応じなければ会社での立場がどうなるか分かっているのだろうねというような言動があった場合に、その具体的な関係性の中では威迫に当たるというように認定をされて、その一段軽い類型の犯罪に該当していくということはあり得るのだろうと思っています。
関係性に着目するのではなくて、加害者の側からどのような威力又は威迫に該当するような具体的な行為が行われたのかということに着目して、そこに主観的な要件を絡めていくという規定の在り方の方がいいのではないかと思っています。

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<28ページ>
2021年2月16日 井田良 座長(中央大学教授)

確認ですけれども、例えば、「首にするぞ」などと言った場合は、現行法でも刑法177条、178条の問題になるのではないでしょうか。
新たな類型で軽い類型となるものではないのではないですか。

(参考。刑法)
177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

178条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条(強制わいせつ罪)の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条(177条)の例による。

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<28ページ>
2021年2月16日 金杉美和 委員(弁護士)

今の、「首にするぞ」と言った場合は、おっしゃるとおり脅迫に当たると思いますけれども、そこまで明確で分かりやすい言動はないけれども、それを威迫的に感じるという場合はあり得るだろうと思います。

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<28ページ>
2021年2月16日 井田良 座長(中央大学教授)

もう一段ランクが下の、プレッシャーの程度が軽いということですかね。

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<28ページ>
2021年2月16日 金杉美和 委員(弁護士)

そういうイメージです。

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性犯罪に関する刑事法検討会
  ※2021年5月21日 取りまとめ報告書を提出
上川陽子法務大臣
  ※2021年9月16日 諮問
法制審議会

先月(2021年9月)の16日、上川陽子法務大臣は、法制審議会に対して、刑法の性犯罪規定の改正を諮問しました。
上川大臣は今回、以下の10項目に及ぶ諮問をおこないました。
諮問の内容を確認します。

上川陽子法務大臣がおこなった諮問の内容

(2021年9月16日 上川陽子法務大臣 諮問第117号より、引用。)

2021年9月16日 諮問第117号

近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。
     記
第1 相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備

刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

第178条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
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刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
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相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。

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刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。

(参考。現行刑法)
第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
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配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。

(参考。現行刑法)
第177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
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性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。

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第2 性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備

より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。

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被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。

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第3 相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処置を確保し、その画像等を確実に剥奪できるようにするための実体法及び手続法の整備

性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。

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性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。

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(再掲。金杉美和委員)
一段階軽い類型としてそういう処罰の類型を作るということを考えています
こういう軽い類型を設けた場合に、今、著しく抵抗を困難にしたとまではなかなか言いづらいけれども、例えば、先ほどの、お給料を上げるだとか、あるいは、もし応じなければ会社での立場がどうなるか分かっているのだろうねというような言動があった場合に、その具体的な関係性の中では威迫に当たるというように認定をされて、その一段軽い類型の犯罪に該当していくということはあり得るのだろうと思っています

(再掲。2021年9月16日 上川陽子法務大臣)
相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること

「地位・関係性」を利用した性犯罪は、現在、野放しになっています。
「地位・関係性」を利用した性犯罪が処罰されることを切望します。

明日も、上川陽子法務大臣がおこなった諮問の内容についてみていきます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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