法制審議会における刑法の性犯罪規定改正の審議(その10)。2016年9月12日の総会で、「要綱」(※現在の刑法の性犯罪の規定)が承認されました②

先日来、現在の刑法の性犯罪規定は、どのような経過をたどって改正されたのかをふりかえっています。

(参考。当ブログ)
<前回(2017年)の刑法改正時における法制審議会の審議>
2021年9月30日(その1)
2021年10月1日(その2)
2021年10月2日(その3)・・・要綱(※現在の刑法の性犯罪の規定)策定①
2021年10月3日(その4)・・・要綱(※現在の刑法の性犯罪の規定)策定②
2021年10月4日(その5)・・・要綱(※現在の刑法の性犯罪の規定)策定③
2021年10月7日(その6)・・・要綱(※現在の刑法の性犯罪の規定)策定④
2021年10月8日(その7)・・・要綱(※現在の刑法の性犯罪の規定)策定⑤
2021年10月9日(その8)・・・要綱(※現在の刑法の性犯罪の規定)策定⑥
2021年10月10日(その9)【総会で決議①】

昨日にひきつづき、本日も、当時の法制審議会の総会における審議状況をみてみます。

2016年9月12日 法制審議会 第177回会議
(※

(2016年9月12日 法制審議会 第177回会議 議事録より、引用。)

<6ページ>
2016年9月12日 高橋宏志 会長(中央大学法科大学院教授)

御報告ありがとうございました。

では、ただいまの御報告及び要綱案の全般的な点につきまして御質問及び御意見を承りたいと存じます。

御質問と御意見を分けまして、まず御質問がございましたらいかがでしょうか。

それでは、御意見の方を承りたいと存じます。

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<6ページ>
2016年9月12日 神津 里季生 委員(日本労働組合総連合会会長)

今回の改正の方向性については、おおむね賛成できるものと考えております。

その上で、連合として従来から政策全般の中で持っている考え方に照らしながら若干の意見を申し述べさせていただきたいと思います。

今回の改正に関する議論の途上では、配偶者間の強姦罪の明文化や、暴行・脅迫要件の緩和などが議題となりつつも要綱には入らなかったわけであります。

配偶者間の強姦や暴力が暴行・脅迫要件によって訴えが退けられてしまう例が多いことは引き続き課題であると考えます。

特に暴行・脅迫要件については、被害者の抵抗の有無に立証の焦点が当たり、抵抗するのもままならない状況、あるいは教師やクラブコーチなどの立場を利用した場合などが看過されているとともに、立証過程そのものが様々な意味での二次的被害を引き起こす側面があることも忘れてはならないのではないかと思います。

今回の改正自体が1907年に作られた刑法の抜本改正になると聞いておりますが、こうした課題が残る中で、次の改正が100年後といったことにならないよう、改正案成立の際には、施行後の現場の実態を多方面からよく注視し、被害者の声が十分に反映される形で見直しを図るようお願いをしたいと思います。

また、改正案要綱に関連して、性暴力被害者のプライバシーの保護の観点から、捜査公判過程や被害者の権利としてのレイプシールドの必要性など十分な関連法制度の検討が望まれると思います。

また、性暴力を根絶するために、性暴力被害者の相談支援体制を充実させ、暴力を許さない社会の形成、あらゆる性暴力は犯罪であるという社会認識の徹底、法曹三者を含めた意識啓発や情報の周知についても一層取り組むべきであると考えております。

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<6ページ>
2016年9月12日 高橋宏志 会長(中央大学法科大学院教授)

事務当局からお答えいただけますか。

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2016年9月12日 加藤俊治 関係官(法務省 大臣官房審議官)

ただいまの神津委員からの御意見・御指摘は、御指摘のあったとおり、部会あるいはそれ以前の性犯罪の罰則に関する検討会で取り上げられた事項でございます。

(参考。法務省 性犯罪の罰則に関する検討会
第1回(2014年10月31日)
第2回(2014年11月21日)
第3回(2014年11月28日)
第4回(2014年12月24日)
第5回(2015年1月29日)
第6回(2015年2月12日)
第7回(2015年2月27日)
第8回(2015年3月17日)
第9回(2015年4月24日)
第10回(2015年5月28日)
第11回(2015年7月10日)
第12回(2015年8月6日)

(参考。法務省 法制審議会)
刑事法(性犯罪関係)部会
第1回(2015年11月2日)
第2回(2015年11月27日)
第3回(2015年12月16日)
第4回(2016年1月20日)
第5回(2016年3月25日)
第6回(2016年5月25日)
第7回2016年6月16日)・・・要綱が取りまとめられる

委員の御指摘につきましては御意見として承り、事務当局として承知させていただきます。

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<6~7ページ>
2016年9月12日 小杉礼子 委員(独立行政法人労働政策研究・研修機構特任フェロー)

私は研究者として若い女性の貧困問題などにも最近関わっておりまして、その中でやはり貧困女性というのは性暴力被害に遭うことが度々あるというようなことが分かってきました。

中には性暴力被害に遭ったことがトラウマになって、男性のいる職場では働けなくなったりとか、そういったことも起こっておりますので、今回の非親告罪化されたり、あるいはその監護者であることの影響力がきちんと条文化されるというのは大変好ましいことと言いますか、こうした問題に対しても少しプラスの影響を与えるのではないかなと大変期待しているところです。

その上で一つ、今、神津委員の方からありましたことの中の一つなのですけれども、是非もう少し踏み込んでほしいなと思ったところが1点ございます。

これは感想ということでお話しさせていただきたいのですが、強姦罪の暴行又は脅迫を用いてという文言についてです。

暴行又は脅迫と言われても、一般にはその程度がどんなものかよく分からない、この条文からでは普通は分からないと思います。

暴行罪における暴行とかあるいは強姦罪における暴行・脅迫と同じような言葉を使われておりますけれども、実態と言いますかその行動態様というのは多分違いがあるのだろうと思うのですね。

ところが、私たち一般にはその言葉の違いというのがどの程度違うのかというのがよく分かっていません。

できれば、その暴行・脅迫の例示的な形で、威嚇とか強制とかあるいは威力によってとか何かその程度がある程度分かるような文言が入っていれば暴行罪の暴行とは違うのだなとか、そのレベルが一般にも分かるような文言が入っていれば分かりやすくなるのではないでしょうか。

分かりやすくなるということは犯罪の抑止にもつながると思うので、できれば先ほど神津委員の方から、今後実態に即してもう一度考えてほしいという、その辺を検討してほしいというお話がございましたけれども、是非今後その辺りについても考えていただければと思います。

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<7ページ>
2016年9月12日 高橋宏志 会長(中央大学法科大学院教授)

御意見伺いました。

ほかに御意見いかがでしょうか。

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<7~8ページ>
2016年9月12日 井上正仁(早稲田大学大学院教授)

部会の方で非常に精力的に調査審議を重ね、意見をまとめていただいたことに感謝申し上げます。

山口部会長の方から御報告がありました趣旨、内容とも、全体として賛意を表させていただきたいと思います。

1点だけ、性犯罪を非親告罪化するということについて、若干コメントさせていただきますと、先ほど山口部会長が言われたように、従来、この制度は被害者の保護のための制度であると言われてきましたし、私も長年、大学で何の疑問も持たずにそういうふうに教えてきました。

けれども、ここ十数年、犯罪被害者等基本法等ができる前後からこういう問題にも関わって、被害者の方や支援団体の方の御意見を伺ったりして、実態はちょっと違うということに気付きました。

先ほど御報告があったように、性犯罪の被害を受けてその後も非常に苦しんでおられる、つらい状況にある被害者の方々が、刑事事件として取り上げてもらえるかどうかは、自分たちが決めなければいけない。
そういう選択を迫られることがまた苦痛を増加させるのだという声を随分伺いました。

同時に、被害者の方たちは、自分たちが特に申し出ない限り取り上げてもらえないというのは、社会から見放され、社会は、大したことではないと見ているのではないか。
そのような感を非常に強く持たれるということを知りました。

そういうことで、制度が設けられた当時の状況がどうであったかは別として、少なくとも今日の時点では、どうも、従来、立法趣旨とされてきたことは、立法関係者ないし法律関係者のやや一方的な思い込み、あるいは思い過ぎになってしまっているのではないかと反省させられたわけです。

その意味で、今回の非親告罪化の方向性には賛成する次第です。

ただ、従来、立法趣旨として言われてきたような、被害者の方の意向にかかわらず事件として取り上げ、公の裁判の対象とすると、被害者の名誉やプライバシーを一層傷つけることになってしまうという懸念が全く理由のないものになったというわけでもないわけで、実際、被害者の方々の中でもそういう心配をされる方もおられるわけですから、やはり配慮を欠くような捜査や公訴権の行使は極力避けなければならないことに変わりはありません。

非親告罪化するとしても、その面の配慮は尽くしていただかなければいけないと思います。

部会長の報告の中で触れられましたように、昔に比べ今では、被害者の方々に対する配慮あるいはバックアップの体制というのは制度的にも運用上もかなり進んできたことは確かですし、また検察当局の方からも、十分配慮した運用をするという表明があったということで、そのとおりやっていただけると思うのですが、問題は、親告罪でなくなってしまってかなり時間が経つと、こういう経緯が忘れられてしまい、たくさんの方が捜査や訴追の現場で働いておられますので、ややもすれば配慮を欠くような扱いが出てくるというおそれもなしとしないように思います。

ですから、警察や検察当局におかれては、教育とか運用上この点について、常に周知を図るという態勢を継続してとっていただきたい。
そのことをお願いしておきたいと思います。

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<8ページ>
2016年9月12日 加藤俊治 関係官(法務省 大臣官房審議官)

御意見ありがとうございました。
今回の法改正がこの部会の要綱(骨子)に沿ってなされた場合には、その趣旨につきましては御指摘のあったような周知に努めるようにいたしたいと存じます。

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この論議のつづきは、明日のブログでみてみます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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