【法制審議会へ刑法改正の諮問⑧】かつて原田隆之 筑波大学教授が刑法改正の検討会で述べた意見(その3)。「性犯罪に至る前に、それなりの人間関係をある程度作った上で」

2021年9月10日(金)

11日前(2021年9月10日)のことです。
上川陽子法務大臣は、刑法の性犯罪規定の改正について、法制審議会へ諮問する意向を示唆しました。

(2021年9月10日 毎日新聞 性犯罪規定の見直し、法制審で議論へ 「不同意」処罰や時効撤廃などより、引用。)

<一部分を抜粋>
2021年9月10日 毎日新聞

上川陽子法相は(2021年9月)10日の閣議後の記者会見で、性暴力被害の実態に応じた法制度の見直しを、(2021年9月)16日の法制審議会(法相の諮問機関)の総会で諮問する方針を明らかにした

(参考。当ブログ)
<上川陽子法務大臣は刑法改正を諮問する意向を表明>
2021年9月11日(その1)
2021年9月12日(その2)
2021年9月14日(その3)
2021年9月15日(その4)

同日(2021年9月10日)、筑波大学の原田隆之教授は、法務大臣の諮問に関して、以下のツイートをしました。

(2021年9月10日 原田隆之教授のツイートより、引用。)

2021年9月10日 毎日新聞

私も昨年(2020年7月9日)、加害者の「治療」に携わる立場として、この件で法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」に呼ばれ、意見を述べてきました。

性犯罪規定の見直し、法制審で議論へ 「不同意」処罰や時効撤廃など

原田教授は、昨年(2020年)の7月9日、3回目の性犯罪に関する刑事法検討会へ出席して、意見をのべました。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録公開

第15回(2021年4月12日)※議事録公開

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

第16回(2021年5月21日)※議事録公開

2021年5月21日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書

(再掲。2021年9月10日 原田隆之教授)
私も昨年(2020年7月9日)、加害者の「治療」に携わる立場として、この件で法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」に呼ばれ、意見を述べてきました

(参考。当ブログ)
第3回性犯罪に関する刑事法検討会における原田隆之教授の意見>
2021年9月16日(その1)
2021年9月20日(その2)

本日もひきつづき、同検討会における原田隆之教授の所論を参照します。

2020年7月9日 第3回性犯罪に関する刑事法検討会

原田隆之 筑波大学教授「性犯罪者の現状」③
(※|)

(2020年7月9日 第3回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<21~22ページ>
2020年7月9日 齋藤梓 委員(臨床心理士)

原田先生、今日は本当に貴重なお話をありがとうございました。
1点お伺いしたいのですけれども、先ほど加害者は被害者について、未成年者であるとか、マインドコントロールしやすそうな相手であるとかを選んでいるというお話がありましたが、これは、加害者は、自分がその人を利用しやすそうだと思って意識的に選んでいるのか、それとも、余り意識していないけれども、結果的にそういう人たちを選んでしまうのかというのは、どちらになるのでしょうか。

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<22ページ>
2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

ありがとうございます。

これも、やはり性犯罪者の多様性ということになるかと思いますけれども、例えば、痴漢をするような人は、周りにたくさん人がいる場面でやるわけですから、なかなか発覚しそうにない相手、おとなしそうな人、制服を着ている学生さんのような人を、やはり、意識的に選ぶということが多いかと思います。

性犯罪者と接したときに、その者から言われるのは、やはり、「自分の好みの相手がいた。」とか、「おとなしそうな人がいたから。」というふうな、これは無意識的にではあっても、やはり、何らかの選択をしているのだろうということで、ただ、もちろん無意識的にという場合もありますけれども、やはり、多くの場合は、何らかの選択ということが働いているし、ここで関係作りということを申しましたけれども、

性犯罪に至る前に、言葉は悪いですけれども、そのターゲットを定めて、そして、いきなりというわけではなくて、それなりの人間関係をある程度作った上でということもかなりあるかと思います

ので、多くのケースにおいて、こういうふうな、無意識的にではあるかもしれませんが、被害者の選択ということはなされているのではないかなというふうに考えます。

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<22ページ>
2020年7月9日 宮田桂子 委員(弁護士)

どうもありがとうございました。
1つ質問させていただきます。
認知のゆがみのパターンについて御説明をいただきました、情緒的に非常に問題があるタイプについて、感情が動かない、共感性の欠如、あるいは表情を読み取れないという原因として考えられるもの、先生のレジュメの中には、大脳辺縁系の扁桃体の機能異常ということを書かれていましたけれども、私たちが弁護をやっていて感じるのが、発達障害、知的障害があるケース、あるいは加害者自身が虐待を受けるなどして、共感性が非常に乏しくなってしまっているケースを見たりするのです。
認知のゆがみで、本心からそう思っているタイプの認知のゆがみが生じる原因について、もう少し詳しく教えていただければと思い、質問させていただきました。

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<22ページ>
2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

これも、やはり、今、先生も幾つか列挙されたように、非常に多様であると思います。
一番重いケースを私は申し上げたのですけれども、これは、ある程度生来的なものになりますが、あるいは、虐待とかそういったところでも生じるかと思いますけれども、大脳辺縁系の機能異常ということですね。
これは、一番重いケースであって、そうではなくても、例えば、その本人が生育していく中で、孤立していて人との深い接触がないという場合にも、なかなか表情を読み取れない、共感性が育たないということもあります。
ですから、これも本当にグラデーションみたいな形になっておりまして、一番重いのが、そもそもの脳の機能障害があるというタイプで、そこから、いろいろ、発達障害の方であったりとか、あるいは、病的なものはないけれども、非常に対人関係が苦手で人との接触がなかったからそれが育たなかったという、いろいろな原因なり、パターンなりがあるかと思います。

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<22~23ページ>
2020年7月9日 金杉美和 委員(弁護士)

本日はありがとうございます。
1点質問です。
性犯罪の重罰化や、あるいは、これまで刑罰とされていなかった行為が刑罰化されるということに抑止力があるかどうかという観点から、教えていただきたいと思います。
加害者が発覚を恐れて、加害行為を成功させるために様々なことを行うというお話がありましたけれども、その発覚を恐れるという部分に、刑罰を受けることを恐れてという意識が加害行為の当時に加害者にあるのかどうか、先生が臨床の経験の中で、その点を意識されているな、あるいは平成29年(2017年)の改正によって刑が重くなった、だからますますやめないといけないのだというようなことがあったかどうか、その点についてお聞かせいただけますでしょうか。

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<23ページ>
2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

これも、やはり、グラデーションがあるといいますか、やはり、一番重い、非常に心理的な問題の大きな人は、もちろん頭の中で分かっていても、自分は大丈夫だというふうな、これも一種の認知のゆがみですけれども、見つからないだろう、うまくやれば大丈夫だろうということで、非常に刑というものを軽く考える。
なかなか発覚しないだろうと。
発覚を恐れていろいろなことはやるのですけれども、それでも発覚しないだろうという、非常に悪い意味の楽観性みたいなものが、やはり、問題性が大きくなるほど強くなるかと思います。
ですから、こういう人ほどなかなか抑止力というものが効きづらいという面も、残念ですが、あるかというふうに思います。

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<23ページ>
2020年7月9日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

貴重なお話をありがとうございました。
資料の15ページの認知のゆがみのパターンについてお伺いしたいと思います。
本心からそう思っているタイプで、相手の意図を理解できない場合、加害者は同意だと思っている、それが、加害者の誤解であっても、加害者は本心からそう思っていて、被害を受けた人にとっては全く同意もなく強制されているものとして扱われたというようなことである場合、たとえ裁判にかけられて有罪になったり無罪になったりしても、本人の中では認識は変わらない、変わり続けられないものなのか、それとも、裁判や治療教育などの結果、認識が変わっていく可能性があるのかということについて、お伺いしたいと思いました。

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<23ページ>
2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

やはり、先ほどから申し上げているようなグラデーションの一番重いタイプ、この人たちは、例えば、反社会性パーソナリティ障害であったり、サイコパスというふうな、そういう診断もつくようなタイプの人であれば、なかなか今おっしゃったような問題性の変容というものは、現時点では非常に難しいという現状がございます。
ただ、そういった人たちは数としては極めて少ないので、それ以外の人、先ほど発表の中では飛ばしてしまったのですけれども、例えば、共感性とか表情を読み取るスキルというものは、ある程度、教育は可能です。
ですから、これも今日お話しできなかったところですけれども、刑罰に加えて、刑務所の中、あるいは、外に出てから、何らかの治療を施すということ、それによってこの本人の問題性をなくしていかなければ、なかなか再犯というものは防止できないというふうに、私はかねがね考えております。
その点で、非常に問題性が重い一部の人を除けば、この問題性の改善というものは、時間はかかるケースもありますけれども、ある程度はできるのではないかというふうに思います。

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<23ページ>
2020年7月9日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

ありがとうございます。加害者にとって、性加害が利益のある行動であるうちは、なかなかその行為を手放すことが難しいかなと思いました。
出所した後の治療や、見つかった後の治療が大事ということは、そこで、性加害行動を手放した方がよいという加害者にとってのベネフィットが与えられ続けていくことが重要ということで理解してもよろしいでしょうか。

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<23ページ>
2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

そうですね、おっしゃるとおり、本人の中の価値観であったりとか、そのベネフィットと、プラスとマイナスのいろいろな価値の構造を変えていくということが、非常に重要になってくるかと思います。

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<23~24ページ>
2020年7月9日 上谷さくら 委員(弁護士)

分かりやすいお話、ありがとうございました。
先生に頂いたスライドの17枚目なのですけれども、

犯行パターンが4つあるのですが、まず、この4つで、下に向かっていくに従って治療が難しいという理解でいいのかというのが1点と、それぞれのパターンについて、割合ですね、何々型は大体何%というのがもし分かれば、教えていただきたいと思います。

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<24ページ>
2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

そうですね、下に向かって行くほどというふうな、きれいなグラデーションではないのですけれども、大きく分けて上の2つは、本人の中にも問題性が理解できて、そして、治療に対するモチベーションというものも湧きやすく、下の2つは、難しいタイプであり、この2つの中では、一番下のが、やはり、一番問題性も大きくて、それを改善することも難しいと思います。

割合ということについては、ちゃんとした数字に分けて検討したデータがありませんので、なかなか一概には申し上げられません。
やはり、問題性が大きい人は、先ほども少し言いましたけれども、割合にしては、それほど多くないという程度のことしか、今のところは、具体的なデータがありません。

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<24ページ>
2020年7月9日 井田 良 座長(中央大学教授)

それでは、時間もまいりましたので、これで終わりとさせていただきたいと思います。
原田先生には、本日、お忙しいところ、私どもにとって大変示唆に富むお話を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。
お話しいただいた内容につきましては、今後の議論で大いに活かしていきたいと思っております。
検討会を代表して重ねて御礼を申し上げます。
ありがとうございました。

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(再掲。2021年9月10日 原田隆之教授のツイート

私も昨年(2020年7月9日)、加害者の「治療」に携わる立場として、この件で法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」に呼ばれ、意見を述べてきました。

いよいよ不同意処罰に関して一歩前進です

性犯罪規定の見直し、法制審で議論へ 「不同意」処罰や時効撤廃など

このツイートの6日後(2021年9月16日)、上川陽子法務大臣は、正式に諮問をおこないました。

2021年9月16日(木)

(2021年9月16日 朝日新聞 性交罪の要件拡大を議論、時効の延長も 法制審に諮問より、引用。)

2021年9月16日 朝日新聞

性犯罪を適切に処罰できるようにするため、上川陽子法相は(2021年9月)16日、刑法や刑事訴訟法の規定のあり方について法制審議会に諮問した

(再掲。原田隆之 筑波大学教授)
性犯罪に至る前に、言葉は悪いですけれども、そのターゲットを定めて、そして、いきなりというわけではなくて、それなりの人間関係をある程度作った上でということもかなりあるかと思います

日本の刑法は、いまから113年前の1908年に施行されました。
性犯罪については、加害者に対して寛容で、被害者にとって峻厳な規定です。
現在、悪党が野放しになっています。
一刻も早く悪法を改正して、悪党に鉄槌を下してほしいものです。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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