【法制審議会へ刑法改正の諮問⑤】今回の法務大臣の諮問について原田隆之 筑波大学教授は、「いよいよ不同意処罰に関して一歩前進です」

先週の金曜日(2021年9月10日)のことです。
刑法の性犯罪規定の改正に関するニュースが一斉に報じられました。

(参考。当ブログ)
<法制審議会へ刑法改正の諮問>
2021年9月11日(その1)
2021年9月12日(その2)
2021年9月14日(その3)
2021年9月15日(その4)

時事通信の記事を参照します。

(2021年9月10日 時事通信「性暴力「撮影罪」新設を検討 強制性交の要件緩和も 法相諮問へ」より、引用。)

2021年9月10日 時事通信

上川陽子法相は(2021年9月)10日の記者会見で、性犯罪への対応を強化する法整備の在り方について(2021年9月)16日に法制審議会(法相の諮問機関)へ諮問すると発表した。主に刑法や刑事訴訟法の改正を想定しており、強制性交の様子を撮影する行為や盗撮などを対象とした「撮影罪」の新設を議論。強制性交等罪の構成要件緩和や、現行法で13歳の「性交同意年齢」引き上げなども検討する。

諮問は全部で10項目。
(後略。)

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刑法の性犯罪規定の改正が現実のものとなってきました。
法務大臣による諮問の件が報じられた日、筑波大学の原田隆之教授は、以下のツイートをしました。

原田隆之教授のツイートより、引用。)

2021年9月10日 原田隆之 筑波大学教授

私も昨年、加害者の「治療」に携わる立場として、この件で法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」に呼ばれ、意見を述べてきました。

https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00049.html

いよいよ不同意処罰に関して一歩前進です。

性犯罪規定の見直し、法制審で議論へ 「不同意」処罰や時効撤廃など

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(再掲。原田隆之教授)
私も昨年、加害者の「治療」に携わる立場として、この件で法務省の『性犯罪に関する刑事法検討会』に呼ばれ、意見を述べてきました

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録公開

第15回(2021年4月12日)※議事録公開

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

第16回(2021年5月21日)※議事録公開

2021年5月21日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書

原田隆之教授は、性犯罪に関する刑事法検討会で、どのような意見をのべたのでしょうか。
同検討会の第3回目の議事録を参照します。

原田隆之 筑波大学教授「性犯罪者の現状」①

(2020年7月9日 第3回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<17ページ>
2020年7月9日 井田 良 座長(中央大学教授)

3番目の方は原田隆之様です。
加害者臨床の観点からお話しいただきます。
原田先生には、本日、お忙しいところ、お時間を割いていただきまして、誠にありがとうございます。
検討会の座長をしております井田と申します。
よろしくお願いします。
ヒアリングに御協力いただきまして、心から感謝申し上げます。
まず、原田先生から15分程度お話をいただきまして、その後、委員の方から質問があれば、10分ほど質問させていただくという進め方で行きたいと思います。
よろしくお願いいたします。

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<17~19ページ>
2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

ただ今、御紹介にあずかりました原田と申します。
今日はこのような大変貴重な機会にお話しさせていただきますこと、非常に有り難く思っております。
今、御紹介がありましたように、私は、性犯罪の加害者に対する臨床を長いことやっておりまして、法務省での性犯罪の再犯防止プログラムの策定、もう15年前になりますけれども、それに関わったり、あるいは、今は民間のクリニックで性犯罪者の人たちの治療を行っております。
その中から幾つかお話をしたいと思います。
盛りだくさんになっておりますので、早口になりますけれども、御容赦ください。
齋藤先生(齋藤梓委員)からあらかじめ御質問いただいておりますので、それも盛り込んでスライドを作っております。

2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

【性犯罪者の現状:スライド2枚目】(※性犯罪者の現状を参照)
(以下、原田氏発言部分中の【 】内は、全て同資料のスライド番号)

内容は3つなのですけれども、まず、性犯罪者の実態ということで、加害者のいろいろな問題点ですとか特徴についてお話をします。
これは一般的なお話になりますので、その後、少々、多様性があるのだといったこともお話ししたいと思います。
3つ目は、今、私が実際やっております再犯防止の取組なのですけれども、これは、本検討会の議題とは少々外れますし、時間もありませんので、資料を御覧いただければ、それでよろしいかと思います。
お話をする時間は、ちょっとないように思います。

2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

【スライド4枚目】(※性犯罪者の現状を参照)

では、まず、性犯罪者の実態ということでお話をいたします。
これは、私が現在病院で治療しております人たち、全体で167名のデータなのですけれども、比較的軽微な、といいますか、刑法ではなくて条例違反の人が多く、例えば、痴漢が40%弱です。

それから、風俗というのは、風俗店通いがやめられなくて、いろいろ生活に支障を来している、借金ができたりしているという方、これは、犯罪ではないわけです。

「痴漢」と「その他」というところに、一部、刑法犯、強制性交であったりとか、小児性愛であったりとか、そういった人たちが含まれている、こういう内訳になっております。

2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

【スライド5枚目】(※性犯罪者の現状を参照)

この人たちのバックグラウンドの変数を見てみますと、例えば、年齢は大体30代半ば、全体で30代、40代の方が4割近くを占めるという状況で、それから、大卒の人の割合が大体50%程度ということです。

それから、フルタイムで仕事をしている方が3分の1程度になりますが、これは、事件をきっかけに解雇されたという人が多いので、このような割合になっております。

次の、「婚姻状態(未婚)」と書いてあるのですけれども、これは、今、婚姻状態にないという方です。
これが7割を占めておりますのも、事件を機に離婚に至ったというケースが非常に多いということです。

それから、前科があるという方も7割に上っております。

次の重複障害、これは、いろいろな精神的な疾患があるという方で、数パーセントぐらいおられる。

それから、痴漢が一番の問題行動であるという方が4割。
初発の年齢は、結構早くて、20代前半ということです。

最後の「Static(ス タ テ ィ ッ ク)- 9 9(ナインティナイン)」というのは、今日お話できませんが、性犯罪者の再犯リスク、これを我々が開発して数値化できる、そういったアセスメントのツールがあるわけですけれども、そのスコアが平均で3点以上、大体、低から高リスクという、再犯リスクがその程度という人が平均しているということになります。

2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

【スライド6枚目】(※性犯罪者の現状を参照)

この加害者に共通する性犯罪のリスクファクターというものも、我々はいろいろな研究で導き出しているわけなのですけれども、これは、まず、本質的には、一般の犯罪と大きく変わらないということが分かっています。
例えば、性犯罪をする人の中には、再犯で別の、窃盗であったり傷害であったりという、そういう犯罪に及ぶ人も相当な数いるわけですし、ほかのいろいろなリスクファクターは、かなり、ほかの犯罪者、一般犯罪者と変わらないです。

ただ、性犯罪特有のリスクファクターもあります。
これは、この後、詳しくお話をするところなのですけれども、例えば、よく認知のゆがみなどということを申しますけれども、性的な認知が逸脱している、あるいは性的な衝動に逸脱がある。
これは、例えば、同意をしないような暴力的な性犯罪であったり、子供に対する性的な衝動であったり、そういったいろいろな性的なファンタジーや衝動を持っているというところが、性犯罪特有のリスクファクターであると言えるかと思います。

2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

【スライド7枚目】(※性犯罪者の現状を参照)

このスライドは、一般犯罪のリスクファクターということなのですけれども、主なもので8つあります。これを、セントラルエイトというふうに犯罪心理学では呼ぶわけですけれども、こういう8つが、一般犯罪にも性犯罪にも共通するリスクであるということです。
過去の犯罪歴とか、パーソナリティとか、本人の価値観とか態度ですね。
それから仲間関係。
それと家族の質、教育や雇用、薬物使用、これはアルコールも含みます。
あとは、健全な余暇の活用ができないこと。
この8つが、主なリスクになるわけなのですけれども、今日は、特に心理学的な、このパーソナリティについて焦点を当ててお話ししたいと思います。

2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

【スライド8枚目】(※性犯罪者の現状を参照)

パーソナリティというのは、心理学では主に3つの要素に分けるのですけれども、行動と情緒、それと認知、この3つです。
一般犯罪、性犯罪を問わず、反社会的なパーソナリティというものがリスクになるということですけれども、その中の行動的な特徴としては、社会のルールを軽視して、これを破ることにためらいがないということであったりとか、衝動性、無責任性、虚偽性、うそをつくということですね、こういったことが挙げられます。

それから、感情面の特徴としては、冷酷であって、残忍性があったり、あるいは、共感性の欠如、これは、性犯罪者にも非常に目立つ特徴で、相手の気持ちが分からないということですね。

あとは、良心の呵責も欠如しているというところも挙げられようかと思います。

それと、先ほど申しました、この認知のゆがみ、認知の特徴としては、先ほどもありましたけれども、社会規範の軽視、これは、要は、本人の頭の中でも社会規範、ルールというものを重要視しないという、ちょっとぐらいは破ってもいいのではないか、見つからなければいいのではないか、こういう考え方、認知をするということです。

あるいは、暴力に対しても非常にハードルが低い、暴力を容認するような価値観とか物事の捉え方をする。

それと、敵意帰属バイアスといいますけれども、他者の何げない言動に敵意をたやすく感じてしまうという傾向もあります。

反社会的な認知のゆがみというところは、特に性犯罪の場合は問題になってくるわけです。

2020年7月9日 原田隆之 筑波大学教授

【スライド9枚目】(※性犯罪者の現状を参照)

では、この性犯罪者の認知のゆがみにはどういうものがあるのかというのを、もう少し具体的に御説明します。
それが、このスライドなのですけれども、よく、加害者は、こういったことを言うわけです。
向こうも望んでいたとか、向こうから誘ってきたのだとか、あるいは、露出の多い服を着ているのは、誘っている証拠だとか、あるいは、食事に応じたということは、もうその後、性交渉をしてもオーケーという意味だとか、こんなにも酒を飲んでいるのは向こうが望んでいるのだとか、嫌だと言わないのは同意のサインだとか、嫌と言っても、別に言葉の上だけだというふうに捉えたり、あるいは、女性というものはもともと襲われたい願望を持っているだとか、親密な間柄であればもうセックスをしてもいいのだとか、それから、一度セックスをしてしまえばこっちのものだという考え方ですとか、子供にも性的な欲求があるのだとか、こういう、人によって様々ですけれども、いろいろなゆがんだ認知というものを持っているということがいえます。

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原田隆之教授の言辞のつづきは明日のブログでみてみます。

(再掲。原田隆之教授のツイート)

2021年9月10日 原田隆之 筑波大学教授

私も昨年、加害者の「治療」に携わる立場として、この件で法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」に呼ばれ、意見を述べてきました。

https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00049.html

いよいよ不同意処罰に関して一歩前進です。

性犯罪規定の見直し、法制審で議論へ 「不同意」処罰や時効撤廃など

刑法の性犯罪の規定の改正が待たれます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。

(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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