【刑法改正を審議する検討会~最終の会合】(その4)。何事も、香西咲さんたち被害者のように、「嫌な顔をされてもしつこく言い続ける」ことが肝要です

方丈記の著者は、鎌倉時代の初期に活躍した鴨長明です。
方丈記の冒頭は、
「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」(川の水の流れは絶えることなく続いているようにみえる。その水は、以前と同じ水でない)
からはじまります。

「その水は、以前と同じ水でない」

刑法の性犯罪の規定を取り巻く状況も同様です。
いま、従前とちがう別の水が流れています。

(確認)
刑法が改正されるまでの手順
(1)性犯罪に関する刑事法検討会(※法務省内)

性犯罪に関する刑事法検討会、終わりました」(寺町東子弁護士

(2)法務省が改正要綱案を作成

「今日(2021年5月21日)取りまとめ報告書を法務大臣が受け取り、それを踏まえて、法務省が改正要綱案を作成し、法務大臣が法制審に諮問することになります」(寺町東子弁護士

(2021年)9月までに、検討会の結果を踏まえ、法務省がどのような改正要綱案をまとめて、法制審(法制審議会)に諮問するのか。注視していきましょう」(寺町東子弁護士

(3)法務大臣が法制審議会へ諮問

「法制審議会に進んだときに、通常は法務大臣からの諮問というかたちで、条文の案というのがつくられて、出てくるんですね。叩き台、みたいなものなんですけども」(山本潤 一般社団法人Spring代表理事

(4)国会で審議、採択
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(再掲。寺町東子弁護士)
性犯罪に関する刑事法検討会、終わりました

現在、性犯罪に関する刑事法検討会取りまとめ報告書が公開されています。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録公開

第15回(2021年4月12日)※議事録公開

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

第16回(2021年5月21日)※議事録公開

2021年5月21日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書

2021年5月21日に、最終の検討会が開催されました。
本日も、当該検討会議事録を参照します。

(参考。当ブログ)
<2021年5月21日の第16回性犯罪に関する刑事法検討会について>
2021年7月28日(その1)
2021年7月29日(その2)
2021年7月30日(その3)

2021年5月21日 第16回性犯罪に関する刑事法検討会(その4)

(2021年5月21日 第16回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<8~9ページ>
2021年5月21日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

今回の検討会で、井田座長、事務局の方々が場を整えてくださり、委員の皆様から様々な議論が尽くされたことに感謝いたします。

貴重な場に参加させていただいたことに御礼申し上げたいと思っています。
特に、刑法学者の方々からも包括的要件を設けることが示され、これを検討する方向に進んだことが前進だったと思います。

ただ、内容については、イエスと言った場合以外はイエスではないという考え方が取り入れられなかったことは残念です。
相手の意思が曖昧な場合に確認義務を課すのは、それほど難しいことなのでしょうか。
何を処罰すべき行為と認識しているかについても、認識の違いがあったと思います。
この日本で、強い立場の者から弱い立場の人への性暴力が起こり続け、それを刑法で処罰できず、同意のない性行為という性暴力を容認し続けていることが、日本の被害者を苦しめ、救いがない状況を作っていると理解しています。

欧米では、性暴力を同意のない性交として処罰していこうというゼロトレランス、暴力を決して容認しないという意思が明確に示されています。
暴力を容認すれば起き続け、被害者が生み出され続けていくからです。

処罰すべきでない行為として、困惑したり、悩みながらも最終的に受け入れた場合があるという意見や、大人の場合は、相手が上司や医師など上の立場であっても、対等な関係性が考えられないわけではないという意見もありましたけれども、同意というのは、対等な関係で同意する能力がある場合に初めて成立するという認識が共有されていないことが、処罰すべき行為が何かという認識に差を生じさせていると思います。
パワーを持っている人からの被害ということを、やはり考えていただければと思っています。

Springの調査でも、加害者がだんだんと体を触る行為を増やしていったり、だまして人気のない場所に連れ込んだりしていることが多く、抵抗できず、拒否の意思を示せない中で、同意のない性行為を強いられている被害者が多いことが分かっています。
被害者が苦しみ、性的行為に同意したか否かが曖昧であることのリスクを負っているのが、今の現状だと思います。
刑法で全て救うことは難しいとは言われますけれども、「No means No」として、その他意に反する性交が性犯罪になる社会を私たちは望んでいます。
「Yes means Yes」を目指して、性暴力がなくなる刑法の在り方を、今後も議論し続けていただければと思います。

1年間本当にありがとうございました。

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<9ページ>
2021年5月21日 和田俊憲 委員(東京大学教授)

二点申し上げます。

第一に、私は刑事法研究者として参加しましたが、自分が専門外のことをいかに知らないかということを思い知らされました。
専門が異なる人に対して、嫌な顔をされてもしつこく言い続けること、そして、言われた方はそれを聞き続けることが重要であると、改めて思います。

第二に、現行制度を前提に、それを改正して、この国をより良くしていこうとするのか、それとも、新たに理想的な国・制度をゼロから作ろうとするのか、そのどちらでいくのかによって、当然議論の進め方は異なります。
今回は、前回の改正で不十分である点を確認して、現行制度を修正するという前者のやり方が前提になっていましたので、そのようなやり方であることに伴って、一定の限界があったかと思います。

先の話になりますが、次回改正する際には、ゼロベースでの議論も視野に入れて進められるとよいのではないかと思う次第です。
と言いましても、刑事システム自体をゼロから作り直すことは、現実的でも合理的でもありませんので、具体的には、性犯罪に対して総合的に対応する特別法を作るという方法が考えられるかと思います。
刑法典の性犯罪のほか、児童福祉法、児童ポルノ法、各種条例、それから売買春の問題も含めて、全てを包括的にそ上に載せて、一つの法律を作るとしたらどうなるかを議論してもよいのではないかと考えます。
次回の開催においては、そのような議論も可能になるような場の設定をしていただけるとよいと思いました。

どうもありがとうございました。

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<9~10ページ>
2021年5月21日 渡邊ゆり 委員(東京地方検察庁検事)

冒頭、座長から、この巨大なテーマの前ではちっぽけな存在であるというお言葉がございましたけれども、そう思ってこの会議に臨ませていただいて、また、たくさんのヒアリング、あるいは委員の皆様の御意見を伺う中で、その思いを本当に一層強くいたしました。
ありがとうございました。

検事として職務に当たってきた中で、性犯罪事件の捜査・公判の難しさというのを痛感しましたし、また、性犯罪被害者の方の苦しみというものの一端ではございますけれども、触れてまいりました。

20年ぐらい前には、捜査・公判で、実際に被害者の方が抵抗したかどうかというようなことが争点になることが多く、また、その場面を自分のこととして考えてみますと、抵抗などできなくて当然だという思いがありつつも、それをうまく言葉にできないもどかしさがございました。
その状況について、10年ぐらい前でしょうか、小西聖子先生の御講義で、精神医学的な観点から御説明を頂きまして、ああ、そういうことだったのかと、正に腑に落ちた経験が強く印象に残っております。

つまり、そういった精神医学的な知識ですとか、あるいは年少被害者の供述特性ですとか、そういったことは、このような事件に関わる私たちとしては、当然知っておかなければならない常識であって、そういう常識は、そのほかにもたくさんあるのではないかという思いを強くした次第でございます
そして、それは、法律家だけではなくて、一般の方々にも提供、共有されるべきことなのではないかと思いました。

今回の検討会では、実体法はもとより、公訴時効ですとか、司法面接的手法による聴取結果の証拠法上の取扱いなど、様々な論点が取り上げられました。
運用において、私たち検察官が最大限努力していくということは当然ですけれども、今分かっている被害者の方の心理や供述特性といった知識を十分に踏まえて、実際の手続において、被害者の方が二度、三度と傷つけられることのないような刑事手続が実現するように、一検察官として期待をしております。

ありがとうございました。

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<10ページ>
2021年5月21日 川出敏裕 委員(東京大学教授)

この検討会で皆様の御意見を伺い、性犯罪、取り分け子供に対する性犯罪というのは、その被害において、他の犯罪とは異なる面があるのだということを実感いたしました。
その違いを法改正にどのように反映させることができるのかを検討するのが、本検討会の課題であると思いましたので、私は主に手続法に係る部分について、現在の制度の基本的な枠組みや、その基礎にある考え方と整合する形で、どういった改正があり得るかという観点から意見を述べさせていただきました。

ただ、時間の制約もあって、意見が対立する部分について議論を尽くすことはできませんでしたし、また、制度の採否において重要な観点となると考えられます、制度改正が実務に対してどのような具体的影響をもたらすのかという点についても、若干の意見が示されたにとどまったように思います。

今後どのような形で立法に向けた作業が進んでいくのか分かりませんが、法務省には、こうした点について十分に議論を尽くす場を設けていただくことをお願いしたいと思います。

1年間どうもありがとうございました。

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<10ページ>
2021年5月21日 井田 良 座長(中央大学教授)

ありがとうございました。
委員の皆様からの御発言はここまでとさせていただきたいと思います。
それぞれのお立場から、大変貴重な、滋味掬すべき御意見を改めて伺うことができたと感じております。
重ねて御礼申し上げます。

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このつづきは、明日のブログでみてみます。

(再掲。和田俊憲 委員【東京大学教授】)
専門が異なる人に対して、嫌な顔をされてもしつこく言い続けること、そして、言われた方はそれを聞き続けることが重要であると、改めて思います

嫌な顔をされてもしつこく言い続ける
重要な視座である、と感じました。
西洋の諺(ことわざ)に、
「沈黙は金、雄弁は銀」
というのがあります。
広辞苑には、
沈黙の方が雄弁よりも説得力がある
口をきかぬが最上の分別
と書かれています。
「沈黙は金、雄弁は銀」
は、性犯罪者が跋扈するいまの日本で、通用しません。
和田委員が言うように、「嫌な顔をされてもしつこく言い続ける」必要があります。
「雄弁は金」
です。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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