【刑法改正を審議する検討会~最終の会合】(その3)。香西咲さんたち被害者のうったえは、刑法改正、というかたちで開花しようとしています

「采(さい)は投げられた」
ということばがあります。
広辞苑を参照します。

(広辞苑より)
カエサルのルビコン渡河の際の言葉という
事ここに至った以上は断行するほかはない
後戻りはできない
事すでに決す

刑法の性犯罪の規定の改正につきましても、
「采(さい)は投げられた」
の状態となっています。

(確認)
刑法が改正されるまでの手順
(1)性犯罪に関する刑事法検討会(※法務省内)

性犯罪に関する刑事法検討会、終わりました」(寺町東子弁護士

(2)法務省が改正要綱案を作成

「今日(2021年5月21日)取りまとめ報告書を法務大臣が受け取り、それを踏まえて、法務省が改正要綱案を作成し、法務大臣が法制審に諮問することになります」(寺町東子弁護士

(2021年)9月までに、検討会の結果を踏まえ、法務省がどのような改正要綱案をまとめて、法制審(法制審議会)に諮問するのか。注視していきましょう」(寺町東子弁護士

(3)法務大臣が法制審議会へ諮問

「法制審議会に進んだときに、通常は法務大臣からの諮問というかたちで、条文の案というのがつくられて、出てくるんですね。叩き台、みたいなものなんですけども」(山本潤 一般社団法人Spring代表理事

(4)国会で審議、採択
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(再掲。寺町東子弁護士)
性犯罪に関する刑事法検討会、終わりました

現在、性犯罪に関する刑事法検討会取りまとめ報告書が公開されています。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録公開

第15回(2021年4月12日)※議事録公開

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

第16回(2021年5月21日)※議事録公開

2021年5月21日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書

2021年5月21日に、最終の検討会が開催されました。
本日も、当該検討会議事録を参照します。

(参考。当ブログ)
<2021年5月21日の第16回性犯罪に関する刑事法検討会について>
2021年7月28日(その1)
2021年7月29日(その2)

2021年5月21日 第16回性犯罪に関する刑事法検討会(その3)

(2021年5月21日 第16回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<5~6ページ>
2021年5月21日 佐藤陽子 委員(北海道大学教授)

今回の検討会で委員の皆様の御意見や検討会に寄せられた御意見を聞くことができて、大変勉強になりました。

今回の検討会は、たくさんの方の努力が積み重なって開催に至ったのだと思います。
是非少しでも多くの人が納得できる方向で、改正が実現されてほしいと思っております。
その上で、改正との関係で、個人的には二つの方向で申し上げたいことがございます。

第一に、改正に積極的な方向の意見をまず申し上げますと、これまで日本の刑法典における性犯罪規定は、解釈上、比較的広い処罰範囲をとりながらも、飽くまで抗拒困難という言葉に縛られてきたように思います。
自己決定権という点で、抗拒困難が重要なのはもちろんだと思いますけれども、ほかにも、例えば、自己決定の前提として、性的な発達とか、そういうものにつきましても、今後は重要性を持たせてもいいように感じます。
これまでの伝統に縛られずに、広い視野で改正作業に当たってもいいのではないかと思う次第でございます。

第二に、他方で、これまでの伝統を守らなければならない部分もあると思っております。
特に刑法は、国家という超個人的な権力を有する主体が、個人の生命、自由、財産を侵害する法律であって、慎重に扱わなければならないということです。
社会の価値観が変わって条文が時代に追い付かなくなるということは、ままあります。
そして、立法には時間と手間が掛かりますから、この先考えられるあらゆる場合に個人を保護することができるよう、臨機応変にどのような行為であっても処罰できるような法律を作ろうという誘惑に駆られることはあろうかと思います。
しかし、それは許されるべきではないと思っております。
このことを理不尽に感じる方がいることも承知しておりますが、これを許せば、もっと大きな理不尽が起きるように思います。
これは、私たちが歴史から学んできたところです。
刑法は劇薬のような強い効果のある法律ですから、最低限、処罰範囲の明確性、処罰範囲の適正性については、改正の際にも必ず意識されなければならないと思います。
そして、この刑法で達成できない部分につきましては、教育や行政的な被害者支援等で是非補っていただきたいと思う次第でございます。

この度は、貴重な機会を頂きましてありがとうございました。

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<6ページ>
2021年5月21日 中川綾子 委員(大阪地方裁判所部総括判事)

今回、様々な立場、知見をお持ちの委員の方々と、多角的な視点で性犯罪に関する刑事法を検討する貴重な機会を頂いたことに、お礼を申し上げたいと思います。

この検討会でのヒアリングや議論を通じまして、私自身、司法手続で扱う性被害というのは、全体の一部にすぎないのだなということを改めて認識いたしました。
また、これまでも、裁判所の研究会などを通じて、被害者の方の心情や置かれている立場などについて理解を深めてきたつもりではありますが、裁判所の訴訟指揮などに対する御意見も頂きましたので、そういうことも踏まえながら、当事者の主張や証拠を基に、事案を適切に判断するよう、周りの裁判官とも議論を続けていきたいと考えております。

1年間にわたり、どうもありがとうございました。

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<6~7ページ>
2021年5月21日 橋爪隆 委員(東京大学教授)

私は、刑法の研究者の立場で参加しておりましたが、現場経験がないものですので、この検討会で実務家の先生方の御意見を伺い、また、性犯罪被害者の方、あるいは被害者支援に携わる委員の方の御意見を伺いまして、性犯罪の被害の実態や深刻さについての理解を深めることができました。
この機会に、まず厚く御礼を申し上げます。

今後、刑法の一研究者としまして、性犯罪被害の実態を踏まえながら、それを適切に処罰対象に含めることができるような立法、あるいは法解釈の在り方について、更に検討を進めていきたいと考えております。

取り分け、この検討会では、性犯罪の成否に関する現場での判断や対応が不安定になっているという御指摘が繰り返しございました。
もちろん、法規範というものは、一定の抽象性や包括性が不可避でありますので、全ての事例について安定的な法適用を行うことが困難であることは十分承知しておりますけれども、やはり処罰範囲の明確性の要請は、特に性犯罪については重要な問題であることを痛感いたしました。
私自身、更に勉強していきたいと思います。

1年間の御教示に、改めて御礼申し上げます。

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<7ページ>
2021年5月21日 羽石千代 委員(警察庁刑事局刑事企画課刑事指導室長)

1年間、真摯な議論に参加させていただきまして、本当にありがとうございました。

私は、警察の立場を代表して参加させていただきましたけれども、この検討会で様々な専門知識、御経験をお持ちの委員の方々ですとか、ヒアリングの出席者の方々からお話をお伺いすることができまして、被害者の方、関係者の方の思いを知ることができたのは、非常に勉強になったと思っています。

性犯罪は、被害者やその関係者、親しい人々に大きな傷を与える重大な犯罪だと思っています。
法制度をどのようなものにしていくかは今後の議論になると思いますけれども、処罰すべき犯罪がきちんと処罰されて、それによって被害者の方が少しでも救われること、捜査・公判の過程における被害者の方々の負担が少しでも軽減されるような制度になることを願っております。

一方で、当検討会で委員の方々からも御指摘があったとおり、性犯罪への対応には法制度の見直しだけではなく、制度の的確な運用ですとか、被害者の方への支援施策の充実、加害者への対応等、様々な観点からの取組が必要だと思います。
本検討会の中で、委員の方々から、捜査段階における二次的被害などについての御指摘も頂きました。
警察としては、被害者の方の思いに寄り添って、処罰されるべき性犯罪がきちんと処罰されるように捜査を尽くすのはもちろんなのですけれども、同時に、被害者の方の負担に適切な配慮がなされるよう、引き続き、研修などを通じて都道府県警察を指導していきたいと思います。
被害者の方や関係者の方々から、最近警察の対応が良くなったよねと言っていただけるよう、一人一人の警察官が意識をきちんと持っていけるように指導していきたいと思っています。

1年間大変ありがとうございました。

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<7~8ページ>
2021年5月21日 宮田桂子 委員(弁護士)

前回改正の際、議論に加わらせていただき、また今回も機会を頂きましたことに心からお礼申し上げます。
ありがとうございました。

私は、日本の実際の裁判では、かなり幅広い処罰がなされている例があると指摘申し上げました。
今の運用について、事件によっては被害者が救われないことがあるという御意見がありましたが、逆に言えば、裁判で裁かれる被告人にとって、自分は有罪になるのか無罪になるのかが分からない、非常に不安定な状況に置かれているということにもなるのです。
しかし、どうしてそのような差が生じるのか、法律が改正されるときの過去の裁判の振り返りは、本当は一番大事な作業なのではないのかと思います。
その作業を十分にしないで新たな条文を作ることは、被害者にとっては処罰範囲が狭くなった、弁護する立場からは不当に広がったという批判につながり得ます。

今後、保護法益の議論やどのような行為が処罰されるべきかの議論が、更に充実してなされることになると思うのですが、そのときに、どのような行為を処罰するのかということと、どのような法定刑を定めるかという議論が、きちんとセットでなされていくべきと考えています。

海外の法制のほとんどは、基本的な構成要件は幅広く、しかしながら、法定刑は軽く定められています。
重罰化をすることは、本当に加害者の更生のために効果があるのでしょうか。
更生にとって逆効果となる法律にならないことを私は願っています。

被害者からみた刑事裁判の問題が指摘されてきましたが、刑事弁護をする立場から今の性犯罪の裁判を見ていると、被害者の供述が非常に安易に信用される傾向や、被告人に対して、事実上無罪の立証が強いられているように見える事件もあり、むしろ、このような問題のある例が増えてきているのではないかと感じます。

刑事裁判は、社会の安定のために犯罪をした人に対する処罰をすることを目的としたものであり、被害者の救済が第一義的な目的ではありません。
しかも、全ての被害者を救えるわけではない。
刑事裁判では被害者が救えない話は、今まで何度も繰り返していますが、加害者が死んでしまった、あるいは、加害者が見つからない被害者や、どんなに法改正をしても、立証のハードルがありますから、それによって救われない被害者が必ず出てきます。
刑事裁判は、そのように限界のある制度なのに、過度な期待をかけることには問題があると思います。

私は、性犯罪の被害者の支援は必要だと思っています。
そして、憲法や法律に定められた被疑者・被告人の権利の保障もまた必要不可欠です。
そのバランスを取りながら、制度を作っていくことが大切です。
今後我が国において、より良い法律や制度ができることを祈ってやみません。

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このつづきは、明日のブログでみてみます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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