《刑法改正を審議する検討会の15回目の議事録~取りまとめ報告書【案】》(4)。AV出演強要犯の処罰は必定です。香西咲さんたちの思いが世の中をうごかしました

法務省の性犯罪に関する刑事法検討会の事務局は、2021年4月12日の会議で、各委員に対して、取りまとめ報告書(案)を示しました。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録公開

第15回(2021年4月12日)※議事録公開

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

第16回(2021年5月21日)※議事録準備中

2021年5月21日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書

同検討会の各委員は、取りまとめ報告書(案)に対して意見をのべました。

(参考。当ブログ)
取りまとめ報告書(案)に関する論議>
2021年5月31日(その1)
2021年6月1日(その2)
2021年6月2日(その3)

本日も、2021年4月12日の第15回性犯罪に関する刑事法検討会議事録を参照します。

2021年4月12日 第15回性犯罪に関する刑事法検討会

取りまとめ報告書(案)に関する論議(その4)

(2021年4月12日 第15回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<6~7ページ>
2021年4月12日 金杉美和 委員(弁護士)

私の意見については、意見書を出させていただいていますので、補足的に今の部分を説明させていただきたいと思います。

(参考)
金杉美和委員提出書面(意見書)

取りまとめ報告書(案)の「1」の
「(2) 暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方」
で、5ページから10ページまでの部分についての意見につきましては、一点だけ修正を求めたいというものです。

取りまとめ報告書(案)の9ページの
「〇 手段・状態を列挙する場合の規定の在り方」
という部分があります。

こちらの「①」と「②」の間に、
といった意見も述べられたが、包括的な要件を設けること自体には、おおむね異論はなかった
という記載があります。

(参考。取りまとめ報告書(案)の9ページの「〇 手段・状態を列挙する場合の規定の在り方」)

〇 手段・状態を列挙する場合の規定の在り方

これらの議論を踏まえ、列挙された手段・状態が不同意の徴表であることを示して処罰範囲を限定するため、また、列挙された手段・状態以外の場合を捕捉できるようにするため、列挙された手段や状態の実質的意味を示す包括的な要件を設けるべきといった意見が述べられ、これに対しては、

① 包括的な要件に該当するとして起訴する場合、それを推認する間接事実によって立証することとなるが、検察官が起訴するのに苦労することが想定されるし、他方で、裁判所の判断にばらつきが生じる可能性があり、本来であれば無罪となるべき人が犯罪人扱いされかねないといった意見も述べられたが、包括的な要件を設けること自体には、おおむね異論はなかった
そして、この包括的な要件をどのような文言で規定するかについては、例えば、

② 「その他意に反する性的行為」と規定すべきである

③ 「抗拒・抵抗が著しく困難」と規定すべきである

④ 「拒否・拒絶が困難」と規定すべきである

といった意見が述べられた。

この、
包括的な要件を設けること自体には、おおむね異論はなかった
という部分を削っていただきたいというのが私の意見です。

私が出した意見書に理由を書かせていただいていますので、そちらの方を御確認ください。

また、改正の必要があるかないかという部分についてなのですが、私の方は、ちょっとニュアンスが宮田委員と異なっていたら申し訳ないのですが、現行の刑法177条(強制性交等罪)につきましても、構成要件が逆に不明確なのではないかと思っております。

抵抗を著しく困難にする暴行・脅迫といったものがどのようなものかということが判例によってばらつきがあって、そういったものをもう少し明確にする必要があるのではないか、そういう検討が必要なのではないかという点については異論はないところです。

ですので、取りまとめ報告書(案)の6ページの4行目なのですけれども、
安定的で適切な運用に資するような改正であれば検討に値するという点では、おおむね異論はなかった
というのは、私も賛成です。

ただ、その後の、具体的に例示列挙するとか、8ページの3行目の
例示列挙とせざるを得ないとの意見が述べられ、これに特に異論はなかった
という部分や、9ページの17行目の修正をお願いしている
包括的な要件を設けること自体には、おおむね異論はなかった
という部分もそうなのですが、検討した結果、処罰すべき範囲を明確に画せるような規定の在り方、さらに、私どもが重点を置いている、処罰されるべきでない行為が含まれない規定の在り方というのが果たして本当に可能かというと、それは難しいのではないかという方向で、意見をずっと述べさせていただいていたつもりです。

確かに、改正の必要がないということまで明確に申し上げていないと思います。

ただ、そういう適切な運用ができるような、処罰されるべきでない行為が含まれないような規定の仕方が難しいのであれば、改正をしない方がいいのではないかというスタンスであることは間違いありませんので、そういった意味で、改正をすることを前提に、9ページの部分で包括的な要件を設けること自体に異論はなかったというようになると、

(再掲。取りまとめ報告書(案)の9ページの「〇 手段・状態を列挙する場合の規定の在り方」)

〇 手段・状態を列挙する場合の規定の在り方

これらの議論を踏まえ、列挙された手段・状態が不同意の徴表であることを示して処罰範囲を限定するため、また、列挙された手段・状態以外の場合を捕捉できるようにするため、列挙された手段や状態の実質的意味を示す包括的な要件を設けるべきといった意見が述べられ、これに対しては、

① 包括的な要件に該当するとして起訴する場合、それを推認する間接事実によって立証することとなるが、検察官が起訴するのに苦労することが想定されるし、他方で、裁判所の判断にばらつきが生じる可能性があり、本来であれば無罪となるべき人が犯罪人扱いされかねないといった意見も述べられたが、包括的な要件を設けること自体には、おおむね異論はなかった
そして、この包括的な要件をどのような文言で規定するかについては、例えば、

② 「その他意に反する性的行為」と規定すべきである

③ 「抗拒・抵抗が著しく困難」と規定すべきである

④ 「拒否・拒絶が困難」と規定すべきである

といった意見が述べられた。

そもそも前提条件として、改正する場合にはというところが埋もれてしまいますので、ここは私としては異論があると申し上げざるを得ないと思います。

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<7ページ>
2021年4月12日 井田 良 座長(中央大学教授)

私には、御発言の趣旨がいまいちはっきりしないのですけれども、もし、包括的要件を設けることに異論はないとされているところを、そこに異論があった、つまり、包括的要件を設けるべきではないという意見もあったとまとめるとすると、手段だけを書いて包括的要件を書かない構成要件にするべきという見解があったというように受け取られるおそれがあると思うのです。

そもそも新しい規定を作るなというのであれば、それはよく理解できるのですけれども、新しい規定を作って要件をより具体化し、手段を書き込んでいくというときに、手段だけ書き込んでも十分ではないので、その解釈指針になるような、あるいは、それを全部包括するような抽象的な文言は必要でしょうというのがこの検討会での総意だと思うのです。

そこを、もし抽象的な文言など必要ないと考えるのであれば、手段だけ書けという議論になるのではないかと思うのです。

違いますか。

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<7ページ>
2021年4月12日 金杉美和 委員(弁護士)

取りまとめ報告書(案)の9ページを見ると、「②」の

(再掲。取りまとめ報告書(案)の9ページの「〇 手段・状態を列挙する場合の規定の在り方」)

〇 手段・状態を列挙する場合の規定の在り方

これらの議論を踏まえ、列挙された手段・状態が不同意の徴表であることを示して処罰範囲を限定するため、また、列挙された手段・状態以外の場合を捕捉できるようにするため、列挙された手段や状態の実質的意味を示す包括的な要件を設けるべきといった意見が述べられ、これに対しては、

① 包括的な要件に該当するとして起訴する場合、それを推認する間接事実によって立証することとなるが、検察官が起訴するのに苦労することが想定されるし、他方で、裁判所の判断にばらつきが生じる可能性があり、本来であれば無罪となるべき人が犯罪人扱いされかねないといった意見も述べられたが、包括的な要件を設けること自体には、おおむね異論はなかった

そして、この包括的な要件をどのような文言で規定するかについては、例えば、
② 「その他意に反する性的行為」と規定すべきである

その他意に反する性的行為」と規定すべきとの意見に対して、私が、「⑥」に記載されている意見を申し述べたという形になっているのですけれども、

(参考。取りまとめ報告書(案)の9ページの「〇 手段・状態を列挙する場合の規定の在り方」)

⑥ 「意に反する」という文言は、それ自体不明確で、罪刑法定主義の観点から問題があるし、交際できると思って性交等に応じたが交際できなかった場合や、性的行為の態様が想定したものと違った場合など、当罰性がない、又は極めて低い行為が処罰されかねない

私としては、そうではなくて、そういう包括的な全てを処罰すべき範囲を除外できるような包括的な要件を設けることはやはり難しいのではないかという意見を述べさせていただいたつもりです。

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<7~8ページ>
2021年4月12日 橋爪隆 委員(東京大学教授)

私個人は、この問題について、法改正は必要と考えておりますが、恐らく、金杉委員、宮田委員としましては、法改正に関する検討をすること自体は御異論がないが、その検討の結果として、現行法よりも内容が明確かつ具体的な条文を作ることは困難であるという御趣旨と承りました。

(参考)
金杉美和委員提出書面(意見書) 
宮田桂子委員提出書面(意見書)

そうしますと、取りまとめ報告書(案)の)6ページの上から4行目ですね、
安定的で適切な運用に資するような改正であれば検討に値するという点では、おおむね異論はなかった
という記述自体については間違いないと思うのです。
そして、その後の6ページの「(ウ)」以下は、仮に具体的に法改正を検討する場合にどのような内容が好ましいかに関する議論に入っているわけです。
恐らく両委員は、検討したとしても、具体的な帰結を得ることが難しいということをおっしゃっていると思いますので、「(ウ)」以下については、具体的にいかなる法改正が適切かについて検討した際には、このような議論があったという趣旨になるようにしていただければ十分であるような感じがします。
仮に、先ほど御指摘があった、包括的要件が必要かどうかのところで異論があったと書いてしまいますと、法改正それ自体は必要だが、包括的要件は設けるべきではないといった御意見があったかのような誤解を与えかねませんので、むしろ、「(ウ)」の冒頭のところで、例えば
以上の前提に基づいて具体的な法改正を検討する場合に
という形で条件を付けていただけますと、今の問題については解決するような気がいたします。

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(再掲。)
『(ウ)』(改正の内容に関する総論的議論)の冒頭のところで、例えば
以上の前提に基づいて具体的な法改正を検討する場合に
という形で条件を付けていただけますと、今の問題については解決するような気がいたします

取りまとめ報告書(案)には、
以上の議論を前提に、改正の具体的な内容としては」(※6ページ)
と書かれていました。
その後の取りまとめ報告書では、
以上の議論を前提に、改正をする場合における具体的な内容としては」(※6ページ)
に変更されました。

<8ページ>
2021年4月12日 井田 良 座長(中央大学教授)

非常に適切にまとめていただきまして、ありがとうございます。
そういうことでよろしいでしょうか。

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<8ページ>
2021年4月12日 金杉美和 委員(弁護士)

はい、結構です。

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(再掲。取りまとめ報告書(案)
以上の議論を前提に、改正の具体的な内容としては

(再掲。金杉美和委員【弁護士】)
改正をすることを前提に、(略)包括的な要件を設けること自体に異論はなかったというようになると

(再掲。井田良 座長【中央大学教授】)
新しい規定を作って要件をより具体化し、手段を書き込んでいくというときに、手段だけ書き込んでも十分ではないので、その解釈指針になるような、あるいは、それを全部包括するような抽象的な文言は必要でしょうというのがこの検討会での総意だと思うのです

本日も、刑法改正に対する法務省の思いを垣間見ることができました。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2020年9月29日

世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、
私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。

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刑法を改正してAV出演強要犯を処罰する、という流れは既定のものとなっています。
香西咲さんたちの思いが世の中をうごかしました。

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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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