法務省の”性犯罪に関する刑事法検討会”が出した”取りまとめ報告書”(その5)。香西咲さんたちAV出演強要の被害者には、公訴時効の延長も必須です

法務省の性犯罪に関する刑事法検討会は、昨年(2020年)の3月31日から、刑法改正の審議をおこなってきました。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録公開

第15回(2021年4月12日)※議事録準備中

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

第16回(2021年5月21日)※議事録準備中

2021年5月21日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書

性犯罪に関する刑事法検討会は、5日前(2021年5月21日)に、取りまとめ報告書を発表しました。

(参考。当ブログ)
取りまとめ報告書について>
2021年5月22日
2021年5月23日
2021年5月24日
2021年5月25日

本日は、まず最初に、公訴時効に関してどのような取りまとめがされたのかを確認します。

公訴時効について

2021年5月21日 性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書

(2021年5月21日 性犯罪に関する刑事法検討会「取りまとめ報告書」より、引用。)

<52ページ>

オ 小括

以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、性犯罪について公訴時効の完成を遅らせる改正をする場合には、一定の年齢未満の被害者については、若年であることに伴う脆弱性が原因となって被害の認識や申告に困難を生じることを踏まえる一方、証拠の散逸や法的安定性にも留意しつつ、具体的な方策の在り方について更に検討がなされるべきである。

時効に関しましては、2021年3月30日の第14回性犯罪に関する刑事法検討会で、三巡目の議論がおこなわれました。

つぎに、第14回性犯罪に関する刑事法検討会でどのような意見が出たのかをみてみます。

2021年3月30日 第14回性犯罪に関する刑事法検討会

(2021年3月30日 第14回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<1~2ページ>
2021年3月30日 井田 良 座長(中央大学教授)

早速、「公訴時効の在り方」の検討に入ります。

この論点について、二巡目までの議論では、意見要旨集1ページから6ページまでにありますように、例えば、被害者が成人の場合も含めて公訴時効を撤廃すべきであるといった御意見が述べられている一方で、性犯罪について、殺人等と同様に、時間の経過により犯人が一律に処罰されなくなることは不当であるという社会的合意ができているかは疑問であり、生命を奪う犯罪である傷害致死罪の公訴時効が撤廃されていないこととの均衡からも、現時点で性犯罪の公訴時効を撤廃することの説明は困難であるといった御意見も述べられております。

また、仮に、公訴時効の撤廃は困難であるとしても、何らかの特別の取扱いが必要であるという御意見があり、具体的な取扱いの在り方として、例えば、公訴時効の起算点を遅らせる方法と、公訴時効期間を延長する方法とが考えられ、理論的に説明が付くのであれば、いずれか一方によることも、両者を組み合わせることも可能と思われるといった御意見や、特に未成年者については、周囲の者も本人も被害を認識できないという問題があるので、一定の年齢まで公訴時効の起算点を遅らせることが必要であると考えられるが、その方法については、全ての被害者について一定の年齢に達するまで公訴時効の起算点を遅らせる方法や、一定の年齢未満の被害者について、一定の年齢に達するまで公訴時効の起算点を遅らせる方法が考えられるといった御意見も述べられております。

以上のことを踏まえると、本日の議論に当たりましては、仮に、性犯罪について何らかの特別の取扱いをするとして、被害者一定の年齢未満の者である場合と成人の場合とで取扱いに差を設けるかどうか、設けるとして、どのような根拠に基づき、どのような規定とするかという問題を意識しつつ、議論を行う必要があると思われます。

このような観点を踏まえつつ、御発言をお願いいたしたいと思います。

この論点については30分程度の時間を予定しております。

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<2~3ページ>
2021年3月30日 齋藤梓 委員(臨床心理士)

意見要旨集の1ページの「①」(被害認識・被害申告をめぐる実情)の補足も兼ねてなのですけれども、これまでも、子供は、自分の身に起きていることが何であるか分からないですとか、思春期の子供たちは、知識として性交は知っていても体感として知らないので、されていることが分からないですとか、解離というものがあって記憶がつながらなかったりするということをお伝えいたしました。

また、以前、小西委員がおっしゃっていたかと思うのですけれども、性的虐待順応症候群といって、子供たちは、虐待が繰り返されると、虐待のある日常に順応せざるを得なくなるということがありまして、力関係の差でどうしていいか分からない状況から、自分さえ黙っていれば家族は守られるという心情になっていき、そして、自分が加害者に加担しているかのように思い込まされて、被害について言えなくなるということが起きてきます。

性的虐待を大人に言えないということは通常で、多くの場合、大人たちは、性暴力があること、性的虐待があることに気付かないので、子供の性暴力は、ほとんど発覚しないということがあります。

先日の川崎の事件で無罪判決が出ましたが、性的虐待が事実であるにもかかわらず、公訴時効の問題などもあって難しかったということだと思うのですけれども、あのように、子供のときの被害で、やっと相談ができて届出ができたときには時効が完成しているということは珍しくないので、一定の年齢未満の子供の場合には被害が類型的に潜在化しやすいということは言えるかと思います。

ただ、成人したらすぐに言えるかといえば、そうではありません。
やはり若年成人などは、まだ社会経験が少なく、自分が被害に遭っていても、それが被害であるか分からないとか、誰に相談していいか分からず時間が過ぎていくということは珍しくないので、子供や若年成人が被害の届出ができないという事情を踏まえることは重要ではないかと思っております。

起算点を遅らせるといった場合に、一定の年齢未満ということであったとしても、せめて若年成人をきちんとカバーできる範囲までは検討していただきたいと思っております。
ちなみに、若年成人というのは、20代ぐらいを意味しています。

ちょっと話がずれるのですが、子供の被害の場合、加害者が逮捕され、その捜査が進んでいく過程で余罪があることが分かり、新たな子供の被害が発覚することも多く見られます。

そうした中で、例えば、まず親御さんが自身の子供の被害について知ってワンストップ支援センターに相談に行ったものの、そのときは被害を届け出ることによる子供の負担を考えて一旦は届出を断念しましたが、その後に他の子供の件で加害者が逮捕され余罪が発覚したことから、子供自身が、こんなに多くの子供が被害に遭っていたのであれば、やはり加害者を許せない、罰したいと思い、届出をすることにしたなどという場合があります。

被害をすぐに届け出ることができなくとも、あるいは、加害者をすぐに特定できなくとも、例えば、証拠があるにもかかわらず、加害者を特定できたときには時効が完成していたということがないように、ワンストップ支援センターで証拠採取が連携してできるとか、証拠保管が適切にできるという制度も併せて考えていただく必要があるのではないかと思っております。

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<3~4ページ>
2021年3月30日 小島妙子 委員(弁護士)

齋藤委員と同意見の部分もありますが、2022年から成人年齢が18歳になります。
一方で、被害者の年齢は、19歳とか20代が多いです。
親や特に母の内縁の夫などといった監護者からの被害とか、就職した直後の被害なども多いと思われます。

強制わいせつの公訴時効が7年、強制性交等の公訴時効が10年でよいのかという問題があります。

経済的にも精神的にも自立して被害を訴えられる年齢としては、30代ぐらいであり、20代まではそういう年齢ではないと思います。

成人についても公訴時効の起算点を遅らせるべきではないかと考えています。

ただ今の私の意見は、意見要旨集の6ページの2つ目の「〇」についてです。

(参考。意見要旨集の6ページの2つ目の「〇」)

〇 加害者が親等である場合には、被害者である子供は、家庭的・社会的・経済的に加害者に依存している場合が多く、被害を申告することが難しいので、少なくとも、未成年者の公訴時効の起算点を25歳又は30歳まで遅らせるべきであるし、未成年者の特殊性・脆弱性を踏まえると、公訴時効期間を延長することも検討すべき


前回の意見としては、被害者が子供である場合についてのみ申し上げましたが、被害者が成人である場合についても、時効の起算点を遅らせることが必要ではないかと思います。

また、時効期間については相当程度の延長をするべきだと思っております。

被害を訴えることができるのが40代という方もいらっしゃって、ドイツの調査では、45歳ぐらいになってやっと訴えることができたという例がありました。

また、私の意見の中で、3ページの「④」の下から3つ目の「〇」に関係しますけれども、

(参考。意見要旨集の3ページの「④」の下から3つ目の「〇」)

〇 公訴時効制度は、犯人処罰の必要性と法的安定性の調和とも言われるが、一般国民には理解が難しく、説得力のある説明がなされているとはいえないから、性犯罪の被害の実情や証拠が残存している状況も踏まえ、被害者の視点から再検討して制度を改正すべきであり、科学的・客観的な証拠が収集され、立証が可能な事件については、公訴時効期間を延長すべき。

先ほど齋藤委員からも御指摘がありましたように、ワンストップ支援センターで客観的な証拠が確保できる場合があります。
DNAが残っていたり、犯人が犯行の画像を撮影している場合など、変質しない科学的証拠が残っている場合について、処罰できないというのは問題ではないかと思っております。
第7回の会合のときも意見を申し上げましたが、資料47(諸外国の性犯罪規定の概要【公訴時効に関する規定】)について、ミシガン州では、DNAを含む犯罪の証拠がある事案について特則を設けておりまして、未特定の個人に由来するDNAを含む犯罪の証拠が得られている場合には、個人が識別されたときから時効が進行するという規定がございます。
恐らくその趣旨は、証拠がそろわないので、事実上、捜査を行うことができない場合は停止するということではないかと思います。
被害者が被害を届け出て、DNAを採取して、保管もされているところ、別件で逮捕された被疑者のDNAと一致した場合、別件で捕まって、被疑者のパソコンから写真が大量に出てきた場合ということがあります。
飽くまで立証できる証拠が出てきた場合に限りますが、時効が成立しているとして訴追が全くできないのは問題ではないかと思います。

第11回の会合で、この点について、宮田委員から、アメリカでは公訴時効は抗弁という理解が正しいのかという御質問がありました。
恐らく、アメリカの起訴に関連する手続が日本と異なることから、抗弁という言い方をしているのではないかと思います。
日本の公判に相当する罪体に関する実質審理となる公判の前に、起訴陪審と呼ばれる公訴提起の審理があって、起訴陪審で認められるとトライアルが開かれるということです。
起訴陪審で起訴の要件を満たしているかを審理する過程で、公訴時効も起訴要件として審理される。
公訴時効の停止・延長に関する法改正に関して公訴時効の停止・延長の当否について裁判で争われております。
恐らく、起訴陪審で公訴時効の法改正の適用の有無について、弁護側から異議が出て争われている事案だと思います。
立証責任が被告人に転換するという意味での抗弁ではなく、弁護人が論点を提起しているという意味で、事実上、抗弁という言葉を使っているのではないかと思います。

(中略。)

井田座長は最後、以下のようにまとめました。

<8ページ>
2021年3月30日 井田 良 座長(中央大学教授)

(前略。)

これまでの議論を簡単にまとめますと、性犯罪の公訴時効をおよそ撤廃すべきであるという御意見も一部にはありましたが、それに対しては、そこまでの社会的合意はないのではないか、また、他の犯罪の取扱いとのバランスを欠くことになるのではないかということを理由に、現時点で撤廃は難しいという御意見もありました。

その上で、公訴時効の完成を遅らせることについては、被害者が被害を認識することや被害を申告することが困難な場合がままあること、それから、DNAや画像などの証拠が残っているケースがあることなどを理由として、これに賛成する意見が述べられ、特に被害者が子供である場合には完成を遅らせるべきであるという意見が多くありました。

今日の議論では、若年成人といいますか、20代の被害者でも子供と同じような取扱いをすべきだという複数の御意見が見られたところです。

これに対しては、時間が経過すると、そもそも正しい事実認定ができなくなる、被疑者・被告人の防御に支障が生ずるといったことを理由とする反対意見もあり、対立する利益のバランスをどう取るかということが問題となろうかと思います。

また、具体的に公訴時効の完成を遅らせる方法としては、起算点を遅らせる方法、時効期間を延ばす方法、新たな時効停止事由を創設する方法があるという御指摘がありまして、いずれの方法を採る場合でも、他の犯罪類型との関係で特に性犯罪のみについて特別の取扱いをする理由・根拠や、子供と大人、あるいは年少者、若年成人、そして大人とで取扱いを別にする場合には、その取扱いを変える根拠が明らかにされる必要があるという課題が示されたかと思います。

井田座長は、時効についての話し合いの冒頭、
被害者が一定の年齢未満の者である場合と成人の場合とで取扱いに差を設けるかどうか
と問題提起をしました。

このことに対する斎藤委員の意見は、
起算点を遅らせるといった場合に、一定の年齢未満ということであったとしても、せめて若年成人をきちんとカバーできる範囲までは検討していただきたいと思っております。ちなみに、若年成人というのは、20代ぐらいを意味しています
です。

小島委員も、
経済的にも精神的にも自立して被害を訴えられる年齢としては、30代ぐらいであり、20代まではそういう年齢ではないと思います
とのべました。

上述のとおり、検討会としての結論は、
以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、性犯罪について公訴時効の完成を遅らせる改正をする場合には、一定の年齢未満の被害者については、若年であることに伴う脆弱性が原因となって被害の認識や申告に困難を生じることを踏まえる一方、証拠の散逸や法的安定性にも留意しつつ、具体的な方策の在り方について更に検討がなされるべきである
です。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2020年9月29日

世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、
私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。

このあとの審議は法制審議会に委ねられます。
公訴時効の在り方につきましても、そう遠くない将来、結論が出ます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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