「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」の論議(4)。香西咲さんたちのAV出演強要被害と同様に、悪行は断罪されます

先日来、かつて法務省の性犯罪の罰則に関する検討会で交わされた
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
に関する論議をみています。

(確認)
<法務省 性犯罪の罰則に関する検討会
第1回 2014年10月31日
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第12回 2015年8月6日

2014年~2015年 法務省 性犯罪の罰則に関する検討会

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方

本日は「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」の三巡目の論議を参照します。

(参考。当ブログ)
性犯罪の罰則に関する検討会
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
2021年5月11日(一巡目の論議)
2021年5月12日(二巡目の論議①)
2021年5月13日(二巡目の論議②)

2015年7月10日 第11回性犯罪の罰則に関する検討会「議事録」より、引用。)

<5ページ>
2015年7月10日 山口 厚 座長(早稲田大学教授)

次でございますが、第3の「3 配偶者間における強姦罪の成立について」でございます。

この点につきまして、追加の御意見等がございましたらお願いしたいと思います。

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<5~7ページ>
2015年7月10日 角田由紀子 委員(弁護士)

前回述べたときも、どなたからも積極的な賛成を頂けなかったので、

(参考。当ブログ)
性犯罪の罰則に関する検討会
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
2021年5月11日(一巡目の論議)
2021年5月12日(二巡目の論議①)
2021年5月13日(二巡目の論議②)

また述べるのはどうかということがあるかもしれないのですけれども、やはり実態を更に直視していただきたいということを考えております。

それで、お手元の全国女性シェルターネットの近藤恵子理事からの要望書なのですけれども、別紙がございまして、別紙の方には具体的な事例が書いてあります。

シェルターネットで調査したときに出てきたものだと思うのですけれども、そこにありますように、実態の中では、とりわけDVの中で性的強要が含まれているということは、DV事件を現場で扱っている人はよく知っていることではあるのですけれども、なかなかそれが強姦という扱い方をされていないという、そのギャップの問題です。

例えば、シェルターネットの近藤理事の要望書によりますと、シェルターサポートを受けたDV被害女性のうち、夫・パートナーからの性暴力被害は53%、半数以上を占めていることが分かっているという数字が出ております。

にもかかわらず、配偶者間の強姦が処罰された例はほとんどないということが指摘されております。

それから、先ほど申し上げましたように、別紙で事例が示されております。

今までなかなか具体的な例というのが表に出ることはなかったのですが、このようにして出てきておりますし、それから、同じく机上配布されているSARC東京という性暴力被害者のためのワンストップサービスセンターの一つなのですけれども、そこの平川和子理事長の報告ですね。
これもやはり、望まない妊娠があると指摘しています。

さらに、「平成26年度の配偶者からの暴力事案の検挙状況のうち強姦と強制わいせつによる検挙はそれぞれわずか4件にすぎないことからも、強姦への警察対応はできていない」ということが指摘されております。

それから、資料が今はないのですけれども、ついこの間、7月3日だったと思うのですけれども、NHKの中部地方限定のナビゲーション中部という番組でもこの問題が取り上げられていました。
それは、性暴力被害者のためのワンストップサービスセンターが中部地方のあちこちででき始めていますという、そういうレポートだったのです。
その中に、実は私は夫からの強姦の被害を受けておりますということをお話しになっている方が、匿名で、出ておりました。
その女性は、それがどんなに大変だったかと、同居していた間、ほとんど毎日のように自分は強姦と言うしかないような扱いを受けたというようなことをお話しになっておりました。
このことからもお分かりいただけるように、そのことが語られ始めたということがあります。

それからもう一つは、検討会では、この前のときには、学説については、近年までは犯罪成立否定説もあったがというふうに指摘されていました。

(参考。当ブログ)
性犯罪の罰則に関する検討会
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
2021年5月11日(一巡目の論議)
2021年5月12日(二巡目の論議①)
2021年5月13日(二巡目の論議②)

それから、妻の性交応諾義務的な考えも民法では規定されていないのだと。

もし義務があると思っているのだとすれば、それは誤解ではないかという御説明がありました。

学者からすれば誤解かもしれないのですけれども、現実の社会では、やっぱり多くの人は、夫婦間であれば犯罪として成立しないのだという考えを受け入れている、そういうふうに思っている人が非常に多いのですね。

多くの人はどうしてそのように考えるのでしょうか。

刑法学説についての説明でも、少なくとも近年のものは成立を認めているというふうに言われております。

ですから、その近年以前は、学説の中でも成立しないということが言われていたわけです。

判例も、御存じのように婚姻破綻という条件を付けて限定的に認めているという状況でした。

ですから、学説が否定的であったとか、判例が限定的であったということの影響というのは、私はまだ社会から払拭されていないと思うのです。

学説の変更があったかもしれないのですけれども、普通の人がその学説の変更があったということを知るすべもないわけですし、自然にその学説の変更が社会に浸透するという、これも期待できないわけです。

だから、かつての否定説の考え方を一般人レベル、警察の現場の捜査官の人も含めて、一般人のレベルで払拭するには、やはり刑法の中にはっきりと明文の規定を置く必要があるのではないかと思っております。

確かに広報啓発活動というのは非常に有効だと私は思っているのですけれども、今までは学説が支持していて、判例もそのように言っていたということで刷り込まれている「犯罪とはならない」という考え方、これは広報啓発活動ではなかなか払拭できないのではないかと私は思っているのです。

ですから、もっと積極的な手が必要ではないかということを考えるのです。

それから、フランスとの比較については、この間、フランスは法律で婚姻関係による性交渉の同意を含むとされていたので、それを否定するためにわざわざ、配偶者間でもと、あるいは婚姻関係の如何を問わずということで、強姦罪は成立すると書く必要があったのだという御説明がありました。

確かに日本では、民法その他で婚姻関係に性交渉の同意を含むということは書かれておりませんが、だから私は余計問題だと思うのです。

刑法でも婚姻している妻を除くというふうに書かれていない。

しかし、この書かれていない構成要件があって、それが、実は実務を扱う人々の、弁護士も含めてなのですけれども、頭の中にやっぱりあるのだと、だから普通の人々の間にもそういう考えが存在していると。

そういうことを考えますと、つまり明文を必要とする点では、実質的にはフランスと結局同じことではないかと思うのです。

かえって書かれていない構成要件のほうが、私は問題であろうと思っておりますので、やはり明文ではっきりと書いて、学説も変わっているのだし、今までの考え方は間違いだよということは、はっきりする必要があるのではないかと思います。

そのように明文で書かれることによって、例えば、警察官もそうでしょうし、それからシェルターなんかの現場にいる人が訴えられても、でもそれはやっぱり難しいのねというような話にならなくて、もっと積極的に夫婦間の強姦という問題をきちんと取り上げていくという方向になっていくのではないかと思います。

それから、この問題に関して運動している女性たちの中では、お手元の配布資料の中に入っているのですけれども、夫婦間の強姦については、明文できっちりしてほしいという意見が非常に強いと私は見ておりますので、追加して申し上げました。

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<7ページ>
2015年1月29日 工藤陽代 委員(警察庁刑事局刑事企画課付)

今の御発言の中で、立件数が極めて少ないというのは、警察の対応ができていない証左だというような御趣旨の御発言があったと思うのですけれども、これは若干乱暴かなと思う部分がございます。

御指摘は、要するに、結果として立件数が少ないことの原因として、警察側が対応していないというものだと思われ、そういうふうに思う方もいらっしゃるかもしれないですけれども、ほかの可能性として、例えば、それ以外の強姦よりも、より潜在化しやすいということもあるかもしれません。
それはそれで別途対応すべきことなのかもしれないですけれども。

それから、これは、この論点について検討があったときに何名かの委員からお話があったかと思いますけれども、夫婦間でのことになりますので、基本的には一つ屋根の下で起こることなので、非常に証拠の収集が難しくて、立件しようと思っても、なかなかに刑事責任を問うだけの証拠を集めることができないということも多々あるわけです。

したがいまして、数が少ないから、それは警察がちゃんと対応していないのだというのは、若干乱暴かなと思いましたので、この点指摘をさせていただきたいと思います。

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<7ページ>
2015年7月10日 角田由紀子 委員(弁護士)

警察の対応が悪いと決めつけているわけではないのですけれども、実際に医者のところに行って、そして警察に行くように助言された人が、警察に行って、それは夫婦だったら犯罪にならないのだよと言われて帰されてくるという例を、私は具体的に聞いておりますので、例えば警察が、一番最先端のところでこの問題についての認識をもう少し変えていただければ、それは違うのではないかなと思っております。

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<7ページ>
2015年1月29日 工藤陽代 委員(警察庁刑事局刑事企画課付)

一線の現場で対応する警察官が、常に意識をアップデートしたものにしておかなければならないという意味では、多分私も思うところは全く一緒だと思うのです。

ただそのための努力というのは常にされていて、これは若干私の立場を超えた意見になってしまうかもしれないのですけれども、そういった現場の一線で対応する人の認識を変えるということの手段として、刑法に書くということは、果たして適切なのか、正しいのか、意味があることなのかという点について、私は余り、それはそうではないのではないかなというふうに思っております。

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<7ページ>
2015年1月29日 山口 厚 座長(早稲田大学教授)

この点については、それぞれの御意見をここで拝聴したということで進ませていただければと思いますが、ほかの点についていかがでしょうか。

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<7ページ>
2015年1月29日 小木曽綾 委員(中央大学教授)

書かれていない構成要件というのを基にして議論ができるのかというのは、法律の理屈としては難しいのではないかということだけ、申し上げたいと思います。

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<7ページ>
2015年1月29日 山口 厚 座長(早稲田大学教授)

ほかにいかがでしょうか。
よろしければ、次に進めさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(一同 異議なし)

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いまから6年前に、工藤陽代委員(警察庁)は、
立件数が極めて少ないというのは、警察の対応ができていない証左だというような御趣旨の御発言があったと思うのですけれども、これは若干乱暴
数が少ないから、それは警察がちゃんと対応していないのだというのは、若干乱暴
現場の一線で対応する人の認識を変えるということの手段として、刑法に書くということは、果たして適切なのか、正しいのか、意味があることなのかという点について、私は余り、それはそうではないのではないか
と発言しました。

昨年(2020年)の3月31日から、刑法改正の審議をおこなっているのは、
性犯罪に関する刑事法検討会
です。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録準備中

第15回(2021年4月12日)※議事録準備中

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

・第16回(2021年5月21日開催予定)

2020年~2021年 法務省 性犯罪に関する刑事法検討会

検討会の事務局は、先月(2021年4月12日)、取りまとめ報告書(案)を公表しました。
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」につきましては、現在のところ、以下の集約がされています。

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方

(2021年4月12日 性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書(案)より、引用。)

<配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方について>

エ 小括

以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、配偶者間では性犯罪の成立が限定され得るとの解釈もなお存することに鑑み、婚姻関係以外の関係性にも留意しつつ、解釈上の疑義を払拭するための確認的な規定を設ける方向で検討がなされるべきである。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2020年9月29日

世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、
私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。

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角田由紀子委員を除く性犯罪の罰則に関する検討会の各委員は、上述の取りまとめ報告書(案)を読んでどのようなことを思ったのでしょうか。
尤(もっと)も、その種のひとたちには信念というものがありません。
いまごろは取りまとめ報告書(案)の支持者になっているかもしれません。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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