「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」の論議(3)。時代は変わりました。香西咲さんたちのAV出演強要被害も、犯人が処罰されるのは必定です

刑法の性犯罪の規定を改正せよ、との国民の声は、日ごと高まっています。
法律業界のひとたちも、こうした潮流には抗えないようです。
本日も、「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」に対する6、7年前の意見と、現在の意見を対照します。
まずは、6、7年前の意見をみてみます。

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方

6、7年前の意見(※性犯罪の罰則に関する検討会

(参考。当ブログ)
2021年5月11日(その1)
2021年5月12日(その2)

2015年1月29日 第5回性犯罪の罰則に関する検討会「議事録」より、引用。)

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2015年1月29日 工藤陽代 委員(警察庁刑事局刑事企画課付)

警察の運用についての言及がありましたので誤解のないように申し上げておきたいのですけれども、前回の検討会の場で角田委員が言及なさったような個別の事例については、一つ一つ残念ながら把握していないので申し上げられないのですけれども、少なくとも一般的な方針としては、夫婦間であろうとなかろうと、とにかく現行の刑法の要件を満たしていれば、それは強姦が成立するというのが我々の考えですし、実際にそのような考えに基づく検挙事例というのはあるわけです。

これも前回田中委員がおっしゃったことの繰り返しになる部分がありますけれども、その立証上の困難性は、やはり夫婦であるということからいろいろなことがある。

例えば、一つ例を申し上げますと、婚姻関係が破綻した後で、まだ破綻していない前の過去の事案について被害申告がある、これがかなり多く見られる事例ですけれども、こういった場合に実際に家庭内でそういうことがあったということを立証するのは非常に難しい
一つの事例ですけれども、こういったことがあります。

それで、結果的に検挙ということに至らないということはあるかもしれませんけれども、少なくとも警察として現場での運用として、夫婦間では成立しないという考えが一般的であるというのは、それは正しくないと思っております。

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<4ページ>
2015年1月29日 佐伯仁志 委員(東京大学教授)

私の先ほどの発言で誤解を招くかもしれないと思いましたので補足させていただきますと、法は家庭に入らずというのは、もちろんむやみに入って家庭生活を破壊してはいけないということであって、当然DVのような場合を含めて、しかるべき場合には警察が介入、あるいは処罰するべき場合があるというのは当然のことでございます。

それは、夫婦間の強姦には限らず、強制わいせつもそうでしょうし、暴行行為もそうでしょうし、それから井田委員が御指摘になったように内縁関係の場合も同様であろうということです。

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<4ページ>
2015年1月29日 井田良 委員(慶應義塾大学教授)

一定の場合には家庭にも入らざるを得ない、あるいは、一定の場合に親密圏の中にも入っていかざるを得ないということ自体は、法律家の中にこれを否定する人はいないと思うのです。
ですから、そのこと自体を幾ら明記しても意味がないのです。

大事なことはどういう場合に入っていってよいのか、入っていくべきなのか、そして、それをどういうふうに要件化するかです。
そこにはかなり難しい問題があり、それは立法的に解決するのではなく解釈に任せるほかないのではないか。

こういう場合は家庭の中に入っていい、これは駄目ですと、法律において要件化できればいいですけれども、それができない以上は、単に一定の場合には入っていかなければいけませんよとただ一言だけ書いたとしても、何の意味もないというのが私の意見です。

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<4~5ページ>
2015年1月29日 齋藤梓 委員(臨床心理士)

夫婦間の強姦よりは、デートレイプの方が件数として扱うことが多いので、夫婦間、配偶者間と言うのならば、「関係性の如何を問わず」の方が、私の感覚としては、普段の業務からすると近いかなと思っています。

法律に明文化されることでどういう意味を持つのかということについて、法律家ではないので全く予測が立たないので、それを入れた方がいいのか、入れない方がいいのかということに関して、私は言及を今回はしないでいたいと思っています。

ただ、現場でこれがデートレイプであるとか、配偶者間でもこれは強姦であるという認識を持つことのできない被害者が多数いるということは事実だなと思っていまして、どうやって認識を広めていくかという問題と、もう一つは、警察の方々や法律の先生方がいろいろなことを考えた上でおっしゃっているのは分かるのですけれども、やはり現場に行ったときに警察の方に、「それは夫婦間でしょう」、「それはだって付き合っていたのでしょう」みたいなことを言われることが実際にあって、それは私たちからすると夫婦間だから立証が難しいとか、交際関係があったから、これが暴行、脅迫だということを認められるのが難しいのだろうと私たちは分かっても、被害者の方はそこまでかみ砕いて理解ができなくて、そういうときにかみ砕いて説明してくださる現場の方々がいらっしゃるといいなと思っています。

そういう現場の方々にお会いすることもありますし、やはりお会いできないこともあります。

そういう状況をどうやったら変えられるかということに関して、それを法律に明記したら変わるのか、明記しても変わらないのか、もっと別の変える手立てがあるのかというのは私には分からないところですけれども、そういうところが変わっていくといいなというのは被害者支援の立場からは考えています。

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<5ページ>
2015年1月29日 角田由紀子 委員(弁護士)

今の御発言に関連してなのですけれども、結局、私も明文化したらそれでガラリと変わるというような期待は持っていないのですけれども、DV防止法がそうであったように、法律に明記されることによって一般の人の認識が変わって、そこに必要なメッセージが送られるのではないかと思っています。

前回、私が男女共同参画白書の中の棒グラフをお示ししたのですけれども、あれもDV防止法ができて、人々の意識にどういう変化があったかということを如実に示しているものだと思います。

当然、暴行傷害はDV防止法と関係なく犯罪だったわけなのですけれども、あの法律のできる前と後であれほど大きな認知の数が違ってくるというのは、やはり法律があることによって人々の認識を変えていくには非常に大きな力があったということではないかと思っております。

そういう意味では学者の先生方は誤解していないかもしれないですけれども、一般の人々はやはり夫婦間だから駄目だと、実際に警察で言われたという例も最近でも知っているわけなのです。

そういうことがあるので、それは違うのだよと。
夫婦間であろうとなかろうと。

ですから、どういう文言にするか、夫婦間というふうにするのか。
あるいは関係性の如何を問わずとするか、そこはまた文言の話で別なのですけれども、少なくともあなた方は犯罪ではないと思っているかもしれないけれども、犯罪なのですよということをやはり明確にする必要があるのではないかと私は思っています。

もし、そこのところが一般の人々の間でも明確であれば、立証の問題があるかもしれないのですけれども、なぜ夫婦間の判例があれほど少ないのかという問題も出てくると思います。

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<5~6ページ>
2015年1月29日 宮田桂子 委員(弁護士)

2点指摘したいと思います。

まず1点は、法律を変えなければ事態が動かないのかという観点です。
私など弁護士の業界もそうですけれども、法律に携わっている人たちのセクシャルハラスメントの問題などは、たまにあるから新聞を賑わすのかもしれませんが、そういうとき、組織がマッチョだという言われ方をするわけです。
男性が多い社会なので、女性に対する理解が足りない。
そこに対して、教育をすることによって、運用が変わってくるということもあり得るのではないか。
今、もしも角田委員がおっしゃるような問題があるのだとすれば、それは現場の意識の問題を変えれば変えられる問題なのか、変えられない問題なのか、このことを一回試してみてから法律をいじるということでもいいのではないかと考えます。

もう1点は、夫婦間の問題については、非常に被害者の記憶の喚起等が難しいことがあることです。
これは一般的なセクシャルハラスメントもそうですし、性的な問題などについて非常に被害を受けた人の場合には、記憶が曖昧になる場合もある。
特に、夫婦間の場合には、夫婦でいつどんなことが起きたか日記を付けて、ちゃんと記録をしているような人というのは少ないです。
被害に遭って、友達にその内容をメールで送っていたという形で物的な証拠が残っているということであれば、これは警察の方も動いていただけるのでしょうけれども、大体いつ頃、不本意な性関係によって私は妊娠してしまいましたというふうな、ざくっとした内容で被害を申告されても、警察はなかなか動きづらいだろうと思います。
ただし、そのような不本意な性行為がある前提として、日常的な暴力、暴言、DV的な被害があるとすれば、そちらを根拠にして警察に動いていただくことは十分にあり得ることだと思います。

強姦罪に夫婦間の問題を入れることによって問題が解決するのかしないのか、別の形でも解決できるのであればそちらでもいいのではないかということを考えたところでございます。

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<6ページ>
2015年1月29日 角田由紀子 委員(弁護士)

夫婦間の場合の記憶の問題について、被害者の側が必ずしも明確に被害がいつだったかということを指し示せないとおっしゃられたのですけれども、私の経験では、本当にひどい被害に遭った人は、何らかの形で、日記とかいろいろな所で何月何日何時頃こういうことがあったという記録をされている人が結構いらっしゃるのですね。

それは事件としては離婚事件だったのですけれども、日常的な軽いものは書いていないのですが、自分が耐え難いと思ったものについては、記録をされるということもそれほど珍しいことではないと私は思っております。

法律の改正のほかに、もっと状況を良くするということがあるとすれば、それは法律の改正にプラスして、そういう改善策を採られることに私は反対ではありませんし、それは大いにするべきだと思っていますけれども、間違った考え方を正すためにもやはり立法的な措置が有効、必要ではないかと考えております。

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<6ページ>
2015年1月29日 小木曽綾 委員(中央大学教授)

統計への言及がありましたので、その点に絞って申し上げておきますけれども、統計の読み方というのは、ある数字の変化をもたらした原因がどこにあるのかに関係するあらゆる変数を入れて、それとの関係を見てこの数字がなぜ動いたかの結論が初めて出るわけですので、DV法の施行後に暴行傷害の数が上がったという統計上の数値が出たとしても、その原因が何であるかということについてはかなり慎重に見なければいけないというのが統計学上の知見であろうということだけ申し上げておきたいと思います。

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<6~7ページ>
2015年1月29日 田中素子 委員(最高検察庁検事)

捜査機関が「それは夫婦でしょう」とか、「恋人間だから」ということで、否定的な発言をするというような御趣旨の発言があったのですけれども、それは配偶者間だと成立しないと法律を誤解しているからというよりは、通常の強姦と比べると、前回も申し上げました立証上の難点が伴いますので、そういうことが真っ先に頭にあって、思わずそういう発言になると思うのです。

そういう現場の人間のデリカシーのない発言というのはあるのだろうなと思うのですけれども、だんだんそれは減ってきていると認識しています。
そこは現場で教育しないといけないことだと思います。
法律で定めることではないと考えています。

それとDV事案ですけれども、これは相当立件されていましてすごく多いです。
私の目から見ても警察もすごく被害者保護に厚くなっているので、こんな軽い事案までと思うものまで立件されてきております。
もちろんひどいものは逮捕したりしているのですけれども、その後で仲直りをされる、被害届を取り下げるというのも相当多い、これも現実です。
ですが警察はきちんとやっているのです。
もちろん真偽を確かめて立件するわけなのですけれども、とすると暴行脅迫を要件としている強姦罪で、暴行の部分をこれだけ立件しているのに、その中で強姦罪まで被害届が出されたときに、それはやりませんというようなことはあり得ないのです。
したがって、そのような注意規定を設ける意味はないのではないかと考えております。

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<7ページ>
2015年1月29日 北川佳世子 委員(早稲田大学教授)

既に井田委員、佐伯委員がおっしゃったとおり、私も刑法典の中にあえて配偶者間での強姦、配偶者であっても強姦が成立するという旨の規定を設ける必要はないかと思います。

これは既に先生方がおっしゃったとおりのことと、プラス先ほど来の御指摘にもありましたように、暴行脅迫についてもどういう関係の中で行われたかというのは問うておりませんし、刑法典上もほかの例で言えば未成年者誘拐罪でも親子関係があっても成立するという解釈同様、状況次第でということもあると、関係性を問わずということで書いてないものについては問わない、場合によっては個別具体的に検討する。
ただし、慎重さは要するということなのだろうと思いますので、刑法全体の関係からも不必要なのではないかと考えております。

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<7ページ>
2015年1月29日 山口 厚 座長(早稲田大学教授)

ほかにいかがでしょうか。大体御意見はお述べいただいたということでよろしゅうございますか。
それでは、まとめをさせていただきたいと思います。

配偶者規定に関する本日の御議論でございますが、明文を置くべきだという強い御意見がございましたけれども、大勢としては明文の規定を置く必要はないのではないかというものであったように思われます。

しかしながら、御議論の中でも出てまいりましたが、配偶者間において強姦罪が成立しないという誤解があるとすれば、被害が潜在化してしまうという問題が生じることにもなりかねませんので、そのような誤解がないように広報・啓発活動といったようなものを推進していくということも重要なのではないかというように考えられます。

その意味では、本日このような形でこの夫婦間の強姦の成否について論点として取り上げて御議論をいただき、その議論の経過が議事録等を通じて公表されるわけでございますので、啓発活動という観点から見ても意義のあることだったのではないかと思われます。

現時点での御議論、ここまで御議論いただいたことをまとめさせていただきますと、そういうことになろうかと思います。
よろしいでしょうか。

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ご覧のとおり、法律業界のひとたちは、角田由紀子委員の提案を足蹴にしました。

つぎは、先月(2021年4月12日)に公表された性犯罪に関する刑事法検討会取りまとめ報告書(案)を参照します。

(2021年4月12日 性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書(案)より、引用。)

<配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方について>

エ 小括

以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、配偶者間では性犯罪の成立が限定され得るとの解釈もなお存することに鑑み、婚姻関係以外の関係性にも留意しつつ、解釈上の疑義を払拭するための確認的な規定を設ける方向で検討がなされるべきである。

隔世の感があります。
わずか数年で、法律業界のひとたちの認識は激変しました。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2020年9月29日

世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、
私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。

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ふと、
「僕の前に道はない。僕の後ろに道は出来る」
という一節を思い出しました。
泣き寝入りをしない被害者の方々のひたむきな行動が世の中を変えました。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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