【刑法改正を審議する検討会の13回目の議事録】(4)。暴行、脅迫、抗拒不能要件③。AV業界人は香西咲さんたちから抵抗を奪いAV出演を強要しました

2021年3月8日に、法務省の第13回性犯罪に関する刑事法検討会が開催されました。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録準備中
第15回(2021年4月12日)※議事録準備中

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

・第16回(2021年5月21日開催予定)

先日、第13回性犯罪に関する刑事法検討会議事録が公開されました。
中身の詳細につきましては、当ブログの記事をご覧ください。

(参考。当ブログ)
第13回性犯罪に関する刑事法検討会議事録について>
2021年4月29日(AV出演強要)
2021年4月30日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方①)
2021年5月1日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方②)

本日は、ひきつづき、「暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方」の論議をみていきます。

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2021年3月8日 第13回性犯罪に関する刑事法検討会

暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方③(※

(2021年3月8日 第13回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<8ページ>
2021年3月8日 中川綾子 委員(大阪地方裁判所部総括判事)

既にいろいろな委員からの意見の中にも出ているところなのですけれども、最終的にどのような要件にするかは政策の問題ですので、意見としては差し控えたいのですけれども、先ほどから出ている受皿要件、「その他意思に反する行為」というような言い方をした場合に、「その他意思に反して」というだけではどのような行為や状態を指すのかが明らかではなくて、実務には混乱が生じるように思われます。

以前に渡邊委員も指摘されていましたとおり、被害者の同意の有無や被告人の認識の判断に当たっては、暴行・脅迫などの不同意をうかがわせる状況があるかどうかといった、客観的な状況が重要な要素となります。

そうした客観的な状況を伴わない類型を想定するのだとすると、重要な判断要素がないまま、食い違った当事者の供述の信用性を判断するということになりますので、同意の有無ですとか、被告人の認識の判断が難しくなるということは申し上げたいと思います。

また、「威迫」、「不意打ち」などの手段や状態を要件とする御意見も述べられていたところですが、例えば、「不意打ち」というのがどのような手段を意味するのか判然としないという点もありまして、処罰範囲を明確にするためには、手段や状態を具体的で明確なものとする必要があるということも念のため申し上げておきたいと思います。

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<8ページ>
2021年3月8日 羽石千代 委員(警察庁刑事局刑事企画課刑事指導室長)

警察としましても、性犯罪として処罰すべき行為がきちんと対象として拾い上げられることは重要であると認識しております。

一方で、警察の現場で条文を運用するという観点から申し上げますと、構成要件については、できるだけ明確な方が望ましいと考えております。

例えば、「欺罔」とか「偽計」につきましては、なかなか立証が難しいのではないかということと、ほかの委員からも既に御指摘があったとおり、刑事責任を問うべき悪質なものとまではいえない多様なものが含まれてしまうのではないかと感じております。

意見要旨集6ページの3つ目の「〇」にありますとおり、

(参考。意見要旨集6ページの3つ目の「〇」)
〇 列挙される手段に欺罔を含めるか否かについて、成人に対して好意や婚姻する意思を偽る場合には処罰価値がないと思われる一方で、行為の性的な性質を偽る場合や相手方の同一性を偽る場合は現行法でも処罰されているから、欺罔を含める場合には、その範囲を限定することが重要。

過去に、ほかの委員の方から、同一性を偽る場合は含めてよいのではないかという御提案があったと思うのですけれども、

(参考。2020年11月10日の第8回性犯罪に関する刑事法検討会
佐藤陽子委員(北海道大学教授)
他方で、行為の性的性質を欺罔しているとか、あるいは、性交の相手方の同一性を欺罔しているという場合は、諸外国においても一般的に処罰されていますし、日本の現行刑法でも処罰されている類型になりますから、こういうのは入れておかないといけないと考えます。

この「同一性を偽る場合」というのが、どこまで含むのかということの判断が難しいのではないかと思っております。

また、今日、小島委員の意見にもありました、「その他意に反する性的行為」という規定につきましても、

(参考。小島妙子委員)
これと併せて、不同意性交に対する当罰性の判断は、時代とか人々の意識、社会の変化に応じて変化するものだと考えておりますので、今後の判例法理の展開を見越して受皿規定を設けておくべきだと考えます。
受皿規定としては、例えば、「その他意に反する」とか、「その他意思に反する性的行為」という規定ぶりが考えられると思います。

ほかの委員の方々と同じように、明確性という観点でやや懸念を持っております。

処罰すべき行為を対象に含めつつ、現場での判断に迷いが生じることのないような、できるだけ明確な規定としていただけるようにお願いできればと思っております。

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<8~9ページ>
2021年3月8日 池田公博 委員(京都大学教授)

考えられる規定の在り方、特に被害者の状態をどのように表現するかについて、意見を申し上げます。

現行法における強制性交等の罪(刑法177条)は、

(参考。刑法)
177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

その広狭はともかくとして、暴行・脅迫を用いて強制的に行われる場合を処罰するもので、これまで言われてきた不同意の徴表というときの不同意、被害者の心理状態というのも、幅広い意味を含み得る不同意全般ではなく、限定的なものと考えられます。

それがどのような意味かを考えるに当たり、刑法177条(強制性交等罪)と同列に置かれる刑法178条(準強制性交等罪)の場合の被害者の状況を見てみますと、

(参考。刑法)
178条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条(強制わいせつ罪)の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条(177条)の例による。

心神の喪失、すなわち、被害の認識がおよそない場合、抗拒の不能、すなわち、被害の認識はあるけれども物理的あるいは心理的にあらがったり、あるいは拒んだりする能力を失っている場合を念頭に置いています。

これは、同意との関係では、そもそも同意するかどうかの選択の余地がない場合に当たり、そうであるがゆえに同意に基づいているとみる余地がないとされているものと考えられます。

そうだとすると、先ほど述べた限定的な意味の不同意というのも、そのような意味と解する余地もあるように思われます。
その上で、刑法177条(強制性交等罪)の規定については、そのように不同意の意義を限定的に理解するとしても、そうした状況が暴行・脅迫を用いた場合に限って生じるものではないのではないか、また、刑法178条(準強制性交等罪)との関係では、抗拒不能という表現は、身体的抵抗が不可能ではない場合を除くという解釈をもたらし得る点で問題があるという指摘は、いずれも正当だと思われます。
したがいまして、暴行・脅迫がもたらす不同意と同じ意味の不同意をもたらす手段、あるいはそうした状態に至っていることを示す表現によって、同列に論じるべき被害を明確に処罰範囲に含めていくことがまずは妥当と考えられます。
そのような観点から考えてみますと、例えば、手段をどのように規定するかはともかく、一定の手段を用いて、被害者が性交等を拒否し、あるいは拒絶することを不能若しくは困難な状態にしてする性交等又は被害者がそのような状態にあることに乗じてする性交等といった文言を用いて表現することも考えられるのではないかと思います。
抗拒」という言葉ではなくて、「拒否」あるいは「拒絶」という言葉を用いてはどうかということで、先ほどの橋爪委員の御指摘と同旨でございます。

(参考。橋爪隆 委員【東京大学教授】)
例えば、行為態様について、「その他被害者が性行為を拒絶することを困難とするような行為」、状態についても、「その他性行為を拒絶することが困難な心理状態」など、その規定内容に対応した受皿要件を設けることが、規定形式という観点からも適当であるような印象を持ちました。

その上で、ここでの拒否や拒絶の可能性の有無については、先ほどの性的同意についての御指摘を踏まえて考えますと、社会における意識を考慮して解釈する余地があるのではないかと考えております。

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<9~10ページ>
2021年3月8日 上谷さくら 委員(弁護士)

刑法177条(強制性交等罪)の暴行・脅迫という言葉についての佐藤委員や木村委員の問題意識について、私の考えを述べさせていただきます。

確かに、今、判例によって、暴行・脅迫と聞いたときの普通のイメージとは違う解釈がなされているというのはそのとおりだと思います。

文言どおりに解釈すると処罰されるべきものが含まれないケースが多いということで、被害者の抵抗を困難にする程度の暴行・脅迫をどう判断するのかというと、例えば二人の関係とか、時間とか、場所とか、いろいろな要素を盛り込んで判断するのだということになっているわけです。

しかし、それが、いわゆる「威迫」や「不意打ち」というものまで含んでいるかと言われますと、多分ケース・バイ・ケースかと思うのです。

これまでの判例で「威迫」まで広がっているのではないかという御意見もありましたけれども、もしそこまで広がっているというのであれば、そのことが条文から分かるように、言葉の整理をした方がいいと思います。

私も、法律上「威迫」といわれるものを暴行・脅迫として解釈していると感じる判決に出会ったことがあるのですけれども、非常に少ないなと思います。

それは、検察官が起訴する段階で絞っているからだと思います。

「威迫」にとどまる場合は、ほとんどの場合は不起訴になっているのではないかと思います。

非常に熱心な検察官だと、もしかすると無罪になるかもしれないと思いつつ、勇気を持って起訴しているというのが現場の感覚です。

先ほど羽石委員からもありましたけれども、現場の警察官が分かりやすいというのも大事ですし、やはり国民にも分かりやすいというのは非常に大事だと思っていまして、特に性的な行為については、殺人とか窃盗みたいに非日常な違法行為ではなく、日常生活に密着した基本的には合法な行為ですので、何より分かりやすいことがとても大事だと思っています。

私もたくさん相談を受ける中で、刑法177条(強制性交等罪)の説明をするときは、一から全部言わなくてはいけないのです。

「暴行・脅迫」というのはこういう意味で、被害者の抵抗を困難にするというように判例では言われていて、それをどう判断するかというと、二人の関係とか、顔見知りかどうかとか、それが起きた時間帯とか、場所とか、全部そういうのを詰め込んで判断するのですよということを説明するわけです。

けれども、ほとんどの人がそのようなことは知らないですし、この条文を読んでも、加害者も被害者も、どれが犯罪に当たるか、多分、分かっていないと思います。

ですから、「威迫」に当たるものを軽い類型で別罪にするか、それが既に今の刑法177条(強制性交等罪)に含まれているという前提で話をするかということはちょっと置いておいても、今の刑法177条(強制性交等罪)の要件を暴行・脅迫だけにして、あとは今の判例に沿って解釈で運用するということは、やはり考え直す必要があるのではないかと思っています。

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(再掲。池田公博委員【京都大学教授】)

一定の手段を用いて、被害者が性交等を拒否し、あるいは拒絶することを不能若しくは困難な状態にしてする性交等
又は被害者がそのような状態にあることに乗じてする性交等

AV出演強要はこの範疇に該当します。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2016年7月25日

富士山の樹海近くのスタジオに連れていかれてどうやって逃げろと?
周り何も無いですし。
怖い人20人近くいて声も出ないですよ。
男性にはこの怖さは分かりません。

香西咲さん
2018年3月1日

仰る通り、組織的犯罪です。

AV出演強要につきましては、一定の方向性が示されています。

(2021年4月12日 性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書(案)より、引用)

いわゆるアダルトビデオへの出演の強要については、性的行為と撮影行為が密接不可分の関係にあり、性的行為の同意の有無に疑念が生ずる事例が含まれていることから、まずは、強制性交等罪や準強制性交等罪の適用の問題として、暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件についての議論を踏まえることが必要であるし、ひそかに撮影する類型や強制性交等の犯行状況を撮影する類型等について議論した上で、更に別の要件を設ける必要があるかを検討すべきであるといった意見が述べられた。

AV出演強要犯の捕獲が待たれます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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