月別アーカイブ: 2021年5月

先日、実刑が確定した福岡の準強姦男は、有名寿司店の経営者でした。つぎに駆逐されるのは、香西咲さんたちにAV出演強要をおこなったAV業界人です

昨日の当ブログで、3日前(2021年5月14日)に最高裁が下した性暴力事件の判決にふれました。

(参考。当ブログ)
2021年5月16日(※昨日)

もう一度、3日前(2021年5月14日)の報道を引きます。

第3審(最高裁)

(2021年5月14日 産経新聞「酔った女性に乱暴、逆転有罪確定へ 最高裁」より、引用。)

2021年5月14日 産経新聞

福岡市の飲食店で平成29年(2017年)2月、飲酒で意識がもうろうとしていた20代女性に性的暴行を加えたとして準強姦罪に問われた会社役員、椎屋(しいや)安彦被告(46)について、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は被告側の上告を棄却する決定をした。
(2021年5月)12日付。
被告を無罪とした1審福岡地裁久留米支部判決を破棄し、準強姦罪の成立を認めて懲役4年とした2審福岡高裁判決が確定する。
5裁判官全員一致の結論。
(後略。)

ご存じのとおり、加害者は、1審で無罪となりました。

第1審(地裁)

(2019年4月21日 西日本新聞「なぜ?同意ない性行為に続く『無罪』判決 『故意立証』の高いハードル…刑事司法の限界、指摘も」より、引用。)

2019年4月21日 西日本新聞

(前略。)
スノーボードサークルの飲み会で、泥酔した20代女性に乱暴したとして、準強姦(ごうかん)罪に問われた40代の男性に対する裁判。福岡地裁久留米支部は(2019年)3月12日、無罪を言い渡した。
判決は、女性が飲酒の影響で抵抗できない状態であったことは認めた。
一方で、女性が目を開けて声を発したり、性交のしばらく後、別の男性から胸を触られて大声を出して手を振り払ったりしていた点を重視。
被告からすれば「意識がある」と思える状態だったと判断した。
サークルでは度々わいせつな行為が行われ「(女性が)許容していると誤信し得るような状況にあった」とも指摘。
女性が飲み会に参加したのは初めてで「少なくとも本件のような状況で性交することを許容していたとは考えられない」と認める一方、泥酔状態に付け入って性行為に及んだ「故意」は認められないとした。
(後略。)

先日の第13回性犯罪に関する刑事法検討会で、山本潤委員は、第1審の福岡地裁久留米支部が出した判決にふれました。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録準備中

第15回(2021年4月12日)※議事録準備中

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

・第16回(2021年5月21日開催予定)

13回目の検討会の議事録を参照します。

(2021年3月8日 第13回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<10~11ページ>
2021年3月8日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

酩酊に関して少し申し述べたいと思います。

2019年3月の福岡地裁久留米支部の判決においては、被害者が酩酊しているにもかかわらず、まばたきをしたとか身じろぎをしたということで、加害者が誤信した可能性があると言われ無罪となっています。

(※注 第2審の福岡高裁は、加害者に対して懲役4年の実刑判決を言い渡しました。)
2020年2月5日 朝日新聞 「抗拒不能を認識」と故意認定 準強姦罪、二審は有罪に

(参考。当ブログ)
2020年2月7日

(※注 加害者は、最高裁に上告しました。)
2020年2月14日 毎日新聞 福岡準強姦事件 被告の男が上告 高裁で逆転有罪

医療者から見たら、意識が低下している人は介助の対象であるのですけれども、加害者が同意していると誤解したと言えば、同意と思われてしまう。

先ほどから、抵抗を困難にするとか、抵抗できない状態であることが認められればというお話も出てきていますけれども、被害者や支援の場では、被害を訴えても現場の警察官などから、抵抗していないでしょうとか、あとは、連れ込まれた場合でも、二人で部屋に入ったでしょうというようなことを言われて、同意でしょうなどと言われてしまうことが起こっています。

同意とは何か、同意があり得ないということはどういうことなのかということを定めてほしいと思います。

また、抵抗を前提にするのではなく、「その他同意を得ずに」などにしていただけた方が、私たちとしては、受皿として、きちんとそのような不同意の徴表といわれる性犯罪を拾えるのではないかと思っています。

——————————————————–

(再掲。山本潤 委員)
2019年3月の福岡地裁久留米支部の判決においては、被害者が酩酊しているにもかかわらず、まばたきをしたとか身じろぎをしたということで、加害者が誤信した可能性があると言われ無罪となっています

高裁は、福岡地裁久留米支部の判決を破棄しました。
加害者を有罪としました。
最高裁もこのたび、高裁の判断を支持しました。
加害者は、懲役4年の実刑となりました。

(再掲。産経新聞)
準強姦罪に問われた会社役員、椎屋(しいや)安彦被告(46)

加害者の名前は、
椎屋(しいや)安彦
です。
どのようなやつなのでしょうか。
検索をしてみたところ、名前が散見されました。

椎屋安彦に関する記事

まずは、いまから14年前の記事をみてみます。

2007年10月31日 あさぴーのおいしい独り言「記念日のお祝い!博多駅前4丁目『鮨 安吉』再訪!美味しい鮨はご馳走でした」より、引用。)

<一部分を抜粋>
2007年10月31日 あさぴーのおいしい独り言

今日紹介するのは、そんな馴染みの候補店の一つだと思っている「鮨安吉」なのである。ご主人の椎屋安彦(しいややすひこ)さんは、まだ今年32歳!?若くて才能あふれる鮨職人だと思う。また色々勉強されていて、思わず「なるほど!」という驚きを与えてくれる鮨の数々。将来がますます楽しみな職人の一人だと思う。

(参考)
2021年 - 2007年 = 14年

いまから14年前、文中の人物は32歳です。

(参考)
32歳 + 14年 = 46歳

(再掲。産経新聞。2021年5月14日)
準強姦罪に問われた会社役員、椎屋(しいや)安彦被告(46)

椎屋(しいや)安彦は、寿司店の経営者であったようです。
他の記事もみてみます。

(2005年11月25日 超人シェフvillage「椎屋くん」より、引用。)

2005年11月25日 中澤 圭二

先日、九州で「鮨安吉」(福岡市博多区博多駅前4ム3-11 TEL092-437-8111)というすし店をやっている椎屋くんが久しぶりに東京にやってきた。もちろんすしの勉強のため、有名店や話題店をまわりさらに腕を磨く。彼は、本当にがんばり屋さん。東京だけでなく、名古屋でも修業をし、一時は工事現場のアルバイトをしながら、まじめにすしを学んだ。自分の店をもってからも、時々東京に来ては、いろいろな店を食べ歩いている。今ではきっと九州一番のすし屋じゃないかな。いろんな人に彼のお店を紹介したけど、みんなに喜ばれる。先輩として誇りに思います。これからの彼に期待したい!

(2017年7月27日 Net IB News「福岡ミシュラン掲載の若き天才すし職人 強姦容疑で逮捕」より、引用。)

2017年7月27日 Net IB News

博多の寿司職人や鮮魚関係者はおろか、日本全国の食通を驚かせる事件が起きた。
(2017年)7月21日、久留米署は集団準強姦容疑で、福岡市博多区博多駅前4丁目の椎屋安彦容疑者(42)ら、男3名を逮捕したと発表した。

その椎屋容疑者は、全国でも名の知れた寿司職人だったのだ。店の名前は「鮨 安吉」(博多区博多駅前4丁目)。14年の福岡ミシュランで、二つ星を獲得するなど腕前は折り紙つき。ネット上では数カ月先まで、予約でいっぱいとの口コミも目立つほど、予約の取れない名店を切り盛りする人物だ。
(中略。)
(2017年7月)26日午前、午後と何度となく電話したが、延々とコールのみ。店に向かったが、営業時間でもシャッターが下りたまま、人気がなかった。
(後略。)

(再掲。産経新聞。2021年5月14日)
懲役4年とした2審福岡高裁判決が確定する

安堵しました。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2020年9月29日

世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、
私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。

——————————————————–

この日本でも、性犯罪はゆるされない、との機運が醸成されてきました。
つぎは、野放し状態になっているAV業界人の逮捕です。
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

“地裁が出した4つの無罪判決” 一昨日、最高裁は、久留米準強姦事件の加害者の有罪を認定しました。AV出演強要につきましても、最後、香西咲さんたちは勝利します

2019年3月

4つの無罪判決

いまから3年前(2019年)の3月のことです。
性暴力の事件に関して、4つの地方裁判所はそれぞれ、加害者を無罪とする判決を言い渡しました。

(参考。4つの無罪判決)
控訴の状況につきましては、小川たまかさんの記事を参照しました。)

福岡地裁久留米支部の無罪判決(2019年3月12日)→2019年3月26日に検察が控訴

静岡地裁浜松支部の無罪判決(2019年3月19日)→検察は控訴しなかった(※加害者の無罪が確定)

名古屋地裁岡崎支部の無罪判決(2019年3月26日)→2019年4月8日に検察が控訴

静岡地裁の無罪判決(2019年3月28日)→2019年4月10日までに検察が控訴

本日はこの4つの無罪判決事件をふりかえってみます。

静岡地裁浜松支部の無罪判決(2019年3月19日)

報道は以下のとおりです。

第1審(地裁)
(2019年3月20日 産経新聞「女性に乱暴、無罪判決 男性被告の故意認めず」より、引用。)

2019年3月20日 産経新聞

静岡県磐田市で昨年(2018年)、25歳だった女性に乱暴し、けがを負わせたとして強制性交致傷の罪に問われたメキシコ国籍の男性被告(45)の裁判員裁判で、静岡地裁浜松支部は(2019年3月)20日までに、「故意が認められない」として無罪判決(求刑懲役7年)を言い渡した。判決は(2019年3月)19日。

検察側は「被告の暴行で女性の反抗が著しく困難になることは明らか」と主張していたが、山田直之裁判長は検察側の主張を認めた上で、女性が抵抗できなかった理由は、女性の「頭が真っ白になった」などの供述から精神的な理由によるものであると説明。
(後略。)

小川たまかさんの記事によりますと、検察は控訴しませんでした。
加害者は無罪となりました。
——————————————————–

名古屋地裁岡崎支部の無罪判決(2019年3月26日)

この事件はすでに判決が確定しています。
裁判の流れを順にみていきます。

第1審(地裁)
(2019年4月4日 産経新聞「娘に準強制性交で起訴の父に無罪 『抵抗不能』認定できず」より、引用。)

2019年4月4日 産経新聞

平成29年(2017年)に愛知県内で抵抗できない状態の実の娘=当時(19)=と性交したとして準強制性交罪に問われた男性被告に、名古屋地裁岡崎支部が「被害者が抵抗不能な状態だったと認定することはできない」として無罪判決(求刑懲役10年)を言い渡していたことが4日、分かった。判決は3月26日付。
(中略。)
(鵜飼祐充裁判長は判決で)「以前に性交を拒んだ際受けた暴力は恐怖心を抱くようなものではなく、暴力を恐れ、拒めなかったとは認められない」と指摘した。

  
第2審(高裁)
(2020年3月12日 朝日新聞「娘に性的暴行、父親に逆転有罪 懲役10年 名古屋高裁」より、引用。)

2020年3月12日 朝日新聞

愛知県で2017年、当時19歳の実の娘に性的暴行をしたとして、準強制性交等罪に問われた被告の父親(50)の控訴審判決が(2020年3月)12日、名古屋高裁であった。堀内満裁判長は「被害女性は当時、抵抗することが困難な状態だった」として、一審・名古屋地裁岡崎支部の無罪判決を破棄し、父親に求刑通り懲役10年を言い渡した。
(後略。)

  
第3審(最高裁)
(2020年11月7日 朝日新聞「『抵抗不能』娘に性的暴行、有罪確定へ 最高裁」より、引用。)

2020年11月7日 朝日新聞

愛知県で2017年、19歳だった実の娘に性的暴行を繰り返したとして、準強制性交等罪に問われた父親(50)の上告審で、最高裁第三小法廷(宇賀克也裁判長)は父親の上告を退けた。一審の無罪判決を破棄し、求刑通り懲役10年とした二審・名古屋高裁判決が確定する。(2020年11月)4日付の決定。

加害者の父親の有罪が確定しました。

——————————————————–

福岡地裁久留米支部の無罪判決(2019年3月12日)

この事件は、一昨日(2021年5月14日)、判決が確定しました。
裁判の流れを順にみていきます。

第1審(地裁)
(2019年4月21日 西日本新聞「なぜ?同意ない性行為に続く『無罪』判決 『故意立証』の高いハードル…刑事司法の限界、指摘も」より、引用。)

2019年4月21日 西日本新聞

(前略。)
スノーボードサークルの飲み会で、泥酔した20代女性に乱暴したとして、準強姦(ごうかん)罪に問われた40代の男性に対する裁判。福岡地裁久留米支部は(2019年)3月12日、無罪を言い渡した。
判決は、女性が飲酒の影響で抵抗できない状態であったことは認めた。
一方で、女性が目を開けて声を発したり、性交のしばらく後、別の男性から胸を触られて大声を出して手を振り払ったりしていた点を重視。被告からすれば「意識がある」と思える状態だったと判断した。サークルでは度々わいせつな行為が行われ「(女性が)許容していると誤信し得るような状況にあった」とも指摘。女性が飲み会に参加したのは初めてで「少なくとも本件のような状況で性交することを許容していたとは考えられない」と認める一方、泥酔状態に付け入って性行為に及んだ「故意」は認められないとした。
(後略。)

  
第2審(高裁)
(2020年2月5日 朝日新聞「『抗拒不能を認識』と故意認定 準強姦罪、二審は有罪に」より、引用。)

2020年2月5日 朝日新聞

酒に酔って眠り込み、抵抗できない状態の女性と性交したとして、準強姦(ごうかん)の罪(現・準強制性交罪)に問われ、一審・福岡地裁久留米支部が無罪判決(求刑懲役4年)を出した福岡市の会社役員椎屋安彦被告(44)の控訴審判決公判が(2020年2月)5日、福岡高裁であった。鬼沢友直裁判長は「被告は被害者の状態を認識していた」として一審判決を破棄し、懲役4年の実刑を言い渡した。
(後略。)

  
第3審(最高裁)
(2021年5月14日 産経新聞「酔った女性に乱暴、逆転有罪確定へ 最高裁」より、引用。)

2021年5月14日 産経新聞

福岡市の飲食店で平成29年(2017年)2月、飲酒で意識がもうろうとしていた20代女性に性的暴行を加えたとして準強姦罪に問われた会社役員、椎屋(しいや)安彦被告(46)について、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は被告側の上告を棄却する決定をした。(2021年5月)12日付。被告を無罪とした1審福岡地裁久留米支部判決を破棄し、準強姦罪の成立を認めて懲役4年とした2審福岡高裁判決が確定する。5裁判官全員一致の結論。
(後略。)

一昨日(2021年5月14日)加害者の有罪が確定しました。
——————————————————–

静岡地裁の無罪判決(2019年3月28日)

この事件は、現在、最高裁で争われています。
地裁判決と高裁判決に関する報道をみてみます。

第1審(地裁)
(2019年3月28日 産経新聞「12歳長女への強姦で無罪 静岡地裁判決『被害者の証言は信用できない』」より、引用。)

2019年3月28日 産経新聞

当時12歳の長女に乱暴したなどとして、強姦と児童買春・ポルノ禁止法違反の罪に問われた男性被告の判決公判で、静岡地裁は(2019年3月)28日、強姦罪について「唯一の直接証拠である被害者の証言は信用できない」として、無罪を言い渡した。
判決などによると、被告は平成29年(2017年)6月に自宅で当時12歳だった長女と無理やりみだらな行為をしたとして、昨年(2018年)2月に起訴された。
(後略。)

  
第2審(高裁)
(2020年12月22日 中日新聞「12歳長女に強姦、逆転有罪 東京高裁判決」より、引用。)

2020年12月22日 中日新聞

静岡県の自宅で2017年、12歳だった長女に性的暴行を加えたなどとして、強姦(ごうかん)と児童買春・ポルノ禁止法違反の罪に問われた男の控訴審判決で、東京高裁は(2020年12月)21日、強姦罪について無罪とした一審静岡地裁判決を破棄し、求刑通り懲役7年を言い渡した。近藤宏子裁判長は、長女の被害証言は信用できるとし「信用性を否定した一審は証拠の評価を誤り、論理則、経験則に照らして不合理だ」と判断した。
(中略。)
高裁判決は、長女は声を上げると被告から暴力を振るわれ、声を出して泣くことすら我慢している状況にあったと指摘。
(後略。)

有罪となった加害者側は上告しました。
最高裁の判決が待たれます。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2020年9月29日

世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、
私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。

——————————————————–

性犯罪をめぐる状況は、ここ3年のあいだで、激変しました。
AV出演強要につきましても、香西咲さんたち被害者は、最後、かならず勝利することができます。
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

【香西咲さんたちのAV出演強要被害】AV出演強要はこのたび、文部科学省と内閣府が作成した学生向けの教材に掲載されました。教育のちからはおおきいです

いまから約2か月ほど前(2021年3月17日)のことです。
内閣府は、第114回女性に対する暴力に関する専門調査会を開催しました。
前半の議題は、
『性犯罪・性暴力対策の強化の方針』のフォローアップについて
です。
この席で、文部科学省の担当者は、性被害の教材に言及しました。
当該調査会議事録のなかから、当該部分を抜粋します。

(2021年3月17日 第114回女性に対する暴力に関する専門調査会「議事録」より、引用。)

2021年3月17日 文部科学省

文部科学省から、1点目、性犯罪に関して被害者が責められるということはあってはならないと考えておりますので、今作成しています教材の中でも、悪いのは加害者であって被害者は悪くありませんといった考え方を一貫して通すような、強調するような教材づくりを目指していきたいと考えております。

(再掲。文部省)
今作成しています教材

先月(2021年4月)、この教材に関する報道がありました。
NHKのニュースを参照します。

(2021年4月16日 NHK「子どもの性被害を防ぐ教材 国が初めて作成【詳しく】」より、引用。)

<一部分を抜粋>
2021年4月16日 NHK

性被害を防ぐための教育を幼いころから始めようと、国は幼児から大学生まで発達段階に応じた教材を初めて作成し、指導の手引きと合わせて、(2021年4月)16日公表しました。

新たな教材は、子どもの性被害が増加する中、文部科学省と内閣府が専門家とともに、性被害を防ぐ教育や啓発のため、幼児期から大学生まで発達段階に応じて6種類作成しました。

2021年4月16日 NHK

すべての教材は、指導の手引きと合わせて文部科学省のホームページからダウンロードすることができます。

文部科学省のホームページをみてみます。

文部科学省
 性犯罪・性暴力対策の強化について

文部科学省の「性犯罪・性暴力対策の強化について」のなかから、所所(ところどころ)を抜粋します。

(文部科学省「性犯罪・性暴力対策の強化について」より、引用。)

文部科学省 性犯罪・性暴力対策の強化について

性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼすものであることから、その根絶に向けた取組や被害者支援の強化を推進しています。

——————————————————–

生命(いのち)の安全教育

「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」を踏まえ、子供たちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう、全国の学校において「生命(いのち)の安全教育」を推進することになりました。このたび、文部科学省と内閣府が連携し、有識者の意見も踏まえ、生命(いのち)の安全教育のための教材及び指導の手引きを作成しましたので、積極的な活用をお願いします。
(後略。)

——————————————————–

(再掲。NHK)
幼児期から大学生まで発達段階に応じて6種類作成しました

大学生に関する教材をみてみます。

生命の安全教育啓発資料(高校(卒業直前)、大学、一般)

(PDF資料「生命の安全教育啓発資料(高校(卒業直前)、大学、一般)」より、引用。)

<一部分を抜粋>
生命の安全教育啓発資料(高校(卒業直前)、大学、一般)

性暴力は決して許されないものであり、被害者は悪くありません
※性暴力は、刑法の処罰の対象となり得ます。

——————————————————–

生命の安全教育啓発資料(高校(卒業直前)、大学、一般)

どのような性暴力があるの?(例)

アダルトビデオAV)への出演強要等の性産業への望まない従事

——————————————————–

生命の安全教育啓発資料(高校(卒業直前)、大学、一般)

● 身近でこのような被害が起きています

繁華街を歩いていたら「モデルになりませんか?」とスカウトされて事務所と契約。
撮影現場に行くとAVへの出演を強要され、断ろうとしたら「契約違反となる、違約金が必要」等と脅され、無理やり出演させられた。

街中でのスカウトや、インターネット上でのモデル応募等をきっかけに、AVへの出演を強要される被害が起きています。男性が被害に遭うこともあります。
本人の意に反して出演を強要することは、精神的・肉体的苦痛をもたらす深刻な人権侵害です。被害に遭った場合は、迷わず警察や専門機関等に相談しましょう。

——————————————————–

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2018年3月19日

今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

——————————————————–

人の噂も七十五日
という故事があります。
デジタル大辞泉は、このことばを
世間のうわさは長く続かず、しばらくすれば忘れられるものである
と解説しています。
AV業界は、AV出演強要の話題が風化することを待っているはずです。

生命の安全教育啓発資料(高校(卒業直前)、大学、一般)

(再掲。文部科学省)

「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」を踏まえ、子供たちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう、全国の学校において「生命(いのち)の安全教育」を推進することになりました。
このたび、文部科学省と内閣府が連携し、有識者の意見も踏まえ、生命(いのち)の安全教育のための教材及び指導の手引きを作成しましたので、積極的な活用をお願いします。

AV出演強要はこのたび、学校の教材にも掲載されることとなりました。
AV業界による凶悪な犯行は、今後も人々の脳裏から消えることはありません。
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」の論議(4)。香西咲さんたちのAV出演強要被害と同様に、悪行は断罪されます

先日来、かつて法務省の性犯罪の罰則に関する検討会で交わされた
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
に関する論議をみています。

(確認)
<法務省 性犯罪の罰則に関する検討会
第1回 2014年10月31日
 |
第12回 2015年8月6日

2014年~2015年 法務省 性犯罪の罰則に関する検討会

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方

本日は「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」の三巡目の論議を参照します。

(参考。当ブログ)
性犯罪の罰則に関する検討会
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
2021年5月11日(一巡目の論議)
2021年5月12日(二巡目の論議①)
2021年5月13日(二巡目の論議②)

2015年7月10日 第11回性犯罪の罰則に関する検討会「議事録」より、引用。)

<5ページ>
2015年7月10日 山口 厚 座長(早稲田大学教授)

次でございますが、第3の「3 配偶者間における強姦罪の成立について」でございます。

この点につきまして、追加の御意見等がございましたらお願いしたいと思います。

——————————————————–

<5~7ページ>
2015年7月10日 角田由紀子 委員(弁護士)

前回述べたときも、どなたからも積極的な賛成を頂けなかったので、

(参考。当ブログ)
性犯罪の罰則に関する検討会
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
2021年5月11日(一巡目の論議)
2021年5月12日(二巡目の論議①)
2021年5月13日(二巡目の論議②)

また述べるのはどうかということがあるかもしれないのですけれども、やはり実態を更に直視していただきたいということを考えております。

それで、お手元の全国女性シェルターネットの近藤恵子理事からの要望書なのですけれども、別紙がございまして、別紙の方には具体的な事例が書いてあります。

シェルターネットで調査したときに出てきたものだと思うのですけれども、そこにありますように、実態の中では、とりわけDVの中で性的強要が含まれているということは、DV事件を現場で扱っている人はよく知っていることではあるのですけれども、なかなかそれが強姦という扱い方をされていないという、そのギャップの問題です。

例えば、シェルターネットの近藤理事の要望書によりますと、シェルターサポートを受けたDV被害女性のうち、夫・パートナーからの性暴力被害は53%、半数以上を占めていることが分かっているという数字が出ております。

にもかかわらず、配偶者間の強姦が処罰された例はほとんどないということが指摘されております。

それから、先ほど申し上げましたように、別紙で事例が示されております。

今までなかなか具体的な例というのが表に出ることはなかったのですが、このようにして出てきておりますし、それから、同じく机上配布されているSARC東京という性暴力被害者のためのワンストップサービスセンターの一つなのですけれども、そこの平川和子理事長の報告ですね。
これもやはり、望まない妊娠があると指摘しています。

さらに、「平成26年度の配偶者からの暴力事案の検挙状況のうち強姦と強制わいせつによる検挙はそれぞれわずか4件にすぎないことからも、強姦への警察対応はできていない」ということが指摘されております。

それから、資料が今はないのですけれども、ついこの間、7月3日だったと思うのですけれども、NHKの中部地方限定のナビゲーション中部という番組でもこの問題が取り上げられていました。
それは、性暴力被害者のためのワンストップサービスセンターが中部地方のあちこちででき始めていますという、そういうレポートだったのです。
その中に、実は私は夫からの強姦の被害を受けておりますということをお話しになっている方が、匿名で、出ておりました。
その女性は、それがどんなに大変だったかと、同居していた間、ほとんど毎日のように自分は強姦と言うしかないような扱いを受けたというようなことをお話しになっておりました。
このことからもお分かりいただけるように、そのことが語られ始めたということがあります。

それからもう一つは、検討会では、この前のときには、学説については、近年までは犯罪成立否定説もあったがというふうに指摘されていました。

(参考。当ブログ)
性犯罪の罰則に関する検討会
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
2021年5月11日(一巡目の論議)
2021年5月12日(二巡目の論議①)
2021年5月13日(二巡目の論議②)

それから、妻の性交応諾義務的な考えも民法では規定されていないのだと。

もし義務があると思っているのだとすれば、それは誤解ではないかという御説明がありました。

学者からすれば誤解かもしれないのですけれども、現実の社会では、やっぱり多くの人は、夫婦間であれば犯罪として成立しないのだという考えを受け入れている、そういうふうに思っている人が非常に多いのですね。

多くの人はどうしてそのように考えるのでしょうか。

刑法学説についての説明でも、少なくとも近年のものは成立を認めているというふうに言われております。

ですから、その近年以前は、学説の中でも成立しないということが言われていたわけです。

判例も、御存じのように婚姻破綻という条件を付けて限定的に認めているという状況でした。

ですから、学説が否定的であったとか、判例が限定的であったということの影響というのは、私はまだ社会から払拭されていないと思うのです。

学説の変更があったかもしれないのですけれども、普通の人がその学説の変更があったということを知るすべもないわけですし、自然にその学説の変更が社会に浸透するという、これも期待できないわけです。

だから、かつての否定説の考え方を一般人レベル、警察の現場の捜査官の人も含めて、一般人のレベルで払拭するには、やはり刑法の中にはっきりと明文の規定を置く必要があるのではないかと思っております。

確かに広報啓発活動というのは非常に有効だと私は思っているのですけれども、今までは学説が支持していて、判例もそのように言っていたということで刷り込まれている「犯罪とはならない」という考え方、これは広報啓発活動ではなかなか払拭できないのではないかと私は思っているのです。

ですから、もっと積極的な手が必要ではないかということを考えるのです。

それから、フランスとの比較については、この間、フランスは法律で婚姻関係による性交渉の同意を含むとされていたので、それを否定するためにわざわざ、配偶者間でもと、あるいは婚姻関係の如何を問わずということで、強姦罪は成立すると書く必要があったのだという御説明がありました。

確かに日本では、民法その他で婚姻関係に性交渉の同意を含むということは書かれておりませんが、だから私は余計問題だと思うのです。

刑法でも婚姻している妻を除くというふうに書かれていない。

しかし、この書かれていない構成要件があって、それが、実は実務を扱う人々の、弁護士も含めてなのですけれども、頭の中にやっぱりあるのだと、だから普通の人々の間にもそういう考えが存在していると。

そういうことを考えますと、つまり明文を必要とする点では、実質的にはフランスと結局同じことではないかと思うのです。

かえって書かれていない構成要件のほうが、私は問題であろうと思っておりますので、やはり明文ではっきりと書いて、学説も変わっているのだし、今までの考え方は間違いだよということは、はっきりする必要があるのではないかと思います。

そのように明文で書かれることによって、例えば、警察官もそうでしょうし、それからシェルターなんかの現場にいる人が訴えられても、でもそれはやっぱり難しいのねというような話にならなくて、もっと積極的に夫婦間の強姦という問題をきちんと取り上げていくという方向になっていくのではないかと思います。

それから、この問題に関して運動している女性たちの中では、お手元の配布資料の中に入っているのですけれども、夫婦間の強姦については、明文できっちりしてほしいという意見が非常に強いと私は見ておりますので、追加して申し上げました。

——————————————————–

<7ページ>
2015年1月29日 工藤陽代 委員(警察庁刑事局刑事企画課付)

今の御発言の中で、立件数が極めて少ないというのは、警察の対応ができていない証左だというような御趣旨の御発言があったと思うのですけれども、これは若干乱暴かなと思う部分がございます。

御指摘は、要するに、結果として立件数が少ないことの原因として、警察側が対応していないというものだと思われ、そういうふうに思う方もいらっしゃるかもしれないですけれども、ほかの可能性として、例えば、それ以外の強姦よりも、より潜在化しやすいということもあるかもしれません。
それはそれで別途対応すべきことなのかもしれないですけれども。

それから、これは、この論点について検討があったときに何名かの委員からお話があったかと思いますけれども、夫婦間でのことになりますので、基本的には一つ屋根の下で起こることなので、非常に証拠の収集が難しくて、立件しようと思っても、なかなかに刑事責任を問うだけの証拠を集めることができないということも多々あるわけです。

したがいまして、数が少ないから、それは警察がちゃんと対応していないのだというのは、若干乱暴かなと思いましたので、この点指摘をさせていただきたいと思います。

——————————————————–

<7ページ>
2015年7月10日 角田由紀子 委員(弁護士)

警察の対応が悪いと決めつけているわけではないのですけれども、実際に医者のところに行って、そして警察に行くように助言された人が、警察に行って、それは夫婦だったら犯罪にならないのだよと言われて帰されてくるという例を、私は具体的に聞いておりますので、例えば警察が、一番最先端のところでこの問題についての認識をもう少し変えていただければ、それは違うのではないかなと思っております。

——————————————————–

<7ページ>
2015年1月29日 工藤陽代 委員(警察庁刑事局刑事企画課付)

一線の現場で対応する警察官が、常に意識をアップデートしたものにしておかなければならないという意味では、多分私も思うところは全く一緒だと思うのです。

ただそのための努力というのは常にされていて、これは若干私の立場を超えた意見になってしまうかもしれないのですけれども、そういった現場の一線で対応する人の認識を変えるということの手段として、刑法に書くということは、果たして適切なのか、正しいのか、意味があることなのかという点について、私は余り、それはそうではないのではないかなというふうに思っております。

——————————————————–

<7ページ>
2015年1月29日 山口 厚 座長(早稲田大学教授)

この点については、それぞれの御意見をここで拝聴したということで進ませていただければと思いますが、ほかの点についていかがでしょうか。

——————————————————–

<7ページ>
2015年1月29日 小木曽綾 委員(中央大学教授)

書かれていない構成要件というのを基にして議論ができるのかというのは、法律の理屈としては難しいのではないかということだけ、申し上げたいと思います。

——————————————————–

<7ページ>
2015年1月29日 山口 厚 座長(早稲田大学教授)

ほかにいかがでしょうか。
よろしければ、次に進めさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(一同 異議なし)

——————————————————–

いまから6年前に、工藤陽代委員(警察庁)は、
立件数が極めて少ないというのは、警察の対応ができていない証左だというような御趣旨の御発言があったと思うのですけれども、これは若干乱暴
数が少ないから、それは警察がちゃんと対応していないのだというのは、若干乱暴
現場の一線で対応する人の認識を変えるということの手段として、刑法に書くということは、果たして適切なのか、正しいのか、意味があることなのかという点について、私は余り、それはそうではないのではないか
と発言しました。

昨年(2020年)の3月31日から、刑法改正の審議をおこなっているのは、
性犯罪に関する刑事法検討会
です。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録準備中

第15回(2021年4月12日)※議事録準備中

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

・第16回(2021年5月21日開催予定)

2020年~2021年 法務省 性犯罪に関する刑事法検討会

検討会の事務局は、先月(2021年4月12日)、取りまとめ報告書(案)を公表しました。
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」につきましては、現在のところ、以下の集約がされています。

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方

(2021年4月12日 性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書(案)より、引用。)

<配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方について>

エ 小括

以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、配偶者間では性犯罪の成立が限定され得るとの解釈もなお存することに鑑み、婚姻関係以外の関係性にも留意しつつ、解釈上の疑義を払拭するための確認的な規定を設ける方向で検討がなされるべきである。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2020年9月29日

世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、
私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。

——————————————————–

角田由紀子委員を除く性犯罪の罰則に関する検討会の各委員は、上述の取りまとめ報告書(案)を読んでどのようなことを思ったのでしょうか。
尤(もっと)も、その種のひとたちには信念というものがありません。
いまごろは取りまとめ報告書(案)の支持者になっているかもしれません。
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」の論議(3)。時代は変わりました。香西咲さんたちのAV出演強要被害も、犯人が処罰されるのは必定です

刑法の性犯罪の規定を改正せよ、との国民の声は、日ごと高まっています。
法律業界のひとたちも、こうした潮流には抗えないようです。
本日も、「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」に対する6、7年前の意見と、現在の意見を対照します。
まずは、6、7年前の意見をみてみます。

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方

6、7年前の意見(※性犯罪の罰則に関する検討会

(参考。当ブログ)
2021年5月11日(その1)
2021年5月12日(その2)

2015年1月29日 第5回性犯罪の罰則に関する検討会「議事録」より、引用。)

<4ページ>
2015年1月29日 工藤陽代 委員(警察庁刑事局刑事企画課付)

警察の運用についての言及がありましたので誤解のないように申し上げておきたいのですけれども、前回の検討会の場で角田委員が言及なさったような個別の事例については、一つ一つ残念ながら把握していないので申し上げられないのですけれども、少なくとも一般的な方針としては、夫婦間であろうとなかろうと、とにかく現行の刑法の要件を満たしていれば、それは強姦が成立するというのが我々の考えですし、実際にそのような考えに基づく検挙事例というのはあるわけです。

これも前回田中委員がおっしゃったことの繰り返しになる部分がありますけれども、その立証上の困難性は、やはり夫婦であるということからいろいろなことがある。

例えば、一つ例を申し上げますと、婚姻関係が破綻した後で、まだ破綻していない前の過去の事案について被害申告がある、これがかなり多く見られる事例ですけれども、こういった場合に実際に家庭内でそういうことがあったということを立証するのは非常に難しい
一つの事例ですけれども、こういったことがあります。

それで、結果的に検挙ということに至らないということはあるかもしれませんけれども、少なくとも警察として現場での運用として、夫婦間では成立しないという考えが一般的であるというのは、それは正しくないと思っております。

——————————————————–

<4ページ>
2015年1月29日 佐伯仁志 委員(東京大学教授)

私の先ほどの発言で誤解を招くかもしれないと思いましたので補足させていただきますと、法は家庭に入らずというのは、もちろんむやみに入って家庭生活を破壊してはいけないということであって、当然DVのような場合を含めて、しかるべき場合には警察が介入、あるいは処罰するべき場合があるというのは当然のことでございます。

それは、夫婦間の強姦には限らず、強制わいせつもそうでしょうし、暴行行為もそうでしょうし、それから井田委員が御指摘になったように内縁関係の場合も同様であろうということです。

——————————————————–

<4ページ>
2015年1月29日 井田良 委員(慶應義塾大学教授)

一定の場合には家庭にも入らざるを得ない、あるいは、一定の場合に親密圏の中にも入っていかざるを得ないということ自体は、法律家の中にこれを否定する人はいないと思うのです。
ですから、そのこと自体を幾ら明記しても意味がないのです。

大事なことはどういう場合に入っていってよいのか、入っていくべきなのか、そして、それをどういうふうに要件化するかです。
そこにはかなり難しい問題があり、それは立法的に解決するのではなく解釈に任せるほかないのではないか。

こういう場合は家庭の中に入っていい、これは駄目ですと、法律において要件化できればいいですけれども、それができない以上は、単に一定の場合には入っていかなければいけませんよとただ一言だけ書いたとしても、何の意味もないというのが私の意見です。

——————————————————–

<4~5ページ>
2015年1月29日 齋藤梓 委員(臨床心理士)

夫婦間の強姦よりは、デートレイプの方が件数として扱うことが多いので、夫婦間、配偶者間と言うのならば、「関係性の如何を問わず」の方が、私の感覚としては、普段の業務からすると近いかなと思っています。

法律に明文化されることでどういう意味を持つのかということについて、法律家ではないので全く予測が立たないので、それを入れた方がいいのか、入れない方がいいのかということに関して、私は言及を今回はしないでいたいと思っています。

ただ、現場でこれがデートレイプであるとか、配偶者間でもこれは強姦であるという認識を持つことのできない被害者が多数いるということは事実だなと思っていまして、どうやって認識を広めていくかという問題と、もう一つは、警察の方々や法律の先生方がいろいろなことを考えた上でおっしゃっているのは分かるのですけれども、やはり現場に行ったときに警察の方に、「それは夫婦間でしょう」、「それはだって付き合っていたのでしょう」みたいなことを言われることが実際にあって、それは私たちからすると夫婦間だから立証が難しいとか、交際関係があったから、これが暴行、脅迫だということを認められるのが難しいのだろうと私たちは分かっても、被害者の方はそこまでかみ砕いて理解ができなくて、そういうときにかみ砕いて説明してくださる現場の方々がいらっしゃるといいなと思っています。

そういう現場の方々にお会いすることもありますし、やはりお会いできないこともあります。

そういう状況をどうやったら変えられるかということに関して、それを法律に明記したら変わるのか、明記しても変わらないのか、もっと別の変える手立てがあるのかというのは私には分からないところですけれども、そういうところが変わっていくといいなというのは被害者支援の立場からは考えています。

——————————————————–

<5ページ>
2015年1月29日 角田由紀子 委員(弁護士)

今の御発言に関連してなのですけれども、結局、私も明文化したらそれでガラリと変わるというような期待は持っていないのですけれども、DV防止法がそうであったように、法律に明記されることによって一般の人の認識が変わって、そこに必要なメッセージが送られるのではないかと思っています。

前回、私が男女共同参画白書の中の棒グラフをお示ししたのですけれども、あれもDV防止法ができて、人々の意識にどういう変化があったかということを如実に示しているものだと思います。

当然、暴行傷害はDV防止法と関係なく犯罪だったわけなのですけれども、あの法律のできる前と後であれほど大きな認知の数が違ってくるというのは、やはり法律があることによって人々の認識を変えていくには非常に大きな力があったということではないかと思っております。

そういう意味では学者の先生方は誤解していないかもしれないですけれども、一般の人々はやはり夫婦間だから駄目だと、実際に警察で言われたという例も最近でも知っているわけなのです。

そういうことがあるので、それは違うのだよと。
夫婦間であろうとなかろうと。

ですから、どういう文言にするか、夫婦間というふうにするのか。
あるいは関係性の如何を問わずとするか、そこはまた文言の話で別なのですけれども、少なくともあなた方は犯罪ではないと思っているかもしれないけれども、犯罪なのですよということをやはり明確にする必要があるのではないかと私は思っています。

もし、そこのところが一般の人々の間でも明確であれば、立証の問題があるかもしれないのですけれども、なぜ夫婦間の判例があれほど少ないのかという問題も出てくると思います。

——————————————————–

<5~6ページ>
2015年1月29日 宮田桂子 委員(弁護士)

2点指摘したいと思います。

まず1点は、法律を変えなければ事態が動かないのかという観点です。
私など弁護士の業界もそうですけれども、法律に携わっている人たちのセクシャルハラスメントの問題などは、たまにあるから新聞を賑わすのかもしれませんが、そういうとき、組織がマッチョだという言われ方をするわけです。
男性が多い社会なので、女性に対する理解が足りない。
そこに対して、教育をすることによって、運用が変わってくるということもあり得るのではないか。
今、もしも角田委員がおっしゃるような問題があるのだとすれば、それは現場の意識の問題を変えれば変えられる問題なのか、変えられない問題なのか、このことを一回試してみてから法律をいじるということでもいいのではないかと考えます。

もう1点は、夫婦間の問題については、非常に被害者の記憶の喚起等が難しいことがあることです。
これは一般的なセクシャルハラスメントもそうですし、性的な問題などについて非常に被害を受けた人の場合には、記憶が曖昧になる場合もある。
特に、夫婦間の場合には、夫婦でいつどんなことが起きたか日記を付けて、ちゃんと記録をしているような人というのは少ないです。
被害に遭って、友達にその内容をメールで送っていたという形で物的な証拠が残っているということであれば、これは警察の方も動いていただけるのでしょうけれども、大体いつ頃、不本意な性関係によって私は妊娠してしまいましたというふうな、ざくっとした内容で被害を申告されても、警察はなかなか動きづらいだろうと思います。
ただし、そのような不本意な性行為がある前提として、日常的な暴力、暴言、DV的な被害があるとすれば、そちらを根拠にして警察に動いていただくことは十分にあり得ることだと思います。

強姦罪に夫婦間の問題を入れることによって問題が解決するのかしないのか、別の形でも解決できるのであればそちらでもいいのではないかということを考えたところでございます。

——————————————————–

<6ページ>
2015年1月29日 角田由紀子 委員(弁護士)

夫婦間の場合の記憶の問題について、被害者の側が必ずしも明確に被害がいつだったかということを指し示せないとおっしゃられたのですけれども、私の経験では、本当にひどい被害に遭った人は、何らかの形で、日記とかいろいろな所で何月何日何時頃こういうことがあったという記録をされている人が結構いらっしゃるのですね。

それは事件としては離婚事件だったのですけれども、日常的な軽いものは書いていないのですが、自分が耐え難いと思ったものについては、記録をされるということもそれほど珍しいことではないと私は思っております。

法律の改正のほかに、もっと状況を良くするということがあるとすれば、それは法律の改正にプラスして、そういう改善策を採られることに私は反対ではありませんし、それは大いにするべきだと思っていますけれども、間違った考え方を正すためにもやはり立法的な措置が有効、必要ではないかと考えております。

——————————————————–

<6ページ>
2015年1月29日 小木曽綾 委員(中央大学教授)

統計への言及がありましたので、その点に絞って申し上げておきますけれども、統計の読み方というのは、ある数字の変化をもたらした原因がどこにあるのかに関係するあらゆる変数を入れて、それとの関係を見てこの数字がなぜ動いたかの結論が初めて出るわけですので、DV法の施行後に暴行傷害の数が上がったという統計上の数値が出たとしても、その原因が何であるかということについてはかなり慎重に見なければいけないというのが統計学上の知見であろうということだけ申し上げておきたいと思います。

——————————————————–

<6~7ページ>
2015年1月29日 田中素子 委員(最高検察庁検事)

捜査機関が「それは夫婦でしょう」とか、「恋人間だから」ということで、否定的な発言をするというような御趣旨の発言があったのですけれども、それは配偶者間だと成立しないと法律を誤解しているからというよりは、通常の強姦と比べると、前回も申し上げました立証上の難点が伴いますので、そういうことが真っ先に頭にあって、思わずそういう発言になると思うのです。

そういう現場の人間のデリカシーのない発言というのはあるのだろうなと思うのですけれども、だんだんそれは減ってきていると認識しています。
そこは現場で教育しないといけないことだと思います。
法律で定めることではないと考えています。

それとDV事案ですけれども、これは相当立件されていましてすごく多いです。
私の目から見ても警察もすごく被害者保護に厚くなっているので、こんな軽い事案までと思うものまで立件されてきております。
もちろんひどいものは逮捕したりしているのですけれども、その後で仲直りをされる、被害届を取り下げるというのも相当多い、これも現実です。
ですが警察はきちんとやっているのです。
もちろん真偽を確かめて立件するわけなのですけれども、とすると暴行脅迫を要件としている強姦罪で、暴行の部分をこれだけ立件しているのに、その中で強姦罪まで被害届が出されたときに、それはやりませんというようなことはあり得ないのです。
したがって、そのような注意規定を設ける意味はないのではないかと考えております。

——————————————————–

<7ページ>
2015年1月29日 北川佳世子 委員(早稲田大学教授)

既に井田委員、佐伯委員がおっしゃったとおり、私も刑法典の中にあえて配偶者間での強姦、配偶者であっても強姦が成立するという旨の規定を設ける必要はないかと思います。

これは既に先生方がおっしゃったとおりのことと、プラス先ほど来の御指摘にもありましたように、暴行脅迫についてもどういう関係の中で行われたかというのは問うておりませんし、刑法典上もほかの例で言えば未成年者誘拐罪でも親子関係があっても成立するという解釈同様、状況次第でということもあると、関係性を問わずということで書いてないものについては問わない、場合によっては個別具体的に検討する。
ただし、慎重さは要するということなのだろうと思いますので、刑法全体の関係からも不必要なのではないかと考えております。

——————————————————–

<7ページ>
2015年1月29日 山口 厚 座長(早稲田大学教授)

ほかにいかがでしょうか。大体御意見はお述べいただいたということでよろしゅうございますか。
それでは、まとめをさせていただきたいと思います。

配偶者規定に関する本日の御議論でございますが、明文を置くべきだという強い御意見がございましたけれども、大勢としては明文の規定を置く必要はないのではないかというものであったように思われます。

しかしながら、御議論の中でも出てまいりましたが、配偶者間において強姦罪が成立しないという誤解があるとすれば、被害が潜在化してしまうという問題が生じることにもなりかねませんので、そのような誤解がないように広報・啓発活動といったようなものを推進していくということも重要なのではないかというように考えられます。

その意味では、本日このような形でこの夫婦間の強姦の成否について論点として取り上げて御議論をいただき、その議論の経過が議事録等を通じて公表されるわけでございますので、啓発活動という観点から見ても意義のあることだったのではないかと思われます。

現時点での御議論、ここまで御議論いただいたことをまとめさせていただきますと、そういうことになろうかと思います。
よろしいでしょうか。

——————————————————–

ご覧のとおり、法律業界のひとたちは、角田由紀子委員の提案を足蹴にしました。

つぎは、先月(2021年4月12日)に公表された性犯罪に関する刑事法検討会取りまとめ報告書(案)を参照します。

(2021年4月12日 性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書(案)より、引用。)

<配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方について>

エ 小括

以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、配偶者間では性犯罪の成立が限定され得るとの解釈もなお存することに鑑み、婚姻関係以外の関係性にも留意しつつ、解釈上の疑義を払拭するための確認的な規定を設ける方向で検討がなされるべきである。

隔世の感があります。
わずか数年で、法律業界のひとたちの認識は激変しました。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2020年9月29日

世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、
私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。

——————————————————–

ふと、
「僕の前に道はない。僕の後ろに道は出来る」
という一節を思い出しました。
泣き寝入りをしない被害者の方々のひたむきな行動が世の中を変えました。
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」の論議(2)。わずか数年で世情は激変しました。香西咲さんたちAV出演強要の被害者には追い風が吹いています

本日も昨日にひきつづき、
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
の論議が、法務省内でどのように変遷していったのかをみてみます。

最初に、性犯罪に関する刑事法検討会の事務局が先月(2021年4月12日)に公開した取りまとめ報告書(案)を参照します。

2021年4月12日 性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書(案)

(2021年4月12日 性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書(案)より、引用。)

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方

エ 小括

以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、配偶者間では性犯罪の成立が限定され得るとの解釈もなお存することに鑑み、婚姻関係以外の関係性にも留意しつつ、解釈上の疑義を払拭するための確認的な規定を設ける方向で検討がなされるべきである。

「小括」には、
確認的な規定を設ける方向で検討がなされるべきである
と書かれています。
前向きです。

つぎは、法務省内における6年前の議論をみてみます。
当時、刑法改正の審議を担当したのは、性犯罪の罰則に関する検討会です。

2015年1月29日 第5回性犯罪の罰則に関する検討会②(※

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方

2015年1月29日 第5回性犯罪の罰則に関する検討会「議事録」より、引用。)

<1ページ>
2015年1月29日 山口 厚 座長(早稲田大学教授)

それでは、早速議題に入りたいと思います。
本日は、まず前回の会議に引き続き、論点の第1の7「配偶者間における強姦罪の成立について」の御議論をお願いしたいと思います。

前回2014年10月31日の第4回検討会)は、角田委員から配偶者間においても強姦罪が成立する旨の明文規定を置くべきであるという御趣旨の御発言がございました。

また、田中委員からは実務における取扱いなどについての御発言がございましたが、これらも踏まえまして御意見のある方は御発言をお願いしたいと思います。

——————————————————–

<1ページ>
2015年1月29日 宮田桂子 委員(弁護士)

昨日何冊か刑法の教科書を見てみました。

山口座長の教科書は、夫婦間強姦について言及されていて、夫による妻に対する強姦罪が成立するかどうかについて、個別の性行為について妻の同意義務があることを当然に基礎付けるわけではないのだから強姦罪は成立する、婚姻関係が実質的に破綻している場合に限られるわけではないし、夫は妻に対する強姦罪の共犯になり得るという趣旨の御記載をされておられます。

もう一つ、斎藤信治先生の「刑法各論」の教科書なのですが、こちらは夫婦間強姦について、1ページに渡り御検討されています。
かなり古い説でも、妻の産前産後であるとか、妻が性交を拒否すべきときには強姦になるというものもあったそうです。

結論的には、この本では破綻に近いような場合に限って強姦が成立するとしているのですけれども、そうではない場合にも成立するという説もかなり多く御紹介しておられます。

学説的にはどうなのか非常に興味がありましたので、先生方に教えていただきたくて最初に手を挙げました。

——————————————————–

<1~2ページ>
2015年1月29日 井田良 委員(慶應義塾大学教授)

前回、角田委員の御発言のすぐ後に発言しようと思ったのですけれども時間がありませんでした。

最初に結論を申し上げるとすると、私自身は法律の中に配偶者強姦の可能性を明記するということに対しては積極的に反対の意見を持っております。

そればかりかそれは有害無益と考えておりますので、その理由についてお話ししたいと思います。

御案内のとおりドイツ刑法典の強姦罪規定は、1997年に改正がなされ、それまでは強姦罪は「婚姻外の性交を強制」することが構成要件となっておりましたので、元々、配偶者間強姦自体はそもそも強姦に当たらなかったわけです。

それを1997年の改正により、「婚姻外の」性交というその要件を外したのでありました。

むしろ日本の我々が注目するべきは、ドイツのように、1960年代から「性的自己決定」ということを非常に強調してきて、その思想に基づいて性犯罪関係の規定を大幅に改正してきた国で、なぜ1997年までこの点の法改正を行わなかったのかということではないかと思うのです。

その大きな理由は、やはり国家権力が家庭の中に土足で入り込んでくることに対する強い抵抗感ないし拒否感があり、それをそう簡単に認めてはいけないという意見が強かったということだったと見ています。

これは注目するべきポイントだと思います。

後でそのことについては詳しくお話しいたします。

そのことはひとまず置くとして、そういうドイツの状況と比べると、日本の場合、配偶者間強姦を強姦とすることについて文言上の障害というものがない、そして、反対趣旨の判例があるわけでもない。

学説について言いますと、かなり昔のものは別にしますと、今の学説に限って見れば、ほかの要件が皆揃っているのに、単に形式的に夫婦間だという理由だけで強姦罪にはならないという見解はおよそ存在しないと思います。

もし、仮にそのような見解を主張する人がいるとすれば、つまり、強姦に関するほかの要件があるのに、夫婦間であるというだけの理由で強姦罪にならないと主張する人がいるとすれば、それは不当な解釈であって、もはや成り立ち得ない解釈だと言えましょう。

それをあえて条文上明示する必要はないと考えるのです。

ただ、少し前までは「夫婦関係が実質的に破綻している場合」というような限定を付けて、その場合に限って成立を肯定する見解も見られました。
限定的肯定説と呼ぶことも可能かと思います。

しかし、それは何を言おうとしているのか。
それは先ほどの話につながってきて、法が家庭の中に入り込んでいくというときに、相当の慎重さが要求される、という一般的な解釈指針をそこに合わせて示そうとするものにすぎません。
強姦罪の成立を限定する、何か特別な「要件」を示しているというものではありません。
要件にしては余りに漠然としていると言えましょう。
それは、要件というよりは一般的な解釈指針・運用指針を示したものにすぎないのです。

国家権力が家庭の中に足を踏み入れるに当たっては相当に慎重でなければいけないということ自体は、仮に夫婦間強姦の可罰性を条文上、明記したとしてもやはり同じように、一般的な解釈指針・運用指針として必要なことなのです。

これは前回の会議でも御指摘があったところかと思います。

そういう慎重さは配偶者強姦の場合に限らず、例えば継続的な性的関係にある恋人の間とか、あるいは同棲している同性間、異性間の人の間での性暴力、そういう事例を想定したときにも、やはり必要となります。

そればかりか、性犯罪に限らず、「親密圏」という言葉が流布していますが、親密圏における犯罪全般について、もちろん入り込んで行くべき場面は多々あるけれども、しかしそう簡単に入り込んではいけないということ自体は恐らく議論の余地のないところです。

そこで、真の問題は、どういう場合に入り込んでよくて、どういう場合に入り込んではいけないかという「要件」なのですけれども、それをもし条文上明確に示せれば、それは実務にとっても指針になることであろうし、大変素晴らしいことでしょう。

しかし、それはなかなか難しいことです。

条文上、要件を明記するのは困難であるとすると、結局それは法規の解釈と運用に委ねるほかはない。

いろいろと申し上げましたが、要するに、言わずもがなのことを書き込んでも何の意味もないし、実務に対する指針にも何もなりはしない。

それは解釈と運用に任せるほかはない。

また、配偶者の性犯罪の場合に限って規定を設け、配偶者以外の場合、更には親密圏一般における犯罪について何も規定しないのは誤解を招きかねない、そういう意味で有害無益だと考える次第です。

——————————————————–

<2ページ>
2015年1月29日 佐伯仁志 委員(東京大学教授)

今、井田委員から刑法で夫婦間では強姦罪は成立しない、破綻していない夫婦間では強姦罪は成立しないという見解の背後に、法は家庭に入らずというような考慮があるのではないか。
そのような考慮自体は正当なものがあるけれども、それを条文化するのは難しいであろうという御意見がありました。

私もそれに賛成ですけれども、もう一つ、古い見解の背後にあった考えとして、恐らく夫婦間では性行為を要求する権利があるのではないかという、権利行為だから強姦罪は成立しないというような考えがあったのではないかと私は推測しております。

しかし、それは誤解であって、夫婦間で性交を継続的に拒否していて、夫婦関係が破綻すれば、それは離婚原因になるということにすぎず、夫婦であるからと言って性行為を要求する権利、まして暴行、脅迫を用いて性行為を要求する権利などというものはないのであって、昔の見解というのは民法の夫婦関係、権利関係、夫婦間の権利関係に関する誤解に基づいたものではないかと、したがって現在採ることはできないと考えております。
以前、民法の先生とこの点について話をしたことがございますけれども、民法の先生もその点について、御異論はなかったかと記憶しております。

——————————————————–

<2~3ページ>
2015年1月29日 田邊三保子 委員(東京地方裁判所部総括判事)

私自身はいかなる立法をするべきかという点につきましては立法政策の問題ということで、裁判官として何か発言をするということはございませんが、ただ、現在の判例の解釈につきましてはいささかお話をさせていただきたい点もございます。

まず、判例の立場ということでございますけれども、最高裁の判例はこの配偶者間の強姦ということについて言及したものはないと思っております。

高裁の判例は私が存じ上げている限りは二つほどございます。
昭和62年6月18日の広島高裁松江支部の判決、それからもう一つは、平成19年9月26日の東京高裁の判決です。
これらはいずれも法律上の夫から妻に対する強姦を認めたという事例でございます。

もちろんこれらはそれぞれの事実関係に応じた判決ということですので、ケースバイケースで判断されるということにはなりましょうが、このような高裁の判決例があるということです。

ここからは、多くの裁判官の感覚について、私が理解している限りで申し上げたいと思っております。

まず、夫婦間で強姦罪が成立するか否かという命題につきましては、夫婦間で強姦が成立しないと考えているということは恐らくなくて、例えば、被害者と行為者との間で婚姻関係がないということを強姦罪が成立するための要件と考えている裁判官はいないというのが、恐らく多くの裁判官の感覚であると思われます。

強姦罪の場合には、現在の法解釈を前提としますと、一般論としては、まずは被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行、脅迫があること。
それから、姦淫行為があること。
それから、被害者の承諾がないこと。この3点が満たされれば、それで強姦罪としては成立するという、客観的な要件としてという意味ですけれども、そのように考えているものであろうと思っております。

そういうことであるならば、配偶者間の強姦罪は犯罪であるということは、私たちの中では前提と考えているものであると思われるところでございます。

——————————————————–

<3ページ>
2015年1月29日 小木曽 綾 委員(中央大学教授)

フランス法で配偶者間とわざわざ書いているということがよく言われるのですけれども、その点について一言申し上げますと、フランスでは1810年から1980年頃まで、婚姻関係というのは性交渉の同意を含むと解釈されていたということであります。

しかし、その後、離婚間近ですとか、脅迫、暴行があった場合などは配偶者間でも犯罪が成立するという裁判例が出るようになりました。

1990年代になりますと、婚姻中であっても、暴行や脅迫などの反証があれば同意の推定が破れるという裁判例が出るようになりました。

ヨーロッパ人権裁判所でも同様の裁判例があったようです。

これを受けて、ドメスティックバイオレンスの対策のための法改正で、配偶者間の同意の推定は反証があれば破れるということを書き込んだわけです。
しかし、よく考えると、配偶者間であっても、いわゆるセックスレスというような状態になっていれば、同意は始めからないはずであるということが指摘されて、2010年に配偶者間の同意についての文言を削除しました。

その結果、配偶者間でも成立するという部分だけが残ったわけです。

そのような経緯ですので、日本の法律には、そのようなことは一切書いていない、始めから同意の推定などということは考えていないわけですから、この点に関して少なくともフランス法を参考にする必要はないだろうと考えます。

——————————————————–

<3ページ>
2015年1月29日 山口 厚 座長(早稲田大学教授)

今、外国法の見地からいろいろと御説明もございましたし、先ほど佐伯委員からは夫に性交渉を求める権利があるというのは民法の誤解だという趣旨の御発言がございましたけれども、ほかにはいかがでしょうか。

——————————————————–

<3~4ページ>
2015年1月29日 角田由紀子 委員(弁護士)

井田委員がおっしゃったことの核心だと思うのですけれども、法が家庭の中に入り込むことに慎重でなければいけないということで、これはDV防止法を作るときにもいろいろ議論された論点だと思います。

しかし、一定のことについては、やはり法が家庭に一定の要件の下で入るということがないと、例えば夫婦間での暴力というような今まで無視されてきた問題について、解決はできないのではないかということで、DV防止法のときはあのような法律ができたのだと思います。

性暴力はやはりDVの一つの形であると思っていますし、実際にDVの被害者のケースをたくさん扱っているわけなのですけれども、その中でも性暴力があったということを言われる方もいらっしゃいますけれども、多くの人は、一般的な暴力という言葉で性暴力も含ませていることが多いです。

ですから、離婚事件などで詳細に話を聞いていきますと、DVだと言っている人の中で、性暴力だけはなかったというのは恐らくないのではないかと思います。

にもかかわらず、これは表になかなか出てきにくい。

それで夫婦間強姦もDVの一部であることは間違いないので、DV防止法のときに家庭に入るというのは一定の場合は必要ではないかということで、そこの議論は克服されているのではないかと私は思います。

それから、裁判官や学者のお考えとして、確かに刑法第177条(強姦罪)は何も言っていないので、配偶者による強姦は成立するのだということは言えると私は思います。

そのように実務が運用されていれば問題なかったかもしれないのですけれども、やはり実態はかなり違っているのではないかと思っているものですから、その実態を改めるためにはやはり何か立法的な手当が必要ではないか。

そして、実際に被害を受ける女性たち、あるいは彼女たちが最初に相談に行く警察、そのレベルではやはり成立しないという考えがかなりあると見ておりますので、そこのところをどうやって、それも犯罪だということできちんとした法的な救済を受けられるかということを考えたときには、確かに屋上屋ではあるのですけれども、注意的な規定が必要ではないかと考えております。

——————————————————–

本日はここまでとします。
つづきは明日のブログでみてみます。

(再掲。井田良 委員。2015年1月29日)
私自身は法律の中に配偶者強姦の可能性を明記するということに対しては積極的に反対の意見を持っております
そればかりかそれは有害無益と考えております

頑迷固陋の極みです。
このようにのべた井田良委員は、今回の検討会(性犯罪に関する刑事法検討会)で、座長に任命されました。
井田良座長といえども、刑法の改正をもとめる国民の声には抗えなかったようです。
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」につきましては、以下の集約となりました。

(再掲。2021年4月12日 性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書(案)より、引用。)

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方

エ 小括

以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、配偶者間では性犯罪の成立が限定され得るとの解釈もなお存することに鑑み、婚姻関係以外の関係性にも留意しつつ、解釈上の疑義を払拭するための確認的な規定を設ける方向で検討がなされるべきである。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2020年9月29日

世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、
私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。

——————————————————–

蝙蝠(こうもり)ということばは、侮蔑語としても使われます。
あいつは蝙蝠(こうもり)みたいだ、というふうに。
ここで言う蝙蝠(こうもり)は、情勢の変化を見て優勢な側に味方をする者、のことです。
井田良氏は蝙蝠(こうもり)のような人物です。
情勢の変化を見て優勢な側に味方をしました。
なかなか賢いです。
わずか数年で時代は激変しました。
AV出演強要犯を処罰する規定もつくられることでしょう。
あとは、刑法が改正されるのを待つだけです。
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」の論議(1)。泣き寝入りをしない香西咲さんたち被害者の姿勢は、多方面に影響を及ぼしています

昨日のつづきです。

(参考。当ブログ)
2021年5月10日(※昨日)

法務省の性犯罪に関する刑事法検討会は現在、刑法改正の審議をおこなっています。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録準備中

第15回(2021年4月12日)※議事録準備中

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

・第16回(2021年5月21日開催予定)

上述のとおり、性犯罪に関する刑事法検討会は、先月(2021年4月12日)、取りまとめ報告書(案)を公表しました。
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
につきましては、現在のところ、以下の集約がされています。

2021年4月12日 取りまとめ報告書(案)

(2021年4月12日 性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書(案)より、引用。)

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方

エ 小括

以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、配偶者間では性犯罪の成立が限定され得るとの解釈もなお存することに鑑み、婚姻関係以外の関係性にも留意しつつ、解釈上の疑義を払拭するための確認的な規定を設ける方向で検討がなされるべきである。

(再掲。小括)
<「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」について>
確認的な規定を設ける方向で検討がなされるべきである

改革への気概に溢れています。

いまから4年前(2017年)のことです。
刑法の性犯罪の規定が改正されました。
昨日のブログで書いたとおり、このときも法務省は事前に、刑法改正を審議する検討会を設置しました。
検討会の名称は、
性犯罪の罰則に関する検討会
です。
当時も今回と同様に、「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」が論点となりました。
この問題を提起したのは、弁護士の角田由紀子委員です。
当該検討会の反応は冷淡でした。

本日は、7年前(2014年)に性犯罪の罰則に関する検討会内で論議された「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」の論議をみてみます。

2014年10月31日 第4回性犯罪の罰則に関する検討会 

2014年10月31日 第4回性犯罪の罰則に関する検討会「議事録」より、引用。)

<21ページ>
2014年10月31日 山口 厚 座長(早稲田大学教授)

それでは、次の論点に移らせていただきます。
次は、配偶者間における強姦罪の成立についてでございます。
これにつきましては、角田委員からの御意見を受けて論点として掲げさせていただいたところでございましたが、第1回の会合では十分な時間もございませんでしたので、まずは角田委員から、御提案の趣旨を含めて、今一度御発言いただければと思います。

——————————————————–

<21~24ページ>
2014年10月31日 角田由紀子 委員(弁護士)

刑法第177条(強姦罪)自体には、被害者として配偶者を排除するということは書かれていないのですけれども、実際の運用を見てみますと、やはりどうも配偶者に対する強姦は犯罪にならないという考えで行われてきているというふうに思わざるを得ないのです。

したがって、配偶者も入るということを明確にするために、例えばフランスのように婚姻関係にあってもとか、関係にかかわらずというような注意的な規定を入れるべきだというふうに考えております。

それで、御存じのように、欧米などのこの問題に対する改正というのは、「配偶者を除く」という所を除く改正だったのです。

ですから、日本の刑法第177条(強姦罪)の文言と要は同じような形になったわけです。

ところが、不思議なことに日本の刑法第177条(強姦罪)は配偶者のことを何も書いていないにもかかわらず、実際には「配偶者を除く」という書かれていない構成要件があると思うしかない状況があると私は思っているのです。

そこで、明文化の必要性について御説明いたします。

まず、学説の状況です。
配偶者に対する強姦は犯罪にならないとする考えがやはり存在しているというふうに私は考えております。
学説は、かつては配偶者に対しては犯罪にならないという説の方が有力だったようですけれども、現在でもその説が消えたわけではなくて、例えば、資料23の第2にある東京高裁の平成19年の判決を見ておりましても、その中で学説は3種あるというふうに整理されております。
その中で無条件肯定、無条件否定、それからもう一つは条件付きの肯定というか否定というか、夫婦が実質的に破綻している場合には犯罪として成立するという説ですね。
この判決で見ますと、弁護人は無条件否定説、夫婦だから強姦にならないという説に立って議論して、無罪を主張したということは明らかなわけです。
ですから学説の中でも消え去ったわけではないと言えます。
かつてほど多数説というふうに言われることはないのでしょうけれども、消え去ったわけでもない、それなりの影響をまだ持っているということが理由の一つです。

それからもう一つは、実務の認識なのですけれども、実務では配偶者に対する強姦は犯罪としては成立しないと考えるのが、実は多数ではないかという感じがしております。
先ほどの東京高裁の平成19年の判決ですけれども、これをどういうふうに読むべきかが非常に難しいのですね。
つまり、事実関係が資料23の第1の事例である松江支部の事件と同じで、破綻しているという事実があるわけです。
けれども、この判決の中では、一応考え方としては無条件肯定説と読める考えを言いながらも、やはり破綻しているということで、最終的な判断をしているというふうに読めるわけなので、やはり無条件肯定ではないのではないかというふうに思います。

それから、田中嘉寿子検事の「性犯罪・児童虐待ハンドブック」という著書で、平成26年1月に出ている新しいもので非常によく活用されていて、現在既に2刷りになっているということですが、その中の115ページの注(5)という所に、先ほど申し上げました平成19年の判決が引かれていて、夫の妻へのDVを理由として離婚調停中で、婚姻が実質的に破綻している場合に、夫が妻に暴行・脅迫を用いて性行為を強いた事案につき本罪の成立を認めたというふうに書いてあります。
もちろん田中検事は、破綻の場合に限って認められるというようにお書きになっているわけではありませんけれども、それなりにこの考え方というのは影響を持っているのではないかというふうに思います。
この本の端書きによりますと、この書物自体は捜査官に向けて書かれたマニュアルだというふうに位置付けられておりますので、やはりこれは2刷りがもう出ているということを含めて、捜査をする多くの人の目に留まっているのではないかということですね。

それから、もう一つは、本日は持って来なかったのですけれども、「季刊刑事弁護」という刑事弁護を専門にやっている弁護士がたくさん読んでいる雑誌の2003年秋第35号で、松宮孝明立命館大学教授が「性犯罪における構成要件論的弁護」という論文を書かれておりまして、その中の44ページに「判例では、夫婦関係が破綻していた場合の第三者との輪姦の事案について、本罪の成立を認めたものがあるにとどまる。」と記載されておりますので、やはり犯罪成立は破綻の場合だけではないかと思われているということですね。

さらに、明文化が必要な理由には、社会の認識の問題があると思います。
非常にざっくりとした言い方なのですけれども、結婚をすればセックスするのは当然と考えられているところがあると思います。
時に妻の性交応諾義務的な扱いを受けている実態があります。
DV事案では、特にその実態をたくさん見ることができます。

お手元の資料の一つ目に、大阪SACHICOの加藤治子医師の「「夫婦間の性暴力は強姦か」の論議に向けて」がありますけれども、6ページの「4年間780人の被害内容」という所を見ていただいても、レイプ、強制わいせつ被害の77.7%がレイプの被害であると書かれております。
それから、8ページを見ますと、受診された人たちの中に妊娠が多いという問題が出ております。
780人の被害者のうち92人、11.8%が妊娠していると。
そして、特にDV被害の人で妊娠して来られた人は57.7%と6割近くを占めているということですね。
このようなことから、性交自体が暴力的であったということが分かるというふうに書かれていますし、それから、その次のページに、DV防止法に該当するDV被害者の妊娠状況と、ここも非常に高率な妊娠状況が書かれております。
加藤先生の所で扱われた患者さんの中には、必ずしも全員が逃げて来ている人ではなくて、同居中の場合もあるということです。

さらに、DVのシェルター関係の人の中でも漠然と夫婦間だから強姦罪にならないのではないかと考えている人が少なくないということがあります。
データを出せと言われても困るのですけれども、幾つかそういう関係の人に聞いてみたのですけれども、やはりそうだと。
これは捜査の現場のこの問題に対する理解を反映しているのではないかというふうに思うのですね。
それで、警察に訴えたけれども取り上げてもらえなかったという事例もあります。
私自身もかつて、松江の事件の後だったのですけれども、元婚約者の強姦事件を告訴に行って、そのとき警察官から「夫婦の間では強姦にならない、婚約者もそうだ。あなたはそんなことも知らずによく弁護士をやっていますね」と某署の担当者に非難を受けたことがありました。
そういうことなのです。
だから、被害の訴えがなかなか警察まで届かないということになっているのではないかというふうに思います。

配偶者の性暴力事案というのは少なくないというのがDV事件を多く扱っている私の実感です。
けれども、先ほど申し上げましたように、なかなかいろいろなことがあって刑事手続に乗らない状況ではないかと考えております。

資料11の内閣府の調査報告書ですけれども、17ページ以降は夫婦間での行為についての暴力としての認識その他が書かれております。

この中でも49ページを見ていただきたいのですが、加害者との関係ということで、今回調査と、それから前回の平成20年度調査と二つ挙がっているのですけれども、今回は配偶者・元配偶者が36.9%、前回は35.5%と、かなりの高率で加害者が配偶者あるいは元配偶者だということが分かります。
もちろん、これは刑法第177条(強姦罪)の要件で聞いているわけではありませんけれども、性的関係を強要されたというのは強姦ではないかと思います。

さらに、53ページを見ていただきたいのですけれども、これは異性から無理矢理に性交された被害の後、誰に相談したかというところで、警察に連絡・相談したというのが3.7%しかないのですね。それから、警察以外の公的な機関に相談したというのはもっと少なくて2.2%となっています。

ですから、実態としては配偶者による強姦というのは多いと、特にDV事案というのはそうなのだというふうに考えられるのですけれども、なかなか司法に到達していないということがあると考えられます。

その原因として、配偶者の間では、強姦は犯罪にならないというふうに誤解されているところがあるのではないかと思います。
したがって、配偶者も婚姻関係も犯罪の成否には関係ないということを明文化することは非常に大きな意味があるのではないかと私は思っております。

それで、お手元の資料の二つ目に、男女共同参画白書の抜粋があるかと思います。
夫から妻への犯罪の検挙状況となっているⅠ-3-4図を見ていただきたいのですが、これを見ますと、平成13年はDV防止法が施行された年で、グリーンは殺人なのですが、殺人事件というのはDV防止法の施行とも何の関係もなく、大体100件から120件前後の数字を行ったり来たりしていると。

ところが、傷害と暴行を見ていただきますと、傷害罪は、平成10年は273件、平成11年は375件なのですね。
それが平成12年もややそうなのですけれども、平成13年を境にして、どんどんこの数字が伸びていくということなのですね。

これは何かということですけれども、つまりDV防止法ができてから犯罪そのものが増えるということは、傷害罪が増えるとは考えられないわけなのですけれども、ただ、DV防止法ができて、その前文で配偶者からの暴力は犯罪となる行為も含む重大な人権侵害であるにもかかわらず、被害者の救済が必ずしも十分に行われてこなかったと。こういう状況を改善するために法律を制定するということが書かれているわけです。

暴行罪も傷害罪も強姦罪も刑法にあるわけです。
既に刑法にある犯罪で、被害者として配偶者を除くという規定はもちろんありません。
しかし、実際には配偶者による暴行、傷害というのは検挙または事件化されていなかったということで、犯罪が犯罪として扱われないことにおいて強姦罪と同じ構造ではないかというふうに私は思っております。
したがって、明文化することによって社会の認識を変えるし、それから、これが犯罪であるということが非常に明確になるということだと思います。

今までの判例や捜査の実務をはっきりと否定するためには、明文規定を置くことが必要であると私は考えております。
確かに刑法第177条は配偶者を排除していないのですけれども、判例で犯罪とすることが非常に狭められてきた、あるいは否定されてきたという歴史があるわけなので、自然に任せて変化を期待することはできないのではないかと私は考えております。
特に現在も破綻条件説が肯定されている実務の実態というのがあるので、そのことも考えなければいけないのではないかと思います。
変化のためには、関係者の認識の変更が求められるわけですけれども、それは自然の変化に任せるということではなかなか難しい。
特にこの国ではそうだと思いますので、法で明確にすることが必要であると考えております。
女性の人権、保護法益についての基本理念が制定当時の1907年と今では明らかに違っているわけなので、同じ条文の読み直しで目的を達することは難しいのではないかと考えております。

「女性に対する暴力に関する立法ハンドブック」というものがありまして、国連経済社会局女性の地位向上部で作成されたものですが、これはどういうものかと言いますと、2011年に出たものなのですが、既に各国で行われてきた女性に対する暴力の防止と被害者支援のための法手続をモデルとして集積したものです。
そのことから現段階での国際基準としてどういうことが考えられるかというのが37ページの性暴力の定義の所で、夫婦間レイプを含む強姦等の性暴力の広範な犯罪の定義をすべきということが述べられています。
ここでは加害者と被害者の間の関係の性質にかかわらず、性暴力に関する条文を適用するよう規定する、あるいは婚姻関係にある又は他の関係にあることが法の下での性暴力の犯罪に対する抗弁を構成しないということで規定する、このどちらかの立法の方式をとるべきだというふうに書かれております。

したがって、私としては、今までの歴史的なことも含めて、配偶者間の強姦が犯罪であるということを明確に社会に示す必要があると考えております。
そのことによって、先ほど傷害罪の検挙数の変化で見ていただきましたように、夫婦間の強姦についても大きな変化が起こるのではないかと思います。
取り分けその部分を明文化することでデメリットはないのではないかというふうに私は思っておりますので、是非明確にする必要があると考えております。

——————————————————–

<24ページ>
2014年10月31日 田中素子 委員(最高検察庁検事)

誤解を解きたい所があるのですけれども。
議論を進めるためにこれだけは言っておきますけれども、検察実務上は配偶者間で犯罪が成立しないという考えはとっておりません。

ですから、起訴もしている例があるわけです。

限定説でもありません。

ただ、実際に起訴例が少ないと思いますのは、加害者側から夫婦だから合意があったということは必ず言われます。
そのときに破綻している夫婦だと立証しやすいけれども、破綻していなかったら立証しにくいというだけの話で、そこは明文化しようがしまいが難しさは同じだと思います。
同じような難しさは内縁であってもありますし、また、同性同士で一緒に住んでいる方の間でもありますので、そこは明文化してもそれほど変わらない、メリットはないのではないかなと思っておりまして、むしろ性的マイノリティーの方との関係ではデメリットになるのではないかと思っております。

先ほどのハンドブックは、私は知らなかった本ですので、その点は付け加えさせていただいて、少なくともそれによって飛躍的に起訴件数が増えるということはないというふうに考えていただいた方がいいのではないかなと思っております。

——————————————————–

<24~25ページ>
2014年10月31日 山口 厚 座長(早稲田大学教授)

ありがとうございました。もう残りの時間がわずかでございますが、この論点はしっかりと御議論いただく必要があろうかと思いますので、この論点についての御議論は次回(第5回検討会)に回させていただきたいと思います。

次回(第5回検討会)は配偶者間における強姦罪の成立についての議論を行った上で、強姦罪の主体等のその他の論点の議論を行いたいと考えておりますが、そういうことで御理解をいただければというふうに思います。

——————————————————–

田中素子委員は、間髪を入れずに、角田由紀子委員の意見を一蹴しました。

(再掲。山口厚 座長)
この論点についての御議論は次回(2015年1月29日の第5回検討会)に回させていただきたいと思います

明日は「次回」(第5回検討会)の論議を参照します。
ちなみに、このときに交わされた議論は、あんぐりとなるものでした

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2020年9月29日

世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、
私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。

——————————————————–

(※再掲)
2021年4月12日 性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書(案)より、引用。)

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方

エ 小括

以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、配偶者間では性犯罪の成立が限定され得るとの解釈もなお存することに鑑み、婚姻関係以外の関係性にも留意しつつ、解釈上の疑義を払拭するための確認的な規定を設ける方向で検討がなされるべきである。

「進撃の巨人」のヒロインであるミカサ・アッカーマンは、
「戦わなければ、勝てない」
と言いました。
泣き寝入りをしない香西咲さんたち被害者の姿勢は、多方面に影響を及ぼしています
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

【刑法改正を審議する検討会の13回目の議事録】(10)。配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方。香西咲さんたちの戦いは、性犯罪に対する人々の認識を変えました

ここ最近は、法務省の第13回性犯罪に関する刑事法検討会で交わされた議論をみています。

(参考。当ブログ)
第13回性犯罪に関する刑事法検討会議事録について>
2021年4月29日(AV出演強要)
2021年4月30日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方①)
2021年5月1日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方②)
2021年5月2日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方③)
2021年5月3日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方④)
2021年5月5日(強制性交等の罪の対象となる行為の範囲)
2021年5月6日(法定刑の在り方)
2021年5月7日(性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方①)
2021年5月8日(性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方②)
2021年5月9日(性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方③)

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録準備中

第15回(2021年4月12日)※議事録準備中

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

・第16回(2021年5月21日開催予定)

2021年3月8日 法務省 第13回性犯罪に関する刑事法検討会

本日は、第13回性犯罪に関する刑事法検討会議事録のなかから、
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
の議論を参照します。

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方

(2021年3月8日 第13回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<18~19ページ>
2021年3月8日 井田 良 座長(中央大学教授)

次に、
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
についての検討に入ります。

二巡目までの議論を簡単に整理させていただきますと、意見要旨集20ページから23ページまでにありますように、解釈論として、配偶者間では性犯罪の成立自体が限定されると解する余地が全くないわけではないので、解釈上の疑義を解消するために明文規定を設けることも選択肢としてあり得るという御意見などが述べられた上で、考えられる規定の在り方としては、強制性交等罪の客体のところに
「(婚姻関係にある者を含む。)」
と規定する方法、又は、
「婚姻関係の有無にかかわらず、強制性交等罪の罪とし」
といった文言を加える方法など、具体的な御意見が述べられております。

本日は、これらの御意見、これまでの御議論を踏まえ、既に述べられた御意見に更に追加して述べることがあるかどうかという観点から御発言をお願いいたします。

10分程度の時間を予定しております。

——————————————————–

<19ページ>
2021年3月8日 小島妙子 委員(弁護士)

ほぼ議論が尽きているかと思うのですけれども、22ページの「④」の4つ目の「〇」に関連して申し上げたいと思います。

(参考。意見要旨集22ページの「④」の4つ目の「〇」)
〇 客体について「者(婚姻関係にある者を含む。)」と規定するものとすると、事実婚、パートナー、性的マイノリティー同士の関係が排除されるおそれがあるものの、婚姻関係に基づく性交要求権があると考えて犯罪が成立しないとされることが問題であることに焦点を当てるのであれば、そのような規定もあり得ると思われるし、176条(強制わいせつ罪)・177条(強制性交等罪)を当事者が婚姻関係にあるか否かを問わず犯罪が成立するというような条項にすることも考えられる。

被害者御自身も、また、DVの相談機関や警察なども、いまだに夫婦の間では性交の要求権があるとか、性交に応じる義務があると考えて、夫婦の間では強制性交等罪は成立しないという意識が根強く残っていて、検挙もほとんど行われていないという現在の社会的状況にフォーカスしますと、これを是正していくという観点から、端的に、
「(婚姻関係にある者を含む。)」
というような括弧書きを現行刑法典に書き込むという方が、現在の状況に合っていると思っております。

それ以外の関係を排除する趣旨ではないということを説明しつつということになりますが、刑法典に現時点で載せるとすると、今の社会状況にフォーカスして、先ほど述べたような規定がいいのではないかなと考えております。

——————————————————–

<19ページ>
2021年3月8日 齋藤梓 委員(臨床心理士)

小島委員の御意見も分かりますし、
「(婚姻関係にある者を含む。)」
と書き込むと、婚姻関係という強い関係以外のものが全て含まれるということが、法律家の皆様の認識としてあるということも分かるのですけれども、夫婦間だけではなく、社会の中では、事実婚の関係も、パートナーシップの関係性も、事実婚の定義を満たしていない関係もあります。

いろいろな状況もあるのかなというように思いますし、やはり司法関係者ではない人の中には、
「(婚姻関係にある者を含む。)」
と書かれると、婚姻関係に至れなかった自分たちというのは排除されているのかなという感覚を抱く場合もあると思います。

「婚姻関係の有無にかかわらず」
としていただければ、婚姻関係という強いものが示されて、しかし、その強いものでさえ、その有無にかかわらずということで、排除されている感覚が少なくなるように思います。

どちらにしても、今現在、様々な関係性が存在している社会の中で、いろいろな関係性が排除されないのだということについて、報告書の中にですとか、議論の経過を説明する中に、きちんと明示していただければと思っております。

——————————————————–

<19~20ページ>
2021年3月8日 井田 良 座長(中央大学教授)

ほかに御意見はございますか。
よろしいですか。
ほかには、これまでの議論に付け加えての御意見はないようですので、この点についての議論は、この辺りで一区切りとさせていただきたいと思います。

三巡目までの議論の簡単なまとめを申し上げると、現在、婚姻関係や内縁関係などの親しい間柄であるから、強制性交等罪は一切成立しないという考え方は実務上も学説上も採られていないこと、他方で、一部の学説では、婚姻関係があることによって強制性交等罪の成立が一部限定されると考えられているものもあること、こういう事実認識は委員の間で共有されたものと考えられます。

その上で、一般社会には根強い誤解があるのだという御意見、あるいは、司法関係者の間にも、親しい関係にあると同意があるはずだというバイアスが掛かるのだというような御意見もあり、このような状況を是正するため、また、国際社会からの批判が強いこともあるため、明文の規定を設けるべきだという積極的な御意見がありました。

また、解釈上の疑義を解消する必要があるのであれば規定を設けることも考えられるという、言わば消極的認容というのでしょうか、そのような御意見もありました。

具体的にどのような規定を設けるべきかについては、例えば、
「婚姻関係の有無にかかわらず」
と規定するのがいいのではないかという御意見、これに賛成する御意見が示され、特に明文の規定を入れることに反対だという御意見はなかったように思われました。

——————————————————–

(確認)
性犯罪に関する刑事法検討会
2021年3月8日 第13回性犯罪に関する刑事法検討会
  ↓
2021年4月12日 取りまとめ報告書(案) 公表

上述のとおり、性犯罪に関する刑事法検討会の事務局は、2021年4月12日に、取りまとめ報告書(案)を公表しました。
同報告書(案)のなかから、
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
に関する取りまとめをみてみます。

2021年4月12日 取りまとめ報告書(案)

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方

(2021年4月12日 性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書(案)より、引用。)

エ 小括

以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、配偶者間では性犯罪の成立が限定され得るとの解釈もなお存することに鑑み、婚姻関係以外の関係性にも留意しつつ、解釈上の疑義を払拭するための確認的な規定を設ける方向で検討がなされるべきである。

ご覧のとおり、「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」につきましては、
確認的な規定を設ける方向で検討がなされるべきである
との集約案が作成されました。

いまから4年前(2017年)に刑法の性犯罪の規定が改正されました。
当時も法務省は、刑法改正を審議する検討会(性犯罪の罰則に関する検討会)を設置しました。
このときも「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」が論点となりました。
当該論点を提起したのは、弁護士の角田由紀子委員です。
検討会では、「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」に対して、ほとんどの委員が冷徹な反応をしめしました。

(再掲。2021年4月12日の取りまとめ報告書(案)
確認的な規定を設ける方向で検討がなされるべきである

この4年のあいだに、性犯罪に対する人々の認識は激変したようです。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2020年9月29日

世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、
私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。

——————————————————–

香西咲さんたち被害者の戦いが世情を変えました。
明日は、2014年から2015年まで開催された性犯罪の罰則に関する検討会の議事録のなかから、
「配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方」
に関する議論をみてみます。
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

【刑法改正を審議する検討会の13回目の議事録】(9)。性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方③。香西咲さんたち被害者のうったえは間もなく結実します

法務省は、昨年(2020年)の3月31日に、性犯罪に関する刑事法検討会を設立しました。
同検討会の目的は、刑法のなかにある性犯罪の規定を変えるかどうかの検討です。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録準備中

第15回(2021年4月12日)※議事録準備中

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

・第16回(2021年5月21日開催予定)

2021年3月8日 法務省 第13回性犯罪に関する刑事法検討会

先日より、第13回性犯罪に関する刑事法検討会議事録をみています。

(参考。当ブログ)
第13回性犯罪に関する刑事法検討会議事録について>
2021年4月29日(AV出演強要)
2021年4月30日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方①)
2021年5月1日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方②)
2021年5月2日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方③)
2021年5月3日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方④)
2021年5月5日(強制性交等の罪の対象となる行為の範囲)
2021年5月6日(法定刑の在り方)
2021年5月7日(性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方①)
2021年5月8日(性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方②)

本日も、
「性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方」
の論議を参照します。

性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方②(※

(2021年3月8日 第13回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<26~27ページ>
2021年3月8日 宮田桂子 委員(弁護士)

没収等が刑罰として科される場合には、その画像がどのような経緯で取得されたものか、その取得の違法性について弁明する機会その他が与えられます。

裁判で有罪判決ということになれば、その点について上訴審で争うことも可能です。

行政命令ということになると、そもそも違法な行為によって取得された画像なのかどうかですから、明らかにならない場合も起こり得ます。

被疑者・被告人が、同じような事件をやりました、そのとき撮影したものですと、自白してくれれば、余罪によるその人が撮影した違法なものだということが分かります。

しかし、被疑者・被告人が、いや、これは他人から取得した写真です、これは不同意の行為を撮影したものではなくて、同意があって撮影したものです、本当のそういう行為を撮ったのではなくやらせです、というような主張をする可能性もあるし、実際にそうで、その点について争わせる必要もあるのかもしれません。

それほど簡単にいく問題なのだろうか、とは思います。

もう一つ別な問題です。

私は、前回、裁判所の消去命令を作ったらどうですか、という意見を言ったのですけれども、意見要旨集にそのような整理はされなかったようです。

行政命令という方法もありますけれども、そもそも性的画像の撮影について有罪判決を求めない被害者の方もいらっしゃる可能性を考えた場合には、裁判所を関与させた制度も考えられるのではないでしょうか。

なぜ裁判所を関与させる意見を申し上げるかというと、例えば、警察が行政命令をやるスキームを考えた場合に、今までの議論の中で、性的犯罪に対する警察の温度差がとても大きいという話が出てきており、性的画像についても同じような問題が起きるのではないかという危惧があります。

DVのように裁判所を関与させると何がいいかというと、弁護士が介入できるので、被害者への対応として利点があると思っております。

もちろん、検察官の手元に明らかに犯罪によって成立したものだと分かるものがある場合には、検察官による消去も十分考え得るのでしょうが、そういう形で捜査機関の手元にないものについても、被害者がインターネット上に自分の画像を発見したときに、何らかの救済の方法は考えなければならないのかなということを思っております。

私は、裁判での消去命令は、犯罪として表に出ているもの以外について捕捉するという点について、主にインターネット上の拡散をイメージしておりますので、犯罪を行った人だけでなく、犯罪とは必ずしもいえないような形で取得した人が、拡散させてしまうところへも対応できるという意味で効果があると言っているのです。

ただ、拡散された画像については、プロバイダーが海外にいるような場合、その他、プロバイダーの責任を問うのが非常に難しいことは重々承知でございます。

その辺まで捕捉し得るのかどうか、拡散する画像についてまでここで議論するべきなのかどうかを含めて、問題はあるのかもしれません。

もしここで議論すべき問題ではないとしても、拡散していく画像に対する対応についても、考えなければならない問題であり、ここで述べておくべきだと思って発言しました。

——————————————————–

<27~28ページ>
2021年3月8日 羽石千代 委員(警察庁刑事局刑事企画課刑事指導室長)

今、宮田委員がおっしゃった御意見と、意見要旨集32ページの一番下の「〇」から33ページの「〇」にかけての論点について、発言したいと思います。

(参考。意見要旨集32ページの一番下の「〇」から33ページの「〇」にかけて)
〇 関税法上の輸入禁制品の没収については税関長が、ストーカー規制法に基づく画像データ等の削除命令については都道府県公安委員会がその主体とされているところ、これは、これらの主体が、当該禁制品や画像データ等が対象物に該当するかどうかの判断を行うのに必要な情報を有しており、その判断を迅速かつ適正にできることを踏まえて定められたものと考えられる。
性的な姿態の画像の没収・消去が問題になるのは、盗撮等を含む性犯罪の捜査の過程で画像の存在が明らかになり、それが証拠物や没収すべきものとして差し押さえられている場合であると考えられるところ、それらが没収・消去の対象に該当するかどうかを最も的確に判断できるのは捜査機関であると考えられるから、捜査機関が主体となって、当該刑事事件の捜査・公判の過程で、押収された画像等について没収・消去等の措置を取ったり、押収はされていないが押収の対象となり得る画像等について消去を命じたりする仕組みとすることが考えられる。

撮影された画像の没収や消去の主体、それから、消去命令の主体について、警察がよいのではないかとか、裁判所がよいのではないかとか、警察だけではなくて捜査機関がよいのではないかというお話もこれまで出てきているところですけれども、どの機関とすることが適当であるかについては、本当に様々な観点から検討することが必要ではないかと思っております。

現行法上、没収は刑罰とされているということですとか、没収・消去の対象となる画像が加害者の手元にある場合だけではなくて、サーバ上にあったりですとか、第
三者の手元にある場合もありますので、権利関係が複雑である場合も考えられる、そういったことも踏まえまして幅広く検討していくことが必要ではないかなと思っております。

——————————————————–

<28ページ>
2021年3月8日 渡邊ゆり 委員(東京地方検察庁検事)

私の先ほどの意見に少し補足させていただきたいと存じます。

余罪に関する被害者、あるいは被害者と思われる方の性的画像の消去でございますけれども、やはり、基本的には、捜査機関の手元にある証拠について、これを検討するということになろうかと思います。

また、それが余罪に当たる、つまり、犯罪的な行為によって取得されたものかどうかということについても、当然、その画像のみならず、その周辺の証拠、被告人の供述、そういったものを総合的に考慮して、どの機関が主体となって判断するかはともかくといたしまして、認定をしていくということになろうかと思います。

——————————————————–

<28ページ>
2021年3月8日 小島妙子 委員(弁護士)

私は、第11回会議でストーカー規制法などを参考にして、行政機関が本人の申出によって、性的画像の消去や没収を命ずる制度を設けるべきであるということを申し上げました。

現在、デジタル性暴力が問題となっており、大変被害が拡大しているという観点から、刑事訴訟法とか刑事手続に関連しないが、広範に広がっている被害に対して、行政機関における迅速な救済の手続、スキームというのを設けていただきたいと。

様々な問題点があることは承知しておりますけれども、行政処分をする場合でも、聴聞の機会を与えるとか、処分をした後、迅速に聴聞の機会を与えるとか、様々な方法があると考えます。

行政機関が簡易迅速に被害者の救済に当たるという観点で、是非新しい制度を考えていきたいということを申し上げたいと思います。

——————————————————–

<28ページ>
2021年3月8日 齋藤梓 委員(臨床心理士)

委員の皆様のおっしゃっている具体的な案ということではなく、ここで発言するのが適当かどうかちょっと分からないのですけれども、小島委員、橋爪委員もおっしゃっていたように、ツールというのは様々なものがありまして、時代とともに、手段はこれから更に多様になっていくことが考えられますので、そういったものを捕捉できるような条文を考えていただければということが一つございます。
もう一つは、最近、デジタル性暴力のいろいろな事案を聞くにつれて、本当に多様化していて、とても難しい問題だなと思っています。

今回は写真とか動画が想定されていると思うので、議題と直接関係ないかもしれませんが、デジタル性暴力の中には、録音音声の流出というものもございます。

それだけ多様なものであって、議論が継続されていく必要があるのではないかということを、一つ申し上げさせていただきます。

——————————————————–

<28ページ>
2021年3月8日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

行政処分によって消去を求められる場合について、確認したいのですが、例えば盗撮した映像などを購入した場合においても、それは消去を命令されると考えてよろしいでしょうか。

そこが実行されないと、同意のない自分の性的姿態が購入された場合は対象ではないということになると困るなと思って、お伺いしたいと思いました。

——————————————————–

<28~29ページ>
2021年3月8日 川出敏裕 委員(東京大学教授)

先ほど申し上げましたように、この制度の趣旨を、当該画像が存在することによって法益侵害やその危険が継続するという意味で、本来、社会にあってはならないものであるから、それを消去して被害者を保護するためのものと理解するのであれば、撮影した本人ではなく、第三者がその画像を購入して持っている場合であっても、それは、没収・消去の対象になり得ます。
ただ、その第三者が盗撮画像だと知らずに購入しているような場合に、それを没収・消去するに当たって、何らかの補償をする必要があるかどうかは議論があり得るところだと思いますが、没収・消去の対象になり得ること自体は当然だと思います。

——————————————————–

<29ページ>
2021年3月8日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

ありがとうございます。

——————————————————–

<29~30ページ>
2021年3月8日 井田 良 座長(中央大学教授)

ほかに御意見はございますか。
よろしいですか。

それでは、予定の時間にもなりましたので、この「性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方」についての議論は、ここで一区切りとさせていただきます。

議論は相当多岐にわたっておりますので、過不足なく要約することは困難ですけれども、まず、撮影の罪の創設については、一部に、罰則を設けるよりも画像の消去などの被害者の救済を充実すべきであるという御意見もあったものの、新たな罪の創設の必要があるということ自体については、一部懐疑的な議論はあったという留保を付ける必要はありますけれども、おおむね異論のないところであったと伺いました。

処罰の必要があると指摘されているケースとしては、
第1に、被害者に気付かれずに撮影する、いわゆる盗撮の類型があり、
第2に、強制性交等などの犯行の場面を撮影する類型があり、
第3に、アダルトビデオ出演強要など欺罔や威迫によって撮影に同意させられた類型があり、
第4に、スポーツ選手の性的部位を殊更にアップにする方法で撮影する類型があり、
第5に、子供のブルマー姿等の姿態を撮影する類型
などが挙げられたと思われます。

処罰の対象とすべき行為については、性的な部位や性交をしている姿態など「撮影対象」を要件とする案や、浴場の脱衣所など「撮影される場所」を要件とする案、さらには「撮影方法」を要件とする案、同意がない場合を処罰するといった形の案などが提案されており、今日は場所による限定はよろしくないのではないかという強い意見が表明されました。

いずれにしましても、どこまでの行為をどういう要件でもって捕捉するか、また、保護法益をどう考えるかという問題をめぐっては、迷惑行為防止条例や私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律との関係もあり、なお様々な課題が残されていると思われます。

また、撮影以外の行為については、不特定多数の者への提供行為、流通させる行為、インターネット上での拡散行為を処罰すべきであることについてはおおむね異論はなかったように思いますけれども、もともと同意があって撮られたものについてどういう処罰を考えるかという点について、なお論ずべき課題はあるということになりますし、今日は議論になりませんでしたけれども、単純な所持自体を処罰することについては、被害者が撮影に同意していなかったことの認識の立証困難等の理由から、消極的な意見が多く示されたかと思います。

それから、性的姿態の画像の没収・消去については、まず刑事没収についていえば、撮影の罪を創設すれば、その原本については刑法19条で没収できるようになるわけですけれども、そのことを前提に、複写物の没収もできるようにすべきだという御指摘がありました。

さらに、付加刑である刑事没収とは別に、有罪判決を前提としない没収・消去をできるようにする必要があるという御意見があり、そのこと自体には強い異論・反論はなかったと思われます。

こうした有罪判決を前提としない行政没収の手続の具体的な制度設計については、手続の主体ですとか、データの保有者等の手続保障など、検討すべき課題が多く残されていると考えられるところであります。

——————————————————–

当該検討会(第13回検討会)から1か月が経った2021年4月12日、性犯罪に関する刑事法検討会取りまとめ報告書(案)を公表しました。

(再掲。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録準備中

第15回(2021年4月12日)※議事録準備中

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

・第16回(2021年5月21日開催予定)

「性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方」に関しては、現在のところ、以下の集約がされています。

2021年4月12日 取りまとめ報告書(案)

性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方

ア 処罰規定
 他人の性的な姿態を同意なく撮影する行為や画像を流通させる行為を処罰する規定を設けるべきか

<42ページ>

(オ) 小括

以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、被害者の意思に反する性的姿態の撮影行為を処罰する規定を設ける場合には、処罰の必要性のある範囲に限定するとともに、その要件の明確性に留意しつつ、適切な構成要件の在り方について更に検討がなされるべきである。

また、意思に反して撮影された性的姿態の画像を第三者に提供する行為などを処罰する規定を設ける場合も、同様に、適切な構成要件の在り方について更に検討がなされるべきである。

イ 没収・消去
 撮影された性的な姿態の画像の没収(消去)を可能にする特別規定を設けるべきか

<46ページ>

(オ) 小括
以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、性的姿態を撮影する罪の創設とともに、これにより生成された画像の没収(消去)を可能にする規定を設ける場合には、付加刑の没収として、データが保存された原本からデータが複製・移転された複写物についても没収(消去)ができるよう、データの複製・加工の容易性や原本との同一性にも留意しつつ、具体的な規定の在り方について更に検討がなされるべきである。

また、有罪判決を前提としない没収(消去)を可能にする規定を設ける場合には、財産権の制約との関係や現実的な対応可能性にも留意しつつ、その対象や判断主体、手続保障などに関する具体的な規定の在り方について、更に検討がなされるべきである。

ご覧のとおり、規定が設けられる、との前提で書かれています。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2018年3月19日

今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

(再掲。小括)
更に検討がなされるべきである

上述の山本潤委員は、インターネットの番組でつぎのようにのべています。
さらに、法制審議会に進んだときに、通常は法務大臣からの諮問というかたちで、条文の案というのがつくられて、出てくるんですね」(※全文は、過日の当ブログを参照。)
と。
今後は、法制審議会が作成する法案の叩き台に注目が集まります。
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

【刑法改正を審議する検討会の13回目の議事録】(8)。性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方②。香西咲さんたち被害者の救済が急がれます

2021年3月8日に、法務省の第13回性犯罪に関する刑事法検討会が開催されました。

(参考。法務省の性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>

第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録公開
第13回(2021年3月8日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第14回(2021年3月30日)※議事録準備中

第15回(2021年4月12日)※議事録準備中

2021年4月12日
 性犯罪に関する刑事法検討会
取りまとめ報告書(案)

・第16回(2021年5月21日開催予定)

2021年3月8日 第13回性犯罪に関する刑事法検討会

先日より、第13回性犯罪に関する刑事法検討会議事録をみています。

(参考。当ブログ)
第13回性犯罪に関する刑事法検討会議事録について>
2021年4月29日(AV出演強要)
2021年4月30日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方①)
2021年5月1日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方②)
2021年5月2日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方③)
2021年5月3日(暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方④)
2021年5月5日(強制性交等の罪の対象となる行為の範囲)
2021年5月6日(法定刑の在り方)
2021年5月7日(性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方①)

本日は昨日にひきつづき、「性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方」の論議を参照します。

性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方②(※

(2021年3月8日 第13回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<23~24ページ>
2021年3月8日 橋爪隆 委員(東京大学教授)

意見要旨集の)27ページになりますが、「④」の3つ目の「〇」、「⑤」の直前ですけれども、

(参考。意見要旨集の「④」の3つ目の「〇」)
〇 処罰規定を設ける必要がある類型として、ユニフォーム姿で運動する際に脚を開く様子を拡大して撮影する場合のように、撮影自体には同意しているものの、撮影方法に同意がない類型もある。

スポーツの競技中の撮影行為について、考えるところを申し上げたいと存じます。

このような行為が社会的に深刻な問題になっていることは十分承知しておりますし、撮影対象者の方がこれを知った場合にその性的羞恥心を害されることはもっともだと思います。

また、例えば、赤外線を用いた撮影装置などを使用して、水着やユニフォームを透かして、その下の性的部位を撮影する行為については、性的姿態を直接的に撮影する行為と変わりがありませんので、これも処罰対象に含めるべきであると考えます。
もっとも、飽くまでも衣服の上から撮影する行為、すなわち、周囲にいる者が視認可能な部分のみを撮影する行為については、本来衣服に覆われており、それゆえ外部から視認不可能な性的部位や下着姿を撮影する行為とは、やはり質的に相違があることは否定できず、別の観点から処罰の可否や限界について論ずる必要があります。

ここで難しい問題は、通常の撮影行為との切り分けの問題です。
特定の部位を過度に強調するような撮影行為を禁止し、処罰対象にすることも考えられますが、具体的にどこまで強調すれば犯罪を構成するのか、その限界を明確に画することは困難であるような印象を持ちます。

また、例えばカメラの性能が高い場合、通常の撮影行為を行った後、特定の部位だけを拡大して加工処理することも簡単にできますので、特定部位を過度に強調する撮影行為を禁止するとしても、それであれば後から加工する行為が横行するだけですので、実効的な規制とは言い難いところです。

その上で、撮影行為が通常の撮影の範囲にとどまっている場合も含めて、その後、画像を加工する行為等によって被害者を性的な対象として扱う目的がある場合、つまり、撮影行為を目的犯と規定した上で、一定の悪質な性的目的に基づく撮影行為を処罰対象にする可能性についても更に考えてみました。

もっとも、撮影行為が極めて異常であればともかく、通常の撮影行為については、このような目的を撮影段階で合理的に認定することは困難であると思われます。

もちろん、撮影した画像を、その後、例えば特定部位だけを強調するなど性的な内容に加工した上でインターネット上にアップロードする行為に及べば、撮影行為段階の目的を推認することも不可能ではありませんが、むしろ、それであれば、撮影行為ではなく、その後のアップロード行為等を規制する方策を検討することが実態に即しているように思われます。

この問題は、被害も深刻であり、何らかの対応が必要であるという問題意識はそのとおりだと思い、いろいろな方策を考えてみたわけでありますが、刑法の議論としては、処罰すべき撮影行為を明確に切り出した上で、かつ、それを実効的に処罰することは、必ずしも容易ではないような印象を持っております。

現場の状況を十分にはわきまえておらず、このようなことを申し上げるのもおこがましいのですが、まずは競技場やグラウンドにおける撮影行為や撮影場所等の規制、さらに、性的に加工された画像がアップロードされないような規制を検討することが、被害を防止する上では重要ではないかという印象を持っております。

——————————————————–

<24ページ>
2021年3月8日 宮田桂子 委員(弁護士)

撮影の方法や撮影の部位から処罰対象となる行為を捉えていくという方法は、非常に合理的だとは思うのですけれども、性的な部位、下着姿、性的な行為をしているところというような形で、性的な部位についての撮影という限定を加えた場合に、そこまでに至らないものの撮影がプライベート空間でされてしまったとき、処罰の対象外になってしまうという問題があると思っています。
場所でくくるのは、何にメリットがあるかというと、性的な部位を写したとまではいえないし、性的部位を写す行為の未遂とは断定できない場合がありますから、人々がプライベートな空間で自由に生活ができる状況が侵害された場合に、そういうものを捕捉できることには意味があると思っています。

——————————————————–

<24~25ページ>
2021年3月8日 和田俊憲 委員(東京大学教授)

流通罪との関係で、若干、議論がこれまで余り行われていないように思われる点について、補足的に問題の提起をしておきたいと思います。

他人の性的な姿態の画像を流通させる行為を処罰する規定を設ける場合には、二つ類型があり得ると思います。

第一の類型は、盗撮罪・撮影罪で処罰対象とされている行為によって取得された画像を流通させる行為であり、これについては、通常、流通させることについても同意がないのが前提だと考えられますので、処罰対象にすることにさほど異論は強くないのではないかと考えられます。
第二の類型は、撮影対象者の同意の下で撮影された性的な姿態の画像を同意なく流通させる行為であり、これを処罰対象にするかどうかというのが、一つ大きな問題だと思います。

これを考える際には、二つのことを検討する必要があるように思われます。

まず、被害者に気付かれずに密かに撮影した性的な部位の画像であるとか、あるいは強制性交等の犯行状況を撮影した画像のような、そもそも撮影自体に同意がなかった画像を更に流通させる行為という第一の類型と比べたときに、法益侵害、あるいは可罰性の点で違いがあるかどうか、二つの類型の間にどのような異同があるかということを検討する必要があるだろうというのが第一の点です。
次に、撮影対象者の同意を得て撮影された性的な姿態の画像を同意なく流通させる行為は、既に、現行のリベンジポルノ防止法において、一定程度処罰対象とされています。

しかし、リベンジポルノ防止法における提供行為についての罰則というのは、保護法益を性的プライバシーとして理解していて、性に関する私生活上の事柄をみだりに公開されない権利を守るものと一般的に理解されているところであり、これは、性的自由だとか、性的自己決定権、あるいは性的尊厳とは違う保護法益ということになりますので、リベンジポルノ防止法とのすみ分けというのをきちんと考える必要があるというのが第二の点です。

そのような点についてどのように考えるかによって、同意ある形で撮影されたものを同意なく流通させる行為についても処罰すべきかどうかというところの結論が変わってくると思われますので、その点、問題を提起しておきたいと思います。

——————————————————–

<25ページ>
2021年3月8日 井田 良 座長(中央大学教授)

ほかにございますか。
もしよろしければ、
撮影された性的な姿態の画像の没収(消去)を可能にする特別規定を設けるべきか
についての検討に移りたいと思います。
この点についても御発言をお願いしたいと思います。

——————————————————–

<25ページ>
2021年3月8日 橋爪隆 委員(東京大学教授)

31ページの上から3つ目の「〇」でございますけれども、

(参考。意見要旨集の31ページの上から3つ目の「〇」)
〇 複写物を没収する具体的な方法としては、複製行為を処罰対象とすることにより、複写物を犯罪生成物件として没収対象に含める方法と、撮影行為に関する没収対象物の範囲を拡大して複写物も含める方法とがあり得るが、複製行為といっても多様な状況下における多様な行為が想定され、これら全てを処罰対象にすべきかについては更に検討が必要である上、複製行為についての故意等の立証ができない場合には没収できないおそれがあることを踏まえると、後者の方法が立法論としては優れており、複製行為を処罰対象にしない場合でも複写物の没収を可能とするような特別な規定の創設を検討することが有益である。

没収の具体的な方法については、以前の会議でも発言をいたしまして、その際には、複製行為自体を処罰対象に含めるよりは、撮影行為を処罰対象にしつつ、その没収対象範囲に複製物を含める方が適当である旨を発言いたしました。

この点について、若干、補足をさせてください。

例えば、スマートフォンで他人の性的な姿態を撮影した場合、そのスマートフォンの設定によっては、その撮影画像のデータがクラウド経由でパソコンと同期され、パソコンにも同一のデータが複製される場合があり得ますが、これらのプロセスについては、撮影行為者が明確に意識することなく自動的に行われる場合があり得ます。

このような場合には、複製の実行行為を特定することも困難であり、また、複製に関する故意を認定することも困難でありますが、しかし、パソコンに複製されたデータについては、没収対象に含めるべきです。

このような意味で、複製行為を処罰対象に含めなくても複製されたデータを没収できる制度を設けることが必要であることを、重ねて申し上げたいと存じます。

なお、ここでは、電子データの複製に限って申し上げましたけれども、複製物の没収については、記録媒体やデータの同一性が重要なわけではなく、実質的に同一内容の性的画像が拡散する危険性が重要な基準になってくるように思います。

したがいまして、データの形式や記録媒体が同一性を維持することまでは必要ではないと考えます。

今時、こういったことは余りない気がするのですが、例えば、撮影した画像がネガフィルムに記録され、これを現像して写真が出来上がり、さらに、その写真がスキャンされてパソコンにデータとして保存された場合のように、記録媒体やデータ形式が変更される場合もあり得ますが、撮影内容が性的な被害という観点から実質的に同一内容を維持している場合については、これら全てを没収対象に含めることが、当然に可能であり、また、必要であると考えます。

——————————————————–

<25~26ページ>
2021年3月8日 渡邊ゆり 委員(東京地方検察庁検事)

意見要旨集29ページの「(2)」の「① 捜査・公判における画像の没収・消去の実情」のところに載っている意見でございますけれども、

(参考。意見要旨集29ページの「(2)」の「① 捜査・公判における画像の没収・消去の実情」)

〇 捜査実務においては、刑罰として没収できないものについては、画像を消去する前提として、捜査官が被疑者・被告人から所有権放棄を得る努力をしているが、相当長期間にわたって放棄に応じない者も珍しくなく、対応に苦慮している。

〇 強姦等の犯行の様子を撮影したビデオカセットの没収を認めた平成30年最高裁決定は、撮影の目的が、被害者が捜査機関に被告人の処罰を求めることを断念させ、刑事責任の追及を逃れようとするためであるとして、記録媒体を犯罪供用物件として没収できるとしているが、それ以外の場合、例えば、性的満足を得る目的や営利目的で撮影した場合については、判断が示されておらず、そのことが検察官が没収求刑しないことに影響しているのではないか。

検察の現場が、所有権放棄に応じない被告人・被疑者にどのように対応するかということで非常に苦慮していること、例えば、十数年にわたって所有権放棄を求め続けている例があることなどを御紹介いたしました。

検察の現場におきましては、被告人・被疑者が所有する証拠品に、起訴された事件以外の余罪事件の被害者の性的な姿態の画像が記録されていることが相当数ございます。

こういった画像について、起訴されていない余罪事件だからという一事をもって、そのまま被告人・被疑者に返さなければならないということは、非常に大きな問題ではないかと考えております。

例えば、先ほど上谷委員がリアルナンパアカデミーの事件の例を出されましたけれども、似たような状況で似たようなことをされた被害者の方がおられて、しかし、その被害者が起訴を望まないとか、あるいは、その方が特定できないなど、何らかの理由で起訴に至らないということもあるわけでございます。

どのような画像・記録物を没収・消去の対象とするかについて検討するに当たっては、こうした起訴された事実以外の余罪に関する画像についても、削除する必要性がある場合があるということを考慮する必要があると思っております。

——————————————————–

<26ページ>
2021年3月8日 川出敏裕 委員(東京大学教授)

ただ今、渡邊委員から御指摘があったような事案に対処するという観点からも、有罪判決を前提とせずに画像の没収・消去を行う制度を作る必要があると思います。

こうした行政措置としての没収・消去制度について、その具体的内容を検討する前提として、その制度趣旨と法的性格について意見を申し上げたいと思います。

同意のない性的姿態の撮影行為を犯罪とすれば、その画像は犯罪生成物件として没収の対象となるわけですが、現行法の没収は刑罰であるため、有罪判決が得られない場合には当該画像を没収することができません。
そこで、そういった場合にも没収を可能にする制度を創設する必要があるのではないかという問題意識から、この制度の検討は始まっています。
検討が始まった経緯はそのようなものなのですが、実際に制度を創設するに当たっては、この措置は、今申し上げた意味で刑の没収を補充する手段として位置付けるのではなく、刑罰から独立した行政措置として位置付けるのが妥当であると考えます。
つまり、同意なく性的姿態を撮影する罪の保護法益を性的自由ないし性的自己決定権として捉えた場合、撮影された画像が残っている限りは、その法益の侵害ないしはその危険が継続することになりますので、それを没収・消去しないと、新たな犯罪を設けて撮影行為を違法とした意味が大きく損なわれます。

その上で、それを実現する手段が、刑罰としての没収である必然性はありませんので、今回検討がなされている有罪判決を前提としない画像の没収・消去の仕組みというのは、端的にこの意味での法益侵害ないしその危険を除去し、被害者を保護するための新たな行政措置として位置付けられるべきであると思います。

この措置を刑罰としての没収と比較しますと、刑罰としての没収は、刑罰である以上、その画像を生み出した過去の撮影行為に対する非難と制裁という側面を有しているのに対して、今回設けようとしている行政措置にはそのような要素はありません。

違法な法益侵害、あるいは、その危険を生じさせており、本来、社会に存在してはならない画像自体を対象として、端的に、それを没収・消去する処分ということになります。

有罪判決を前提としない画像の没収・消去のための措置の制度趣旨及び法的性格をこのように位置付けるならば、そのことを前提として、具体的な制度設計をしていくこととなります。

そこからは様々な帰結が導かれますが、例えば、最初に申し上げましたように、この措置を、刑罰としての没収を補充するものではなく、それから独立した措置であると位置付けるのであれば、具体的な事案において刑罰としての没収が可能な場合であっても、本措置を行うことができるということになります。

このように、制度趣旨に照らして、具体的な制度設計をしていくことが必要であろうと思います。

——————————————————–

このつづきは、明日のブログでみてみます。

「撮影された性的な姿態の画像の没収(消去)を可能にする特別規定を設けるべきか」につきましては、2021年4月12日の取りまとめ報告書(案)のなかで、以下の集約がされています。

(2021年4月12日 性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書(案)より、引用。)

<撮影された性的な姿態の画像の没収(消去)を可能にする特別規定を設けるべきか>

(オ) 小括

以上の議論を踏まえると、今後の検討に当たっては、性的姿態を撮影する罪の創設とともに、これにより生成された画像の没収(消去)を可能にする規定を設ける場合には、付加刑の没収として、データが保存された原本からデータが複製・移転された複写物についても没収(消去)ができるよう、データの複製・加工の容易性や原本との同一性にも留意しつつ、具体的な規定の在り方について更に検討がなされるべきである。

また、有罪判決を前提としない没収(消去)を可能にする規定を設ける場合には、財産権の制約との関係や現実的な対応可能性にも留意しつつ、その対象や判断主体、手続保障などに関する具体的な規定の在り方について、更に検討がなされるべきである。

前向きな文面です。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2018年3月19日

今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

被害者の方々の救済は急務です。
一刻も早く刑法が改正されることを切望します。
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ