1月28日に、第11回性犯罪に関する刑事法検討会が開催されました。
(参考。性犯罪に関する刑事法検討会)
<開催状況>
・第1回(2020年6月4日)※議事録公開
・第2回(2020年6月22日)※議事録公開
・第3回(2020年7月9日)※議事録公開
・第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第8回(2020年11月10日)※議事録公開
・第9回(2020年12月8日)※議事録公開
・第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
●第11回(2021年1月28日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第12回(2021年2月16日)※議事録準備中
・第13回(2021年3月8日)※議事録準備中
・第14回(2021年3月30日開催予定)
第11回性犯罪に関する刑事法検討会の議題は以下のとおりです。
(参考。第11回性犯罪に関する刑事法検討会の議題)
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本日は、
「公訴時効の在り方」
についてみていきます。
「撮影された性的な姿態の画像の没収(消去)を可能にする特別規定を設けるべきか」
につきましては、昨日までの当ブログをご覧ください。
(参考。当ブログ)
<「撮影された性的な姿態の画像の没収(消去)を可能にする特別規定を設けるべきか」について>
・2021年3月9日
・2021年3月10日
・2021年3月11日
公訴時効の在り方
(2021年1月28日 第11回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<8~9ページ>
●2021年1月28日 井田良 座長(中央大学教授)
次に、「公訴時効の在り方」についての検討に入ります。
この点については、意見要旨集の6ページ以下の第2(刑事手続法について) 一巡目の検討(2020年10月20日の第7回検討会)では、意見要旨集の6ページから8ページまでにありますように、 先ほどと同様、どのような観点からの御意見であるのかを明示して御発言いただきたいと思うのですけれども、検討すべき事項が多岐にわたりますので、意見要旨集6ページ以下の項目に沿うような形で御発言いただくとよろしいかと思います。 また、性犯罪一般についてと、それから8ページ及び9ページの被害者が子供である場合の特殊性について、分けて比較して、御議論いただくのがよろしいかもしれません。 それでは、御意見のある方は、御発言をお願いしたいと思います。 この論点についても、最大で30分程度の時間を予定しております。 |
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<9ページ>
●2021年1月28日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)
7ページの「③」の2つ目の「〇」のところなのですけれども、
(参考。7ページの「③」の2つ目の「〇」) ③ 公訴時効を撤廃することの要否・当否 〇 公訴時効の撤廃は、その犯罪には公訴時効制度の趣旨が妥当しないということを意味する。 法律上の具体的な議論に入っていくと思いますので、今ある枠組み以上のことを考えてほしいと思っています。 被害者の気持ちとして、長くなりますけれども、申し上げたいと思います。 第7回会議の議論を踏まえると、起算点をずらして、公訴時効は現行の10年でという話も出てくるかなと思います。 私自身の父からの性的虐待の経験を書いた「13歳、「私」をなくした私」を読んで、読者の人もお手紙をくれるのですけれども、中には60代以上の方も多いです。 本を読んで初めて、自分が親から受けたことが性被害であったことに気付いたと書かれていることが多々あります。 そして、今更訴えても、聞き届けられないであろう、老いた父をむち打つのかと言われるだろう、被害と認めてくれないであろうと推測できるから訴えることができない、その悔しさ、無念さを抱えたまま生涯を生きることになることをつづってくれています。 被告人からは、そんなつもりはなかった、年月がたってそのような訴えを起こされるのは不当だという声も聞きます。 親や身近な大人が子供に5歳から性的虐待をしていても、子供は喜んでいた、ロマンティックな雰囲気で、決して傷つけるようなことはなかったと言い募るのが、加害者の認知です。 子供は、その後成長しても死ぬ思いで生き、自死してしまった人もいます。 イギリスには時効がなく、アメリカのミシガン州でも第一級性犯罪の公訴時効は撤廃され、スイスでも、12歳未満の子供の被害は、時間がたったからといって許される罪ではないとして時効を撤廃しています。 どうして日本が撤廃できないのかということは、強く思っています。 それほど性犯罪に対して甘い認識を持ち、加害者を許す社会なのかということは、被害者が思っているところです。 法律家とは少し捉え方が違っていて、被害者は公訴時効を訴える権利と捉えている人が非常に多いです。 証拠によって判断されるのだから、公訴時効が撤廃されたからといって、起訴されるかといえば、そうはならないと思います。 しかし、訴えることに対して幅を持たせてほしいというのは、強く望んでいるところです。 被害者は、法の正義が自分に適用されないことに苦しんでいます。 警察官が話を聞いてくれたことで、救われる人もいます。 また、どれほどの被害が起こっているのかを、司法としても捕捉する必要があると思います。 個人的には、未成年者では時効を撤廃してもいいかもしれないですし、それが難しい場合でも、人間の寿命の限り延長して、訴えられる状況を作ってほしいとも思っています。 少し第7回会議の議論と重なることもあるかと思いますけれども、以上が私が申し述べたかったことです。 あと、8ページの「⑤」なのですけれども、 (参考。8ページの「⑤」) ⑤ 特別の取扱いをする場合の運用上の課題 〇 警察では、捜査の過程で収集された証拠品や捜査資料を公訴時効の完成まで保管する必要があり、特に、DNA試料は冷凍庫で保管しているところ、これらを保管するためのスペースの問題や、紛失・劣化への対応という課題があるほか、被害の発生から長期間たってから被害認識ができて初めて警察に届出がなされ、客観証拠が得られてない場合における立証の問題、警察の限られた人的資源の配分・活用の方法についても考える必要がある。 警察の資源の問題ですが、DNAを保管するための冷凍庫のスペースの問題や警察の人員については、予算の問題なのではないかと思います。 現状、世界第3位の経済大国である日本で、治安を維持し、法的正義を実現するに当たって、そのような予算を付けられないのは非常におかしな話なので、これは、検討会の議論ではないですけれども、政府に考慮してもらいたいと望んでいるところです。 |
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<9~10ページ>
●2021年1月28日 齋藤梓 委員(臨床心理士)
「④」の特別の取扱いをすることの要否・当否として、性犯罪とほかの犯罪の違いについて言及させていただきたいと思うのですけれども、犯罪被害者等基本計画などでも、性犯罪は潜在化しやすい被害であるということは言及されております。
潜在化しやすい理由として、一つには、性暴力に関する社会のイメージと実際の被害の違いがあります。 そして、大きな問題として、行為自体が通常親密な関係性の中で行われる性行為と同様のことであるということで、もちろん全く性質の異なるものではありますが、社会のイメージとの乖離も手伝い、被害者が、自分が被害に遭ったと認識しづらいということがあります。 これは、体を刺されるといった出来事とは明らかに異なり、外から見て第三者が気付きにくい、本人が申告しなければ明るみに出にくいということがあると思います。 さらに、性に対する日本社会の意識であるとか、レイプ神話というものが影響し、性犯罪の被害者は、被害に遭ったこと自体に対して恥の感情を抱くとか、自分が悪いから被害に遭ったと感じるという自責感が強いということも知られております。 もともと人に相談することが難しいことに加えて、先ほど述べました様々な事情から、人に相談したとしても、周囲の人もレイプ神話などが内在化していて、警察に被害を届け出ることを勧めるのではなく、被害者を責めるということもよくあります。 こういった傾向というのは、犯罪被害の中でも特に性犯罪の被害者に特徴的な傾向だと思われまして、ほかの犯罪とは非常に異なると考えられます。 なお、オーストラリアで行われた子供の性虐待の組織対応に対する調査報告書というのがあって、8、000人ぐらいのサバイバーのインタビューなどが掲載されているのですけれども、虐待について誰かに話すまでに、男性で平均25.6年、女性で平均20.6年かかっていたということがあります。 子供時代に開示できた人は27.8%、成人期に開示したという人は46.0%、しかし、中には、決して誰にも開示していないという人もいます。 恥ずかしいとか、誰も信じてくれないと思ったということもありましたが、やはり、その行動が性暴力・虐待であると分からなかったという意見もありました。 同様に、カナダのケベック州の調査でも、18歳になる前に性的虐待を開示したというのは3割にすぎず、調査時点まで虐待を開示したことがないという人が26%ということで、開示にこれだけ時間がかかり、そして、大人になってもなお開示できない被害であるということを認識して、議論いただきたいと思います。 |
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<10~11ページ>
●2021年1月28日 小西聖子(武蔵野大学教授)
今の齋藤委員のお話はサイコソーシャルな視点からでしたけれども、補足として、私の方では、「①」(被害認識・被害申告をめぐる実情)と「②」(精神的被害の継続や証拠の残存・散逸をめぐる実情)について、性的な被害にはどのような特徴があるのかということを、医学的な視点で少しエビデンスがあるものをお話ししておきたいと思います。
性暴力被害、レイプの被害が、PTSD発症が多い出来事であるということは、これはもう全世界で確認されていることです。 疫学研究で非常に有名なケスラーの研究の数字をちょっと出しておきますが、女性のレイプに関してのPTSDの発症率、正確には関連する有病率が45.9%、男性はもっと高くて65.0%です。 一方、身体的な攻撃についての有病率は、女性は21%で半分です。 男性は何と1.8%で、大変低いです。 そういう意味で、心に与える影響という点でも、性犯罪は非常に特殊だということが一つ言えます。 さらに、これもたくさんの論文で確認されていることなのですけれども、性被害のPTSDの症状の中では、解離や回避が働きやすいということも確認されています。 ですから、忘れてしまったり、それから思い出さないようにしていたり、自分に不利でも思い出さないようにしていたりというようなことが、非常によく起こることは分かっています。 通報に関することが、ディスクロージャーという名前で研究されているのだというのはお話ししましたけれども、これは一つの領域を占めているような研究になっているのですが、当然、ほかの要因として、齋藤委員が言われたようなこともあり、例えば、性的な虐待については、子供の大体7割ぐらいが成人してからしか言わないというのは、これも複数の研究で確認されていることです。 そのほかに、自分の親からの被害はより打ち明けにくいというようなことも、よく確認されています。 それから、男性の被害者がより打ち明けにくいということも、複数の研究で言われていることです。 次に、記憶に関しての問題なのですが、これについては、生物学的な研究が非常に進みつつあるところで、なかなか話がしにくいのですけれども、英語の記載の中に、とても当たっているなというのがあるのでお伝えしますと、トラウマの記憶というのは、小さいメモ用紙に起こったことをすごく一生懸命書いて、これがばらばらになった状態というようにお考えいただけるといいと思います。 そういう記憶がそのまま、外に出ないまま残っているという形になるので、こういう経験の記憶の断片というのは、小さい子供でも比較的よく保持されていると言われています。 そう言いますのは、大人になって、回復とともに記憶がいろいろ出てくるということがあるわけですけれども、例えば、私はPTSDの治療をするので、そういう場面にたくさん立ち会うわけですが、非常に生々しく、10年前、20年前の被害が再現されます。 もっと古いケースもありました。 そういう場合には、例えば、加害者の体の向きがどうだったとか、そのときの臭いがどうだったとか、加害者の表情といったこととか、そういうことが再現されていきます。 普通は、それがいつどこのところでという統合された枠組みの下にあるわけですけれども、それが整然と並んでいないでメモがばらばらになっている感じというのは、実際あるわけですね。 そういうものが、回復とともに整理されていった場合に、そこで話されることは、20年前のことをそんなに細かく話すのはおかしいとか、そういうことには全くならないわけです。 それが100%正しいという保証はもちろんないけれども、中には、正しい記憶が再現されてくることもよくあるわけですね。 そのようにお考えいただくのが、今分かっている実情からはいいのではないかと思います。 第7回会議で、私、被害の最中から認知がゆがむことがあるというのを申し上げて、誤解があるといけないのでちょっとお話ししておくのですけれども、それは、例えば、妄想的であるとか、あるいはないことを作り上げられるというよりは、一番多い認知のゆがみは時間感覚の歪みなどです。 例えば、実際には1分で起きたことが10分ぐらいと認識されたり、それから、感覚ですね、普通だったら聞こえないような微細な音が聞こえたり、あるいは普通だったら起こるような感情がなかったり、そういう形で認識がゆがむことは、よく経験されることであるということを、ちょっと補足してお話ししておきます。 子供の場合というのは、また特殊ないろいろなことがあるのですけれども、それはまた、子供のところの話で申し上げようかと思います。 |
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この論議のつづきは明日のブログでみてみます。
(再掲。山本潤 委員【一般社団法人Spring代表理事】)
「どうして日本が撤廃できないのかということは、強く思っています」
「それほど性犯罪に対して甘い認識を持ち、加害者を許す社会なのかということは、被害者が思っているところです」
「被害者は、法の正義が自分に適用されないことに苦しんでいます」
山本潤さんのおっしゃるとおり、日本は、「性犯罪に対して甘い認識を持ち、加害者を許す社会」です。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2020年9月29日>
世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、 私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。 |
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性犯罪に対する時効は、撤廃、もしくは延長されるのでしょうか。
(再掲。山本潤 委員【一般社団法人Spring代表理事】)
「どうして日本が撤廃できないのかということは、強く思っています」
日本は、オリンピックが如何(どう)の斯(こ)うの、という前に、まともな国になってほしいものです。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
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