【刑法改正を審議する検討会の10回目の議事録】(その11)。「被害者を中心に考えて」。香西咲さんたちのAV被害につきましては、この視点で論議がおこなわれています

本日も、一昨日昨日にひきつづき、第10回性犯罪に関する刑事法検討会で話し合われた
法定刑の在り方
についてみていきます。
当該検討会における強制性交等の罪の対象となる行為の範囲以外の論議につきましては、過日の当ブログをご覧ください。

(参考。性犯罪に関する刑事法検討会
<審議状況>

2020年12月25日 第10回 ※議事録

強制性交等の罪の対象となる行為の範囲について(※二巡目)
(参考。当ブログ)
2021年2月27日(※一昨日)
2021年2月28日(※昨日)

法定刑の在り方について(※二巡目)
(参考。当ブログ)
2021年2月23日
2021年2月24日

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方について(※二巡目)
(参考。当ブログ)
2021年2月25日
2021年2月26日

性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方について(※二巡目)
(参考。当ブログ)
2021年2月19日(※AV出演強要問題)
2021年2月20日(※AV出演強要問題)
2021年2月21日

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強制性交等の罪の対象となる行為の範囲について(3)

(参考。当ブログ)
2021年2月27日・・・・・・強制性交等の罪の対象となる行為の範囲について(1)
2021年2月28日・・・・・・強制性交等の罪の対象となる行為の範囲について(2)

(2020年12月25日 第10回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<7~8ページ>
2020年12月25日 金杉美和 委員(弁護士)

基本的には、身体の一部や物を被害者の膣、肛門、口腔内に挿入する行為を強制性交等罪の対象に含めるということには反対の意見です。

(参考。刑法)
177条
(強制性交等)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

現状においても、強制わいせつ罪や、あるいはその致傷罪の中で、身体の一部や物を被害者の膣、肛門等に挿入する行為があれば、重く処罰されているということは確実に言えます。

(参考。刑法)
176条
(強制わいせつ)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

それを超えて、法定刑の下限が5年に引き上げられた強制性交等罪の中に全て一律に入れるというのは必要性が乏しいと考えています。

先ほど、膣や肛門等の中に挿入する行為については、身体の一部であろうが、物であろうが、一律に強制性交等罪に入れていいのではないかという議論がありました。
しかし、そうしますと、例えば、電車の中で指を被害者の膣内に挿入したという行為についても、強制性交等罪で処罰されるということになります。
そうしますと、まず実務的な考え方としましては、権利保釈の規定に引っかかり、裁量保釈しか許されないということになります。

また、未遂の問題も生じると思います。
例えば、電車の中で下着の中に手を入れて、膣の中には挿入しなかったけれども、性器周辺を弄んだという事例について、例えば、強制わいせつで処罰するよりも、強制性交等の未遂の方が重くなるわけですけれども、強制性交等の犯意があったと考えられれば、強制性交等の未遂になるのかという問題も生じます。

一律に、どのような行為が性交類似行為として重く処罰されるべきなのかということを規定することは現実的には難しいと考えます。
強制わいせつ罪の中で重く処罰されるという現状で十分ではないかと考えます。

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<8ページ>
2020年12月25日 井田 良 座長(中央大学教授)

これまでの議論で触れられていないことについてですが、平成29年改正で、刑法177条(強制性交等罪)について、ジェンダーニュートラルの観点から、挿入する行為と挿入させる行為を同じ扱いにすることとされたわけですが、そうすると、身体の一部や物の挿入についても、挿入させる行為を挿入する行為と同じに考えられるかという論点は出てくると思うのです。

(参考。刑法)
177条
(強制性交等)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

このように、現行刑法は、性交等については、挿入する行為と挿入させる行為を同じように扱い、同じ評価としているのですが、そうすると、わいせつ行為について、身体の一部や物を挿入させる、例えば、性具を自分の膣内に挿入させる行為、手指を挿入させる行為、舌を入れさせる行為のような行為を果たしてどう扱うかということは大きな法的問題であると思います。

この点も含めて、是非御意見を頂ければと思います。

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<8ページ>
2020年12月25日 木村光江 委員(東京都立大学教授)

委員の方々の御指摘のとおり、現行法との関係でいえば、どこで線を引くのかということを考えざるを得ないのかなと思っています。

現在では、強制性交等は男性器の挿入に限定しているわけですけれども、被害という意味では、先ほどから委員の方々のいろいろなお話を伺っていると、男性器には限られないというふうには思います。

ですから、男性器の挿入という点では拡大する必要があるだろうと思います。

ただ、和田委員もおっしゃっていましたけれども、強制性交等と同等の重さで処罰することを前提にするのであれば、やはり性器に関わる部分への挿入に限定するというのは、ある程度意味があるのかなと思います。

肛門を性器類似と見るかどうかというのは議論の余地があるかもしれませんけれども、強制わいせつ罪がある以上、どこで線を引くべきかとすると、性器とそれ以外というのは一応の区別としてあり得るのではないかというふうに思います。

ただ、その場合は、今、井田座長がおっしゃったとおりで、女性器への挿入に限るというような話になってきますので、ジェンダーで差をつけるのは問題があるというような議論はあるのかもしれません。

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<8ページ>
2020年12月25日 小西聖子 委員(武蔵野大学教授)

一つは、「sexual contact」(性的接触)という概念で考えると、挿入するものと挿入されるもののどちらかはやはり性的なものでなくてはいけないというか、そうでないとなかなか成り立たないだろうなとは思うのですね。

先ほど類型で差がつけられないと言いましたけれども、やはりぼんやりとは差がついていて、齋藤委員が言われたような「sexual assault」(性的暴力)を統計的に捉えるときにどこで切るか、あるいは、レイプと言ったときにどこで切るかというのを精神医学上の慣例で言うと、物の挿入、手指の挿入、性器の挿入というのはみんな一緒に扱っているというのはおっしゃっているとおりだと思っています。

それから、例えば、先ほどの男性器を挿入させる問題についてなのですけれども、この被害は、現実的には、子供対象のもの、あるいは、いじめの中での男性への性的な攻撃というときのものとしてしか私は頭に思い浮かばないのですが、そういう場合に、そういうことをされることは、やはり重い類型に属するというふうに考えられると思います。

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<8~9ページ>
2020年12月25日 佐藤陽子 委員(北海道大学教授)

いろいろな方と話が重なってしまうのですけれども、私も、前提としては、物の挿入の場合も、性交等と同じぐらいの被害があるために同じぐらいの重さで処罰すべきような場合があり、行為態様の面でも、性交等と同じぐらい悪質な場合もあるというふうに思っています。

ただ、先ほど和田委員がおっしゃったように、三分法にするというのがよいのではないかと考えておりまして、この点につきましては、先ほど井田座長がおっしゃったのですけれども、現行法下では、挿入する行為だけでなく、挿入させる行為も強制性交等罪の対象になっています。

(参考。刑法)
177条
(強制性交等)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

例えば12歳の男子と20歳の女性が性交する場合、20歳の女性が12歳の男子に性器を挿入させるというのが177条(強制性交等罪)の対象になります。

もし、強制性交等に物の挿入も入れるとし、かつ現行法と同じように、挿入する行為もさせる行為も対象としますと、例えば12歳の少年に性具を持たせて20歳の女性の性器に挿入させるという場合も、女性側に強制性交等が成立するということになります。

しかし、これは果たして性交と同じぐらいの被害なのかといわれると、悩ましいところではないかと思います。

ですから、物を挿入する行為と挿入させる行為を同様に処罰するような規定の仕方は少し無理があるのではないかと思っており、かといって、現行法の形を変えて、性器や物を挿入する場合に限り処罰するとすれば、今まで処罰されていた、女性器等に男性器を挿入させる行為などが強制性交等から落ちてしまうという問題が生じることになります。

それもやはり問題でしょうから、ここでは挿入する行為もさせる行為も処罰する現行法と同じ形の強制性交等と、挿入する行為のみを処罰する、物等を利用した場合の処罰規定で分けておけば、現在、強制性交等罪で処罰しているものは引き続き処罰できるし、反対に、強制性交等と同じぐらい悪いと言われているような物を挿入する行為についても、同じ法定刑で処罰できるという解決ができるのではないかと考えているところでございます。

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<9ページ>
2020年12月25日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

三分法にした場合の懸念点についてお伝えしたいと思います。

12月21日に、12歳の実子への強姦事件に問われ、一審で無罪となった被告人が東京高裁で懲役7年の逆転有罪判決を受けました。

(参考)
2020年12月21日 朝日新聞「長女への性暴力、実父に逆転有罪 証言に「具体性ある」

2020年12月21日 時事通信「娘に性的暴行、男に逆転有罪 『被害者証言に信用性』―東京高裁

2020年12月21日 小川たまかさん「実子への強姦事件、父親に逆転有罪判決 フラワーデモきっかけの一件

私は裁判の傍聴をしていたのですが、高裁の公判では、撮影していた被害者の身体の画像を検察官が証拠請求して、鑑定医が処女膜に損傷があることや、相当な頻度で男性器の挿入が行われたと考えられることを証言しました。

一方、弁護側は、かなり強く、タンポンの挿入や自慰行為で起こった損傷の可能性があると主張していました。

私は、聞いていてとても酷なやり取りだと思いました。

被害者にとって、何を入れられたかを聞かれること自体が耐え難いことですが、12歳の子供が同意なく膣や肛門に物を入れられたことに関して、それが男性器であるのか、物であるのかというのを証明しないといけない。

それを証言して、有罪の証拠として採用されないと、懲役刑に問うことが難しくなってしまうことは、被害者に相当な負担です。

被害者を中心に考えて、入れられるものが何であれ、被害者にとっては同じ被害だと認識していただければと思っています。

また、資料34(※非公開)にもあるのですけれども、指の挿入が軽い類型のように考えられているような印象を受けました。

指の挿入の事案では、年少の被害者も多いですし、年長の被害者は整体師やマッサージ師など本来なら安心できる状況で受ける被害が多く、加害者には常習性もあります。

性具を挿入しているケースというのは本当に悪質で、撮影なども行われている当罰性が高いものというふうにはいえるのではないかと思うのですけれども、そういう物の挿入の事案が軽いということはいえないと思いますし、挿入された物を被害者が証明しなければいけないという問題をクリアしていただきたいと思っています。

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<9~10ページ>
2020年12月25日 井田 良 座長(中央大学教授)

それでは、この第1(刑事実体法について)の「5」(強制性交等の罪の対象となる行為の範囲)についての議論は、この辺りで一区切りとさせていただきます。

現行法上、重い類型としての強制性交等罪と軽い類型としての強制わいせつ罪の二つに分けられている二分法の枠組みを基本的に維持すべきだという御意見もありましたけれども、

(参考。刑法)
177条
(強制性交等)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

176条
(強制わいせつ)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

重い類型と軽い類型の線引きを修正すべきであるといった御意見も出されました。

また、新たに第三類型を設けて三分法とするべきだという御見解も披れきされました。

どのように修正するにしても、なかなか困難な法的な課題が幾つも出てきて、それをどう解決するかということが問われることになるのではないかと思われます。

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(再掲。佐藤陽子委員【北海道大学教授】)
先ほど和田委員がおっしゃったように、三分法にするというのがよいのではないかと考えておりまして

和田委員がのべた「三分法」をもう一度確認します。

(参考。昨日の当ブログ
2020年12月25日 和田俊憲 委員(東京大学教授)
わいせつ行為であることを前提に、挿入を伴うような行為に関して、重い方については性交等と同じ評価を与えつつ、軽い方については性交等と同じとまではいえないということを同時に表す規定の仕方として、新たな犯罪類型を設けた上で、法定刑の上限を強制性交等罪と同じ20年の懲役としつつ、下限については5年の懲役よりも下げて、懲役3年あるいは2年というような形とする方法もあるのではないかと思います

ぼくも、「三分法」は妙案である、と思いました。
山本潤委員の意見を拝見するまでは。
山本委員は「三分法」についてつぎのようにのべています。

(再掲。山本潤 委員【一般社団法人Spring代表理事】)
被害者を中心に考えて、入れられるものが何であれ、被害者にとっては同じ被害だと認識していただければと思っています

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2016年10月28日

隅に追いやっていたトラウマを掘り起こすのはとてつもない労力が要りますね。
精神的にも、ついこの間までは普通の精神を保てたのに、思い出した瞬間動悸や頭痛吐き気…この突然の変化は経験者にしか分からない。女性の共犯者達は特に最低。

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ちなみにAV出演強要につきましては、「被害者を中心に考え」た論議がおこなわれています。

(参考。性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>
第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録公開
第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第11回(2021年1月28日)※議事録準備中(AV出演強要についても論議)
第12回(2021年2月16日)※議事録準備中
・第13回(2021年3月8日開催予定)

野放しになっているAV出演強要犯にどのような鉄槌が下るのでしょうか。
強姦罪(強制性交等罪)の適用を期待しています。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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