先週の金曜日(2021年2月19日)に、第10回性犯罪に関する刑事法検討会の議事録が公開されました。
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(参考。性犯罪に関する刑事法検討会)
<開催状況>
・第1回(2020年6月4日)※議事録公開
・第2回(2020年6月22日)※議事録公開
・第3回(2020年7月9日)※議事録公開
・第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第8回(2020年11月10日)※議事録公開
・第9回(2020年12月8日)※議事録公開
●第10回(2020年12月25日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第11回(2021年1月28日)※議事録準備中(AV出演強要についても論議)
・第12回(2021年2月16日)※議事録準備中
・第13回(2021年3月8日開催予定)
10回目の検討会は昨年(2020年)の12月25日に開催されました。
当日(2020年12月25日)は、4つの論点が審議されています。
(参考。性犯罪に関する刑事法検討会)
<審議状況>
● 強制性交等の罪の対象となる行為の範囲について(※二巡目) ● 法定刑の在り方について(※二巡目) ● 配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方について(※二巡目) ● 性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方について(※二巡目) |
「性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方」の議論につきましては、先日の当ブログをご覧ください。
(参考。当ブログ)
<10回目の検討会。「性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方」について>
・2021年2月19日(※AV出演強要問題)
・2021年2月20日(※AV出演強要問題)
・2021年2月21日
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(再掲。性犯罪に関する刑事法検討会)
<審議状況>
● 強制性交等の罪の対象となる行為の範囲について(※二巡目) ● 法定刑の在り方について(※二巡目) ● 配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方について(※二巡目) ● 性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方について(※二巡目) |
本日は、「法定刑の在り方」についてみていきます。
法定刑の在り方について(※二巡目)
(2020年12月25日 第10回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<10ページ>
●2020年12月25日 井田 良 座長(中央大学教授)
次に、「法定刑の在り方」についての検討に入りたいと思います。
この論点については、まず、加重類型に関するものとして、意見要旨集の4ページ以下の第1の6の この項目のうち、2名以上の者が現場において共同した場合については、一巡目の検討(2020年9月24日の第6回検討会)では、意見要旨集の4ページの「(1)」にありますように、 また、被害者が一定の年齢未満の者である場合については、意見要旨集の5ページの「(2)」にあるように、 先ほどと同様に、どのような観点からの御意見であるかを明示した上で御発言いただきたいと思います。 また、前回の会合(2020年9月24日の第6回検討会)における議論の際に、同一の被害者に対して継続的な犯行に及んだ場合に、より重い法定刑とすることについて御意見がございましたので、そのような場合の加重類型を設けるべきかどうかについても御意見があれば、併せて御発言いただきたいと思います。 それでは、御意見のある方は御発言をお願いします。この論点については、30分程度を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。 |
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<10~11ページ>
●2020年12月25日 小島妙子 委員(弁護士)
意見要旨集の4ページの「③」(加重類型を設けることの要否・当否)の最初の「〇」の問題と、
(参考。「③」の最初の「〇」) ③ 加重類型を設けることの要否・当否 法定刑の下限を上げるという点について意見を述べます。 2名以上の者が現場において共同した場合の加重類型ですけれども、集団による強制性交等罪というのは、類型的に悪質性、凶悪性、常習性がある犯罪であって、集団で行うことによって被害者に与えるダメージが単独犯の場合とは全く違う犯罪だということを強調したいと思います。 法文上もこの点を明らかにしていただきたいという強い気持ちでおります。 被害者の方も、集団強姦罪がなくなったということについては非常に強い危機感を持っておりまして、残念だという声が強い。 集団による強制性交等罪を通常の強制性交等罪と異なる犯罪類型として設けていただきたいと思います。 この場合に問題になりますのが、集団強制性交等罪の法定刑の下限を6年、集団強制性交等致傷罪の法定刑の下限を7年としてしまうと、前回の改正のときも問題になったようなのですけれども、致傷の場合について執行猶予が付けられなくなり、問題が出てくると。 例えば、単なる見張りなど、関わり方が軽微である者についても、共同正犯になってしまうので、酌量減軽しても執行猶予が付かない。 そうすると、加功が少ない者、特に年少者などについてどうなのだろうかと。 執行猶予が全く付かない犯罪というのでは使い勝手が悪いという意見があったと思います。 そこで、少し中途半端かもしれませんけれども、集団強姦罪を復活させて、法定刑の下限を6年とし、致傷罪については、法定刑の下限を7年ではなく6年としつつ、上限については無期懲役とするというような形にしたらいかがかと思いました。 集団強制性交等罪について加重類型を復活させ、致傷罪についての執行猶予の点については今言ったような形でカバーしたらどうかというのが私の意見でございます。 |
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<11ページ>
●2020年12月25日 池田公博 委員(京都大学教授)
意見要旨集の(1)(2名以上の者が現場において共同した場合について加重類型を設けるべきか)の「③」(加重類型を設けることの要否・当否)の2つ目の「〇」や
(参考。(1)の「③」の2つ目の「〇」) ③ 加重類型を設けることの要否・当否 (2)(被害者が一定の年齢未満の者である場合について加重類型を設けるべきか)の「③」(加重類型を設けることの要否・当否)の3つ目の「〇」にあるように、 (参考。(2)の「③」の3つ目の「〇」) 加重類型を設けるとなると、法定刑の下限を懲役6年とし、致死傷の場合の下限を懲役7年とすることが考えられるが、姦淫行為に至らなかったものの致傷結果が発生した事案では現在の運用において執行猶予が付されることがあるほか、一定の年齢未満の被害者に対する事案では加害者がハンディキャップを負っている場合も少なくなく、知的障害など加害者の特性に配慮して刑の量定をすべき事案も相当数あることから、執行猶予を付すことができない法定刑とすることには問題がある。 また小島委員からも御指摘がありましたが、加重類型を設ける場合には、下限を引き上げる、そして上限を更に引き上げるということが考えられるわけですけれども、下限の引上げの場合には、加功の態様には様々なものがあり、被害者の宥恕の感情なども様々なものがあり得て、酌量すべき事情があるにもかかわらず執行猶予が付けられないという問題があるという御指摘がありまして、下限の引上げはなかなか難しいのではないかという御指摘があるところです。 他方で、上限を無期懲役にするということについてなのですけれども、現在の量刑の傾向を見てみますと、2名以上が現場で共同した事案でありますとか、被害者が子供である事案で、致死傷の結果が生じていないものについて、これが法定刑の上限に張り付いているという実情は必ずしも見られないところでありまして、有期の懲役では足りず、無期懲役を科さなければ十分な量刑とはいえないというほどの事情が生じているとは直ちにはいえないのではないかとも思われるところです。 |
ただ、小島委員の御意見も含めて、これまでの御指摘を踏まえて改めて考えてみますと、集団で行われる性犯罪が単なる複数人の共同というのにとどまらず、 |
例えば、高度に組織化され、役割分担を伴って行われ、犯罪遂行を一層容易にしているといった場合などは、その態様において悪質であり、類型的に見て特段の当罰性を有するものと評価することも可能ではないかと思われます。 |
そうした点に鑑みますと、加重類型を設けることの検討に当たっては、特に集団についてですけれども、集団で行為に及んだということに加えて、集団で行為に及ぶことによって実現される、あるいは、実現が容易となるような、類型的に当罰性を高める事情がある場合に、特に重く評価するという考え方も成り立ち得るのではないかと思っております。 |
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<11~12ページ>
●2020年12月25日 宮田桂子 委員(弁護士)
意見要旨集のの(1)(2名以上の者が現場において共同した場合について加重類型を設けるべきか)の「④」(考えられる法定刑)の2つ目の「〇」(法定刑の上限を有期懲役から無期懲役とする)について、先ほど小島委員からも御意見があったところではありますが、無期懲役が法定刑にある罪名というのは、人の死の結果について故意を必要とする殺人罪であるとか、その犯罪の結果、致死傷の結果を生じさせるような強盗致死傷罪、強制わいせつ致死傷罪や強制性交等致死傷罪などのほかに、たくさんの人が死ぬ危険がある現住建造物等放火罪や列車転覆罪等といったものもあります。
もちろん、薬物事犯の大量輸入なども多数の人たちの命に関わるということで無期懲役が設けられていますが、このような犯罪類型と同じように無期刑を定めてもよいのだろうか。 もちろん、性犯罪は魂の殺人と言われるものですけれども、致死の結果そのものを生じさせるものではないということです。 そして、性的被害によって精神的に負ったダメージについては、PTSDである等の診断を下すことによって、致傷罪としての評価が可能です。 そうであれば、無期懲役を科すことが可能です。 継続的被害についても、強制性交等罪の併合罪の場合には、懲役30年までの刑を科すことが可能です。 そして、精神症状を致傷と見れば、無期懲役も科せるのです。 法定刑の上限を無期懲役に引き上げたときの問題として一つ考えなければいけないのは、裁判員裁判になることです。 被害者のうち、少なからぬ人が裁判員裁判になるのは嫌だと表明し、致傷から認定を落として強制性交等罪で起訴した例もあるやに聞いています。 強制性交等致傷罪において、不起訴、特に起訴猶予となっている案件だと、そういう被害者の御意向が働いている可能性は相当程度に高いかと思います。 東京等の大都市ならまだしも、地方での、裁判員裁判で自分の事件が取り扱われるということの被害者の抵抗感や苦痛を考えておく必要があるかもしれません。 これは、今ある制度と刑罰と、主客が逆転しており、おかしいと言われるかもしれませんけれども、そういう問題も起きてくることは考えておかなければならないのではないでしょうか。 |
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<12ページ>
●2020年12月25日 上谷さくら 委員(弁護士)
私も同じ「④」(考えられる法定刑)の法定刑のところなのですけれども、下限については、確かに御指摘のとおり、いろいろなケースがあって、6年以上とする、致死傷だと7年以上にするというときには、実情にそぐわないケースが出てくるのかなというところはうなずけるところであります。
ただ、上限を無期懲役にすることについては積極的な意見を持っておりまして、やはり集団による独特な問題というのが単独犯とは違うと思われることと、今、宮田委員からも、PTSDを発症するのだから、致傷としてできるのではないかという意見がありましたけれども、PTSDを発症していても、因果関係の立証などが難しくて、見送られているケースの方が圧倒的に多いと思います。 まずは、事件の前から精神的に健康であったことの立証がなされないといけない。 その事件によってPTSDにり患したことが間違いないということがなかなか立証できないということで、結局、PTSDを捉えて致傷がつくケースというのは、むしろごく少ないというのが実態だと思います。 それにもかかわらず、致傷がつかない案件でも実際はPTSDを発症していることが非常に多いという現実もありますので、下限を現状に据え置いたまま、上限を無期懲役にして、弾力的な運用をするというのが一番いいのではないかと思っています。 |
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<12ページ>
●2020年12月25日 小西聖子 委員(武蔵野大学教授)
これは、英語だと「gang rape」(集団強姦)に当たると思うのですけれども、「gang rape」(集団強姦)に関しては、量は少ないですけれども、単独のレイプに比べて、PTSDの発症が多いとか、その後の適応が悪いという論文はございます。 |
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<12ページ>
●2020年12月25日 小島妙子 委員(弁護士)
先ほどの私の説明が分かりにくかったと思うのですけれども、集団強姦罪を復活させて、法定刑の下限は6年にすると。
上限を無期懲役にするというのは、若干ちゅうちょがございます。 上限については、現行の有期懲役の幅で対応できるのではないかというふうに考えているのです。 一方、集団強制性交等致死傷罪については、法定刑の下限を7年にすることによって、執行猶予が付かなくなる問題点、これは確かにおっしゃるとおりだと思うので、下限を6年のままにとどめるのは、妥協的なのですけれども、やむを得ないかと思っております。 |
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(再掲。池田公博委員【京都大学教授】)
「高度に組織化され、役割分担を伴って行われ、犯罪遂行を一層容易にしているといった場合などは、その態様において悪質であり、類型的に見て特段の当罰性を有するものと評価することも可能ではないかと思われます」
この論議のつづきは明日のブログでみてみます。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月25日>
富士山の樹海近くのスタジオに連れていかれてどうやって逃げろと? 周り何も無いですし。 怖い人20人近くいて声も出ないですよ。 男性にはこの怖さは分かりません。 |
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●香西咲さん
<2018年3月1日>
仰る通り、組織的犯罪です。 |
(再掲。池田公博委員【京都大学教授】)
「高度に組織化され、役割分担を伴って行われ、犯罪遂行を一層容易にしているといった場合などは、その態様において悪質であり、類型的に見て特段の当罰性を有するものと評価することも可能ではないかと思われます」
AV出演強要犯が無期懲役の刑に処せられることを期待しています。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
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