昨年(2020年)の11月13日のことです。
国会で、性犯罪に関する刑事法検討会の進捗状況に関する質疑と応答がありました。
□2020年11月13日 衆議院 法務委員会
(参考。性犯罪に関する刑事法検討会)
<開催状況>
|
同法務委員会における質疑と応答の詳細につきましては、直近の当ブログをご覧ください。
(参考。当ブログ)
・2021年2月15日(※稲田朋美衆議院議員の質疑)
・2021年2月16日(※串田誠一衆議院議員の質疑【その1】)
・2021年2月17日(※串田誠一衆議院議員の質疑【その2】)
稲田朋美議員と串田誠一議員の質疑は、刑法の性犯罪の規定の問題点を衝くものでした。
本日は、串田誠一議員の質疑をもう一度ふりかえってみます。
(2020年11月13日 衆議院 法務委員会「議事録」より、引用。)
<一部分を抜粋>
●2020年11月13日 串田誠一 衆議院議員(日本維新の会)
(略)、これまで、昭和24年(1949年)5月10日の最高裁の判例ですと、
177条(強姦罪)の暴行、脅迫は
被害者の抗拒を著しく困難ならしめる程度のものであるということで、犯行当時の暴行、脅迫を基準にしていたのだろうかなというふうに思うんですが、(略)。 |
——————————————————–
(略)、刑法176条の強制わいせつ罪の暴行、脅迫は、もう有形力の行使でいいんだ、通常の暴行でいいんだと言っておきながら、177条には、同じ文言なんですよ、暴行、脅迫と書いてあるのに、急にこの暴行の程度を、著しく困難ならしめる程度というように急にハードルを上げるわけです。 |
——————————————————–
昭和24年(1949年)に突然そういう判例が出されて、それにずっと苦しめられている性被害者というものがいらっしゃるんじゃないか、先例を踏襲しているだけということで。 |
——————————————————–
(略)、暴行、脅迫を著しく抗拒不能だというような、そういうような定義自体がもう無理なんじゃないか、解釈論として。 |
——————————————————–
この暴行、脅迫というものを、昭和24年(1949年)、それも突如ですよ、何の質疑もなされていない中で、そのときに何でこれは、おかしいなと思うのは、抗拒を著しく困難ならしめる程度のものであれば足りると言うんですね。 |
暴行、脅迫が、176条(強制わいせつ罪)は普通でいいと言っているのに、177条(強姦罪)は急にハードルを高くして上げながら、判決の書き方は、足りると書いてあるんです。 |
——————————————————–
もう一度、昭和24年(1949年)5月10日の最高裁判決をみてみます。
(昭和24年5月10日 最高裁判所「判決文」より、引用。)
<一部分を引用>
●昭和24年(1949年)5月10日 最高裁判所
|
串田誠一議員の発言をつづけます。
●2020年11月13日 串田誠一 衆議院議員(日本維新の会)
|
串田誠一議員の上述の説明は非常にわかりやすいです。
平易です。
明快です。
犯人側はこう主張しました。
刑法177条(強姦罪)が適用されるためには、
「被害者が抗拒不能の状態になっていなければならない」
と。
これに対して最高裁は、
「いや、そこまでは要らないんですよ」
と。
(再掲。串田誠一 議員)
「そこまでが要件として必要だとは言っていないんですね」
(再掲。昭和24年5月10日 最高裁判所 判決文。)
「論旨は、被告人が被害者に暴行脅迫を加えた事実はなく、仮りにそのような事実があつたとしても、被害者が抗拒不能に陥つたという事実は全記録の何処にも発見することができないと主張しているけれども、刑法第177条にいわゆる暴行又は脅迫は相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度のものであることを以て足りる」
「そうして被告人が被害者にその程度の暴行脅迫を加えたという事実は、原判決挙示の証拠によつて十分立証されている」
——————————————————–
首都大学東京の木村光江教授も同様のことをのべています。
こちらの解説はちょっとわかりづらいですが。
木村教授の論説を参照します。
(2015年2月12日 第6回性犯罪の罰則に関する検討会「議事録」より、引用。)
<7ページ>
●木村光江 首都大学東京教授
|
串田誠一議員の説明のほうがわかりやすいです。
(再掲。串田誠一議員)
「被告人の弁護人の抗拒不能でなければならないという主張に対して、いや、そこまでは要らないんですよと言っているだけで、そこまでが要件として必要だとは言っていないんですね」
性犯罪に関する刑事法検討会の場でも、このような認識のもとで論議がされている、と思惟します。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月14日>
契約書を盾に止めさせてもくれない、かと言って事務所に居続けたら、V撮影と性接待(勿論金銭のやり取りなし)に都合良く使われて青木亮に飼い殺しになる… 本気で死にたかった。 あの頃の私はトラックに突っ込んで欲しかった。 |
刑法177条(強制性交等罪)の「暴行・脅迫」要件が緩和されると、AV出演強要を強制性交等罪で処罰することが可能となります。
強制性交等罪(強姦罪)の法定刑の下限は懲役5年です。
上限は懲役20年です。
「暴行・脅迫」要件の緩和が待たれます。
——————————————————–
■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
香西咲さんを勝手に応援するサイトへ