昨年(2020年)の11月13日のことです。
稲田朋美衆議院議員は国会で、性犯罪に関する刑事法検討会で審議されている刑法改正について質問しました。
□2020年11月13日 衆議院 法務委員会 |
やりとりの詳細は、昨日の当ブログでご確認ください。
(参考。当ブログ)
・2021年2月15日(昨日)
(参考。性犯罪に関する刑事法検討会)
<開催状況>
・第1回(2020年6月4日)※議事録公開
・第2回(2020年6月22日)※議事録公開
・第3回(2020年7月9日)※議事録公開
・第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第8回(2020年11月10日)※議事録公開
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□2020年11月13日 衆議院 法務委員会 |
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・第9回(2020年12月8日)※議事録公開
・第10回(2020年12月25日)※議事録準備中(AV出演強要についても論議)
・第11回(2021年1月28日)※議事録準備中(AV出演強要についても論議)
・第12回(2021年2月16日)※議事録準備中
・第13回(2021年3月8日開催予定)
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上述(2020年11月13日)の衆議院法務委員会では、稲田朋美議員のほかに、串田誠一議員も刑法改正の進捗状況を質(ただ)しました。
本日は、串田誠一議員による質疑をみていきます。
2020年11月13日 衆議院 法務委員会(その2)
(2020年11月13日 衆議院 法務委員会「議事録」より、引用。)
●2020年11月13日 串田誠一 衆議院議員(日本維新の会)
日本維新の会の串田誠一でございます。
まず最初に、性犯罪被害について質問させていただきたいと思います。 午前中、稲田先生が大変重要な質問をされておられました。 その続きをさせていただきたいと思うんですが、事案としては、先ほども例に挙げられました、実の父親が娘に対してということに対し、今月(2020年11月)の6日、最高裁が名古屋高裁に対する判決の上告を棄却したということで、事件が確定したわけでございます。 (参考) その中で、名古屋高裁は、父親が実の子に対し継続的に行った性的虐待の一環だという実態を十分に評価していないということで一審判決を覆したわけでございますが、これまで、昭和24年(1949年)5月10日の最高裁の判例ですと、177条(強姦罪)の (参考。刑法177条) <旧(強姦罪)> <新(強制性交等罪)> 暴行、脅迫は被害者の抗拒を著しく困難ならしめる程度のものであるということで、犯行当時の暴行、脅迫を基準にしていたのだろうかなというふうに思うんですが、 |
昭和24年5月10日の最高裁判決をみてみます。
(昭和24年5月10日 最高裁判所「判決文」より、引用。)
<一部分を引用>
●昭和24年(1949年)5月10日 最高裁判所
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6年前の法務省の会議(第6回性犯罪の罰則に関する検討会)で、首都大学東京の木村光江教授は、上述の最高裁判決をつぎのように解説しています。
(2015年2月12日 第6回性犯罪の罰則に関する検討会「議事録」より、引用。)
<7ページ>
●木村光江 首都大学東京教授
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串田誠一議員の質問をつづけます。
●2020年11月13日 串田誠一 衆議院議員(日本維新の会)
今回の名古屋高裁は、犯行当時だけではなくて、それまでの継続的な虐待というものの一環というものも評価しているという点では、昭和24年(1949年)の最高裁の判決に対する解釈変更が行われたという理解でよろしいんでしょうか。 |
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●2020年11月13日 上川陽子 法務大臣
委員御指摘の事件でございますが、本年(2020年)11月4日に、最高裁判所におきまして、被告人の上告を棄却する決定がなされたものと承知をしております。
お尋ねにつきましては、個別具体的な事件における裁判所の判断にかかわる事柄であるため、法務大臣として所見を述べることは差し控えさせていただきます。 昭和24年(1949年)の、先ほどの最高裁の判決の解釈についてというお尋ねでございましたならば、専門的、技術的な、こうした内容でございますので、刑事局長から答弁をさせたいと思います。 |
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●2020年11月13日 川原隆司 法務省 刑事局長
お答えを申し上げます。
今大臣から答弁がございました24年(1949年)の最高裁判決の解釈ということでございます。 これは、串田委員もよく御存じのとおりでございますが、平成29年(1954年)の刑法改正前の強姦罪における暴行又は脅迫につきまして、この昭和24年(1949年)5月10日の最高裁判決によりまして、抗拒を著しく困難ならしめる程度のものをいうとされておりまして、これは、現在の強制性交等罪についても同様であると考えられております。 なお、その判断のあり方でございますが、この24年(1949年)の判決は程度の問題を言っておりますが、その判断のあり方といたしましては、昭和33年(1958年)6月6日の最高裁判決がございまして、 (参考。昭和33年6月6日の最高裁判決) 「その暴行または脅迫の行為は、単にそれのみを取り上げて観察すれば右の程度には達しないと認められるようなものであつても、その相手方の年令、性別、素行、経歴等やそれがなされた時間、場所の四囲(しい)の環境その他具体的事情の如何と相伴つて、相手方の抗拒を不能にし又はこれを著しく困難ならしめるものであれば足りると解すべきである」 これによりますれば、単にその暴行、脅迫のみを取り上げて観察すればそのような程度に達しないと認められるものであったとしても、相手方の年齢、性別、素行、経歴等やそれがなされた時間、場所の四囲の環境その他具体的事情のいかんと相まって、相手方の抗拒を著しく困難ならしめるものであれば足りると解されているところでございます。 以上でございます。 |
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●2020年11月13日 串田誠一 衆議院議員(日本維新の会)
今、昭和33年(1958年)の判決を挙げていただきましたが、最終的に、やはり抗拒を著しく困難ならしめる程度かどうかという判断にたどり着いてしまうんですね。
前にこの点について質問させていただいて、刑法176条の強制わいせつ罪の暴行、脅迫は、もう有形力の行使でいいんだ、通常の暴行でいいんだと言っておきながら、177条には、同じ文言なんですよ、暴行、脅迫と書いてあるのに、急にこの暴行の程度を、著しく困難ならしめる程度というように急にハードルを上げるわけです。 何で同じ文言なのにハードルを上げるのか、国会の質疑が行われたのかと言ったら、その国会の質疑というのは現在存在していないと。 昭和24年(1949年)に突然そういう判例が出されて、それにずっと苦しめられている性被害者というものがいらっしゃるんじゃないか、先例を踏襲しているだけということで。 考えてみると、暴行というのは、一の強度のある暴行があったら、それを抵抗したら、次に二が来るわけです。 二を抵抗すると今度は三が来るわけです。 三が来ると今度は四が来るわけです。 要するに、抵抗を続ければ続けるほど、暴行という強度が上がっていくわけです。 そして、最終的には著しく困難になる。 だから、著しく困難になるという犯罪が成立するためには、ずっと抵抗し続けていかなきゃいけないわけですね。 そんなようなことを経験して、娘は、抵抗すればもっと強力なのが来るだろうということで、ちょっとでも暴行されたら、もうそれは諦めるしかないわけですよね。 そういう意味からすると、それは、じゃ、実の父親と子供だけの関係なのかというと、そういう経験を積んだ人であるならば、ほかの人から暴行を受けたとしても、それ以上の抵抗をすれば更に来るだろうという経験則のもとで、もうそれ以上抗拒はできなくなるわけですよ。 そういう意味からすると、暴行、脅迫を著しく抗拒不能だというような、そういうような定義自体がもう無理なんじゃないか、解釈論として。 暴行、脅迫をされたら、テレビなんかでは、抵抗したら次に刺されたりすることもあるわけでしょう。 そうすると、著しく困難になるまでの間抵抗し続けるという、うまいぐあいに段階を積んでいくなんということがあり得るかという話なんですよ。 そういう意味では、この暴行、脅迫というものを、昭和24年(1949年)、それも突如ですよ、何の質疑もなされていない中で、そのときに何でこれは、おかしいなと思うのは、抗拒を著しく困難ならしめる程度のものであれば足りると言うんですね。 暴行、脅迫が、176条(強制わいせつ罪)は普通でいいと言っているのに、177条(強姦罪)は急にハードルを高くして上げながら、判決の書き方は、足りると書いてあるんです。 こんなにハードルを上げながら足りるっておかしいじゃないですかという質問をしたら、そのときに刑事局長は、当時弁護人は、抗拒不能でなければならないという主張をしていたので、そこまでは要らないよということで足りるとしたんですよ、こういうような言い方でしたよね。 それでよろしいですか。 |
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●2020年11月13日 川原隆司 法務省 刑事局長
お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、この点につきましては、私の前任の刑事局長でございますが、御質問に対して、そのようなお答えをしたものと承知しております。 |
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●2020年11月13日 串田誠一 衆議院議員(日本維新の会)
要するに、被告人の弁護人の抗拒不能でなければならないという主張に対して、いや、そこまでは要らないんですよと言っているだけで、そこまでが要件として必要だとは言っていないんですね。
(参考。昭和24年5月10日の最高裁判決) なのに、それが先例となって、昭和24年(1949年)から今までずっと来ちゃっているわけですよ。 やはりこれは、ぜひ刑法を、民事とも食い違っちゃいますから。 民事は709条で不法行為、これは程度がないから、民事では損害賠償が認められても、刑事では、暴行、脅迫があったとしても、著しく困難にならなければ無罪になる。 さっき言ったように、ちょっとした暴行でも、これ以上あったら殺されるかもしれないといって諦めてしまった人は、無罪になっちゃうんです。 こういうような規定というのはやはりおかしいというようなことで、ぜひ改正に向けて検討していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。 |
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●2020年11月13日 上川陽子 法務大臣
現在、法務省におきましては性犯罪に関する刑事法検討会が開催されているところでございますが、委員が御指摘の点も含めまして、強制性交等罪の暴行、脅迫要件のあり方が検討すべき論点の一つとして挙げられているところでございます。
また、議論が行われているということでございます。 具体的にその内容については、私自身が所見を述べることは差し控えたいというふうに思っておりますが、この性犯罪に関する刑事法のあり方の検討につきましては、私自身、喫緊の課題であるというふうに考えておりまして、スピード感を持って充実した御議論が行われるということについては期待をしているところでございます。 |
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刑法改正に関する串田誠一議員の質問はまだつづきます。
非常にわかりやすく、かつ、的を射ていた質疑でした。
串田議員の質問の残りの部分は明日のブログでみてみます。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月25日>
富士山の樹海近くのスタジオに連れていかれてどうやって逃げろと? 周り何も無いですし。 怖い人20人近くいて声も出ないですよ。 男性にはこの怖さは分かりません。 |
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(再掲。上川陽子 法務大臣)
「この性犯罪に関する刑事法のあり方の検討につきましては、私自身、喫緊の課題であるというふうに考えておりまして、スピード感を持って充実した御議論が行われるということについては期待をしているところでございます」
そう遠くない将来、「暴行・脅迫」要件は、緩和されることでしょう。
刑法改正のあとに控えているのは、AV出演強要犯の収監です。
犯罪者の捕獲が待たれます。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
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