ここ最近は、昨年(2020年)の12月8日に開催された第9回性犯罪に関する刑事法検討会の議事録をながめています。
(参考。当ブログ)
<第9回性犯罪に関する刑事法検討会の議事録について>
・2021年2月4日(地位・関係性を利用した性犯罪①)
・2021年2月5日(地位・関係性を利用した性犯罪②)
・2021年2月6日(性交同意年齢の引き上げ①)
・2021年2月7日(性交同意年齢の引き上げ②)
・2021年2月8日(性交同意年齢の引き上げ③)
・2021年2月9日(地位・関係性を利用した性犯罪③)
・2021年2月10日(地位・関係性を利用した性犯罪④)
(参考。性犯罪に関する刑事法検討会)
<審議状況>
□2020年12月8日 第9回 ※議事録
● 地位・関係性を利用した犯罪類型の在り方について(※二巡目②) ● いわゆる性交同意年齢の在り方について(※二巡目) |
当日は、上述の2つの議題とは別に、「グルーミング」の件も話し合われています。
議事録を参照します。
(2020年12月8日 第9回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<1~2ページ>
●2020年12月8日 井田 良 座長(中央大学教授)
それでは、議事に入りたいと思います。
本日は、まず、意見要旨集の |
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(再掲。井田良 座長)
「一巡目の検討では議論を行わなかった」
9回目の検討会(※2020年12月8日開催)で、はじめて、グルーミングの件が議題となりました。
(2020年12月8日 第9回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<16ページ>
●2020年12月8日 井田 良 座長(中央大学教授)
会議を再開したいと思います。
ここからは、一巡目の検討では議論を行わなかった項目について、議論を行いたいと思います。 配布資料12の「検討すべき論点」の第1の「3」の四つ目の「〇」、すなわち、いわゆるグルーミング行為を処罰する規定を設けるべきかについて議論したいと思います。 まず、事務当局から、主にこの論点に関連する資料である配布資料59(いわゆるグルーミングに関する諸外国の規定【仮訳】)について説明をお願いしたいと思います。 |
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<16~17ページ>
●2020年12月8日 岡田参事官
配布資料59(いわゆるグルーミングに関する諸外国の規定【仮訳】)について御説明いたします。
配布資料59(いわゆるグルーミングに関する諸外国の規定【仮訳】)は、諸外国の法制に関する資料であり、イギリス及びドイツのいわゆるグルーミング行為に関する処罰規定を抜粋し、法務省において仮訳したものです。 例えば、イギリスでは、1ページの第15条にあるとおり、
2ページの第15A条にあるとおり、
などが置かれており、ドイツでは、4ページの第176条第4項第3号にあるとおり、
などが置かれています。 御説明は以上でございます。 |
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<17ページ>
●2020年12月8日 井田 良 座長(中央大学教授)
今の説明について、何か御質問はございますでしょうか。
(一同、発言なし) それでは、議論を行いたいと思います。 |
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<17~18ページ>
●2020年12月8日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)
グルーミング自体が聞き慣れない言葉なので、少し説明し、事例を挙げさせていただきたいと思います。 |
グルーミングは、被害者本人が性的に虐待されているという事実さえ認識できない恐ろしい犯罪と言われています。 |
単回のレイプ被害と異なる点として、手なずけと洗脳操作という独特の加害者戦略があります。 |
加害者は子供に寄り添いながら近付き、日頃から子供の愚痴を聞くなど、味方を演じるところから関係性が始まり、少しずつ性的な話題に持ち込みます。 |
その後、性虐待の犯行に至り、子供の罪悪感や羞恥心などを利用し、子供を手なずける行為といわれています。 |
このグルーミング被害を受けた方の許可を頂いたので、読み上げさせていただければと思います。
14歳当時、中学3年生になってから通い始めた塾の教師から、君はほかの子とは全然違うね、頭が良くて大人と対等に話せるよ、かわいいね、特別だ、というような言葉が掛けられるようになりました。 一流大学の学生で、みんなのお兄さん的な立ち位置の明るい人気教師であったということです。 特別に勉強を教えてあげるという名目で、教師から自宅に呼び出されるようになり、最初は複数人で呼ばれていたのですけれども、回数を重ねるごとにだんだん人数が減っていき、3人から2人になり、気が付いたときには被害者一人になったという形で、被害が起こりました。 突然の被害に混乱して、自分よりも年上の男性に逆らえず、塾講師は巧妙に、 内心はすごい恐怖を感じていたのですけれども、その後も、呼び出されては性的な行為をされ続け、受けていた行為を恋愛だというふうに思い込むようにした。 こんなことはよくあることなのだ、自分が先生の家に来てしまったから自己責任なのだ、先生が言うように、既に大人の恋愛らしき行為ができるのだと14歳の子供なりに必死に頭を働かせて、自分を納得させて、わい小化しようとあがいていたと伝えていただきました。 この後、数年間にわたり教師との関係が続き、教師が転居したことで終わったということですが、その後、精神的に不安定になって、心療内科に通うようになり、ずっと生きづらさを抱えていたと語られていました。 #MeToo運動や、教師からの性被害を訴えた方の報道があって、これが性暴力だったのだと気付いたということなのですけれども、もしそういうことがなかったら、今でも性的虐待に遭っていたことに気付かなかったとも言われていました。 |
アメリカ法曹協会のグルーミングの定義としては、標的を絞り込んで、接近手段を確保し、被害者を孤立、隔離させ、被害者からの信頼を得て、その関係性をコントロールし、隠蔽する。 |
この方は対面というか、リアルでしたけれども、インターネット経由で何百人もの児童に接し、そして児童を勧誘しておびき出すということが実際に起こっています。 |
このような、被害者本人すら気付きづらく、そして、膨大な被害者を出していく被害に対して、よく理解する必要があると思います。 |
接触のプロセスから始まり、会ったときにはもう加害が仕掛けられ行われる、性的な接触が行われたり搾取が行われるという可能性が非常に高い。 |
現実に被害は起こっているし、継続することにより、より搾取されていき、被害を受けた児童は心身ともに有害な影響を受けるということを加味して、グルーミングという行為について法的な規制を掛けていただければと望んでいるところです。 |
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<18ページ>
●2020年12月8日 井田 良 座長(中央大学教授)
大変貴重な情報提供をありがとうございました。 |
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<18ページ>
●2020年12月8日 齋藤梓 委員(臨床心理士)
山本委員の説明に少し補足しますと、大きくグルーミングには、オンライングルーミングと、リアルで近しい関係からのグルーミングと、それほど近しくない人からのグルーミングというのに分けられるのかなと思います。 |
一つ目の類型(オンライングルーミング)は、SNSなどで徐々に子供の信頼を得て、実際に会う約束をしたり、画像や動画を送らせて性交に及ぶであるとかがあります。
二つ目の類型(リアルで近しい関係からのグルーミング)は、近しい関係の人が肩もみとか、膝に乗せるとか、マッサージといった行為から入って、徐々に体を触っていって断りにくくしていくであるとかが存在します。 三つ目の類型(それほど近しくない人からのグルーミング)である近しくない人であれば、公園などで声を掛けて徐々に親しくなっていくなどがあります。 |
私は、子供が大人に好意とか信頼を持つこと自体は別によいことだと思うのですけれども、大人が子供の好意や信頼を利用してわいせつ行為をするということは駄目だろうと考えています。 |
規定を創設すべきかという点について、グルーミングそれ自体を罰するかどうかについては、結論としての賛否は留保しますが、山本委員も言っていましたけれども、わいせつ行為や強制的な性交等が行われたときに、最初の手なずけのところから捜査機関に理解していただきたいと思っていますし、加害者のグルーミングのプロセスを適切に評価していただきたいと思っています。
それが今後、より具体的に検討される177条とか178条で捉えられるようになると良いのですが、グルーミングは16歳、17歳の子供たちももちろん同様で、子供たちは誰かに認められたい欲求というのが利用されやすいため、それを捕捉できる法律、それを理解した上で捜査上の判断をしていただけるようになってほしいと思っております。 |
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<18ページ>
●2020年12月8日 井田 良 座長(中央大学教授)
現行法上、強制性交等罪は、予備は処罰されていませんけれども、刑の同じ強盗罪についても予備があるわけだから、当然、強制性交等罪にも予備を作るべきだ、こういう御意見などもあるかもしれませんが、特に法律関係の委員の方の中で何か御意見はございますでしょうか。 |
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このつづきは、明日のブログでみてみます。
グルーミングは、児童に対しておこなわれる卑劣な行為です。
(再掲。山本潤 委員)
「手なずけと洗脳操作という独特の加害者戦略があります」
「アメリカ法曹協会のグルーミングの定義としては、標的を絞り込んで、接近手段を確保し、被害者を孤立、隔離させ、被害者からの信頼を得て、その関係性をコントロールし、隠蔽する」
「被害者本人すら気付きづらく、そして、膨大な被害者を出していく被害」
「(被害者は)自分を納得させて、わい小化しようとあがいていた」
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AV業界人の手口と酷似しています。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2015年7月11日>
①高齢者の銀行預金が振り込め詐欺で狙われるように 今若い女性は〝性〟を狙われるんだそう。AV出演を自分で決めたと思っていても実はそう洗脳されていた事も多いから周りにちゃんと相談して決めること。 AVの良い部分しか話してこない人には要注意。一生背負うものは大きい想像以上の覚悟が必要 |
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(再掲。齋藤梓 委員)
「わいせつ行為や強制的な性交等が行われたときに、最初の手なずけのところから捜査機関に理解していただきたいと思っていますし、加害者のグルーミングのプロセスを適切に評価していただきたいと思っています」
「それが今後、より具体的に検討される177条とか178条で捉えられるようになると良いのですが」
AV出演強要についても然りです。
AV出演強要に関する性犯罪に関する刑事法検討会での論議につきましては、過日の当ブログをご覧ください。
(参考。当ブログ)
□性犯罪に関する刑事法検討会に関する当ブログの記事
<AV出演強要に関する議論>
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AV出演強要に関する二巡目の論議の議事録は、まもなく公開されます。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
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