刑法改正を審議する検討会。刑法学者もまた、改革の気概にあふれています。香西咲さんたちが蒔いた種はいま、おおきな花を咲かせようとしています

昨年の3月31日、法務省は、刑法改正を審議する検討会(性犯罪に関する刑事法検討会)を設立しました。

(参考。性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>
第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録準備中
第10回(2020年12月25日)※議事録準備中(AV出演強要についても論議)
・第11回(2021年1月28日開催予定)

同委員会の委員のひとりである山本潤委員は、先日(2020年12月15日)、インターネットの番組に出演されました。

(参考)
第9回(2020年12月8日)※議事録準備中
  
 ※2020年12月15日、山本潤委員がインターネットの番組に出演
  
第10回(2020年12月25日)※議事録準備中(AV出演強要についても論議)

山本潤委員は、同検討委員会の進捗状況を語りました。

(2020年12月15日 「ポリタスTV『抗拒不能要件はなくなるのか?』|法務省で行われている性犯罪関連の刑法改正議論の現在地と、2017年改正で積み残された4つの課題について」より、引用。)
(※音声の文字化は、筆者。)

<22:51のあたりから>
2020年12月15日 津田大介さん(ジャーナリスト)

こういう役所のなかの審議会ー
いまの検討会ー

実はぼくも10年くらい前に何度か経験もあるんですけれども、まあ、とても独特な空気じゃないですか。
官僚が方向性を決めてやっていく、という。
なんかふつうのざっくばらんな議論みたいなのとはぜんぜんちがう。
それぞれ立場のちがうひとのポジショントークになって、すごくもどかしい思いもしたりするのが、ぼくも経験があるのでよくわかるんですけれども。

実際どうでしょう、山本さん、参加して。
この議論の雰囲気とかって、どんな感じなのでしょうか?

2020年12月15日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

そもそも入ったひとが、まあ、前回(性犯罪の罰則に関する検討会)とはけっこうかわったな、というのがひとつあると思うんですよね。
前回、2017年の改正のときも、2年ぐらい前(2014年~2015年)から検討会が開催されていたんですけれども、12人中、被害者のことをよく知るひとは、まあ、わたしが思うところ、2人しかいなかった。

弁護士の角田由紀子さんと、そのときは臨床心理士の齋藤梓さんですよね。

残りのひとたちはやっぱり、刑法っていうのはきちんとさだめられていて的確な運用のもとでやっている、みたいなそういうはなし、終始していくというか、そういうかたちで、非常にもどかしかったんですけど。

でも、今回は被害者側の弁護士のかた(上谷さくら弁護士、小島妙子弁護士)も2人入りましたし、公認心理士の齋藤梓さんと、小西聖子さんという精神科医の、被害者鑑定をずっとやってきたかたも入りましたし、わたしも入った、というかたちで、被害の実態を伝えられるひとが入ったのは前進だな、と思いました。
で、いっぽう、やはり、刑事弁護側(金杉美和弁護士、宮田桂子弁護士)ですね。

先ほど弁護士のおはなしもおっしゃってくれていましたけれども、(刑事)弁護士って、やはり、加害者を弁護する仕事なんですね。
性犯罪の場合、特にそうですし。

だから、いかにあまり罪にならないようにするのか、みたいな、そういうポジショニングではなされるので、はなしがなかなかむずかしいな、って思うところもありますし。

刑法学者は刑法学者で、それまで積み重ねられてきた刑法の議論がありますから、そこのずっと100年以上の歴史というか、そこの文脈のなかではなされると、性暴力の本当に残っている実態のすごい苦しみとすごいずれたはなしになるときもあり、なんか、すごい困る。

どうやったら、なんだろう、向こうも向こうで刑法をしっかり考えて、適切な法律をつくろう、っていうのはわかりますし、そこもすごい大事だと思うんですけども。

いっぽう、処罰されないっていうことで苦しむひとも非常に多いというこの状況をなんとかしたい、と思っているので、そこはすごく、こう、むずかしいですね。

——————————————————–

(再掲。山本潤さん。2020年12月15日)
刑法学者は刑法学者で、それまで積み重ねられてきた刑法の議論がありますから、そこのずっと100年以上の歴史というか、そこの文脈のなかではなされると、性暴力の本当に残っている実態のすごい苦しみとすごいずれたはなしになるときもあり、なんか、すごい困る。どうやったら、なんだろう、向こうも向こうで刑法をしっかり考えて、適切な法律をつくろう、っていうのはわかりますし、そこもすごい大事だと思うんですけども

当該検討会の刑法学者は頑迷固陋なのでしょうか。

(例)

和田俊憲 委員(東京大学教授)
佐藤陽子 委員(北海道大学教授)

(2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<19~20ページ>
2020年8月27日 和田俊憲 委員(東京大学教授)

これまで各委員の皆様から出てきた御意見を聞くと、それぞれごもっともだというふうに思ってしまって、なかなか自分で明確に、こうだというのがあるわけではないのですけれども、一つは、177条(強制性交等罪)の暴行・脅迫という言葉が、それ自体としてかなり強いイメージを持っていて、そこに加えて、最高裁判例があるものですから、

(参考。昭和33年6月6日の最高裁判決

その暴行または脅迫の行為は、単にそれのみを取り上げて観察すれば右の程度には達しないと認められるようなものであつても、その相手方の年令、性別、素行、経歴等やそれがなされた時間、場所の四囲(しい)の環境その他具体的事情の如何と相伴つて、相手方の抗拒を不能にし又はこれを著しく困難ならしめるものであれば足りると解すべきである

かなり伝統的に、制限的なイメージがついてしまっているということは否定できないと思います。

そうであるにもかかわらず、関係者の不断の努力によって、解釈上かなり、通常の解釈ではあり得ないぐらい、処罰範囲を広げてきているというのが実情だと思いますけれども、それが行き渡っていない、それは裁判の場だけでなく、そもそも被害届を出すかというところから考えてみると、国民の間にどういう範囲が性犯罪になるのかという意識、統一的なものが当然共有されていないという状態になっていると。
これはもう、伝統的な考え方から解釈論によって広げて、何とかカバーしていくという、そういう連続性を持った対応では限界があるということだと思いますので、先ほど佐藤委員からもメッセージという言葉がありましたけれども、

(参考。佐藤陽子委員【北海道大学教授】)
強制性交等罪などが成立するためには、被害者が抵抗しないといけないという理解は違うのだというメッセージを立法によって送る、改正によって送るというのが、非常に重要なのではないかなというふうに考えております

やはり条文上明確にこれまでの考え方とはかなり違う処罰を本来すべきなのだと、そういうメッセージが伝わるような条文に、少なくともする必要があるのではないかというふうに思います。

具体的にどういう文言にするといいのか、あるいは、不同意犯罪化するのが一番それは明確なのかもしれませんけれども、それぞれメリット、デメリットは、これまでの委員の先生方御指摘のとおり、いろいろあると思いますので、そこは今後、一巡目に限らず、二巡目三巡目で詰めて考えていくことになるのだと思いますが、少なくとも、これまでとは違うところに踏み込もうとしているのだというメッセージ性を強く持ったような改正というのが、条文上、求められるのではないかというふうに考えているところです。

——————————————————–

橋爪隆 委員(東京大学教授)

(2020年9月24日 第6回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<34ページ>
2020年9月24日 橋爪隆 委員(東京大学教授)

しかし、アダルトビデオの出演強要につきましては、性的行為と撮影行為が密接不可分な関係にあることから、性行為については同意があるけれども、撮影に限って同意がないというケースはほとんど考え難いような気がしまして、むしろ、性行為自体についても同意の有無について疑問が生ずる事件が含まれているように思われます。
そのような事例につきましては、むしろ、強制性交等罪(強姦罪)や準強制性交等罪(準強姦罪)の適用についても問題にする余地があると思います。

——————————————————–

川出敏裕 委員(東京大学教授)

(2020年9月24日 第6回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<35ページ>
2020年9月24日 川出敏裕 委員(東京大学教授)

「それから第3は、アダルトビデオの出演強要のような事案で、欺罔や威迫によって、性的な姿態を撮影することに同意させられるという類型になります」

「この類型につきましては、先ほど橋爪委員から御指摘があったように、欺罔や威迫による性行為等についても広く強制性交等罪等が成立するという規定を設ければ、第2の類型(犯人が自ら強制性交等罪等の犯行状況を撮影する類型)として処理することが可能なのです」

——————————————————–

上述の例にかぎらず、ほかの刑法学者の委員につきましても改革の気概に溢れています。
議事録を読むたびにそう感じます。

(再掲。山本潤さん。2020年12月15日)
刑法学者は刑法学者で、それまで積み重ねられてきた刑法の議論がありますから、そこのずっと100年以上の歴史というか、そこの文脈のなかではなされると、性暴力の本当に残っている実態のすごい苦しみとすごいずれたはなしになるときもあり、なんか、すごい困る。どうやったら、なんだろう、向こうも向こうで刑法をしっかり考えて、適切な法律をつくろう、っていうのはわかりますし、そこもすごい大事だと思うんですけども

今回の検討会で刑法学者は、かなり柔軟に対応している、と感じます。
山本潤委員からすればまだまだ不十分なのかもしれませんが。
山本潤委員は、刑法改正の見通しに関して、つぎのようにのべています。

(2020年12月15日 「ポリタスTV『抗拒不能要件はなくなるのか?』|法務省で行われている性犯罪関連の刑法改正議論の現在地と、2017年改正で積み残された4つの課題について」より、引用。)

<01:22:16のあたりから>
2020年12月15日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

検討会がおわったら法制審議会にうつっていって、改正されないことはないのではないかな、と思うんですよね。

——————————————————–

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2016年7月6日

週刊文春様の報道に私のAV強要の件が出始めている様です。
ファンの方々は読んでいて心が痛くなる内容だと思います。
ですがデビューから前の事務所を経て独立迄に受けた現実であり、これを経て今の私がある事を知って頂けたら幸いです。
またそれが今のAV業界の為にもなると信じてやみません。

——————————————————–

刑法が改正されて、AV出演強要犯が容易に処罰される世の中になってほしいものです。
いま理想の社会に近づきつつあります。
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。