刑法改正を審議する検討会の8回目の議事録(その2)。AV出演強要犯に未来はないようです。香西咲さんたちが味わった苦しみを思い知るときがきました

昨日のつづきです。

(参考。当ブログ)
2021年1月14日(※昨日)

本日も、刑法改正を審議する検討会(性犯罪に関する刑事法検討会)の8回目の議事録をみていきます。

(参考。性犯罪に関する刑事法検討会
<審議状況>

2020年8月27日 第5回 ※議事録

現行法の運用の実情と課題(総論的事項)について
暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方について(※一巡目)
地位・関係性を利用した犯罪類型の在り方について(※一巡目)
いわゆる性交同意年齢の在り方について(※一巡目)

2020年9月24日 第6回 ※議事録

強制性交等の罪の対象となる行為の範囲について(※一巡目)
法定刑の在り方について(※一巡目)
配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方について(※一巡目)
性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方について(※一巡目①)

2020年10月20日 第7回 ※議事録

性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方について(※一巡目②)
公訴時効の在り方について
いわゆるレイプシールドの在り方について
司法面接的手法による聴取結果の証拠法上の取扱いの在り方について

2020年11月10日 第8回 ※議事録

暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方について(※二巡目)
地位・関係性を利用した犯罪類型の在り方について(※二巡目①)

2020年12月8日 第9回 ※議事録(準備中)

地位・関係性を利用した犯罪類型の在り方について(※二巡目②)
いわゆる性交同意年齢の在り方について(※二巡目)

2020年12月25日 第10回 ※議事録(準備中)

強制性交等の罪の対象となる行為の範囲について(※二巡目)
法定刑の在り方について(※二巡目)
配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方について(※二巡目)
性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方について(※二巡目)

2020年11月10日 第8回性犯罪に関する刑事法検討会

暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方について
巡目の論議【その2】)

(2020年11月10日 第8回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<7ページ>
2020年11月10日 小島妙子 委員(弁護士)

加害者の行為の側からではなく、被害者に生じている法益侵害の側から性犯罪を考えると、暴行・脅迫を手段とする行為に限定する理由はないという従来とは異なる考え方に立って不同意性交を処罰するということを、条文上明らかにする必要があると考えております。

(参考。刑法)
177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

暴行・脅迫要件は撤廃して、意に反する性交を構成要件とするような刑法改正が必要です。

一方で、不同意については、内心の要素にとどまらず、それを徴表する具体的な行為や状況との関連で判断するアプローチを取らなければなりません。

構成要件の中に客観的な要素を盛り込む必要があります。

禁止される行為を明確にするという趣旨です。

不同意となり得る客観的な要素、手段とか状況について、何を盛り込むかは議論があると思いますけれども、例えば、威迫、不意打ち、驚愕、欺罔、監禁等の手段や、飲酒、障害による影響などの状況など、具体的な、客観的な要素を構成要件に書き込むこと、典型例を構成要件に明示することが必要であると考えます。

故意の問題もあります。
行為者において、被害者の不同意について故意を有する必要があります。
構成要件的錯誤は理由の相当性を問うことなく故意を阻却してしまうので、不同意性交罪を設けても機能しないおそれがあります。
これを回避する法技術として、構成要件に客観的要素を盛り込むという手段が有効です。

本日、日弁連の犯罪被害者支援委員会が作成した被害者代理人のアンケート調査を資料(小島委員提出の「改正刑法(性犯罪関係)に関する被害者代理人アンケート調査」と題する資料)(※非公開)として提出しました。

暴行・脅迫要件がネックとなって無罪となった事案ないし事件化できなかった事案が40件ほどあり、弁護士が支援しても、なお約3割あったということで、12ページから14ページに具体的な事例が掲載されております。
改正への意見としても、不同意性交罪を制定すべきだという意見が多数寄せられておりますので、御覧になっていただければと存じます。

また、日本学術会議の提案も、同意の有無を中核とする犯罪を規定するべきだと、同意なき性交は犯罪になるということを明示してもらいたいと提言しています。

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<7~8ページ>
2020年11月10日 齋藤梓 委員(臨床心理士)

同意の有無について言及していただきたいのはなぜかといえば、セックスとレイプを分けるものが同意の有無であり、性行為それ自体は犯罪行為ではないことはもちろんなのですけれども、同意のない性行為は、性行為ではなく暴力だということが理解されていないからです。

理解されていないために、被害者も自分が深刻な傷を負っているにもかかわらず暴力だと認識できず、加害者も自分の行為が相手を死に至らしめる可能性さえあるかもしれないということを認識できていないということは、問題ではないかと思います。

もちろん、どこまでを処罰すべきかという点について踏み込んだ議論が必要だということには賛同いたします。

諸外国でも、対等な関係性で暴力を伴わない言語的な強制といったときには、同意についてどう考えるかというのは、いまだ議論されているところです。

しかし、それは、だから同意の有無を構成要件とすべきではないということではなくて、同意の有無が重要であるということを明記した上で、加害者の用いる手段であるとか、被害者の状態や加害者と被害者との関係性といったことによって、どのようにそれが示されるかということを検討するということの方が、重要なのではないかと思っております。

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<8ページ>
2020年11月10日 木村光江 委員(東京都立大学教授)

確かに、現状では、暴行・脅迫要件だけでは狭過ぎるというのは、そのとおりだと思います。

では、どう広げるかということなのですけれども、先ほどから御議論があるように、同意がない場合の全てを入れてしまうと、実は、かなり大変なことになるのではないかというふうに思います。

先ほど、渡邊委員から御発言があったように、安定的な法適用が難しくなるというふうに思います。

ですので、不同意というのを正面から書くのは結構難しいのかなというふうに思っています。

ただ、暴行・脅迫だけでは狭いのはそのとおりなので、例えば、抵抗が困難な状態のようなことは入れてもいいのかと思います。

そうしますと、事実上、178条の一部も取り込むことになるのかもしれないのですけれども、

(参考。刑法)
178条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条(強制わいせつ罪)の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条(177条)の例による。

薬物の使用なども入れてもいいのかもしれません。

ですから、暴行・脅迫、あるいは薬物等を用いてなどというふうにある程度具体化する必要があるのかなというふうに思います。

欺罔まで入れるのはどうかというような議論が先ほどありましたけれども、一般に178条で欺罔が問題になるような場合というのは、霊感治療みたいなものがあると思うのですけれども、それは、事実上脅迫に近いようなものなので、脅迫をすごく狭いものとして捉えない限りは、ある程度拾えるのではないかというふうに思います。

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<8ページ>
2020年11月10日 井田 良 座長(中央大学教授)

現行法でも、そうした欺罔の類型というのは、ほかの事情とあいまって、抗拒不能という要件に当たるという解釈がなされていると思われますので、そこでカバーするということは可能だと思われます。

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<8~9ページ>
2020年11月10日 小西聖子 委員(武蔵野大学教授)

暴行・脅迫要件が狭過ぎるということは、間違いなくそうだと思っています。

その要件をどういうふうに具体化するかというところは、かなり議論していただく必要があり、今までの法的なモデルで被害のことを考えると、現状からかなり離れてしまいます。

今、実際に被害者の実情を知る者の発言が相次いでいるのは、こういうモデルを使って話していただくと、すごく現実から離れていく印象があって、とても危惧を覚えるのですね。

だから、どうしてもこういうことを言いたくなるのだということは、御理解ください。

例えば、暴行・脅迫だけでは非常に問題があるということの典型的な例は、前に少しお話ししましたが、バイオロジカルの反応で人は抵抗しないということが、実際に、本当に珍しくなくよく起こっているということですね。

全く動けなくなるとか、感情や感覚がなくなるとか、こういうことの基盤に生物学的・進化学的な反応があるということは、もう広く専門家に受け入れられている事実です。

そういうときの行動として、人は意思と行動が一致するだろうと考えるのは、非常に実態と反したモデルであり、実態に沿って考えるというのであれば、危機、特に性暴力の被害のときには、そういうふうに動くものであるということを取り入れていただかないといけないと思います。

今までの議論は、非常に常識的ではないことをただ言っているだけなのかもしれませんけれども、だからこそ、うまく拾えていないのだということを、やはり少しお話ししておきたいと思います。

抵抗したかどうかだけで、本人の意思を図ることはできないということは、繰り返しお話ししておきたいと思いました。

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<9~11ページ>
2020年11月10日 宮田桂子 委員(弁護士)

要件の検討の前提となる部分についての意見です。

解釈の不統一が起きている、これは、条文の使い勝手が悪い、あるいは、裁判所や検察官の偏見があるからだという見方は確かにあるかと思います。

しかしながら、この暴行・脅迫要件や心神喪失・抗拒不能の要件、あるいは地位・関係性の要件について考える議論の前提として、性犯罪についての裁判所の考え方が共有できていないという非常に大きな問題を共通認識にしていただかなければならないと思っています。

性犯罪の裁判例は、裁判所のデータベースには掲載されません。
最高裁のホームページに掲載される裁判例については、平成13年の最高裁の広報課長の事務連絡では、プライバシーに高度の注意を要するとともに、掲載によって被害者感情を著しく害するものなどについて考慮するようにとされました。
この頃から、性犯罪の裁判例の掲載例が非常に減ったように思われますけれども、平成29年の「下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準等について」という事務連絡では、明確に性犯罪について、掲載は原則としてしないと記載されています。
すなわち、性犯罪、起訴した罪名は性犯罪でなくても実質的に性犯罪と同視できる事件を含む事件については、被害者などに大きな精神的な被害を与えるおそれがあるから、判決書を公開しないことになっています。

一方で、民間のデータベースである判例秘書とかレックス(LEX)などがありますけれども、これは、関係者からの情報提供で判決が掲載されます。

そうすると、弁護人は、無罪事件について、これは成果だから載せてくれと言い、被害者側からは、これは不当だから知らしめてくれと言う。
そうすると、性犯罪については、事実が認められた事件、特に被告人が自白して、淡々と事件が進んで事実関係が認められてしまった事件については、データベース上に裁判例が載りません。

今回の検討会で、非公開資料とはなりましたけれども、裁判例を幾つか挙げていただきました。
検察官が公訴事実の構成や立証に工夫を凝らし、また、裁判所も積極的に認定をしたような事例は、少なからずあった。
しかしながら、このようなデータベースの扱いによって、こういう前例があるから適用するべきだと具体例を挙げられない、あるいは、裁判所が、過去のそういう例を見つけて積極的に認定をすることができなかった、そういう事態があったことは、共通認識にしていただきたいと思います。

また、解釈の統一という意味では、裁判所の研究機関である司法研修所の司法研究という論文とか、あるいは、判例タイムズなどの雑誌に、裁判官がこのように事実認定が行われてきたという形で論文を発表することが解釈の統一に非常に大きな役割を果たしています。
そして、そういうものが発表されることによって、学界からフィードバックがされることがあるわけですけれども、性犯罪に関しては、裁判所側からの研究成果が出されていなかったという問題があります。

つまり、性犯罪について、裁判例の紹介がされずに、そして、裁判官などの法律実務家が研究して発表することが、言わばタブーになってきた。
それが、解釈の不統一を招く一つの原因になってきたのではないか。
これは、共通認識にされるべきことではないかと考えています。

その上で、この暴行・脅迫要件の撤廃の部分についてですが、保護法益をどう捉えるかは別として、性的な行為というのは、人間のコミュニケーションの一つの手段です。
そして、実際に性行為をするまでのコミュニケーションの在り方というのも様々です。
そういう中で、するべきではない行為としてもいい行為の間には、様々なグラデーションがあり、例えば、民事の損害賠償の対象となる事件、あるいはセクハラなどで懲戒解雇をすべき事件があり、刑罰をもって対処するというのは、言わば最終手段であることを忘れてはならないと思います。

国家が人に対して刑罰権を行使するという強烈な制裁を行う以上は、正当化できるだけの当罰性がある行為を考える必要があるわけですが、この処罰すべき範囲、「③」の一番上の「○」の「Yes means Yes」型が妥当ではないかという考え方ですけれども、

参考
③ 暴行・脅迫等の要件の撤廃や「不同意」を要件とすることの要否・当否

○ 性交は双方が合意を形成しながら互いに参加して行うものであるから、同意のない性交は処罰されるべきであって、被害者に抵抗や拒絶の意思表示を求めるのではなく、「Yes means Yes」型、すなわち、自発的に参加していない人に対してした性交を処罰の対象とすべき。

性行為について、やります、どうぞというやり取りはほぼない。
ノンバーバルなコミュニケーションの中で、相手はやってもいいと思っているのだと思って性行為をするということは、よく起こることで、そういうときに、一方は嫌だった、しかしながら、一方はそうとは思わなかったという、ボタンの掛け違いはどうしても起きてしまう。
それを全て処罰の対象と見るべきかといえば、そうではないのではないかと思います。

そして、同意なき性交について、同意がなかったという供述では足りないということについては、渡邊委員から客観的要件がなければ無理だというお話が、小島委員から客観的要件を考えていくべきだというお話がありましたけれども、要は、被害者の言っていることについて、客観的な証拠があるかどうかというのが、非常に重要な問題になってくるわけです。

被害者からは被害者の抵抗を求めたとして批判の多い平成21年4月14日、平成23年7月25日の最高裁判決ですけれども、この判決は、客観的な事実や他の客観的な証拠とのそごがあるかどうかによって、被告人の言い分が正しいのか、被害者の供述が正しいのかを判断すべきだとした判決です。
この判決がいうように、同意なき性交罪ができたとしても、証拠法上、被害者の言い分を裏付けるような証拠があるかどうかということは、極めて重要であって、そうすると、その点について、証拠がなかった事件については、同意なき性交罪を作ったとしても、救済はされない可能性があるということです。

そして、同意なき性交罪について、各国の法制を見てみると、こういう場合に同意がないだろうという間接事実を例示列挙しているという形になりますが、例示には必ず漏れが出てくると思います。

その漏れがあったときには、例えば、こういう行為があった場合には被害者が畏怖していたものとして処罰するというような形で、何かその例示の外枠を画するためのものが必要であり、そういう意味で、暴行・脅迫とか抗拒不能といった抽象概念が必要になるのだと思っています。

そして、間接事実の例示による立法の場合には、間接事実の有無が争点になるので、この事実があったか、この事実がなかったか、この事実に対応する別のこんな事実もあるぞという形で、争点が拡散していく危険もあるのではないかと考えています。

また、この議論の前提として、刑をどのように考えるのかということを考えなければならないと思っています。
同意なき性交罪という構成要件を置いている各国の罰則は、非常に軽いということです。
ドイツの場合は2年以上の自由刑、スウェーデンでは過失だと4年以下の拘禁刑、故意であっても2年以上6年以下の拘禁刑とされています。
たとえ軽い処罰であっても、広く罰して、このような行為はいけないのだということを示すことが重要なのか、あるいは、狭くてもいいから重く処罰することが重要なのかというような考え方の整理も、必要なのではないかと思います。

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<11ページ>
2020年11月10日 井田 良 座長(中央大学教授)

今の御発言の中には、むしろ、次の論点のところでお話しいただくべき御指摘もあったかと思いました。

さて、第1の2の「(1)」についてはいろいろと御意見を頂きましたけれども、あえてまとめるとすると、暴行・脅迫要件、あるいは心神喪失・抗拒不能の要件を撤廃するかどうかは別にして、いずれにしても処罰すべき不同意性交を過不足なく捉えられるような、より良い文言を考えるべきなのではないかという点では、多くの委員の御意見は一致しているのではないかというふうにお聞きしました。

そこで、もう次の論点に入っているわけですけれども、第1の2の「(1)」(「暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件を撤廃し、被害者が性交等に同意していないことを構成要件とすべきか」)についての議論はこのぐらいにして、第1の2の「(2)」、すなわち、
「暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件について、判例上必要とされる「被害者の抗拒を著しく困難にさせる程度」を緩和した要件とすべきか」
という点についての議論に移らせていただきたいと思います。

一巡目(2020年8月27日)では、
「① 「抗拒を著しく困難にさせる程度」を緩和することの要否・当否」、
さらには、
「② 法定刑のより軽い類型を創設することの要否・当否」
という観点から御意見を頂いております。

先ほどと同様に、どのような観点からの御意見であるかを明示して、御意見を頂きたいと思います。

それでは、御意見のある方は、御発言をお願いします。

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<11~12ページ>
2020年11月10日 上谷さくら 委員(弁護士)

先ほどの「(1)」の「③」暴行・脅迫等の要件の撤廃や「不同意」を要件とすることの要否・当否とも関連した形になるかと思うのですけれども、私は、今の暴行・脅迫要件とか心神喪失・抗拒不能要件だけというのは、非常に狭過ぎると思っています。

現状ですと、暴行・脅迫要件や心神喪失・抗拒不能要件に当たれば懲役5年以上、当たらなければ不起訴ということになっていて、極端過ぎるのですよね。

被害者の方によく言われて、もっともだなと思うのは、不起訴になった場合、「あれだけひどいことをしたのに、私がされたことは痴漢以下なのでしょうか」ということです。

「痴漢でも公判は行われているのに、私の被害は裁判さえ行われていない」というのはそのとおりで、性犯罪は明らかに類型が少な過ぎると思うのですね。

やはり、その原因としては、今の暴行・脅迫要件の文言と判例解釈にあると思っています。

ただ、私は、今の177条の基本的な枠組みは維持した方がいいのではないかと思っていて、

(参考。刑法)
177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

3年前に刑法を改正したばかりで、その改正点は、それなりの評価を受けて、今定着しつつあると思っています。

その部分については、実態に即したものとして機能しているのではないかと思います。

ただ、判例が示した抗拒を著しく困難にさせる程度という文言の解釈について、

(参考。昭和33年6月6日の最高裁判決
その暴行または脅迫の行為は、単にそれのみを取り上げて観察すれば右の程度には達しないと認められるようなものであつても、その相手方の年令、性別、素行、経歴等やそれがなされた時間、場所の四囲(しい)の環境その他具体的事情の如何と相伴つて、相手方の抗拒を不能にし又はこれを著しく困難ならしめるものであれば足りると解すべきである

検察官によって当てはめの差が大き過ぎると思います。

今、起訴独占主義が採られている中で、検察官の一存でそこまで当てはめが異なると、こちらとしてはもうどうにもならないという事態に、私はいつも直面しているわけです。

そのときに、177条に暴行・脅迫要件より広い何かを書き込んでほしいなと思っています。

(参考。刑法)
177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

ただ、今判例で使われている抗拒を著しく困難にさせるというような言葉だと、やはり抵抗を前提としているようなイメージがあるので、別の言葉を考えるべきではないかと。

やはり、被害者の抵抗ありきというのは、もうあり得ないという発想からスタートしていただけたらと思っています。

ですので、177条の基本的枠組みを維持しつつ、暴行・脅迫要件に何か今の実情に合うような文言を書き入れると。

その177条以外に、例えば、不意打ちですとか威迫とか、そういった文言を列挙したり、法定刑の下限が3年以上というような少し軽めの類型を新しく作ったり、別途地位・関係性の類型を作っていくというような柱で考えていくのが、実態に即しているのではないかと思っています。

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<12ページ>
2020年11月10日 井田 良 座長(中央大学教授)

私からお尋ねしたいのですけれども、例えば、暴行、脅迫、威迫、不意打ち等々の手段、それから、それによって起こされた被害者側の状態というのが、今までは抗拒を著しく困難にさせる程度という言葉で表現されてきたが、

(参考。昭和33年6月6日の最高裁判決
その暴行または脅迫の行為は、単にそれのみを取り上げて観察すれば右の程度には達しないと認められるようなものであつても、その相手方の年令、性別、素行、経歴等やそれがなされた時間、場所の四囲(しい)の環境その他具体的事情の如何と相伴つて、相手方の抗拒を不能にし又はこれを著しく困難ならしめるものであれば足りると解すべきである

それでは適切でないとなったときに、何か代わりになる言葉として、こういう言葉がいいのだという対案のようなものをお持ちですか。

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<12ページ>
2020年11月10日 上谷さくら 委員(弁護士)

今、一生懸命考えています。

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<12ページ>
2020年11月10日 井田 良 座長(中央大学教授)

是非よろしくお願いいたします。

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この論議のつづきは明日のブログでみてみます。

刑法改正を審議する検討会(性犯罪に関する刑事法検討会)では、AV出演強要犯の処罰も論議されています。

(参考。性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>
第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録公開
第9回(2020年12月8日)※議事録準備中
第10回(2020年12月25日)※議事録準備中(AV出演強要についても論議)
・第11回(2021年1月28日開催予定)

(例)
(2020年9月24日 第6回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<34ページ>
2020年9月24日 橋爪隆 委員(東京大学教授)

しかし、アダルトビデオの出演強要につきましては、性的行為と撮影行為が密接不可分な関係にあることから、性行為については同意があるけれども、撮影に限って同意がないというケースはほとんど考え難いような気がしまして、むしろ、性行為自体についても同意の有無について疑問が生ずる事件が含まれているように思われます。

そのような事例につきましては、むしろ、強制性交等罪(強姦罪)や準強制性交等罪(準強姦罪)の適用についても問題にする余地があると思います。

このように、アダルトビデオの出演の場合、性的行為に応ずることと撮影に応ずることは同一の意思決定によって行われる場合が多いことから、まずは性的行為自体についての同意・不同意の限界を明確化する作業が必要になりますし、このような意味においては前回(第5回)の検討会で議論(※巡目の論議)しましたように、暴行・脅迫要件や抗拒不能要件の意義についての議論を踏まえながら、更に性的行為自体に関する同意・不同意の限界について検討する必要があると考えます。

2020年11月10日の時点で、同検討会の大勢を占めているのは以下の意見です。

(再掲。井田良 座長。2020年11月10日)
いずれにしても処罰すべき不同意性交を過不足なく捉えられるような、より良い文言を考えるべきなのではないかという点では、多くの委員の御意見は一致しているのではないかというふうにお聞きしました

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2016年7月25日

富士山の樹海近くのスタジオに連れていかれてどうやって逃げろと?
周り何も無いですし。
怖い人20人近くいて声も出ないですよ。
男性にはこの怖さは分かりません。

刑法改正を審議する検討会(性犯罪に関する刑事法検討会)は、いま、「処罰すべき不同意性交を過不足なく捉えられる」規定をつくろうとしています。
どのようなとりまとめになるのでしょうか。
楽しみです。
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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