昨日のブログで、4年前(2017年2月22日)の赤枝恒雄衆議院議員の国会質疑にふれました。
(参考)
□2017年2月22日 衆議院 予算委員会第三分科会 会議録
(参考。当ブログ)
・2021年1月7日
赤枝議員は、当日(2017年2月22日)の委員会で、性犯罪について質問をしました。
答弁は、法務省の刑事局長がおこないました。
会議録を参照します。
(2017年2月22日 衆議院 予算委員会第三分科会「会議録」より、引用。)
●2017年2月22日 赤枝恒雄 衆議院議員(自民党)
(前略。) 実は、きょう私のお聞きしたいのは、刑法の176条(強制わいせつ罪)と177条(強姦罪)に出てきます、性の同意年齢というのは聞きなれたことがないんだと思うんですけれども、つまり、性行為のリスクを十分理解した上で性行為を私はするんだという権利、これが13歳で日本では芽生える。 13歳になると性の同意年齢が芽生えるということですから、実際、13歳までの小学校のときに性のことが全てわかっていて、それで14歳になったらもうしてもいいよということになるわけですけれども、これが、世界の常識からしたら、世界89カ国では、性の同意年齢は16歳なんです。 3歳も違うんですね。 これは世界の常識で、89カ国がみんな16歳になっているのに、日本だけ明治の時代に決まったものがそのまま残っていて、13歳になっている。 これが物すごく大きな問題であるわけですけれども、これについて、私はずっと、町の産婦人科医として39年間、六本木でやってきて、お産ももうなくなった10何年前からは、子供相談室というのをハンバーガー屋さんで、夜、診察の後にやって、それでいろいろな話し合いを続けてきて、実は、このハンバーガーショップで、ここに来る子供たちの10人ぐらいにお話をしたって、これはちょっとやはり時間が無駄だなと。 (中略。) それで、肝心の、日本はどうして性の同意年齢が13歳に置いておかれたんだろうという、ちょっとストーリーをお話しします。 これは、かつて検討された時期があったんですね。検討された時期が、昭和47年3月の法制審議会刑事法特別部会で検討されて、この13歳を、改正刑法草案というところで、14歳にしたらどうだという、この検討がなされたわけです。 しかも、今回、お国の例の審議会、審議会というか検討会、性犯罪の罰則に関する検討会、これは取りまとめが27年(2015年)の8月に出ているんです。 取りまとめに確かにそういう両論併記はされているけれども、結果はどうなったのかというと、これは何の法律にも反映されなかった。 だから、ここのところ、やはり、私が指摘したところは、昭和47年にもちょっと指摘されているんですね。 この審議会(性犯罪の罰則に関する検討会)でも、13歳のままではまずいという意見がかなり出てきている。 |
●2017年2月22日 林眞琴 法務省 刑事局長
刑法の強姦罪につきまして、暴行または脅迫を用いることが構成要件とされていない年齢、今、性交同意年齢とかそのようなことで言われますけれども、この年齢の引き上げにつきまして、これまでの議論の経過及び今後の予定について申し上げます。
委員御指摘のとおり、昭和47年当時は、刑法を全面改正するという観点でこの部分が議論されたわけでございますが、近年に至りましては、法務省におきましても性犯罪の罰則に関する検討会というものがございました。 それに引き続いて法制審議会の審議というのがあるわけでございますが、この性犯罪の罰則に関する検討会でも、やはりこの年齢の問題は議論をされたわけでございます。 この点について、その検討会(性犯罪の罰則に関する検討会)では、13歳以上であっても中学生等は保護が必要であるという理由から、この年齢を引き上げるべきであるという意見があった一方で、これに対しまして、引き上げに係る年齢の被害者について、本当に一律に性交についての同意能力がないと言えるのかどうか、あるいはないと擬制できるのかどうか疑問である、こういった意見、あるいは、仮に15歳未満や16歳未満に年齢を引き上げるとすれば、児童の性的な保護、安全というものを刑法の性犯罪の保護法益に導入することになるなどとして、これに対しての慎重な意見というものがありまして、いずれかの意見が大勢を占めるには至らなかったわけでございます。 その結果、法務省におきましては、その検討会(性犯罪の罰則に関する検討会)を踏まえた上で、法制審議会に性犯罪に対処するための刑法一部改正についての諮問を行って答申を得ているわけでございますけれども、その中では、事前に行われました性犯罪の罰則に関する検討会で年齢の引き上げをすべきという意見が多数を占めることはなかったことから、法制審議会への諮問においてはこの点については諮問に至らず、法制審議会においては主な議論の対象とならなかったものでございます。 法務省といたしましては、今般、刑法の一部を改正する法律案ということで、性犯罪の罰則の見直しについての法案を国会に提出すべく準備中でございますが、御指摘の年齢の引き上げの問題、これについては、現在この法改正の中には含めておりませんし、現時点で、今後これを法改正に向けて議論するという予定は持っておりません。 |
●2017年2月22日 赤枝恒雄 衆議院議員(自民党)
まことに残念なというか、意識が欠けている。
これでお父さんをやっていられるのか、お子さんは女の子はいないのかというのを聞きたくなるぐらいの話で、実は、この3歳、3年上げるということの意味、大変なものがあるんです。 13歳で性の知識ができていなきゃいけないんですよ、法律上。 13歳でできていますか、皆さん、考えたって。 13歳で性の知識なんかついていないですよ。 法律は書いてある。 もう少したって、3年ぐらいたって、性の知識を身につけさせて、それから性行為に、結婚とかにいこうということで、諸外国はみんな16歳になっているんですよ。 16歳の意味というのはすごく大きいんですよ、この3年間おくらせる意味は。 何の性教育もできていないのに、そのまましてもいいんですか。 性のリスクというのはあるでしょう。 そんな知識を身につけさせないままで、13歳でやってもいいですよなんていうのは、無責任過ぎますよ。 ここは絶対に変えてもらいたい。 どうですか、もう一回お答えをお願いします。 |
●2017年2月22日 林眞琴 法務省 刑事局長
委員御指摘の年齢の問題を刑法の問題として位置づけますと、やはり、刑法の現在の強姦罪等の保護法益というのは、人の性的自由また性的自己決定権と考えております。
そうしますと、性の低年齢化が進行している現状に鑑みますと、性交等をすることのみによって強姦罪等が成立するものとされる被害者の年齢を引き上げるということにつきましては、むしろ、若年者の性的自由に対する過度の制約となり得る側面というものがあるということ。 また、我が国では、性的自由でありますとか性的自己決定権を保護する観点からは、必ずしも刑罰によって規制する必要がない性的行為でありましても、他方で、児童福祉の観点から、刑法とは別に、児童福祉法等によりまして、18歳未満の者に対する性的な行為について、18歳未満の者の同意があったとしても処罰する規定が置かれております。 このような我が国の法体系全体を見ますると、18歳未満の者についても刑法以外のところでの保護が図られているとも言えるわけでございまして、こういった状況を考えますと、この点について、この問題を刑法の改正という形で行うことについての必要性は感じていないところでございます。 |
●2017年2月22日 赤枝恒雄 衆議院議員(自民党)
これは、もう一回よく考えてほしいんです。
例えば、児童福祉法違反とかで刑がありますよと言われても、我々がやはり怖いのは、一般の我々パンピーにとってみたら、刑法なんですよ、刑法。 女の子は、やはりイケメンの子に対して、嫌われたくないから、やらせてくれよと言ったら仕方ないと、断りができない。 そういうものがないから、法律上は13歳からしてもいいよということになっていれば、断れない。 だから、僕は、断れる理由のために、女の子を守るために、ぜひ、16歳以下はしちゃいけないんだという法律に変えてもらわなきゃいけない。 |
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2017年2月22日の国会で、林眞琴法務省刑事局長は、
「現時点(2017年2月22日)で、今後これ(性交同意年齢)を法改正に向けて議論するという予定は持っておりません」
と答えました。
昨年(2020年)の3月31日、法務省は、刑法改正を審議する性犯罪に関する刑事法検討会を設立しました。
同検討会は、現在、性交同意年齢の在り方についても検討をおこなっています。
(参考。当ブログ)
<性交同意年齢の在り方について>
・2020年12月20日
(再掲。林眞琴 法務省 刑事局長。2017年2月22日)
「性犯罪の罰則に関する検討会で年齢の引き上げをすべきという意見が多数を占めることはなかった」
昨年(2020年)の8月27日に、第5回性犯罪に関する刑事法検討会が開催されました。
性交同意年齢の在り方に関して一巡目の論議がおこなわれました。
この会議で各委員はどのような意見をのべたのでしょうか。
議事録を確認します。
●山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)
「16歳未満の人たち、義務教育年齢の人は、保護される必要があると思います」
●小島妙子 委員(弁護士)
「16歳まで引き上げるという改正を検討するべきだというふうに考えております」
●上谷さくら 委員(弁護士)
「これは余りにも低過ぎるので、引き上げるべきだ」
●齋藤梓 委員(臨床心理士)
「今の年齢は、本当に余りにも低過ぎるので、上げることを考えるというのはもちろん必要だと思っております」
●佐藤陽子 委員(北海道大学教授)
「私も引上げは全然問題ないと思います」
●金杉美和 委員(弁護士)
「どちらかというと反対の意見なのですが、私も、177条(強制性交等罪)、176条(強制わいせつ罪)を『14歳未満の者に対し』という形に引き上げるのであれば、刑事責任年齢と合わせるという形になるので、さほど抵抗はありません」
●井田良 座長(中央大学教授)
「年齢を少しだけ引き上げて、他方、それを超える年齢層については別に類型を設けるということも考えられます」
●宮田桂子 委員(弁護士)
「加害者の性犯罪についての当罰性のある年齢は幾つなのかということも、この性交同意年齢に関しては、一緒に考えるべきなのではないかと思っています」
●橋爪隆 委員(東京大学教授)
「この問題については、性交同意年齢自体を引き上げるというアプローチを取るべきなのか、それとも、青少年に対する性的搾取という観点から、地位・関係性に関する処罰規定の枠内で対応するかという問題についても、更に検討する必要があると考えると考える次第です」
今回は、前回の検討会のときとちがって、強硬に反対するひとがいません。
(再掲。前回の検討会に関して)
<林眞琴 法務省 刑事局長。2017年2月22日)>
「性犯罪の罰則に関する検討会で年齢の引き上げをすべきという意見が多数を占めることはなかった」
ここ数年のあいだに、性犯罪に対する人々の意識は激変したようです。
このたびの性犯罪に関する刑事法検討会では、AV出演強要者の処罰も論議されています。
(参考。性犯罪に関する刑事法検討会)
<開催状況>
・第1回(2020年6月4日)※議事録公開
・第2回(2020年6月22日)※議事録公開
・第3回(2020年7月9日)※議事録公開
・第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第8回(2020年11月10日)※議事録準備中
・第9回(2020年12月8日)※議事録準備中
・第10回(2020年12月25日)※議事録準備中(AV出演強要についても論議)
・第11回(2021年1月28日開催予定)
(2020年12月25日 性犯罪に関する刑事法検討会 意見要旨集【第7回会議分まで】より、引用。)
「他人の性的な姿態を同意なく撮影する行為や画像を流通させる行為を処罰する規定を設けるべきか」
↓
●新たな罪の処罰対象とすべき行為
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AV出演強要者の処罰につきましては、一巡目の議論で、反対するかたがいませんでした。
(参考。当ブログ)
□性犯罪に関する刑事法検討会に関する当ブログの記事
<AV出演強要に関する議論>
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(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2020年9月29日>
世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、 私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。 |
(再掲。前回の検討会に関して)
<林眞琴 法務省 刑事局長。2017年2月22日)>
「性犯罪の罰則に関する検討会で年齢の引き上げをすべきという意見が多数を占めることはなかった」
今回の検討会は、前回のものと趣(おもむき)がちがうようです。
悪党に未来はありません。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
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