刑法の改正を審議する検討会(性犯罪に関する刑事法検討会)は、現在、種々の論題を審議しています。
(参考)
□検討すべき論点
(参考。性犯罪に関する刑事法検討会)
<開催状況>
・第1回(2020年6月4日)※議事録公開
・第2回(2020年6月22日)※議事録公開
・第3回(2020年7月9日)※議事録公開
・第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第8回(2020年11月10日)※議事録準備中
・第9回(2020年12月8日)※議事録準備中
・第10回(2020年12月25日)※議事録準備中(AV出演強要についても論議)
・第11回(2021年1月28日開催予定)
本日は昨日にひきつづき、集団強姦罪の創設に関する論議をみていきます。
2名以上の者が現場において共同した場合について加重類型を設けるべきか(その2)
□2020年9月24日 第6回性犯罪に関する刑事法検討会 議事録
集団強姦罪の創設につきましては、7名の委員が意見をのべました。
昨日は、当該議事録のなかから、3名のかたの意見を参照しました。
(参考。当ブログ)
2021年1月6日
(再掲。3名の委員の意見)
●2020年9月24日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)
「このような組織的・計画的に性的暴行を行うことに関して、上限を無期にするなど、重い法定刑を科しても良いと私自身は思っています」
●2020年9月24日 齋藤梓 委員(臨床心理士)
「加害者が一人か複数かということは、質の異なる被害ではないか、特に集団で常習的に行われているものは随分質が異なるのではないかと考えておりまして、その性質が異なる犯罪であるというのは明確に示される必要があるのではないかなと考えております」
●2020年9月24日 小島妙子 委員(弁護士)
「集団強姦罪については規定を設け、加重類型(※法定刑の上限は無期懲役)とするべきだと考えております」
本日は、残りの4名のかたの意見をみてみます。
(2020年9月24日 第6回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<11~12ページ>
●2020年9月24日 池田公博 委員(京都大学教授)
集団による強制性交等が、これまでにも御指摘があったように非常に悪質な犯罪であるということは、かつて集団強姦の罪が一般の強姦よりも法定刑の下限の高い罪として設けられていたことにも表れておりまして、その評価自体は現時点で否定すべきものでもないと考えております。
他方で、資料36には、この集団強姦罪を廃止した改正時の経緯が示されておりますけれども、そこでは、強制性交等罪の法定刑の下限が引き上げられたことから、集団強姦罪を廃止しても、先に述べた集団による強姦という悪質性については、引き上げられた法定刑の範囲内で量刑上適切に考慮することによって適切な科刑が可能となると説明されておりました。 また、致傷の結果を伴うものについては、平成16年に集団強姦致死傷罪が設けられた際に、その法定刑の下限について、およそ酌量減軽をしても執行猶予を付し得ないとすることには問題があるとして、執行猶予を付し得る限界である懲役6年とされたとされており、その趣旨は、平成29年の時点でも妥当すると考えられるとして、集団強姦罪を維持して致傷の結果を伴うものの下限を懲役7年以上のものとすることは適当でないという考えで現状に至っております。 他方で、現状が以上の議論において想定されていたところと異なっているのであれば、改めて別途の対象を検討すべき理由と必要があると考えます。 そこで、資料の37を見ますと、実際の量刑の状況が示されておりますが、2名以上の者が現場において共同した事案の量刑分布では、3年以下の量刑のものは見当たらず、強制性交等罪全体においては3年以下の量刑のものも相当数存在するのと比べますと、相当重いものになっております。 このことは、実務上、個別の量刑において集団による犯行が行われたという事情は類型的に相応に重いものとして評価されていると見る一つの根拠となるのではないかと思います。 この点については、実務の現状を踏まえた議論も必要かと思いますので、実情についてどなたかから御教示を頂けると大変有り難く存じます。 |
——————————————————–
<12ページ>
●2020年9月24日 宮田桂子 委員(弁護士)
実情についてまではお話はできないので申し訳ないのですけれども、集団強姦の罪が作られたとき、被害者の告訴が強姦罪については訴訟要件であったと。
集団強姦は非常に悪質なので告訴は要らないことは非常に意義があったと思います。 現在、告訴は要件とされてはおりません。 そして、集団での性交の場合には、複数人による犯行ですから、被害者が反抗を抑圧される典型的な場合、あるいはたくさん人がいるのだから大丈夫だということで被害者が安心してその場にいる、そこで酒を飲まされるなどする、ある意味において抗拒不能の典型的な場合ということが言えるのではないかと考えられます。 そういう意味で、当然これが重い類型であるということは私も否定するものではございませんが、現在の構成要件の中で重く処罰をするということは可能であり、現行の規定に集団的な行為を別に構成する形であえて重くし下限を引き上げ、そして上限を無期まで引き上げることまでして加重する類型を作るべきなのかというと、それはそうではないのではないかと思います。 また、このように集団で行われる事件の場合には、集団の中での役割、単なる見張りだけの者、あるいは実際に首謀した者というふうな形で非常に役割が違うことがあります。 そういうことを考えますと、やはり現行程度の法定刑でなければまずいのではないかと考えるのでございます。 さらに、被害者の精神的な影響については、細やかな立証が検察官に求められているのではないかというふうに考えます。 |
——————————————————–
<12~13ページ>
●2020年9月24日 渡邊ゆり 委員(東京地方検察庁検事)
実務の状況ということですので、御説明をしたいと思います。
検察官の立場から見ると、二人以上の者が共同して強姦をしたというのは、もうそれ自体で非常に重要な情状だと考えています。 検察官は、この幅広い法定刑の中で、犯行態様がどうか、共犯事案であれば役割分担がどうか、さらには被害結果がどうか、そして被害後の状況として、示談ですとかそういったものがあるのかどうか、あるいは被告人の反省状況等の更生可能性に関する事情、それらを総合考慮して判断しておりますけれども、その中で、やはり二人以上共同してそういった犯行をするということは、それ自体悪質ですし、また、先ほど来お話が出ていますように、常習的な犯行であることが多い、あるいはその場でエスカレートしやすく、結果として受ける被害が甚大であるということがよく見られます。 先ほどスーパーフリーのお話が出ましたけれども、そういった事例に繰り返し接してまいりまして、そういうことを強く考えるようになっております。 ですので、正直申しまして、集団強姦罪がなくなったということで、例えば量刑、求刑が変わるということはありません。 そういう意味で、先ほど裁判例が幾つかお話に出ておりましたけれども、検察官としてもき然たる態度をもってそれらを評価して求刑をしていて、また、いろいろ社会問題化しているということが背景にあって、裁判所でも相当程度受け入れていただいているというふうに現状としては思っております。 これは、平成29年改正前後というよりは、ここ10年とか、あるいはここ5年とか、そういったスパンで社会の理解が得られるようになってきているのかなと実感しておるところです。 |
——————————————————–
<13ページ>
●2020年9月24日 中川綾子 委員(大阪地方裁判所部総括判事)
裁判所の立場からも御説明したいと思います。
量刑というのは、個別の事件の事実関係に基づいて決められるものですので、一概には言えないところはあるわけですけれども、皆様からも御意見が出ていますとおり、一般的に性犯罪が集団で行われたような場合には、一人の相手からであっても恐怖ですくんでしまって抵抗できない被害者がほとんどである中、二人がかり、三人がかり、それ以上の人数でということになりますと、やはり一般的には悪質性が高いということで量刑が重くなる事情として評価されることが多いと思います。 もちろん役割分担ですとか、いろいろなことがありますので、それは考慮した上でということになりますが、一般的には、皆様がおっしゃったとおり、非常に悪質な犯罪だと評価されているというふうに考えております。 |
——————————————————–
<13ページ>
●2020年9月24日 上谷さくら 委員(弁護士)
私は、リアルナンパアカデミーの事件の被害者の方3名の代理人をした経験から少し意見を述べさせていただきます。
やはり皆さんどの人も、複数人からの被害に遭ったということのつらさを訴えていらっしゃって、先ほどどなたかおっしゃったように、やはり相手が複数だからまさかそのようなことはしないだろうという気持ちがあったというところにだまされたとか不意打ちのような感じもあり、また、そうなったときに相手が複数だから逃げられないという、そういう絶望感なども訴えられていました。 どの被害者も法廷の意見陳述でそのようなことをおっしゃっていましたし、検察官の論告にもその事情は入っているし、裁判所の事実認定の中にもそこは指摘されているのですけれども、どうも被害者から見ると、それによって量刑が重くなっていないというような感覚があるのですね。 私もそう思うのですけれども、集団だからそんなに刑が変わっているかというと、余り変わっているという実感がないのです。 検察官とお話しすると、例えばこれまでの量刑の基準からして、1年求刑を高くするのも結構決裁を取るのが大変なのだとか、いろいろなそういう話は聞くわけですけれども、実情に比べて求刑が余り厳しくなっていない。 判決もそれに合わせるかのように、余り厳しくなっていないというのが被害者の実感ではないかと思い、私も同じような印象を抱いています。 |
——————————————————–
<13ページ>
●2020年9月24日 井田良 座長(中央大学教授)
御意見はいろいろあるようでございますけれども、時間の関係もありますのでこのぐらいにし、二巡目の議論に委ねたいと思います。
2名以上の者が現場において共同した場合について加重類型を作るべきだという強い御意見もありましたし、現状のままで合理的ではないかという御意見もありました。 それでは、第1の「6」の一つ目の「〇」についての議論はこのぐらいにいたしまして、二つ目の「〇」、「被害者が一定の年齢未満の者である場合について加重類型を設けるべきか」について御意見のある方、御発言をお願いしたいと思います。 |
——————————————————–
(再掲。上谷さくら 委員)
「どうも被害者から見ると、それ(集団強姦)によって量刑が重くなっていないというような感覚があるのですね」
「集団だからそんなに刑が変わっているかというと、余り変わっているという実感がないのです」
ここではなしがかわります。
いまから4年前(2017年)のことです。
自民党の赤枝恒雄衆議院議員が国会で、自身が見聞きした集団強姦の事例を紹介しました。
会議録を参照します。
(2017年2月22日 衆議院 予算委員会第三分科会「会議録」より、引用。)
●2017年2月22日 赤枝恒雄 衆議院議員(自民党)
|
——————————————————–
AV出演強要と、集団強姦は、同義(「同じ意味」)です。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年10月14日>
(前略。) 私の場合は、事務所との契約書は自分の都合の良いように作り直しました。 勿論エロなんて言葉は無し、一般的な芸能契約書です そして撮影後にメーカー、事務所、私の3社間で契約書が存在する事を知らされたのです。 |
●香西咲さん
<2017年11月29日>
MeToo #青木亮 から出された契約書にはアダルト内容の記載は一切ありませんでした。私が自由に契約内容を変えて良いよとまで言われ信頼 2日後東京から車で富士山の麓まで連れていかれ #AV強要 後日AV契約書の存在を知らされ、サインする様に強要されました。 |
(再掲。赤枝恒雄 衆議院議員)
「結局三人がいたわけですね」
「元彼の友達を二人連れてきて、その二人にレイプされたんです、見ている前で」
「レイプは、どうしてもやはり刑は10年以上は、20年以上ぐらいの刑にしてもらって、絶対だめな行為だというふうにしてもらわないと」
集団強姦については、上述の第6回性犯罪に関する刑事法検討会の論議で、
「上限は無期懲役」
との意見が複数、出ています。
同検討会の二巡目の論議に括目(かつもく)をしています。
——————————————————–
■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
香西咲さんを勝手に応援するサイトへ