今年(2020年)はAV出演強要に関して、2つの進展がありました。来年(2021年)は、香西咲さんたちAV出演強要の被害者の方々が快哉を叫ぶ年になることを念願します

今年はAV出演強要に関して、2つのおおきな出来事がありました。
順にふりかえってみます。

AV業界人の顧問弁護士を懲戒処分

第二東京弁護士会

今年(2020年)の1月20日のことです。
第二東京弁護士会は、あるAV弁護士を懲戒処分にしました。
処分の内容は、戒告です。
詳細につきましては、過日の当ブログをご覧ください。

(参考。当ブログ)
<①第二東京弁護士会の決定について>

2020年1月27日(その1)
2020年1月28日(その2)
2020年1月29日(その3)
2020年1月30日(その4)
2020年1月31日(その5)
2020年2月1日(その6)
2020年2月2日(その7)

ここではなしがかわります。
アメリカの次期副大統領にカマラ・ハリスさんが就任する予定です。
年明け(2021年)のアメリカ連邦議会で承認される運びです。
ご存じのとおり、カマラ・ハリスさんは、女性です。
黒人でもあります。
女性で、且(か)つ黒人が、副大統領に就任するのは、アメリカで初のことです。
アメリカには、世界で最も厚い「ガラスの天井」があると言われています。
前回の大統領選挙で、ヒラリー・クリントンさんは、当選することができませんでした。
理由は、女性であるからです。
今回、カマラ・ハリスさんは、この厚い「ガラスの天井」を打ち破りました。

はなしをもどします。
第二東京弁護士会にも分厚い「ガラスの天井」が存在します。
朝日新聞の記事を引用します。

(2017年9月30日 朝日新聞「AV出演拒否の女性を提訴、会社側弁護士を『懲戒せず』」より、引用。)

2017年9月30日 朝日新聞

アダルトビデオ(AV)への出演を拒否した女性にプロダクション会社が2460万円の損害賠償を求めた訴訟=会社側敗訴が確定=を巡り、「提訴でAV出演強要に手を貸した」と懲戒請求を受けた当時の会社の代理人弁護士について、所属する第二東京弁護士会が、「懲戒しない」とする決定を出したことが分かった。
(2017年9月)27日付。

——————————————————–

男性弁護士については、賠償請求の経緯を知った第三者の男性が懲戒を請求。
同会(第二東京弁護士会)は「提訴が問題とは言えない」として、懲戒審査に付さないと判断したが、男性の異議申し立てを受けた日本弁護士連合会が昨年(2016年)12月、「AV出演を強制する威圧効果があり、問題がないとは言えない」として懲戒するべきか改めて審査するよう求める決定を出していた。

——————————————————–

冒頭でも記しました。
この第二東京弁護士会が、今回(2020年1月20日)、別のAV弁護士を戒告にしました。
懲戒の申請をおこなった「男性」は、ただ単に申し立ての用紙を提出しただけではありません。
種々の取組が「ガラスの天井」を打ち破りました。
第二東京弁護士会は、議決書のなかで、つぎのようにのべています。

(令和元年12月23日 第二東京弁護士会 懲戒委員会「議決書」より。)

<12ページ>
令和元年12月23日 第二東京弁護士会 懲戒委員会

(略)、対象弁護士には、〇〇(AV業界人)の顧問弁護士として、職業安定法による規制について必要な調査を行うべきであったにも拘わらずこれを行わず、〇〇(AV業界人)に対して違法行為を行うことを止めるよう助言等しなかったことは、弁護士職務基本規程第37条1項に反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失う非行に該当するものといわざるをえない。

<12ページ>
令和元年12月23日 第二東京弁護士会 懲戒委員会

3 結語

〇〇(AV業界人)が行っていた未成年者を含む女性を募集して、同女らに性交や性交類似行為をさせ、その様子を撮影して成人男性向けDVDとして制作、販売する事業というのは、未成年者、女性の人権を侵害する危険性を孕むものであるが、対象弁護士が漠然とそのような事業主の顧問弁護士になったことが、本件における根本的な問題ということができる。

——————————————————–

「ガラスの天井」を打ち破った男性は、日弁連に対して、さらに重い懲戒処分をもとめました。

日弁連

(参考。当ブログ)
<②日弁連の決定について>

2020年11月17日(その1)
2020年11月21日(その2)
2020年11月22日(その3)
2020年11月23日(その4)

今年(2020年)の11月10日、日弁連は、懲戒内容を戒告から業務停止1月へ変更しました。

(参考)
2020年11月16日 産経新聞 「戒告軽すぎる」、AV出演助長の弁護士に業務停止処分 日弁連

(再掲。第二東京弁護士会 懲戒委員会)
弁護士には、〇〇(AV業界人)の顧問弁護士として、職業安定法による規制について必要な調査を行うべきであったにも拘わらずこれを行わず、〇〇(AV業界人)に対して違法行為を行うことを止めるよう助言等しなかった

弁護士が漠然とそのような事業主(AV業界人)の顧問弁護士になったことが、本件における根本的な問題ということができる

人身売買の片棒を担いでいるAV弁護士はこの先どうするのでしょうか。
見物(みもの)です。
——————————————————–

つぎはAV出演強要に対する法規制についてです。

刑法改正の検討会でAV出演強要が議題に

7月27日のことです。
刑法改正を審議する検討会で以下のやりとりがありました。

(2020年7月27日 第4回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

2020年7月27日 齋藤梓 委員(臨床心理士)

「『性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方』についてです。アダルトビデオ出演の強要でありますとか、盗撮だけではなく、同意なく撮影する行為も幅広く含まれるのかという点が一つです」

2020年7月27日 法務省 岡田参事官

「性的姿態の撮影行為に関して、アダルトビデオの出演の強要のような場合についても含まれるのかという観点の御質問ですけれども、どのようなものを処罰の対象とすべきかというところから、この検討会で御議論いただくべきものと考えております」

2020年7月27日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)

「『性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方』についてなのですけれども、やはり、私も、アダルトビデオ出演強要は、人身取引も含めて非常に問題だと思っています」

アダルトビデオ出演強要は契約の問題というふうにも言われ、非常に難しいところはあるのですけれども、自分の性的な姿態が録画され、それを後から取り消すことができないということの問題や、また、だまされたり、脆弱な立場に乗じるなど、その他の強制力によって、性的な行為を撮影・録画された映像が拡大していくという問題について、『性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方』に、ぜひ含めていただければと思っています」

2020年7月27日 上谷さくら 委員(弁護士)

「性的姿態の撮影行為に関するところで補足させていただきたいのは、撮影だけでなく、譲渡とかインターネットに載せる行為など、盗撮に関してどこまでの行為を処罰するのかということについても、ぜひ検討をしていただきたいなと思います」

2020年7月27日 法務省 岡田参事官

「ただ今御指摘のありましたような、性的な姿態を撮影した画像の譲渡や拡散行為につきましても、第1の8の一つ目の「〇」の論点(他人の性的な姿態を同意なく撮影する行為を処罰する規定を設けるべきか)のところで御議論がなされるものと思っております」

上述のとおり、7月27日の第4回性犯罪に関する刑事法検討会で、はじめて、AV出演強要が話題にのぼりました。

(参考。性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>
第1回(2020年6月4日)※議事録公開
第2回(2020年6月22日)※議事録公開
第3回(2020年7月9日)※議事録公開
第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
第8回(2020年11月10日)※議事録準備中
第9回(2020年12月8日)※議事録準備中
第10回(2020年12月25日)※議事録準備中(AV出演強要についても論議)
・第11回(2021年1月28日開催予定)

2020年9月24日の第6回性犯罪に関する刑事法検討会で、橋爪隆委員は、AV出演強要についてつぎのようにのべました。

(2020年9月24日 第6回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)

<34ページ>
2020年9月24日 橋爪隆 委員(東京大学教授)

しかし、アダルトビデオの出演強要につきましては、性的行為と撮影行為が密接不可分な関係にあることから、性行為については同意があるけれども、撮影に限って同意がないというケースはほとんど考え難いような気がしまして、むしろ、性行為自体についても同意の有無について疑問が生ずる事件が含まれているように思われます。
そのような事例につきましては、むしろ、強制性交等罪(強姦罪)や準強制性交等罪(準強姦罪)の適用についても問題にする余地があると思います。

——————————————————–

現在、AV出演強要は、刑法改正の審議における有力な議題となっています。

(参考。当ブログ)
性犯罪に関する刑事法検討会に関する当ブログの記事
<AV出演強要に関する議論>

2020年9月14日(※第4回目の議事録を参照)
2020年9月23日(※第4回目第5回目の議事録を参照)
2020年9月25日(※検討会に提出されたAV出演強要に関する資料)
2020年11月18日(※第6回目の議事録を参照)
2020年11月19日(※第4回目と第5回目と第6回目の議事録を参照)
2020年12月2日(※処罰規定に関する2つの考え)
2020年12月5日(※強制性交等罪と準強制性交等罪の適用について)
2020年12月12日(※第7回目の議事録を参照)
2020年12月26日(※AV出演強要に関する巡目の論議①)
2020年12月27日(※AV出演強要に関する巡目の論議②)
2020年12月28日(※AV出演強要に関する巡目の論議③)

——————————————————–

今年(2020年)、AV出演強要問題は、おおきな進展をみせました。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2020年9月29日

世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、
私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。

来年(2021年)は、AV出演強要の被害者の方々が快哉を叫ぶ年になることを念願します。
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

2 thoughts on “今年(2020年)はAV出演強要に関して、2つの進展がありました。来年(2021年)は、香西咲さんたちAV出演強要の被害者の方々が快哉を叫ぶ年になることを念願します

  1. 海野

    当日次第の展開」の台本で…「断れなかった」元AV女優が告白 メーカー側は否定 社会問題化する出演強要
    https://www.sankei.com/premium/news/170415/prm1704150029-n1.html

    瀧本さんも、本来であれば溜池ゴローを強制性交罪で告訴もできたのでしょうが、今後の法改正で
    こういう溜池のような暴挙は不可能になると思われます。

    ちなみに、上記の記者は17年に宮本智を懲戒審査したという記事を書いた記者です。
    会った時に、瀧本さんの話題を気にしていました。

    重要な部分を抜粋します。

    >> 瀧本さんも「もし本番行為を撮影するなら、台本に書いたり事前に説明したりするなど、女性側にも心の準備が必要なことを分かってほしい。私と同じように台本に書かれていないことを突然するよう命じられ、撮影現場の雰囲気から断れず、意に沿わない行為をさせられた女性も多いはず。こうしたことは二度と起きてほしくない」と話した。

    返信
  2. 海野

    今後はAV弁護士が懲戒処分になったので、不当な条項や不当な事件の受任をすることも難しくなるのでは
    ないかと思われます。

    今後は、事務所が別の方法で女優を管理して洗脳する方向にシフトしていくと思われます。
    違約金だとか、親に言うぞなどということはできなくなるのではないでしょうか?

    とにかく、AV業界に反省はないので、同じような違約金が復活したり、悪徳AV弁護士が暗躍する
    ことも十分に考えられます。

    弁護士の懲戒処分先例を基にこういう顧問業務や事件処理は受任してはいけないと弁護士の先生には
    考えて欲しいものです。同じことがあればまた懲戒請求をすることになりますから。

    それにしても、悪徳AV弁護士はいるけど女優側で有能で社会正義に溢れた弁護士がいないのが残念です。

    返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。