いまから3年前(2017年)のことです。
国会で、刑法の一部を改正する法律が可決、成立しました。
同法は、2017年7月13日から施行されました。
(参考)
□2017年7月13日 刑法の一部を改正する法律
同法の附則第9条を参照します。
(刑法の一部を改正する法律より。)
●附則第9条
政府は、この法律の施行後3年(2020年)を目途として、性犯罪における被害の実情、この法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。 |
「附則第9条」にもとづいて、今年(2020年)の3月31日、法務省内に性犯罪に関する刑事法検討会が設置されました。
(参考。性犯罪に関する刑事法検討会)
<開催状況>
・第1回(2020年6月4日)※議事録公開
・第2回(2020年6月22日)※議事録公開
・第3回(2020年7月9日)※議事録公開
・第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第8回(2020年11月10日)※議事録準備中
・第9回(2020年12月8日)※議事録準備中
・第10回(2020年12月25日開催予定)
同検討会は、闇雲にはなしをしているのではありません。
検討すべき論点にもとづいて議論をおこなっています。
本日は、当ブログが参照した論点をみてみます。
(「検討すべき論点」より、引用)
第1 刑事実体法について
1 現行法の運用の実情と課題(総論的事項)
〇 現行法がどのように運用されているか、処罰すべき行為が適切に処罰されない事態が生じているか |
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2 暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件の在り方
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(参考。当ブログ)
<不同意性交等罪の新設について>
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3 地位・関係性を利用した犯罪類型の在り方
〇 被害者が一定の年齢未満である場合に、その者を「現に監護する者」には該当しないものの、被害者に対して一定の影響力を有する者が性的行為をしたときは、被害者の同意の有無を問わず、監護者性交等罪と同様に処罰する類型を創設すべきか |
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〇 被害者の年齢を問わず、行為者が被害者の脆弱性、被害者との地位の優劣・関係性などを利用して行った行為について、当罰性が認められる場合を類型化し、新たな罪を創設すべきか |
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(参考。当ブログ)
<地位・関係性を利用した性犯罪について>
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〇 同一被害者に対して継続的に性的行為がなされた場合において、個々の行為の具体的な日時・場所を特定しなくても、個々の行為を包括する一連の事実について1個の犯罪の成立を認めることができるような罪を資料創設すべきか |
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(参考。当ブログ)
<継続的な行為を全体として一(いち)罪とすることのできる罪の創設について>
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〇 一定の年齢未満の者に対し、性的行為や児童ポルノの対象とすることを目的として行われるいわゆるグルーミング行為を処罰する規定を創設すべきか |
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4 いわゆる性交同意年齢の在り方
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(参考。当ブログ)
<性交同意年齢の在り方について>
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5 強制性交等の罪の対象となる行為の範囲
〇 強制性交等の罪の対象となる行為に、身体の一部や物を被害者の膣・肛門・口腔内に挿入する行為を含めるべきか |
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6 法定刑の在り方
〇 2名以上の者が現場において共同した場合について加重類型を設けるべきか |
〇 被害者が一定の年齢未満の者である場合について加重類型を設けるべきか |
〇 強制性交等罪の法定刑(5年以上の有期懲役)の下限を引き下げるべきか |
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7 配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方
〇 配偶者、内縁などの関係にある者の間でも強制性交等罪や準強制性交等罪が成立することを明示する規定を設けるべきか |
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8 性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方
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(参考。当ブログ)
<※AV出演強要について>
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第2 刑事手続法について
1 公訴時効の在り方
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↓
(参考。当ブログ)
<時効の撤廃、延長について>
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2 起訴状等における被害者等の氏名の取扱いの在り方
〇 起訴状等の送達等によって、被害者の氏名などの被害者特定事項が被告人に知られることがないようにする仕組みを設けるべきか |
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3 いわゆるレイプシールドの在り方
〇 被害者の性的な経験や傾向に関する証拠を公判に顕出することを原則として禁止することとすべきか |
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4 司法面接的手法による聴取結果の証拠法上の取扱いの在り方
〇 司法面接的手法による聴取結果を記録した録音・録画記録媒体について、特別に証拠能力を認める規定を設けるべきか |
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論点のなかにある
「起訴状等の送達等によって、被害者の氏名などの被害者特定事項が被告人に知られることがないようにする仕組みを設けるべきか」
につきましては、より迅速な対応がとられることとなりました。
6回目の議事録を参照します。
(2020年9月24日 第6回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<1ページ>
●2020年9月24日 岡田 参事官(法務省)
(前略。) (略)「2 起訴状等における被害者等の氏名の取扱いの在り方」 については、(略)、法務大臣の指示により、別途、法改正に向けた具体的な検討を加速して行うこととなりました。 今後、この論点については、法務省において検討を進めていくこととなりますが、法改正に向けた方向性が定まりましたら、本検討会において、委員の皆様に御報告したいと考えております。 |
いま、論点のなかで気になっているのは、
「レイプシールド」
と
「司法面接」
です。
こちらにつきましては、明日以降のブログでみていきたいと思います。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2020年9月29日>
世間に顔だしてないから忘れられがちだけど、 私AV強要の件以来、週刊文春の件以来まだまだずっと戦ってるから。 |
被害者の方々の泣き寝入りをしない姿勢が、上述の論点をつくりあげました。
あとは刑法の改正です。
この日本が性犯罪者を野放しにしない国になることを念願します。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
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