現在、法務省の性犯罪に関する刑事法検討会は、刑法改正の審議をおこなっています。
(参考。性犯罪に関する刑事法検討会)
<開催状況>
・第1回(2020年6月4日)※議事録公開
・第2回(2020年6月22日)※議事録公開
・第3回(2020年7月9日)※議事録公開
・第4回(2020年7月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第5回(2020年8月27日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第6回(2020年9月24日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第7回(2020年10月20日)※議事録公開(AV出演強要についても論議)
・第8回(2020年11月10日)※議事録準備中
・第9回(2020年12月8日)※議事録準備中
・第10回(2020年12月25日開催予定)
詳細につきましては、過日の当ブログをご覧ください。
性犯罪に関する刑事法検討会
(論点)AV出演強要について
(参考。当ブログ)
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(論点)不同意性交等罪の新設について
(参考。当ブログ)
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(論点)時効の撤廃、延長について
(参考。当ブログ)
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(論点)地位・関係性を利用した性犯罪について
(参考。当ブログ)
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(論点)継続的な行為を全体として一(いち)罪とすることのできる罪の創設について
(参考。当ブログ)
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本日は、
「性交同意年齢の在り方」
についてみてみます。
第5回目の検討会の議事録を参照します。
一巡目の論議です。
(論点)性交同意年齢の在り方について
(2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<33ページ>
●2020年8月27日 井田良 座長(中央大学教授)
それでは,議論に入りたいと思います。この論点(性交同意年齢の在り方)について御意見のある方は、何でも結構ですので、御発言をお願いします。 |
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(参考。刑法のなかにある性犯罪の規定)
<現在>
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<33ページ>
●2020年8月27日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)
山本委員 私が思っていることとして、やはり今の状態では、発達段階にある子供の保護という視点が欠けているのではないかと思います。
脳の完成は25歳ぐらいになると言われているように、大人と、年少の人たちとでは、社会経験や、その人たちが行使できる力において、大きな違いがあるというふうに考えています。 しかし、日本の今の状態では、13歳以上で、相手が監護者などでなければ、同じように抗拒不能や暴行・脅迫要件が必要とされるわけで、被害を受ける立場の人たちにとってはとても過酷ではないかと思います。 少なくとも16歳未満の人たち、義務教育年齢の人は、保護される必要があると思いますし、児童福祉法に定められているような18歳未満の人たちと、ある程度の年齢を区切った、大人からの性的な接触とか干渉とか搾取というのを防止するような規定を定めてもいいのではないかというふうに思っています。 性交同意年齢を16歳未満に上げると、必ず、では14歳や15歳の人たちはどうするのだというふうな議論になるかと思います。 その16歳未満の人たち同士を除くとか、また、そのような場合においても、先輩であるとか、そういうグループの上での力関係を行使して、性暴力というのは発生していますので、カナダのように、14歳未満の者は、相手に対する信用的地位に就いていない限り訴追されないとか、そういう要件を定めてもいいのではないかなというふうに思っています。 |
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<33~34ページ>
●2020年8月27日 小島妙子 委員(弁護士)
13歳というのは、低過ぎると思っており、16歳まで引き上げるという改正を検討するべきだというふうに考えております。
青少年の性的自由ということを考えなければいけないという観点から、行為者と被害者の間に一定の年齢差のある場合については、例外的に行為者の処罰を否定するという人的処罰阻却事由を入れること、年齢差ルールというのを規定するべきではないかと思います。 法務省の資料にも、青少年の性行為について資料がございますので、子供同士の恋愛関係というのは特別な例外規定を設けるべきだと思いますので、年齢差ルールを設けるということで、諸外国の法令に学んで、一定年齢の引上げを行うべきだというのが私の意見でございます。 |
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<34ページ>
●2020年8月27日 橋爪隆 委員(東京大学教授)
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<34ページ>
●2020年8月27日 井田良 座長(中央大学教授)
立法論としては、両方を併用することも可能かもしれませんね。
年齢を少しだけ引き上げて、他方、それを超える年齢層については別に類型を設けるということも考えられます。 |
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<34ページ>
●2020年8月27日 上谷さくら 委員(弁護士)
今御指摘あったように、性的同意年齢の在り方というのは、先ほどの地位・関係性とも関わってくる問題で、もしかして一緒になるかもしれないし、別々になるかもしれないなと思っているのですけれども、私も、これは余りにも低過ぎるので、引き上げるべきだと思っていて、それに反対する人は余りいないようにも思っているのですが、ただ年齢差に着目すればいいというわけではなくて、例えば16歳にしたとしても、15歳が14歳をレイプするというのは十分あり得るわけですし、また、成長のタイミングも個人差が激しい時期でもありますので、例えば14歳が15歳をレイプするということも十分可能だと思うのですよね。
要するに、年齢が高い人が常に強いわけではないという側面もあると思いますので、そういった観点も踏まえて、どういった規定にするかという議論が必要かと思います。 |
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<34~35ページ>
●2020年8月27日 宮田桂子 委員(弁護士)
2点申し上げます。
資料30なのですけれども、これは、学生に対する調査です。 私どもが少年法の付添人などで相手にする少年の場合には、高校中退、あるいは、そもそも高校に行っていないという子供たちが非常に多いです。 次に、2点目です。 性教育がきちんとなされていない、性行為がどういう意味を持つのか、それが相手をどれだけ傷つける場合があり得るのか、あるいは、人間関係を作るということはどういうことなのかということについて、教育をされていないということは、これは加害者も被害者も同じです。 今日の資料などを拝見いたしますと、海外の立法では、18歳以上の者が行為をしたときに処罰するというふうなところも結構見られます。 加害者の性犯罪についての当罰性のある年齢は幾つなのかということも、この性交同意年齢に関しては、一緒に考えるべきなのではないかと思っています。 特に性犯罪は、スティグマが非常に大きいです。 |
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<35~36ページ>
●2020年8月27日 齋藤梓 委員(臨床心理士)
余りまとまっていないのですけれども、私も、今の年齢は、本当に余りにも低過ぎるので、上げることを考えるというのはもちろん必要だと思っております。
例えば、抗拒不能であるとか暴行・脅迫の要件を変更することで、14歳、15歳の被害も適切に対応されるのではないかという御意見もあるかもしれません。 しかし、子供の被害は、加害者が、子供が大人よりも理解力が未発達であること、脆弱性があること、大人よりも狭い世界で生きていることなどを利用していくので、そのプロセスが第三者から見ると非常に分かりにくい場合も少なくありません。 そのため、少なくとも義務教育年齢の子供たちをきちんと被害から守るという意味では、年齢を上げていく必要があるのではないかと考えています。 年齢差の要件などについては、まだ私も余り考えが至っていなくて、ただ1点だけ、この検討会の話ではないのですけれども、今、宮田委員からありました、加害を行った人たちは性の教育を受けていない人たちだというお話について述べさせていただきます。 (参考。宮田桂子 委員) 性の教育を受けていないどころか、加害を行った子供たち自身が、いろいろな暴力とか被害にさらされていたりすることがよく見られます。 以上のように、性交同意年齢は上げていただきたいということが一つと、もう一つは、刑法とは少し文脈が離れますけれども、年齢にそぐわない性的行動の問題性を、もう少し社会に認識していただきたく思っています。 |
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<36ページ>
●2020年8月27日 井田良 座長(中央大学教授)
委員の皆さんの中には、引上げはそもそも反対である、現状のままでよいという御意見はありましょうか。 |
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<36ページ>
●2020年8月27日 佐藤陽子 委員(北海道大学教授)
私も引上げは全然問題ないと思いますし、その際には、是非、年齢差要件とか、あるいは能力差の利用要件とか、そういうようなものが必要だと思うのですけれども、一点、注意すべきだと思うのは、例えば年齢差要件を設けて、3歳差とか5歳差にしたときに、14歳の子が11歳の子に性的行為をした場合や、14歳の子が10歳、9歳の子に性的行為をした場合に、年齢差要件に引っかかって処罰されないというふうになっていいのかどうかというのは、判断しなければいけないところだと考えます。
13歳未満は13歳未満でキープしておいて、つまり、絶対に性的接触が許されない年齢のようなものを準備しておいて、13歳以上、例えば16歳未満とか、18歳未満とか、ここからここまでは年齢差要件が妥当するとか、能力差要件が妥当するという形で、二段階に保護を変えてもいいのではないかなと思っております。 |
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<36ページ>
●2020年8月27日 井田良 座長(中央大学教授)
先ほど、橋爪委員からも御指摘があったと思いますけれども、
(参考。橋爪隆 委員) どのような理論的根拠により二段階的に保護を変えるのかは難しい問題となりそうですね。 今のこのテーマについて、引上げに賛成である、または反対である、そういう御意見はございますか。 少し違った観点からの御意見でも結構です。 |
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<36ページ>
●2020年8月27日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)
少しずれるかもしれないのですけれども、先ほどの宮田委員の指摘はそのとおりだというふうに思いまして、
(参考。宮田桂子 委員) やはり学校教育から外れてしまった子供たちというのは、非常に、居所もなく、関係性も薄く、不安定な状況にあり、特に、女子の場合、被害に遭いやすいという特徴があります。 神待ちアプリとか、風俗店への勧誘とか、そのように性的搾取を受けやすい状態にあるというのは、本当に御指摘のとおりだと思います。 しかし、そのような性的勧誘行為をする人たちを刑法、児童福祉法違反で捕捉し、処罰できるかといえば、なかなかそうはなっていない。 特に、性売買という形になると、未成年の被害者への行為であっても、なかなか加害として認定されにくいという問題があります。 しかし、そのような若年女性たちを保護し、支援している人たちからの報告によると、被害は被害であって、別に望んで体を切り売りして生きてきたわけではないということも報告されるわけです。 諸外国においては、困窮にあることを利用した性加害を規定しているところもあります。 地位・関係性の方に入るかもしれないのですけれども、そのような規定があってもいいのではないかと思いました。 |
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<36ページ>
●2020年8月27日 金杉美和 委員(弁護士)
どちらかというと反対の意見なのですが、私も、177条(強制性交等罪)、176条(強制わいせつ罪)を「14歳未満の者に対し」という形に引き上げるのであれば、刑事責任年齢と合わせるという形になるので、さほど抵抗はありません。
でも、15歳、16歳というふうに更に上に引き上げるということになってきますと、幾ら処罰の阻却規定や違法性の阻却規定を置くとしても、構成要件として、14歳同士の性行為が原則違法とされることになるので、抵抗があります。 |
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<36~37ページ>
●2020年8月27日 井田良 座長(中央大学教授)
ありがとうございました。 議論は尽きないところではございますが、一通り御意見は頂けたようですし、予定した時刻にもなりましたので、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。 この論点についても、本日述べられた御意見や他の論点についての一巡目の検討結果を踏まえて、二巡目以降の検討で、更に議論してまいりたいと考えております。 |
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(再掲。井田良 座長)
「二巡目以降の検討で、更に議論してまいりたい」
二巡目の議論は、今月(2020年12月)の8日に開催された第9回目の検討会で交わされました。
議事録はまだ公開されていません。
(再掲。山本潤 委員)
「少しずれるかもしれないのですけれども」
「別に望んで体を切り売りして生きてきたわけではない」
「諸外国においては、困窮にあることを利用した性加害を規定しているところもあります」
「地位・関係性の方に入るかもしれないのですけれども、そのような規定があってもいいのではないかと思いました」
「地位・関係性を利用した犯罪類型の在り方」につきましては、本日参照した第5回目の検討会で論議がされました。
(参考。当ブログ)
<地位・関係性を利用した犯罪類型の在り方について>
・2020年12月14日
「地位・関係性を利用した犯罪」の二巡目の論議は、「性交同意年齢」と同様に、今月(2020年12月)8日の第9回検討会でおこなわれました。
「困窮にあることを利用した性加害」は、AV業界の基本的な遣(や)り口です。
処罰規定の新設がもとめられます。
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3年前に刑法の性犯罪の規定が厳罰化されました。
政府はいま、その厳罰化された規定をさらに峻厳なものにしようとしています。
日本は性犯罪を容認してるのと同じだよね。海外ならとっくに法改正されているかもしれないのに。https://t.co/vSvWONhImg
— 花椿월@ (@u1qVa4hh5Ro2KDn) December 15, 2020
ぱっぷすは、韓国のハンギョレ新聞の取材を受け、このほど記事になりました。https://t.co/eaeGcE9zYH
— ぱっぷすの相談窓口 (@PAPS_jp) December 15, 2020
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。 全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。 |
性犯罪で成り立っているAV業界に鉄槌が下ることを念願します。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
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