本日も、法務省の性犯罪に関する刑事法検討会で審議されている不同意性交罪の新設についてみてみます。
(参考。性犯罪に関する刑事法検討会)
<開催状況>
・第1回(2020年6月4日)※議事録公開
・第2回(2020年6月22日)※議事録公開
・第3回(2020年7月9日)※議事録公開
・第4回(2020年7月27日)※議事録公開
・第5回(2020年8月27日)※議事録公開
・第6回(2020年9月24日)※議事録公開
・第7回(2020年10月20日)※議事録準備中
・第8回(2020年11月10日)※議事録準備中
・第9回(2020年12月8日開催予定)
(参考。当ブログ)
<不同意性交罪の新設について>
・2020年12月6日(※総論)・・・・・・第4回目の議事録を参照
・2020年12月7日(※各論①)・・・・・・第5回目の議事録を参照(1)
・2020年12月8日(※各論②)・・・・・・第5回目の議事録を参照(2)
ひきつづき、第5回目の議事録を参照します。
不同意性交罪の新設について
2020年8月27日
第5回 性犯罪に関する刑事法検討会
議事録
(2020年8月27日 第5回 性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<13~14ページ>
●2020年8月27日 小西聖子 委員(武蔵野大学教授)
小島委員に総括的に言っていただいたのですけれども、私は、同意のないことの徴表が抵抗であるという言い方そのものに、とても不正確なところがあると思いますし、抵抗ができないことがあるということが常識になっているように思えないので、私が実際に鑑定した例なのですが、同意と抵抗が分かれている例を御紹介したいと思います。
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突然見知らぬ男性に室内で性交を迫られて、自分は性交したくないという意思ははっきりしていたが、意識清明のまま、被害の間、体が動かなくなったケースがあります。
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詳しく聞くと、体の震え、冷や汗、動悸などが同時に生じていました。
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「Tonicimmobility」(トニック・イモビリティ)という概念で説明できる反応です。
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本人の意思や意識とは関係なく生じる進化的な起源を持った生物学的な反応といわれています。
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司法の過程においては、逃げられそうなのに抵抗しないのはなぜか、という視点でしか捉えられていなかったと思います。
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そういう意味では、抵抗と同意というのを一つのものとして、少なくとも先ほどから、「徴表」と言われていますけれども、徴表として、ここだけを重要に考えるのは非常に問題があると思っています。
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そういう意味では、広い事情を拾うべきだという言い方に私は賛成です。
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<14~15ページ>
●2020年8月27日 齋藤梓 委員(臨床心理士)
私も先ほど申し上げたとおり、そして、小島委員などがおっしゃっているとおりで、その人の感情とか意思をないがしろにして、その人の体の侵襲をするというのは心身の侵害で、人生に深刻な影響を及ぼす暴力なので、それが適切に司法で認定されるということを願っているのですね。
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つまり、不同意性交というのが適切に罪として認識されることを望んでおります。
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ただ、性的同意という概念が浸透していない日本で、なかなか不同意性交という記載のみだと判断が難しいのであれば、ほかの文言を列挙していただくということにも賛同はしております。
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委員の方々が今までおっしゃっていたとおり、暴行・脅迫というのは不同意の徴表であるということですけれども、運用に任せているからこそ、一方で幅広に解釈され、一方で被害届が受理されなかったり、不起訴であったりという事案が生じているので、暴行・脅迫ということで、その性交が意思に反するものが明示されるとだけしているということが、やはり問題なのではないかと思っております。
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これも、ほかの委員の皆さんもおっしゃっていることですが、性交が意思に反しているならば人は抵抗するはずだとか、その抵抗が抑圧される暴行・脅迫があったなら、抵抗がなかったとしても不同意であるという考えは、やはり、私も臨床に携わっている中で、まだまだそれがずっとあるのだなということを感じています。
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小西委員もおっしゃっていたとおり、精神医学とか心理学で明らかになっているとおり、「Tonic immobility」(トニック・イモビリティ)の状態や解離状態というのは、明らかな暴行・脅迫がなくても生じますし、力関係が作り出されて抵抗が抑圧されていくというような状態も、暴行・脅迫がなくても生じます。
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人は、本当にたやすく抵抗できない状態になるということを、もっと知っていただきたいですし、それが適切に評価されるような文言になることを望みます。
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資料22の不起訴事件の調査資料(※非公開)などを見ますと、確かに、読みようによって、それを犯罪ということが難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、性被害は、そもそも被害者の体験と加害者の認識が大きく異なる被害であるということは、しっかり考えた方がいいと思います。
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また、どのような行為が相手を深刻に傷つける性犯罪なのかということが法律で定められていないというのは、加害者も自分の行為が性犯罪であるということを認識できないということにつながります。
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私は、法律の具体的な文言に全く明るくないので、状態として述べさせていただきたいのですが、暴行や脅迫よりも言葉上程度の軽い脅しとか体を押さえつけるであっても抵抗できなくなりますし、継続的な被害は、そもそも強要された上であっても、一度性交したという事実自体が、その後の被害者の抵抗を抑圧していきますし、だまされるなどして密室に連れ込まれた時点で、抵抗したら危害を加えられると感じて、体が動かなくなるということも普通に生じますし、先ほどの小西委員の例でもあったような、予期していないような言動で混乱し、体が硬直するということもありますし、ドライブだけ、キスだけと思っていたのに、人気のない場所に連れていかれて性交を強要されれば動けなくなりますし、逃げられないと思って抵抗はできなくなります。
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飲酒や薬物、睡眠や精神疾患、知的障害、そうしたいろいろなことに乗じたり、巧妙に、グルーミングのように心理的な操作を行う、力関係を作り出す、洗脳するといったこと、あるいはその人の脆弱性とか、様々な意味での立場の弱さとか、あるいは利害関係であるとか、依存を利用した場合など、そもそも抵抗ができなくなるということをきちんと反映していただきたいと思っております。
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先ほど、被害者の意思に決定的な位置付けを与えることが負担という御意見もございましたけれども、そもそも現在の日本では、被害者が、自分が被害を受けたということを認識できていないという状態がありまして、そのことがとても大きな問題で、不同意性交は犯罪であるということを知らしめるということは非常に重要なことなのではないかと考えております。
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<15~16ページ>
●2020年8月27日 宮田桂子 委員(弁護士)
(前略。)
(略)同意がないということの立証を行うということになりますと、ある程度、こういう場合には同意がないのだという推定規定を置くにしても、一つずつ置いてあるものに対する反証、例えば、被害者がその場で泣いていたというような事情を置くとします。
そうすると、被害者がなぜ泣いていたのかというような、被害者の非常に個人的な事情についても争点になり、争点の拡散が生じるということは間違いないのだろうと思っております。
ですから、同意なき性交罪を作った場合の立証の負担というのは、被害者にあるだけではなくて、争点が拡散していって、訴追する側についても、防御する側についても、非常に難しい問題が生じる場合があり得るのではないかということを指摘したいと思います。
(後略。)
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<16~17ページ>
●2020年8月27日 橋爪隆 委員(東京大学教授)
端的な印象を申し上げますと、処罰すべき実態と、それをどのように刑罰法規として規定するかということは、分けて検討する必要があるような気がしております。
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すなわち、被害者の意思に反する性的行為が重大な法益侵害であり、これら全てを処罰の対象とするという発想自体は全く正当な判断であり、これが議論の出発点をなすことは明らかであるように思います。
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もっとも、そのために、どのような処罰規定を設けることが適切か、特に、不同意性交罪を創設することが妥当かについては、更に二つの点について吟味した上で検討する必要があると考えます。
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第一点は、仮に、不同意を成立要件としましても、被害者が同意していなかったこと、また、被告人が被害者の不同意を認識していたことについては、刑事裁判で厳格に証明する必要があるということです。
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そして、被害者の内心自体を直接的に証明することは困難である以上、実際には外部的・客観的な事実関係から、同意があったか否かを認定する必要が生じます。
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現行法の暴行・脅迫要件や抗拒不能要件は、正に、不同意を客観的に推認する要素として機能していたわけです。
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したがって、仮に暴行・脅迫要件を撤廃して、不同意を成立要件とするとしても、不同意の事実については厳格な証明が必要であり、そのためには、判断資料となり得る客観的事実を明確化することが必要であると思います。
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仮に、先ほどから御指摘がありましたように、暴行・脅迫要件が判断資料としては不十分であるというのであるならば、新たな行為態様を追加する、あるいは、新たな客観的な状況を追加するというアプローチもあり得るのかもしれません。
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第二点ですが、不同意という言葉自体が、実は、かなり幅がある概念である点に注意する必要があると思います。
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もちろん、相手と性行為を行う意思が全くなかったが、恐怖心から抵抗できず、性交に至った場合のように、同意がなかったことが明らかな事件もあると思います。
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もっとも、例えば、被害者が一定の関係性を有する相手から性行為の要求を受けて、悩んだ挙げ句に、最終的には性交を甘受するに至ったような場合については、被害者の心理状態は多様であり、どこまでが不同意といえるかは、実は必ずしも明確ではないように思います。
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また、例えば、被害者が錯誤に陥って性行為に応じており、真実を知っていれば性行為に応じなかったという場合については、判例理論に従いますと、被害者の同意は無効であり不同意と扱われることになりそうです。
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しかし、例えば、結婚する、あるいは真剣に交際すると偽って、相手をだまして性交した場合について、被害者は錯誤に陥っており、有効な同意がなかったとして、犯罪の成立を肯定することは適当ではないと思われます。
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すなわち、仮に、不同意性交罪を設けるとしても、その際には、不同意という文言、心理状態を明確かつ厳密に規定することが不可欠であり、また、今、幾つか申し上げましたようなグレーゾーンの事例に関して、どこまで処罰すべきかという点について、踏み込んだ議論が必要であると考えます。
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繰り返し申し上げますが、私は、被害者の意思に反する性行為を罰するというアプローチ自体については、全く異存はございません。
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しかし、これを処罰するためには、不同意という文言を使えば解決するわけではなく、やはり、被害者の心理状態を明確に規定するか、あるいは、心理状態を徴表する行為態様や関係性等の客観的な要件を明確に規定する必要があるように考えているところです。
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今後の議論におきましては、このような観点から、どのような規定ぶりが適切といえるかを検討する必要があると考えます。
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不同意性交罪に関する議論のつづきは、明日のブログでみてみます。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。 |
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ちなみに、上述の委員の方々は、検討すべき論点に書かれている以下の3つをまとめて論議しています。
●「強制性交等罪の暴行・脅迫の要件、準強制性交等罪の心神喪失・抗拒不能の要件を撤廃し、被害者が性交等に同意していないことを構成要件とすべきか」
●「強制性交等罪の暴行・脅迫の要件、準強制性交等罪の心神喪失・抗拒不能の要件について、判例上必要とされる『被害者の抗拒を著しく困難にさせる程度』を緩和した要件とすべきか」
●「強制性交等罪や準強制性交等罪の構成要件として、暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能に加えて、又はこれらに代えて、その手段や状態を明確化して列挙すべきか」
はたしてどのような結論になるのでしょうか。
現在は性犯罪者が野放しの状態となっています。
こうした事態を一刻もはやくおわらせてほしいものです。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)



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