今年(2020年)の3月31日に、刑法の性犯罪の規定の見直しを審議する検討会が発足しました。
検討会の名称は、
「性犯罪に関する刑事法検討会」
です。
時事通信と東京新聞の記事を引用します。
時事通信
(2020年3月31日 時事通信「性犯罪の『暴行・脅迫』要件撤廃も 刑法改正へ検討会設置―法務省」より、引用。)
<一部分を抜粋>
●2020年3月31日 時事通信
法務省は(2020年3月)31日、性犯罪をめぐる刑法の見直しについて議論する検討会を設置した。 |
現行の「強制性交等」の成立要件となっている「暴行または脅迫」を撤廃するとともに、同意に基づかない性交を罰する不同意性交罪を新設することなどが検討される。 |
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東京新聞
(2020年3月31日 東京新聞「不同意性交罪 是非を議論へ 法務省、性犯罪検討会」より、引用。)
<一部分を抜粋>
●2020年3月31日 東京新聞
被害者に対する「暴行・脅迫」行為がなくても、同意がない性交だと認識できれば処罰する「不同意性交罪」の是非などを議論する見通し。 |
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刑法177条を確認します。
(参考。刑法)
●第177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。 13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。 |
ご覧のとおり、現在は、暴行や脅迫の事実がなければ加害者を処罰することができません。
もう一度、上述の時事通信と東京新聞の記事をみてみます。
(再掲。時事通信)
「現行の『強制性交等』の成立要件となっている『暴行または脅迫』を撤廃するとともに、同意に基づかない性交を罰する不同意性交罪を新設することなどが検討される」
(再掲。東京新聞)
「被害者に対する『暴行・脅迫』行為がなくても、同意がない性交だと認識できれば処罰する『不同意性交罪』の是非などを議論する」
性犯罪に関する刑事法検討会はこれまで、8回、開催されています。
(参考)
□法務省 性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>
・第1回(2020年6月4日)※議事録公開
・第2回(2020年6月22日)※議事録公開
・第3回(2020年7月9日)※議事録公開
・第4回(2020年7月27日)※議事録公開
・第5回(2020年8月27日)※議事録公開
・第6回(2020年9月24日)※議事録公開
・第7回(2020年10月20日)※議事録準備中
・第8回(2020年11月10日)※議事録準備中
・第9回(2020年12月8日開催予定)
不同意性交罪の新設に関しては、どのような論議が交わされているのでしょうか。
本日は、第4回目の検討会の議事録を参照します。
不同意性交罪の新設について
2020年7月27日
第4回 性犯罪に関する刑事法検討会
議事録
(2020年7月27日 第4回 性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<5ページ>
●2020年7月27日 小島妙子 委員(弁護士)
第2点として、不同意の性交というのが問題になっているけれども、不同意の性交、同意があったとはとても言えない性交というものには、どのような行為類型があるのかということが問題になり、そして、その不同意性交の様々な類型のうちの全てを処罰対象にするのか、あるいは、一定範囲のものを処罰対象にするのかという、そういう価値判断があって、限定するのなら、なぜなのかという話があった上で、処罰すべきものが現行法の解釈運用の中で漏れているのかを論じるという手順で議論したらいいのではないかと、私は、この総論を検討する手順について、そのようなことを考えました。 |
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<6~7ページ>
●2020年7月27日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)
私も、被害者支援の現場で活動をしている中で、同意がない性交の被害を受け、支援を求めて警察に行っても被害届を受理されないという現状もあり、なかなか幅広に救済されているとはいえないと思っています。 |
「現行法の運用の実情と課題」については、「性暴力」は同意のない性的な言動の全てですが、「性犯罪」は法律の規定の下に処罰が決まっています。 |
同意がないということを刑法の性犯罪の規定の中に含めるのであれば、何が性暴力で、そのうち何が性犯罪として処罰されるのか、明らかにしてほしいと思います。 |
同意がない傷つけられた行為を性犯罪として処罰してほしいと私たちが望んでいても、それがかなわないこの現状をどのように解決することができるのかを検討いただければと思います。 |
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<9ページ>
●2020年7月27日 宮田桂子 委員(弁護士)
特に第1の2に関してでございますけれども、
(参考。第1の2) 同意なき性交についての議論について拝見していますと、今の条文を同意なき性交に変えてしまって5年以上の懲役刑とする趣旨であるのか、それとも、現行法に付加するような形で、より軽い類型と言ったら怒られるのかもしれませんけれども、より侵害性の低いものをそちらでカバーするという意味なのか。 |
つまり、どのように処罰をするのかというところとの関連が明確でないと、同じことを論じているようであっても、結果としては全く違った効果が出てしまう可能性があると考えています。 |
ですから、その辺のところは議論のときにはもう少し整理がされるべきではないか、処罰についての考え方についてと連動して、もう少し整理が必要なのではないかと考えております。 |
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<11ページ>
●2020年7月27日 川出敏裕 委員(東京大学教授)
議論の進め方にも関わることですが、第1の2の四つ目の「〇」で、
(参考。第1の2の四つ目の「〇」) 被害者が性交等に同意していないことについて、被告人(犯人)に立証責任を転換すること、あるいは推定規定を設けることが論点として挙がっております。 |
立証責任の転換規定であれ、推定規定であれ、被告人(犯人)の刑事責任を基礎付ける事実については検察官が立証責任を負うという刑事手続上の基本原則の例外をなすものですので、それが認められるかどうかについては、その必要性と合理性の両面から厳密な検討が必要とされると思います。 |
その観点から考えてみますと、そもそもこのような規定を作る必要性があるかどうかは、強制性交等罪についてどのような構成要件とするかによって変わってきますので、その意味では、まず、第1の2の一つ目の「〇」から三つ目の「〇」までの問題について議論を十分に尽くすということが求められると思います。
(参考。第1の2の一つ目の「〇」から三つ目の「〇」) 「〇 強制性交等罪の暴行・脅迫の要件、準強制性交等罪の心神喪失・抗拒不能の要件について、判例上必要とされる『被害者の抗拒を著しく困難にさせる程度』を緩和した要件とすべきか」 「〇 強制性交等罪や準強制性交等罪の構成要件として、暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能に加えて、又はこれらに代えて、その手段や状態を明確化して列挙すべきか」 |
その上で、特定の構成要件を前提にしたときに、立証責任の転換規定や推認規定を設ける必要があるといえる場合には、さらに、その内容が合理性を有するかを検討するという順序で議論していくということが必要になると思います。 |
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上述のとおり、第4回目の検討会で、不同意性交罪について若干の意見が出ました。
これは前哨戦です。
具体的な議論は、次回(第5回)の検討会でおこなわれています。
詳細につきましては、明日の当ブログでみてみます。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2017年11月29日>
MeToo #青木亮 から出された契約書にはアダルト内容の記載は一切ありませんでした。私が自由に契約内容を変えて良いよとまで言われ信頼 2日後東京から車で富士山の麓まで連れていかれ #AV強要 後日AV契約書の存在を知らされ、サインする様に強要されました。 |
第6回目の検討会で、橋爪隆委員は、AV出演強要についてつぎのようにのべました。
(2020年9月24日 第6回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<一部分を抜粋>
●2020年9月24日 橋爪隆 委員(東京大学教授)
|
議事録を読むかぎりでは、AV出演強要についてなんらかの処罰規定が設けられる勢いです。
最終的には、強制性交等罪(強姦罪)や準強制性交等罪(準強姦罪)の適用まで行き着くことを切望します。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
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