本日も、AV出演をめぐって2,460万円の違約金が請求された事件についてみていきます。
(参考。当ブログ)
・2020年11月25日(※判決文)
・2020年11月26日(※判決文+国会質疑)
・2020年11月27日(※判決文+国会質疑+被害者の手記)
昨日、当該事件の裁判に関するあるブログの記事を目にしました。
市井(しせい)の人が書かれたようです。
一部を引用します。
(引用)
「私個人としてはAV女優がデビュー前に、ようするに未経験のAV撮影をする前に9本もの契約を締結させることがまず、無茶があると思う。せいぜい、2本でしょう。。やったことないんだから。。さらに、それは雇用類似として女優にはもろもろの権限がないことを裁判所は理解した。よって、契約解除はいつでもできることが確定した。これによりAVを強要することが不可能になったわけで、これは良かった。しかし、契約書を無効としなかったため、損害賠償の余地を裁判所は残してしまった」
「なので、AV強要はなくとも損害賠償の2640万円が残ってしまったわけです。これではお金を払うかAVに出るかの選択を女優は迫られているわけですよ」
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判決文を確認します。
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(引用)
●2015年9月9日 東京地方裁判所 原克也裁判長
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裁判所はこう言っています。
「アダルトビデオ撮影等への出演義務があったとしても、被告の民法628条に基づく同月〇日の解除により、第2次契約に基づくこれらの義務(アダルトビデオ撮影等への出演義務)は消滅したと認められる」
「したがって、被告が撮影に出演しなかったことは、債務不履行にはあたらない」
と。
「よって、原告の請求(「2,460万円を支払え」)は理由がないからこれを棄却する」
と。
上述のかたはブログでこう書いています。
(再掲)
「しかし、契約書を無効としなかったため、損害賠償の余地を裁判所は残してしまった」
「なので、AV強要はなくとも損害賠償の2640万円が残ってしまったわけです。これではお金を払うかAVに出るかの選択を女優は迫られているわけですよ」
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内閣府は自身のホームページに、当該裁判の判決の概要を掲載しています。
(参考。内閣府)
●AV出演強要
「02 被害にあわないために」
裁判例
アダルトビデオ出演に関する民事事件には、プロダクション(原告)がアダルトビデオへの出演を断った女性(被告)に対し違約金を請求した訴訟について、平成27年9月、東京地方裁判所は原告(プロダクション)の請求を棄却した裁判例があります。 |
判決では、 |
・被告(女性)と原告(プロダクション)が締結した契約は、実情に照らすと、被告が原告に対してマネジメントを依頼するというような被告中心の契約ではなく、原告が所属タレントないし所属女優として被告を抱え、原告の指示のもとに原告が決めたアダルトビデオ等に出演させることを内容とする「雇用類似契約」であったと評価できる |
・被告の契約解除は、期間の定めのある雇用類似の契約の解除とみることができるから、契約上の規定にかかわらず民法第628条の「やむを得ない事由」があるときは、直ちに契約の解除をすることができるものと解するのが相当である |
・アダルトビデオへの出演は、原告が指定する男性と性行為等をすることを内容とするものであるから、出演者である被告の意に反してこれに従事させることが許されない性質のものといえるが、原告は、被告の意に反するにもかかわらず、被告のアダルトビデオへの出演を決定し、契約に基づき莫大な違約金がかかることを告げて、アダルトビデオの撮影に従事させようとしたことから、被告には、原告との間の契約を解除する「やむを得ない事由」があったといえる |
・被告の民法第628条に基づく解除により、出演義務は消滅したと認められ、被告が出演しなかったことは債務不履行に当たらず損害賠償義務を負わない |
などの理由で、原告(プロダクション)の請求を棄却しました。 |
(再掲)
「しかし、契約書を無効としなかったため、損害賠償の余地を裁判所は残してしまった」
「なので、AV強要はなくとも損害賠償の2640万円が残ってしまったわけです。これではお金を払うかAVに出るかの選択を女優は迫られているわけですよ」
判決内容が理解できていないかたにおかれましては、すくなくとも、内閣府のホームページをご覧ください。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月14日>
契約書を盾に止めさせてもくれない、かと言って事務所に居続けたら、V撮影と性接待(勿論金銭のやり取りなし)に都合良く使われて青木亮に飼い殺しになる… 本気で死にたかった。 あの頃の私はトラックに突っ込んで欲しかった。 |
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現在、法務省内で、刑法を改正するための論議がおこなわれています。
AV出演強要につきましても多くの委員が意見をのべています。
AV業界人を処罰せよ、と。
一例をご紹介します。
(2020年9月24日 第6回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<一部分を抜粋>
●2020年9月24日 橋爪隆 委員(東京大学教授)
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AV出演強要に関する規定を新設すべき、と主張する委員もいます。
はたしてどのような決着が図られるのでしょうか。
たのしみです。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
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