昨日は、AV出演強要に関する5年前の東京地裁判決(※民事訴訟)をふりかえりました。
(参考。当ブログ)
・2020年11月25日(※昨日)
判決のなかで、東京地裁の原克也裁判長は、AV業界人の犯罪行為を怜悧に語っています。
(参考。東京地裁の原克也裁判長による判決)
□2015年9月9日 東京地方裁判所
・判決文(※提供は内閣府。)
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本日は当該民事訴訟の判決文と、池内さおり衆議院議員の国会質疑を併せてみていきます。
(参考。池内さおり衆議院議員の国会質疑)
AVへの出演を強要される。2本目以降の出演を断ると2,460万円の違約金を請求された事件
(池内さおり 衆議院議員)
2015年の9月に、AVに出演を強要された女性が契約不履行として損害賠償を求められた裁判で、損害賠償の必要はないとする、とても注目すべき判決が出されました。
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(池内さおり 衆議院議員)
この裁判の当事者となった女性は、ある繁華街の駅頭でスカウトマンから、タレントにならないかと勧誘をされた。
Aさんは、普通のタレントだと考えて、わいせつな行為をするとは想定をしないままに営業委託契約書に署名捺印をしました。
当時は高校生で、保護者の同意もなく、契約書のコピーも本人には渡されませんでした。
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(2015年9月9日 東京地方裁判所 原克也裁判長)
原告(プロダクション)は、被告をしてアダルトビデオに出演させ、ヌードにさせることを主たる目的として、当時未成年であった被告との間で、親権者の同意を得ることなく、業務内容に「アダルトビデオ」を明示しない第1次契約を締結した。
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(池内さおり 衆議院議員)
普通のタレントとして扱われると思っていたら、最初からわいせつな仕事をさせられた。
その後も、契約書の存在を盾にわいせつな仕事をさせられて、プロダクションの一存でAV撮影も強行されてしまいました。
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(池内さおり 衆議院議員)
女性は、やりたくないと懇願をしたけれども、既に契約が成立しているので、もし従わなければ違約金が生じると、高校を卒業して進学をしていた彼女には到底支払うことができない金額を示されて、彼女はやむなく応じざるを得なかった。
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(2015年9月9日 東京地方裁判所 原克也裁判長)
原告(プロダクション)は、第1次契約に基づき、被告が未成年の間は露出度の高いグラビア撮影等に従事させ、被告が成年になった月である平成〇年〇月に、1本のアダルトビデオのため複数回にわたり撮影に従事させた。
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(2015年9月9日 東京地方裁判所 原克也裁判長)
実際にも、被告がどんなグラビア撮影やアダルトビデオ撮影に従事するかについては、被告の意思にかかわらず、原告(プロダクション)が決定していた。
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(池内さおり 衆議院議員)
撮影の一日目には数名の男性によって性行為を繰り返し強要された、そのショックで放心状態にあるときにAV出演の契約書に署名捺印をさせられたということです。
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(2015年9月9日 東京地方裁判所 原克也裁判長)
原告(プロダクション)は、平成〇年〇月〇日、(略)業務内容に「アダルトビデオ」を明示した第2次契約の契約書に署名捺印させた。
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(池内さおり 衆議院議員)
その後もAVの撮影が続いて、もうやめさせてほしいと何度も懇願したけれども、聞き入れてもらえなくて、あげくに、AVに出演しなければ一千万円の違約金が必要だとおどされて、AVの撮影に従事をさせようとしたわけなんです。
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(2015年9月9日 東京地方裁判所 原克也裁判長)
そして、原告(プロダクション)は、被告に対し、あと9本のアダルトビデオへの出演が決まっていること、これを拒否した場合には1000万円くらいの違約金がかかることを告げて、第2次契約に基づき、被告をアダルトビデオの撮影に従事させようとした。
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(2015年9月9日 東京地方裁判所 原克也裁判長)
アダルトビデオへの出演は、(略)、出演者である被告の意に反してこれを従事させることが許されない性質のものといえる。
それなのに、原告(プロダクション)は、被告の意に反するにもかかわらず、被告のアダルトビデオの出演を決定し、被告に対し、第2次契約に基づき、1000万円という莫大な違約金がかかることを告げて、アダルトビデオの撮影に従事させようとした。
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(池内さおり 衆議院議員)
女性は出演を拒否して、こうした女性の救出、支援を行っている民間団体、PAPSという団体ですが、自力で探し当てて相談をしたわけなんです。
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相談を受けたPAPSは直ちに契約解除の通告を行って、プロダクション側から女性に損害賠償請求を行った。
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(2015年9月9日 東京地方裁判所 原克也裁判長)
被告は、グラビア撮影の内容及びアダルトビデオへの出演が、第1次契約の当初より被告の意に反する業務であったため、平成〇年〇月〇日のグラビア撮影及び翌3日のアダルトビデオ撮影の直前である同月1日に、支援者を通じて、原告(プロダクション)に対し、第1次契約及び第2次契約を解除する旨の意思表示をした。
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(2015年9月9日 東京地方裁判所 原克也裁判長)
第1次契約及び第2次契約の内容は、被告が出演するものについて原告(プロダクション)の決定に従わねばならず、出演しなかった場合に損害賠償義務を負うとされているに対し、被告の得られる報酬の額や支払方法について具体的な基準は定められていない。
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(池内さおり 衆議院議員)
だからこそ、今回この裁判は事業者が起こしています。
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(池内さおり 衆議院議員)
判決は、AVへの出演は、原告、これは芸能プロダクションのことですけれども、この原告が指定する男性との性行為をすることを内容とするものであるから、被告、これは女性の方です、この意に反して従事させることが許されない性質のものである、このように決して、契約解除が正当であるというふうに述べました。
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(2015年9月9日 東京地方裁判所 原克也裁判長)
被告の解除は、(略)、契約上の規定にかかわらず、「やむを得ない事由」があるときは、直ちに解約の解除をすることができるものと解するのが相当である(民法628条)。
(※参考。民法 第628条)
「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」
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(2015年9月9日 東京地方裁判所 原克也裁判長)
アダルトビデオへの出演は、原告が指定する男性と性行為等をすることを内容とするものであるから、出演者である被告の意に反してこれを従事させることが許せない性質のものといえる。
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(2015年9月9日 東京地方裁判所 原克也裁判長)
被告には、このような原告との間の第2次契約を解除する「やむを得ない事由」があったといえる。
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(池内さおり 衆議院議員)
加害者が起こした裁判で、見事に加害者が負けたというのが今回の裁判です。
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被害者は上述の女性だけでありません。
あらためて言うことでもありませんが。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。 |
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(再掲。東京地方裁判所 原克也裁判長。2015年9月9日)
「アダルトビデオへの出演は、(略)、出演者である被告の意に反してこれを従事させることが許せない性質のものといえる」
現在、法務省内に設置された検討会で、刑法の改正が審議されています。
AV出演強要犯の処罰も論議の対象となっています。
(参考。当ブログ)
・2020年11月19日
一刻も早く、AV出演強要をおこなったクズどもを刑務所に打(ぶ)ち込む規定ができてほしいものです。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)



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