今年(2020年)の1月のことです。
第二東京弁護士会は、懲戒申立が申し立てられていたAV弁護士を戒告処分にしました。
この決定に対して、懲戒申請者は、日弁連に異議を申し立てました。
11月10日、日弁連は、停職1月の懲戒に変更しました。
(参考。当ブログ)
・2020年11月17日(※AV弁護士の業務停止1カ月について【その1】)
・2020年11月21日(※AV弁護士の業務停止1カ月について【その2】)
このたびの日弁連の懲戒書をみてみます。
(2020年11月10日 日弁連 会長「懲戒書」より、引用。)
<一部分を抜粋>
●2020年11月10日 日弁連 荒(あら) 中(ただし) 会長
|
(参考。弁護士法)
□第64条の5 第4項
日本弁護士連合会の懲戒委員会は、原弁護士会がした懲戒の処分が不当に軽いとする異議の申出につき、第一項の異議の審査によりその異議の申出に理由があると認めるときは、懲戒の処分の内容を明示して、懲戒の処分を変更することを相当とする旨の議決をする。 この場合において、日本弁護士連合会は、当該議決に基づき、原弁護士会がした懲戒の処分を取り消し、自ら対象弁護士等を懲戒しなければならない。 |
——————————————————–
くりかえします。
AV弁護士に対する第二東京弁護士会の判断は、懲戒です。
日弁連は、停職1月です。
なぜこのようなちがいとなったのでしょうか。
簡単に言いますと、基本的なところでは、日弁連と第二東京弁護士会の考えは一致しています。
第二東京弁護士会は、その基本的な枠内に踏みとどまりました。
日弁連は、もう一歩を踏み出しました。
昨日の当ブログで参照した日弁連の議決書をもう一度ふりかえってみます。
(11月9日 日弁連 懲戒委員会「議決書」より、引用。)
日弁連と第二東京弁護士会の考えが一致している点
(日弁連、第二東京弁護士会)
|
(参考。職業安定法)
●第63条
次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
二 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者 |
(参考。弁護士職務基本規程)
●37条
(法令等の調査)
1 弁護士は、事件の処理に当たり、必要な法令の調査を怠ってはならない。 2 弁護士は事件の処理に当たり必要かつ可能な事実関係の調査を行うように努める。 |
(日弁連、第二東京弁護士会)
|
(再掲)
「顧問弁護士として、同法(職業安定法第63条第2号)による規制について必要な調査を行うべきであった」
「違法行為を行うことを止めることを助言等しなかった」
この点について、日弁連と第二東京弁護士会は、認識を一(いつ)にしています。
第二東京弁護士会は当該弁護士を戒告にしました。
日弁連はちがいました。
さらに踏み込みました。
日弁連がさらに踏み込んだ点
(日弁連)
|
(参考。弁護士職務基本規程)
(違法行為の助長)
●第14条
弁護士は、詐欺的取引、暴力その他違法若しくは不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない。 |
(日弁連)
|
——————————————————–
当該弁護士は業務停止1月となりました。
個人的には、日弁連と第二東京弁護士会の考えが一致している箇所が重要である、と考えます。
(再掲。日弁連と第二東京弁護士会の考えが一致している箇所)
「顧問弁護士として、同法(職業安定法第63条第2号)による規制について必要な調査を行うべきであった」
「違法行為を行うことを止めることを助言等しなかった」
このことについて第二東京弁護士会は、自身の議決書のなかでつぎのように言っています。
(令和元年12月23日 第二東京弁護士会 懲戒委員会「議決書」より。)
<12ページ>
●令和元年12月23日 第二東京弁護士会 懲戒委員会
|
——————————————————–
「AVを制作、販売する事業主の顧問弁護士になったことが、本件における根本的な問題ということができる」
数多(あまた)のAV弁護士は、この議決を知って、背中に冷たいものを感じたことでしょう。
(2016年3月4日 Yahoo!ニュース「AV出演強要被害 テレビ出演を偽装しての撮影、出演者が自殺したケースも」より引用。)
<一部分を抜粋>
●2016年3月4日 小川たまかさん
「会見に出席した角田由紀子弁護士は『契約書の内容が非常に巧妙で、弁護士など法律の専門家が関与しているとしか思えない。普通の人がパッと見せられて、読み解ける内容ではない』と話した」 |
——————————————————–
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。 全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。 |
——————————————————–
弁護士もまた、AV出演強要の加担者です。
駆逐がもとめられます。
——————————————————–
■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
香西咲さんを勝手に応援するサイトへ
さて、本記事の先例と4年前に出した日弁連綱紀委員会の先例を、ここでプラスしてみます。
(1)提訴はこの女性や同様の立場にいる女性にAV出演を強制する行為とみなされる恐れがある(2)請求額の妥当性や、提訴が女性の心理に与える圧力などを十分に検討していない
そして本記事の議決です。
この2つの日弁連懲戒委員会の議決及び日弁連綱紀委員会の議決、先例を基にAV弁護士にはAV出演強要の加担者として足を洗っていただきたいと思います。
懲戒請求されない間に、この手の事件処理とは縁を切った方がいいですよ。
弁護士法を引用します。
弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とします(弁護士法1条1項)。
弁護士は、この使命にもとづいて誠実に職務を行います。
上記引用終わり
AV弁護士には少なくとも、弁護士法1条1項は存在しませんね、聞いてる宮本智先生?