いま、法務省の性犯罪に関する刑事法検討会で、刑法の性犯罪の規定を改正するかどうかの審議がおこなわれています。
□法務省 性犯罪に関する刑事法検討会
<開催状況>
・第1回(2020年6月4日)※議事録公開
・第2回(2020年6月22日)※議事録公開
・第3回(2020年7月9日)※議事録公開
・第4回(2020年7月27日)※議事録公開
・第5回(2020年8月27日)※議事録公開
・第6回(2020年9月24日)※議事録公開
・第7回(2020年10月20日)※議事録準備中
・第8回(2020年11月10日)※議事録準備中
同検討会では、AV出演強要も論議の対象となっています。
これまでの経緯をみてみます。
法務省 性犯罪に関する刑事法検討会
2020年7月27日
第4回 性犯罪に関する刑事法検討会
(2020年7月27日 第4回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<12~14ページ>
●2020年7月27日 齋藤梓 委員(臨床心理士)
(前略。)
最後に、「性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方」についてです。
(参考)
□性犯罪に関する刑事法検討会 論点整理(案)
第1 刑事実体法について
8 性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方
○ 他人の性的な姿態を同意なく撮影する行為を処罰する規定を設けるべきか
○ 撮影された性的な姿態の画像の没収(剥奪)を可能にする特別規定を設けるべきか
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アダルトビデオ出演の強要でありますとか、盗撮だけではなく、同意なく撮影する行為も幅広く含まれるのかという点が一つです。
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●2020年7月27日 法務省 岡田参事官
(前略。)
それから、性的姿態の撮影行為に関して、アダルトビデオの出演の強要のような場合についても含まれるのかという観点の御質問ですけれども、どのようなものを処罰の対象とすべきかというところから、この検討会で御議論いただくべきものと考えております。
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その際に、同意なく撮影をされるということについての被害がどういうものであるかですとか、何を処罰しようとするのかという観点からも、御議論を頂ければと思っております。
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●2020年7月27日 山本潤 委員(一般社団法人Spring代表理事)
(前略。)
第1の8の「性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方」についてなのですけれども、やはり、私も、アダルトビデオ出演強要は、人身取引も含めて非常に問題だと思っています。
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デジタル化が進み、画像が拡散・拡大していくような問題をどのように解決していくのかということについても、議論していただければと思います。
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画像等が拡散していくので、没収や削除が非常に難しく、被害がデジタルタトゥーとして永遠に記録されているということ自体が、被害者にとって、忘れられない烙印として残ってしまっているという問題があります。
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アダルトビデオ出演強要は契約の問題というふうにも言われ、非常に難しいところはあるのですけれども、自分の性的な姿態が録画され、それを後から取り消すことができないということの問題や、また、だまされたり、脆弱な立場に乗じるなど、その他の強制力によって、性的な行為を撮影・録画された映像が拡大していくという問題について、「性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方」に、ぜひ含めていただければと思っています。
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●2020年7月27日 上谷さくら 委員(弁護士)
第1の8の一つ目の「〇」の性的姿態の撮影行為に関するところで補足させていただきたいのは、撮影だけでなく、譲渡とかインターネットに載せる行為など、盗撮に関してどこまでの行為を処罰するのかということについても、ぜひ検討をしていただきたいなと思います。
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●2020年7月27日 法務省 岡田参事官
事務当局から補足して御説明をしたいと思います。
ただ今御指摘のありましたような、性的な姿態を撮影した画像の譲渡や拡散行為につきましても、第1の8の一つ目の「〇」の論点のところで御議論がなされるものと思っております。
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2020年8月27日
第5回 性犯罪に関する刑事法検討会
(2020年8月27日 第5回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<1ページ>
●2020年8月27日 法務省 岡田参事官
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次に、第1の「8 性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方」の一つ目と二つ目の「〇」の表現を変更しております。
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「論点整理(案)」では、罰則を設けるか否かの検討を要する行為として、「他人の性的な姿態を同意なく撮影する行為」を掲げていたところ、撮影された画像を譲渡することやインターネット上に流出させる行為の処罰についても議論すべきであるとの御指摘がございましたので、「画像を流通させる行為」も追加いたしました。
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また、「論点整理(案)」では、設けるか否かの検討を要する特別規定として、「撮影された性的な姿態の画像の没収(剥奪)」を掲げていたところ、画像データの消去についても議論されるべきであるとの御指摘がございましたので、「剥奪」を「消去」に改めました。
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2020年9月24日
第6回 性犯罪に関する刑事法検討会
(2020年9月24日 第6回性犯罪に関する刑事法検討会「議事録」より、引用。)
<30ページ>
●2020年9月24日 井田良 座長(中央大学教授)
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<31ページ>
●2020年9月24日 上谷さくら 委員(弁護士)
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同意なく撮影する行為というのも、大きく分けて現在の条例で規制されているような、いわゆる盗撮と、強制性交等などの場面を撮影する行為の二つの場面があるのかなと思っています。
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画像を流出させる行為というのは、場合によっては盗撮そのものよりも悪質で、被害者の被害回復を妨げる大きな要因になっていることは明らかであるので、このような行為についても是非とも法律で規制していただきたいと思っています。
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<32ページ>
●2020年9月24日 齋藤梓 委員(臨床心理士)
例えば、町中で声をかけられてアルバイトに行って、最初は普通に撮影したけれども、年上の男性たちに囲まれて下着を見せてと言われて、結果的に脅されてアダルトビデオの撮影をされるというようなこともあります。
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生徒や学生たちが複数人の同級生に囲まれて撮影されながらレイプされるということもあり、そして、その動画を同級生たちに拡散された場合、その地域で生きること自体ができなくなります。
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同意のない撮影には、性行為にも撮影にも同意していないとか、性行為に同意して撮影に同意していないとか、トイレとか階段とか塾とか大学内で盗撮されるとか、脅迫を用いて撮影することに同意させられるとか、いろいろなことがありますけれども、いずれにしても同意なく性的姿態を撮影されるということ自体が、被害者の尊厳を侵害すると、被害者心理の専門の立場からは考えています。
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<33~34ページ>
●2020年9月24日 橋爪隆 委員(東京大学教授)
私も、性的な姿態を同意なく撮影する行為については、撮影されたデータが固定され、それが拡散する危険性があることに鑑みますと、被害者の利益を重大に侵害する行為であり、条例レベルの対応では必ずしも十分ではなく、刑法典としてこれを処罰する必要性が高いと考えております。
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特に、撮影されたデータやその記録媒体を没収・消去の対象にするためにも、その前提として撮影行為を処罰対象に含める必要性は高いと思います。
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第3点目として、アダルトビデオの出演強要問題について簡単に言及しておきたいと存じます。
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問題を正確に理解していないかもしれませんが、この問題は、盗撮の問題とは異なる側面を有する問題であるような印象を持っております。
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と申しますのは、盗撮行為であれば、性行為については同意があるけれども、撮影行為については同意がないというケースがままあり得るわけであり、それゆえ撮影行為を独立に処罰することの要否が問題となるわけです。
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しかし、アダルトビデオの出演強要につきましては、性的行為と撮影行為が密接不可分な関係にあることから、性行為については同意があるけれども、撮影に限って同意がないというケースはほとんど考え難いような気がしまして、むしろ、性行為自体についても同意の有無について疑問が生ずる事件が含まれているように思われます。
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そのような事例につきましては、むしろ、強制性交等罪や準強制性交等罪の適用についても問題にする余地があると思います。
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例えば、被害者が抗拒不能の状態にあることに乗じて、被害者に服を脱ぐように命じて、裸の写真を撮影するような行為は、服を脱がせて撮影する行為全体を評価した上で、準強制わいせつ罪の適用を検討する余地があると思われます。
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このように、アダルトビデオの出演の場合、性的行為に応ずることと撮影に応ずることは同一の意思決定によって行われる場合が多いことから、まずは性的行為自体についての同意・不同意の限界を明確化する作業が必要になりますし、このような意味においては前回の検討会で議論しましたように、暴行・脅迫要件や抗拒不能要件の意義についての議論を踏まえながら、更に性的行為自体に関する同意・不同意の限界について検討する必要があると考えます。
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<34~35ページ>
●2020年9月24日 宮田桂子 委員(弁護士)
同意がないような状態での撮影が、今、問題になっているわけですけれども、同意があっても、瑕疵がある場合はあります。
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例えば、顔は写さないと言っていたけれども、顔まで写された。あるいは、自分が個人で持っておくからと言われて撮影に応じたら拡散されたというような場合に、これを同意と言うのか、言わないのかという問題が生じる。
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また、リベンジポルノ法では、本人の同意があったものであっても、それが意に反して拡散された場合には処罰されるということになっておりまして、同意があれば処罰の対象にならないものになってしまうのかという議論もあり得ると思います。
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今、橋爪委員が、アダルトビデオについて、性行為の強要まであれば強制性交等罪等の成立があるのではないかとおっしゃいましたけれども、その辺についての了解もある、撮影についても了解がある、しかしながら、その販売範囲などについて説明が全然違っていたというふうな事例、つまり、こんなに広く拡散されるとは思わなかった、特定の人物にしか見られないと思って撮影に同意したようなことも起こり得ます。
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そういう意味で、性的画像については、私は、同意なく撮影される盗撮が当罰性がないと言うつもりはありませんけれども、例えば、本当に性的な行為に及んでいない、写真の中で顔だけ別人の顔を張り付ける、そういう合成写真の技術なども非常に発達しておりますので、自分が性的な対象物としていつのまにかインターネット上に情報がさらされているということなども頻繁に起きてくることでございますので、まず、今般、デジタル庁もできることですし、個人情報のコントロールという意味において、個人を特定できる情報、取り分け性的な情報に対して、それを加害と言おうが言うまいが、これは被害だと思った人、こんな情報をさらされてはかなわないと思う人が容易にアクセスできるような方策を直ちに充実させることの方が重要であるように思っています。
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そういう意味で、犯罪として処罰するというよりも、いや、犯罪として成立するか否かを考える前に、被害者の救済がどうやったらできるのかというところをもっと本当は考えなくてはいけないのではないかと思っているというところです。
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<35~36ページ>
●2020年9月24日 川出敏裕 委員(東京大学教授)
一定の盗撮行為を処罰の対象とすべきだということについては、ほぼ異論のないところだと思います。
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これまでの御意見の中で処罰規定を設ける必要があるとされる様々な事案が指摘されていますが、それらは大きくは三つの類型に分けられるのではないかと思います。
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第2は、強制性交等罪等の犯行状況を撮影する類型です。この類型には、被害者が撮影を認識している場合としていない場合の両方がありますけれども、被害者は性交等について同意しておらず、そうである以上は撮影についても当然に同意しておりませんので、同意のない撮影ということになります。
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それから第3は、アダルトビデオの出演強要のような事案で、欺罔や威迫によって、性的な姿態を撮影することに同意させられるという類型になります。
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この類型につきましては、先ほど橋爪委員から御指摘があったように、欺罔や威迫による性行為等についても広く強制性交等罪等が成立するという規定を設ければ、第2の類型として処理することが可能なのですが、性行為等については、そこまでカバーする処罰規定を設けない場合には、撮影について同意に瑕疵があるということで、同意のない撮影として処罰の対象にすることも考えられるのではないかと思います。
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また、この類型は、第2の類型とは違って、性行為等を行う者と撮影する者が別で、撮影者の主目的は撮影自体にありますので、第2の類型とは別個の類型として考えた方が実態に合うようにも思います。
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ここでは三つの類型を挙げましたが、これ以外の類型も考えられるかもしれません。
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いずれにしましても、処罰規定の創設を検討するに当たっては、処罰すべき類型を抽出した上で、その類型ごとに要件等を検討するという手順を踏む必要があるかと思います。
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<36ページ>
●2020年9月24日 井田良 座長(中央大学教授)
もう時間がまいりましたし、この論点についてもかなりいろいろな御意見をお伺いできましたので、本日の議論につきましてはここまでとさせていただきたいと思います。
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この後検討することを予定しておりました第1の「8」の二つ目の「〇」、
「撮影された性的な姿態の画像の没収(消去)を可能にする特別規定を設けるべきか」
については、次回、第7回の会合(2020年10月20日)において議論することとし、次回の会合では、第1の「8」に加えて、第2の「1 公訴時効の在り方」、「3 いわゆるレイプシールドの在り方」、「4 司法面接的手法による聴取結果の証拠法上の取扱いの在り方」についての検討を行いたいと思うのですけれども、そのような進め方とさせていただくことでよろしいでしょうか。
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(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。 |
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(再掲。川出敏裕 委員【東京大学教授】。2020年9月24日)
「一定の盗撮行為を処罰の対象とすべきだということについては、ほぼ異論のないところだと思います」
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(再掲。橋爪隆 委員【東京大学教授】。2020年9月24日)
「そのような事例(AV出演強要)につきましては、むしろ、強制性交等罪や準強制性交等罪の適用についても問題にする余地があると思います」
「アダルトビデオの出演の場合、性的行為に応ずることと撮影に応ずることは同一の意思決定によって行われる場合が多いことから、まずは性的行為自体についての同意・不同意の限界を明確化する作業が必要になりますし、このような意味においては前回の検討会で議論しましたように、暴行・脅迫要件や抗拒不能要件の意義についての議論を踏まえながら、更に性的行為自体に関する同意・不同意の限界について検討する必要があると考えます」
(再掲。川出敏裕 委員【東京大学教授】。2020年9月24日)
「この類型(AV出演強要)につきましては、先ほど橋爪委員から御指摘があったように、欺罔や威迫による性行為等についても広く強制性交等罪等が成立するという規定を設ければ、第2の類型(強制性交等罪等の犯行状況を撮影する類型)として処理することが可能なのです」
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もっとも理想的なのは、強姦罪(強制性交等罪)や準強姦罪(準強制性交等罪)での処罰です。
犯人をより長く牢屋に打(ぶ)ち込んでおくことができます。
現在、性犯罪に関する刑事法検討会は、「同意・不同意の限界」を論議しています。
AV出演強要をおこなった輩に対して、強姦罪(強制性交等罪)や準強姦罪(準強制性交等罪)が適用されることを切望します。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)



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