日本学術会議の提言
刑法の性犯罪の規定から「暴行・脅迫」要件を撤廃すべき、との声が高まっています。
日本学術会議も同様の主張をしています。
日刊スポーツ(※共同通信)が5日前(2020年11月9日)に報じた記事を参照します。
(2020年11月9日 日刊スポーツ「「同意ない性交を犯罪化すべき」日本学術会議が提言」より、引用。)
●2020年11月9日 日刊スポーツ(※共同通信)
9月にまとめられた提言も暴行・脅迫要件を問題視。 |
同意がない性交自体が被害者に深刻な影響を与えるのに、この要件を満たさなければ加害者が処罰されない現状について「被害者保護の観点が不十分」と指摘した。 |
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「9月にまとめられた提言」は、日本学術会議のホームページに掲載されています。
□2020年9月29日 日本学術会議「『同意の有無』を中核に置く刑法改正に向けて―性暴力に対する国際人権基準の反映―」
(参考。当ブログ)
<「9月にまとめられた提言」について>
・2020年11月10日
・2020年11月11日
・2020年11月12日
・2020年11月13日
先月(2020年10月)の20日に、第7回性犯罪に関する刑事法検討会が開催されました。
「9月にまとめられた提言」は、この会議へ提出されています。
(法務省のホームページより、引用。)
●2020年10月20日 第7回性犯罪に関する刑事法検討会
参考資料6 「同意の有無」を中核に置く刑法改正に向けて -性暴力に対する国際人権基準の反映- |
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※ 参考資料6の日本学術会議ホームページにおける掲載については以下のリンクを参照ください。 |
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日刊スポーツ(※共同通信)の記事をつづけます。
●2020年11月9日 日刊スポーツ(※共同通信)
刑法の性犯罪規定について、専門家で構成される日本学術会議の3つの分科会は、現行法の問題点を指摘し、国際的な人権基準を反映した法改正を求める提言をまとめた。 |
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3分科会の一つで法学委員会ジェンダー法分科会の三成美保委員長は、取材に 「性暴力は顔見知りの間で力関係の差によって生じやすく、被害女性は凍り付いて抵抗できないケースが多い。『いかなる性行為も同意の上でなければ罰せられる』という国際人権基準を日本の刑法にも反映し、刑事司法全体にジェンダー平等の視点を取り入れるべきだ」 と述べた。 |
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「各国と同様、同意のない性交自体を犯罪化する規定に変えるべきだ」とした提言は影響を与えそうだ。 |
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このたびの提言はまだ公開されていません。
●2020年11月9日 日刊スポーツ(※共同通信)
法改正を巡っては、法務省の検討会で(2020年11月)10日から個別の規定について具体的な議論が始まる。 |
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第8回性犯罪に関する刑事法検討会
4日前(2020年11月10日)に、第8回性犯罪に関する刑事法検討会が開催されました。
昨日、同検討会の議事次第と資料が公開されました。
□議事次第
(引用)
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□資料・・・・・・性犯罪に関する刑事法検討会 意見要旨集(第5回会議分まで)
「第5回会議分まで」とあります。
これまでの性犯罪に関する刑事法検討会の開催状況は以下のとおりです。
・第1回(2020年6月4日)※議事録公開
・第2回(2020年6月22日)※議事録公開
・第3回(2020年7月9日)※議事録公開
・第4回(2020年7月27日)※議事録公開
・第5回(2020年8月27日)※議事録公開
・第6回(2020年9月24日)※議事録準備中
・第7回(2020年10月20日)※議事録準備中
・第8回(2020年11月10日)※議事録準備中
議事録は現在、第5回目のものまでが公開されています。
今回公開された資料(意見要旨集)も、「第5回会議分まで」となっています。
一読しました。
これまでの論議がごく簡単にまとめられています。
「暴行・脅迫」要件に関する部分を引用します。
(2020年11月10日 第8回性犯罪に関する刑事法検討会「性犯罪に関する刑事法検討会 意見要旨集(第5回会議分まで)」より、引用。)
「暴行・脅迫」要件
暴行・脅迫要件は、被害者の意思に反する性行為であることを明確に認定するための徴表として機能しており、これによって処罰範囲が過剰に限定されているわけではないと考えられるが、これを限定的に捉える解釈の余地が全くないわけではなく、国民一般に性犯罪の成立範囲が過剰に限定されているかのような印象を与えることも適当ではないから、暴行・脅迫という文言が実務の運用にばらつきが生じる原因となり得ることを踏まえ、改正の可能性を含めて検討すべき。 |
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177条の暴行・脅迫については、解釈によって処罰範囲を広げてきた経緯があるが、国民の間に統一的な意識が共有されていないのが現状であり、解釈論で広げるという対応には限界があると思われるから、本来処罰すべきものが何であるかが条文上明確に伝わるようにすべき。 |
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177条の暴行・脅迫要件を撤廃すると、激しい暴行・脅迫を要するものとそれを全く問わないものとが同一の条文で規定されることとなるが、法律としてそれでよいか、立証方法が全く異なるものが同じ条文に規定されていてはかえって適用しづらいのではないか、刑の下限が相当下がることになるのではないか、という懸念がある。 |
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暴行・脅迫の要件を撤廃して、被害者の同意がないことに決定的な意味付けを与えることとすると、そのことが被害者にとって負担となることが懸念されるため、被害者の意思そのものより、不同意を根拠付ける状況、手段、状態の有無を要件とすることが適切。 |
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暴行・脅迫や抗拒不能の要件は、例えば、被害者が大きな恐怖やだまされたことにより性交されたという状況で、同意がないことの徴表として、一定の縛りをかけるものとして機能しているから、仮に同意なき性交という構成要件を作ったからといって、それによって処罰範囲が広がることとなるのかについても検討すべき。 |
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暴行・脅迫要件を撤廃するより、暴行・脅迫の程度を緩和したり文言を追加したりして、きめ細かく規定する方が、同意のない性交をきちんと処罰できるようになり、被害者救済につながる。 |
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177条については、判例上必要とされている「抗拒を著しく困難にさせる程度」という要件を条文に書き込み、これとは別に、もっと軽い類型として不同意性交等罪を設け、「抗拒を著しく困難にさせる程度」には至らない暴行・脅迫といった要件とし、さらに、不同意が外形的に認識できる客観的要件を設けるという方策が考えられる。 |
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同意はしていないが抵抗できない原因として、本人の意思とは関係なく生じ、体が動かなくなる「Tonic immobility」という反応があり、同意の有無と抵抗の有無とを結び付けて抵抗だけを重視するのは問題であり、より広い事情を拾うべき。 |
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不同意であるか否かは、内心の要素にとどまらず、それを徴表する具体的な行為との関連で判断しなければならず、そのためには、条文に解釈規定ないし認定基準としての客観的要素を列挙すべき。 |
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抗拒不能の要件は、条文上、心神喪失と並べて規定されていることもあり、実務上、抗拒不能に該当するか否かの判断に悩むことが多いし、裁判例を見ても、抗拒不能の判断が第一審と控訴審とで分かれているものもあり、このような事態への対応として、薬物や飲酒などを列挙することは有用と思われる。 |
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同意がないことを表す一定の場合、例えば、被害者が泣いている場合を規定するとすると、被害者の個人的な事情が争点になって被害者の負担が増加することが考えられるし、訴追側にとっても防御側にとっても、争点の拡散が生じることとなる。 |
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手段として、暴行・脅迫のほか、威迫、不意打ち、偽計、欺罔、監禁を加えるべき。 |
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抗拒不能の要件の明確化として、「人の無意識、睡眠、催眠、酩酊、薬物の影響、疾患、障害、洗脳、恐怖、困惑その他の状況により、特別に脆弱な状態におかれている状況を利用し、又はその状況に乗じて」という要件とすべき。 |
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不同意性交
同意していなければ抵抗するだろうと思われているが、人は、恐怖や驚愕を感じたとき、性交したくないと思っていても有効に反応できないという実態があるし、虐待のような力による支配がなされている犯罪では、被害者が進んで性交する形になっている場合があることについても理解し、実態に即した検討をすべき。 |
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性犯罪の成立要件については、加害者の行為ではなく、被害者に生じている法益侵害から検討し、国際水準に従って同意なき性交を処罰することとすべきであり、一般にも司法関係者にも、明確な拒絶の意思表示がないことが同意を示すものではないということが理解されていないという問題があるため、性的行為に対する同意の在り方についても考えるべき。 |
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被害者から明確な同意を得ていない性交は犯罪となるべき。 |
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性行為は、それ自体は犯罪行為ではないから、同意なき性交を違法とすることで取り締まるべきではない性行為にも網がかからないか、この問題にどのような対応をしていけばいいのか、国民の間で議論すべき。 |
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「不同意」という言葉自体がかなり幅のある概念であり、例えば、一定の関係を有する相手の要求に対し、悩んだ挙げ句に最終的に性行為を甘受するに至った場合には、被害者の心理状態は多様であり、どこまでが「不同意」といえるかが明確ではないように思われるし、結婚すると偽ってだまして性交した場合に、被害者が錯誤に陥っており有効な同意がないとして犯罪の成立を肯定することは適当ではないから、どこまでを処罰すべきかという点については踏み込んだ議論が必要。 |
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性交は双方が合意を形成しながら互いに参加して行うものであるから、同意のない性交は処罰されるべきであって、被害者に抵抗や拒絶の意思表示を求めるのではなく、「Yes means Yes」型、すなわち、自発的に参加していない人に対してした性交を処罰の対象とすべき。 |
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人は、予期しない言動に混乱して体が硬直するなど、たやすく抵抗できない状態に陥るものであり、人の感情や意思をないがしろにして、その人の体を侵襲することは心身の侵害であり、人生に深刻な影響を及ぼす暴力であるから、不同意性交が罪として認識されるべき。 |
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仮に不同意を要件とする場合、被害者が同意していなかったことと被告人にその認識があったことについて、厳格な証明が必要となるが、被害者の内心を直接証明することは困難であるから、外部的・客観的な事実関係から認定する必要があり、その判断材料となり得る客観的な事実、具体的には、被害者の内心を徴表する行為態様や関係性等の客観的要件を明確に規定する必要がある。 |
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不同意性交が処罰されるべきであるが、性的同意という概念が浸透していない日本で、不同意性交という要件のみでは該当性判断が難しいのであれば、ほかの文言を列挙してもよい。 |
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先にみたとおり、日本学術会議は、「暴行・脅迫」要件の撤廃をもとめています。
こうした提言は今後の論議の行方におおきな影響をあたえるものと思惟します。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。 全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。 |
(再掲。性犯罪に関する刑事法検討会 意見要旨集(第5回会議分まで))
「手段として、暴行・脅迫のほか、威迫、不意打ち、偽計、欺罔、監禁を加えるべき」
「抗拒不能の要件の明確化として、『人の無意識、睡眠、催眠、酩酊、薬物の影響、疾患、障害、洗脳、恐怖、困惑その他の状況により、特別に脆弱な状態におかれている状況を利用し、又はその状況に乗じて』という要件とすべき」
AV業界人の手口のひとつに、洗脳、があります。
刑法を改正するさいには、ぜひ、上述の意見もとりいれてほしいものです。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
<2018年11月1日>
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
<2018年11月1日>
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
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