香西咲さん「セクハラ、パワハラは何処に相談するのが一番効果的なのかな?」(その16)。角田(つのだ)由紀子弁護士②。いちおうは、裁判をすれば勝つことができます

ハラスメントの被害をうけたとき、肝要なのは、泣き寝入りをしない、ということです。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2020年5月1日

セクハラ、パワハラは何処に相談するのが一番効果的なのかな?
もしご存知の方居たら教えてください。

被害者のなかには、自分も悪い、との感慨をお持ちのかたがいらっしゃいます。
はっきり言いまして、その考えはまちがっています。
たとえ被害者のかたが行為者に対して迎合メールを送っていたとしても、悪いのは相手側です。

(参考。当ブログ)
(15)2020年6月1日・・・・・・迎合メールの無効性について

被害者のかたは躊躇なさらずに、自身の被害をうったえていただければ、と思います。

(参考。当ブログ)
(1)2020年5月17日・・・・・・厚生労働省の相談窓口について
(2)2020年5月18日・・・・・・東京管理職ユニオンについて
(3)2020年5月19日・・・・・・角田(つのだ)由紀子弁護士について
(4)2020年5月20日・・・・・・上谷(かみたに)さくら弁護士について
(5)2020年5月21日・・・・・・宮田桂子弁護士について
(6)2020年5月22日・・・・・・弓田竜弁護士について
(7)2020年5月23日・・・・・・神原元弁護士について
(8)2020年5月24日・・・・・・太田真也弁護士について
(9)2020年5月25日・・・・・・東京管理職ユニオンについて②
(10)2020年5月26日・・・・・・東京管理職ユニオンについて③
(11)2020年5月27日・・・・・・東京管理職ユニオンについて④
(12)2020年5月28日・・・・・・東京管理職ユニオンについて⑤
(13)2020年5月29日・・・・・・プレカリアートユニオンについて
(14)2020年5月30日・・・・・・東京管理職ユニオンについて⑥
(15)2020年5月31日・・・・・・迎合メールの無効性について

本日はふたたび、角田由紀子弁護士についてふれます。
前回の記事につきましては、以下のブログをご覧ください。

(参考。当ブログ)
(3)2020年5月19日・・・・・・角田(つのだ)由紀子弁護士について

角田(つのだ)由紀子弁護士

角田(つのだ)由紀子弁護士は以前、国会で、セクハラに関する所感をのべられたことがあります。

(参考。動画 参議院インターネット審議中継)

2019年5月23日
 参議院 厚生労働委員会

この角田(つのだ)由紀子弁護士の論説は、当ブログでもとりあげました。

(参考。当ブログ)
2020年3月28日
2020年3月29日
2020年3月30日
2020年3月31日

今回は途中で解説等を入れずに、一挙、掲載をさせていただきます。

(2019年5月23日 動画 参議院インターネット審議中継「参議院 厚生労働委員会」より。)

音声の文字化は、筆者。)
2019年5月23日 角田由紀子 弁護士

弁護士の角田ともうします。
今日はお時間をいただきましてありがとうございました。

わたしはほぼ30年近く、セクシャルハラスメントの被害者の側に立って仕事をしてまいりました。

そこで今日は、いろんな問題があるんですけど、セクシャルハラスメント被害者への――話題になっております――司法的救済というのは本当に機能しているのか、というこの論点にしぼっておはなしをさせていただきたいというふうに思っています。

1989年、ご存じのように、ひとりの若い女性が、職場での語りにくい女性差別をなくそう、と初めてセクシャルハラスメントを理由として不法行為による損害賠償請求事件を福岡地裁に提訴しました。

で、それ以前は、それを告発することばも法的枠組も、日本にはありませんでした。

わたしはその裁判の原告代理人のひとりでした。

それ以来ですね、今日まで多くのセクシャルハラスメント事件を担当してきましたし、ほぼ30年間にさまざまな形態の事案もあつかってきました。

で、この、もうしあげましたこの第1号事件(福岡セクハラ訴訟)は92年(1992年)にですね、
不法行為である」
と認定されて、原告のほぼ全面勝訴でおわりました。

わたしたちはアメリカでのセクシャルハラスメント事件のあつかいを見習ったのですが、日本にはアメリカとちがって、職場の性差別禁止法がありません。
そこでわたしたちはやむなく、
「せめて違法行為として損害賠償をされるべき」
と考えて、当時、いまもですが、つかえそうな法律をふくめてたったひとつあった民法の不法行為をつかいました。

で、判決では、直接の行為者である編集長、に加えて、原告と編集長が勤めている会社の不法行為責任が明確にみとめられました。
で、原告は、
「それが不法行為であり慰謝料の支払い責任があるということを認定してもらうためには、性差別であるということを強調することが必要だ」
と考えましたので、つぎのように主張しました。

「いわゆるセクシャルハラスメントは、職場でおこなわれる相手方の意思に反する性的な言動であって労働環境に悪い影響をあたえるような行為を言う」

「それは相手方、とりわけ女性を性によって差別し、性的自己決定の自由等のプライバシーをふくむ人格権(※たとえば憲法第13条)を侵害するものであり、またはたらく権利を侵害し、ひいては生存権を脅かすものであって、憲法13条、14条民法1条等に違反する」

「このような性差別がゆるされないことは諸外国においてもすでに広く認識されており、さらに女性差別撤廃条約、男女雇用機会均等法、労働基準法等により、セクシャルハラスメントをうけずにはたらく権利を法律で保障されているのだ」
と。

つまり、性差別であって、自己決定権をふくむ人格権侵害であり、その結果、労働する権利がうばわれ、あげくには生存権がうばわれる、と。
こういう3段階にわたり違法行為であることがセクシャルハラスメントの特徴であります。

で、はたらく女性には、セクシャルハラスメント、まさに死活問題です。
わたしは30年にわたって被害者にかかわってきましたが、加害者からは、
「たったそれだけのことか」
と言われるような出来事であっても、被害者は心身におおきなダメージをうけ、仕事はもちろん、食べたり眠ったりする日常生活すら満足にこなせなくなっている、ということはけっしてめずらしいことではありません。

さらに行為そのものと、周囲の人々の誤った対応などからうける屈辱感、自尊感情の破壊などがもたらす被害は、傷そのものの身体的な傷のように外部からみえないので、理解されませんし、被害者はさらに苦しむことになるのです。
PTSDのもたらす心身の不調は、それを知らないひとには、単なるなまけもの、としてしかみえなかったりするわけです。

で、この最初の判決は――いままで法律問題とされてこなかった、しかし、はたらく女性の日常にとって、場合によっては人生をおおきく左右する出来事――社会的にも法的にもセクシャルハラスメントとしてみとめたものだと理解されています。

しかしいま30年をふりかえってみると、セクシャルハラスメント事件は不法行為のカタログをひとつ追加したのにすぎない面があったのでないか、というふうに思っています。

なぜならば、いまだに不法行為の枠を超えられず、本当に被害者がもとめているものを獲得できないからです。

被害者のもとめるものは、先ほどのなかには出てきましたが、
「事実をセクシャルハラスメントとみとめること」
それから、
「加害者が謝罪すること」
さらに、
「再発防止策をとる」
というこの3つです。

ところがですね、セクシャルハラスメント裁判を不法行為をつかってやってきた現在では、その限界を、わたしは、おおきくみえている、というふうに思います。

今回の改正案でも法的解決手段として、不法行為裁判しか考えられていないようですけれども、30年にわたってそのことをおこなってきたわたしの経験からは非常にそれは不十分であるし、結論としては、原告の救済になっていない、というふうに考えております。

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いろんな問題があるんですが、まずひとつは理論的な問題があります。
不法行為法という法的枠組は、性差別が本質であるセクシャルハラスメントの事案に適しているのだろうか、ということです。

問題の性質から、
「これは適さないんじゃないか」
不法行為という枠組はふさわしくないんじゃないか」
ということを民法学者からも言われています。

たとえば、立命館大学の木村和成さんです。

「不法行為法は財産権の侵害に対する損害の填補(てんぽ)を目的とするものとして形成、構成されてきた」
「人格権侵害にもとづく損害賠償請求の多くは、不法行為法の機能である損害の填補(てんぽ)を目的とするものではなく、他者の行為によって自身の人格が侵害されたことに対する個人の尊厳を守るための戦いである、と言ってもよい」
「財産権の侵害と決定的に異なるのはこの部分であって、それを抽象的に、権利侵害、として不法行為法上の保護法益として論じることは人格権の保護にとって適切であるとは言えない」
というふうにのべられております。

で、つまり、本来、財産権侵害に対する金銭の填補(てんぽ)を目的とするこの法律からは食(は)み出してしまうのではないか、ということなんですね。
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つぎに、被害者と加害者に平等な位置付けをあたえる司法手続き(つまり民事訴訟はそういうものですが)という、しかしこれは非常に時間のかかる手続きは、この事案に対して適切か、という問題があります。

で、不法行為、はご存じのように、もともと個人間の利益調整手段ですから、被害者の権利と加害者の権利をー
比較衡量をおこなうことは当然に起きるわけです。
で、裁判になるのは、事前の話し合いがつかなかった事案ですから、事案として非常にシビアな対立事件です。
で、そこでは、加害者は、裁判になれば、支払わなければいけない賠償金を払わせないために必死の抵抗をします。
有りと有らゆる自分に役に立つと思われる主張、立証をします。
で、不法行為、であるわけですので、過失相殺、という抵抗の場があたえられるわけなんですね。

これは、民法722条が、
「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」
と定めていることから、当然のあつかいになってきます。

で、第1号の事件(福岡セクハラ訴訟)も実は、原告の過失相殺がされました。
えー、「これからの事情やその他前記認定にあられた諸般の事情を考慮し」という極(きま)り文句でですね、原告の請求した慰謝料300万だったんですけども、みとめられたのは150万でした。

で、裁判は、原告と被告とが攻撃、防御(防禦)をくりかえす場ですが、過失相殺をゆるされることで、そのための主張、立証のために裁判期間は必然的に長引きます。
これは被害者からみれば、あらためて被害者側の攻撃にさらされ心身の負担がはげしくなる二次被害の期間でもあるわけです。

過失相殺との関係で、セクシャルハラスメント被害者の権利は理解できますが、加害者の権利、っていうのはいったい考えられるのでしょうか。
仮に加害者の権利が有り得るとしてもそれは被害者の侵害された権利と並べて比較衡量できるものなのでしょうか。
さらに言えば、過失相殺をゆるされても交通事故裁判で、100対0、ということはあるわけですね。
で、被害者の過失0ということを当然、認定することは可能なんですが、ジェンダー教育をほとんどうけていない裁判官にそれができるのでしょうか、という問題です。

多くの裁判官は男性原理にもとづく経験則やあいまいな社会通念や世間の常識と決別できてはいません。
自動車事故での過失の割り振りとは異なる困難がこの事件にはあります。
ここが同じ不法行為法による解決でも、自動車事故の解決と根本的にちがう、という問題ですね。

そもそもですね、性暴力被害における被害者の過失責任、つまり、何が注意義務違反か、ということですが、それは、性暴力に遭わないために被害者がとるべき言動がある、ということを前提にしている考え方だと思います。
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それから3番目の困難な問題は、不法行為法をもとにして裁判をおこないますと、ゴールは金銭賠償でしかない、ということですね。
そのうえに、日本では賠償金額が非常に低い、という問題があります。
セクシャルハラスメントは最初に申し上げましたように、3段階にわたる人権侵害、であって、しかもそれは性差別の結果です。

しかし、そういう認識がですね、明確にないものですから。
裁判所に。
被害は往々にして非常に低く見積もられてしまいます。
性差別、との認識はきわめて低いわけなので、ひとによってはさっき申し上げましたように、一生引き摺るような被害を賠償してもらうことにはなっていない、ということなんですね。
で、現状の法案では、司法的救済としてはあいかわらずですね、不法行為、というものが期待されているようなんですけど、それでは不十分であってとても被害者の救済には役に立たない、というのが30年間これをやってきたわたくしの結論でございます。
どうもありがとうございました。

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種々の課題が未解決、とは言え、セクハラの被害者は裁判で勝つことができます。

(再掲)
香西咲さん
2020年5月1日

セクハラ、パワハラは何処に相談するのが一番効果的なのかな?
もしご存知の方居たら教えてください。

裁判とは別に、労働組合に団体交渉をしてもらうという手もあります。
ご自身にとってより実利的な方法を選択していただければと思います。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
2018年11月1日
昨日から久しぶりの体調不良 あの頃の感覚をハッキリ思い出した。よくこんなストレスに何年も耐えてたなぁ。一般人に戻った私にはあの頃の気力も体力も残ってない。
2018年11月1日
まぁあの頃は常に死と比較して生きてきたから尋常ではなかったのだろうな。『死ぬくらいならAV出よう』『行先無くなったら人生止めればいいや』何をするにもこれが念頭にありました。そりゃAV出来た訳だわ。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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