3日前より、昨年の国会で角田由紀子弁護士が披瀝されたセクハラに関する所論をふりかえっています
(参考。動画 参議院インターネット審議中継)
□2019年5月23日 参議院 厚生労働委員会 |
(参考。当ブログ)
・2020年3月28日(セクハラに関する所論①)
・2020年3月29日(セクハラに関する所論②)
・2020年3月30日(倉林明子議員に対する答弁)
本日は、川田龍平議員と東徹議員の質問に対する角田弁護士の返答をみてみます。
2019年5月23日 参議院 厚生労働委員会
質疑者 ~川田龍平 参議院議員
(2019年5月23日 動画 参議院インターネット審議中継「参議院 厚生労働委員会」より。)
(※音声の文字化は、筆者。)
●2019年5月23日 角田由紀子 弁護士
ええと、ふたつのお訊(たず)ねがあったと思うんですけど。 |
まずひとつ。 いま、日本のなかでも、何か、日本語になってしまった、セクハラ、ということばがあるんですね。 |
このことばは、もともとはですね、ええと、わたしたちが1989年に福岡で最初に裁判をはじめたときには、ええと、、セクシュアルハラスメント、ということばではなくて、その当時、暫定的にあった日本語訳、性的嫌がらせ、ということばを使って、はじめたんですね。 |
で、しばらくやっていると、どうも、性的嫌がらせ、という日本語は、セクシュアルハラスメントの本来持っている意味と離れているんじゃないか、ということに気がついたんですが。 残念ながら弁護団で適切な訳をみつけ出すことができなかった。 |
そこで、セクシュアルハラスメント、というカタカナのままで、そのあとつづけていったんです。 |
そうするとですね、だいたい、第1号事件(福岡セクハラ訴訟)のときに、 「女性が何を生意気な」 というような反響がまわりからたくさんあったものですから。 えー、男性週刊誌、たぶん、文春か新潮かどっちかだったと思うんですが。 それが、そういうふうにセクシュアルハラスメントの告発をはじめた女性をなかば揶揄するような感じで、セクハラ、ということばをつくったんですね。 |
で、セクシュアルハラスメント、という英語そのものは、アメリカでは、そういう被害を体験している女性たちが編み出したことば、だったんです。 |
でも、日本では、残念ながらですね、セクハラ、という男性が揶揄する表現がつくられて。 |
しかもたしかに、セクシュアルハラスメント、よりは、セクハラ、のほうが言いやすいですよね。 書きやすい、ということがあって、それが流行語大賞にもなったことがあって、わあっと広がったんです。 |
広がったことはよいことではあるんですけれども、だいたいセクハラってなんなの、と意味がついていかないわけですね。 |
あの、日本で、英語をですね、カタカナにして、そして簡略語にする。 パーソナルコンピューターがパソコンになるのと同じように、そういうふうになっていくわけですね。 |
でも、まだ、物だったらですね、名前の問題だからわかるんですけれども。 セクシュアルハラスメント、というようなかなり複雑な概念になってくるとですね、セクハラ、というわかりやすい日本語になったとたんに、本来持っていた意味がすっかり抜け落ちてしまった、と。 |
それからもうひとつは、ええと、カタカナ語の持つ、まあ、宿命といいますか、本来の意味よりは軽くなる、ということがあって。 セクハラということばが広がったのはよかったけれども、意味がついていかないままになってしまった、というのがいま問題だと思うんですね。 |
それから、ええとですね、もうひとつ、教育についての問題なんですが。 わたしは、セクシュアルハラスメントをなくすのを、あるいは、防止するのをどうするのか、ということについて、教育をどうするかという議論が欠けているというふうに思っているんですね。 |
その教育というのは、何も学校教育だけではないんですけれども。 社会、あるいは、家庭、学校、いろんなところでの人権に対する教育がこの国では非常に弱い、ということがあると思うんです。 |
で、セクシュアルハラスメントは、先ほど申しましたように、性差別の問題ですから。 人権と差別、ということをしっかり、ちいさな子どのときから教育していくことができればー セクハラの裁判をやって30年ですね、ワンジェネレーションたっているので。 本当はですね、最初から教育の大事さがわかっていればかなりの変化があったのではないか、と思うんですけれども。 なんとなく曖昧のままで、人権の問題だという認識も薄かった、ということで、いまのような状況になっているんじゃないか、と私は思っております。 |
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つぎは東徹議員の質疑に対する答弁です。
質疑者 ~東徹 参議院議員
(2019年5月23日 動画 参議院インターネット審議中継「参議院 厚生労働委員会」より。)
(※音声の文字化は、筆者。)
●2019年5月23日 東徹 参議院議員
(前略。) つづきまして、角田参考人におうかがいをしたいと思います。 いま、高齢社会、ということで、高齢者施設とかですね、特にまた、訪問介護の現場ー 特に訪問介護の現場ではですね、ホームヘルパーさん、というかたがおられますけれども。 ホームヘルパーさん、なんかだと、74%がですね、利用者さんからですね、セクハラを受けたことがあるというような報道もですね、見たりとかしました。 |
日本経済新聞の記事を参照します。
(2018年7月3日 日本経済新聞「介護職員、7割がハラスメント経験 労組調査 」より、引用。)
<一部分を抜粋>
●2018年7月3日 日本経済新聞
調査は2018年4~5月に同ユニオンの組合員約7万8千人を対象にし、2411人が回答した。 |
1790人(74%)が「ハラスメントを受けたことがある」と答え、そのうち94%が利用者に暴言などパワハラ、40%がセクハラにあたる行為を受けていた。 |
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●2018年7月3日 日本経済新聞
セクハラでは「不必要に身体に触れる」(54%)や「性的な冗談を繰り返す」(53%)、「性的な関係の要求」(14%)などがみられた。 |
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北海道文化放送はこうしたセクハラの実態を詳報しています。
報道の一部を引用します。
(2018年12月9日 北海道文化放送「『いいもの見せてあげようか…』壮絶!常態化する介護現場のセクハラ被害【北海道発】」より、引用。)
<一部分を抜粋>
●2018年12月9日 北海道文化放送
ホームヘルパー(訪問介護員)として働く40代の女性も、セクハラ被害に遭っていた。彼女は最近、仕事中に70代の男性から、アダルトビデオを見せられたというのだ。 |
ホームヘルパー(40代): 「“いいもの見せてあげようか“と、テレビをつけ出して、アダルトビデオをつけた利用者様がいた。“やめてください“とは言ったけど、その言葉を言った後に音を大きくしていった。力だったら負けるんじゃないかとか、押さえられたり、怒らせすぎて首絞められたりとか、そういうことがあった時、怖いですよね。密室だから」 |
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●2019年5月23日 東徹 参議院議員
こういった介護現場、医療の現場でもあるのかもしれませんが、こういったですね、利用者さんからのそういったセクシュアルハラスメントについてですね、どうやってこう防止していけばいいのかですね、もし30年間のなかのいろんなこう相談とかいろんななかでですね、思うことがありましたらぜひ、お示しいただければと思います。 |
●2019年5月23日 角田由紀子 弁護士
あのー、わたし、30年やってきた、って、主として職場とか学校でのセクシュアルハラスメントについての被害者側の救済をどうするかという問題をやってきておりまして。 |
その介護施設のその利用者と、ええと、そのヘルパーさんとの関係については、訴訟等でわたし、あつかったことがありませんので、特に何か役に立つことを申し上げることはできないんですけれども。 |
でも、それはですね、社会全体の人権意識というものが高まるようなことをしないとですね、なかなかむずかしいんではないかと思うし、それをしなければいけない、というふうに私は思っておりますね。 |
介護事業なんかで働くひとたちがですね、そもそもその働いている施設のなかでもじゅうぶんに人権が尊重されていない、と。 賃金の問題も報酬の問題もふくめて、そういうあつかいを受けているわけですね。 |
そうすると、介護をやっているひとというのはそういう立場でいいんだ、というふうに社会全体が考え違いをしているところがあると思うんです。 |
(再掲。角田由紀子 弁護士)
「介護をやっているひとというのはそういう立場でいいんだ」
上述の日本経済新聞にも同種のことが書かれています。
(2018年7月3日 日本経済新聞「介護職員、7割がハラスメント経験 労組調査 」より、引用。)
<一部分を抜粋>
●2018年7月3日 日本経済新聞
自由記述では「介護職は(ハラスメントを)我慢するのが当然という風潮がある」などの意見があり、法整備や罰則強化、職員の心のケアを求める声もあった。 |
●2019年5月23日 角田由紀子 弁護士
そのことが、簡単にですね、セクシュアルハラスメントの加害行為を、加害する側がですね、ゆるされているんだ、という勘違いをする原因になっているんじゃないかというふうに思いますので、もっと全体的な意識をどうやって変えていくのか、という問題とつなげないと。 |
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(再掲。角田由紀子 弁護士)
「社会全体の人権意識というものが高まるようなことをしないとですね、なかなかむずかしいんではないかと思うし、それをしなければいけない、というふうに私は思っておりますね」
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年8月28日>
嗚呼また衝動的なフラッシュバックをお許しくださいm(_ _)m でも6年近く誰にも言えなかった事を、最近はメディアの皆様が代弁して下さるので、1人で抱えていたものをやっと吐き出せることが出来ました。 皆様に感謝致します。 |
AV出演強要につきましては、社会全体で、このような犯罪はゆるさない、との意識が高揚しました。
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(再掲。角田由紀子 弁護士)
「社会全体の人権意識というものが高まるようなことをしないとですね、なかなかむずかしいんではないかと思う」
人々のセクハラへの憤怒(ふんぬ)につきましてはまだAV出演強要の域に達していないようにも思えます。
社会全体の人権意識が高まることを切望します。
ちなみにセクハラをするやつは、モテない男、です。
くわしくは論じませんが。
モテない、というのは、罪、です。
こまったものです。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」
(明日のブログへつづく)
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