参議院厚生労働委員会における角田由紀子弁護士の所論(その3)。セクハラは顕在化するようです。AV強要について香西咲さんは、「反撃に出るタイミングを見計らっていました」

昨年、角田由紀子弁護士は国会で、セクハラについて意見をのべました。

(参考。動画 参議院インターネット審議中継)

2019年5月23日
 参議院 厚生労働委員会

一昨日から、このときの角田由紀子弁護士の論説をふりかえっています。

(参考。当ブログ)
2020年3月28日(その1)
2020年3月29日(その2)

上述の参議院厚生労働委員会では、4人の国会議員が角田弁護士に対して質問をしました。
本日は、倉林明子議員の質疑と、それに対する答弁をみてみます。

(2019年5月23日 動画 参議院インターネット審議中継「参議院 厚生労働委員会」より。)

音声の文字化は、筆者。)
2019年5月23日 倉林明子 参議院議員(日本共産党)

日本共産党の倉林明子です。
(中略。)
あの、先ほど、角田参考人のほうからですね、日本の裁判、裁判官の意識についてのー
裁判官についての意識ー
見解表明もあったんだけれども、本当にそういう問題意識、強く持っていまして。
先達て(せんだって)もですね、考えられない性暴力が無罪になるっていうようなことがあいついでいる、ということもやっぱりこの、大きな課題として受け止めるべきだろうな、というふうにあらためて思っているところです。

で、追加的にですね、ぜひ角田参考人にはお願いしたいと思っているのは、このセクシュアルハラスメントで被害を受けた被害者が裁判に打って出るっていうのは本当に大変なことだろう、と思うんですね。
で、裁判に立ち上がって、じゃ、裁判した。
しがい(やりがい)と言うんですか、そういう結果っていうのは得られているんだろうか、と。
あの、この間、闘ってこられて、感じられていることをぜひ、ご紹介いただきたいと思います。

2019年5月23日 角田由紀子 弁護士

はい。
ええと、わたくしはですね、89年(1989年)からセクシュアルハラスメントの裁判にかかわってきたんですけれども。
ええと、最初のうちはですね、ただ勝つわけなので、悪くはなかったんですけれども。
4、5年やっていくうちにですね、自分の依頼者が、本当ー
彼女が何を獲得したのか、ということがとても疑問になってきたわけですね。
単なる弁護士的な観点からだと、勝訴判決をもらってそれなりの、まあ、数100万円であっても賠償金が入るということは、仕事としては一応うまくいっている、ということになるんですけれども。
そのことを離れて、わたしの依頼人であるその原告の彼女はいったい何を獲得したのか、ということがだんだん疑問になってきたわけなんですね。
それで、わたしは、その疑問を持ちながらですね、不法行為というその枠のなかでやることの矛盾も考えました。

(参考。民法

第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

それからですね、ええと、やっぱり日本のなかでは、別にセクシュアルハラスメントでなくても、裁判をやるということはとても重大なこと、っていうか、重荷、のことなんですね。
で、特に、セクシュアルハラスメントで会社もふくめてうったえたい、というふうに思ったときには、これは大変むずかしい、というふうに思います。
で、日本人の意識では、ええと、御上(おかみ)に弓を引く、ということばがまだありますけれどもね。
自分の雇い主に対して何か要求する。
しかも、それを裁判でやる、ということは、非常に、あの、やりにくいことで、決意がいる、というふうに思うんですね。
それで、ええとですね、わたしが、ええと、考えるんですけれども、だいたい、裁判にうったえるひとというのは、とりわけセクシュアルハラスメントについて言えば、裁判に行く前の段階でですね、ほとんどエネルギーを使い尽くしている。
精も根も尽き果てている、という状況が率直なところではないかと思うんですね。
それなのに、それにもかかわらずですね、それにもかかわらず裁判をはじめるということはものすごくおおきなプレッシャーである、と。
それから、個人相手だけだったらまだいいんですけれども、会社をですねー
会社も相手にする。
なんで会社を相手にするかと言いますと、それは、損害賠償金のですね、獲得を容易にするためには、個人だけではなくて、会社があれば会社もうったえたほうがいい、ということになるわけなんですが。
そのときにですね、在職しながらー
在職しながらうったえるというのはとてもむずかしい、というふうに思うんですね。
で、わたしが、それこそ30年間にあつかった原告のひとたちで、在職しながら裁判やったひと、というのは、ふたりしかいないんです。
で、ひとりは、キャリアのあるひとですね。
だから、キャリアが中断するっていうことはとても彼女にとっては耐え難いことなので、なんとか、大変でも守り抜きたい、ということ。
それからもうひとりは公務員だったひとなんですね。
これも、普通の会社に勤めているひとよりはまだ立場上ましであった、ということがありました。
それ以外のひとはどうしたかというと、ほとんど全員が仕事を辞めてからですね、それでもやっぱりこの状況に納得できない、ということで、本当に文字どおり最後の手段として訴訟を起こすということになってきているわけなんですね。
で、会社に在職中のひとたちは、それではですね、まわりの同僚から支援を得られたか、と言うと、それはほとんど得られないですよね。
とにかく、なんだか、トラブルメーカーだ、というふうにあつかわれたりですね。
それから、まあ、いろいろ、よくないことを言われる。
非難される、ということ。
それから、あの、場合によってはですね、証言してやってもいいよ、というひともいるわけなんですね。
証人になってもいい、と。
で、そういうひとは、実際に会ってはなしを聞いてみて、実際に裁判になると、
「いや、やっぱり自分の立場が悪いので証人になることはちょっと勘弁してね」
ということになってくるわけなんです。
ですから、日本のなかで裁判を、あの、やるということがどんなにむずかしいか、ということなんです。
それからですね、性被害では、別にセクハラにかぎらずですね、あの、刑事事件でもそうなんですけれども、性被害に遭ったひとに対して、まわりは基本的になんと言うか。
それは、
「あんたに落ち度があったんじゃないか」
「あんたが悪いんだよ」
ということが一番最初にやっぱり言われることだと思うんですよね。
そうすると、告発するということ、セクシュアルハラスメントであってもそれ以外の性被害であっても、告発をするということは、
「私にも落ち度がありました」
と、その反面で言っているような実際的な結果になってくるわけなんですね。
そのことがあるので、非常にいろんなことを考えて。
本当にその覚悟を固めて。
で、しかも孤立無援の闘いになってもやり抜けるのかという――途中でやめたって別にいいんですけどね――そういうふうに思ってやらなければいけないということなんです。
そして、このことはですね、こういう全体的な状況、裁判をめぐる基本的な状況と、とりわけ性被害にかかわる裁判をめぐる特殊な状況とがあるので、日本のなかでは裁判を選択するということは非常にむずかしい。
消極的なことになる、ということなんです。
で、さっき申し上げた、私は、在職中のひとって、ふたり、しかかかわったことがないんですね。
それ以外のひとはみんな(仕事を)辞めているということなんです。
で、裁判で勝った結果、低い賠償金でも、まあ、入ってくればいい、とするのか。
あるいは、たしかにですね、裁判で勝てば、彼女はうそを言っていなかった、ということにはなるわけです。
まわりに対して。
しかし、そのことが証明されたからとしてですね、まわりのひとが考えを変えるか、というと、そんなことはあまりないんですね。
だから、被害者としては、やっぱり納得できない、という思いがずっと残る。
それから、ええとですね、被害者にしてみれば、あの、重い被害が残っている。
PTSDなんかが残っているときは、裁判は2年か3年で終わってもですね、そのあと、もっともっと長い期間をですね、自分が受けたその被害の回復というのは大変むずかしいんですけれども、つきあわなければいけない、という不条理もあるわけですね。
だから、裁判に勝ったら終わりではない、ということが、不法行為でやっても、なかなかね、被害者本人の救済にならないんじゃないか、というふうにわたしは思うようになったわけなんです。
それから、先ほどから、ええと、措置義務のはなしが出ているんですけれども、これ、措置義務だって、会社に対していったい何人がそういうことを言い出せるだろうか、ということはやっぱり考えてみなければいけないと思うんですね。
で、手続規定としては措置義務を申し立てることができるというふうに言っても、本当にそんなことが会社の中で言えるのか、ということになったときに大変むずかしいと思いますし、それは辞めてからだったら意味ないわけですね。
ですから、不法行為だけを当てにするのではなくて、もっと別のですね、もっと時間がかからなくて、しかもわずらわせがすくない、それから、プレッシャーのすくない、そういう別の法的な救済方法を考えなければいけないと思いますし。
それから、外国ではですね、これは、あの、ええと、禁止規定を持っていることと連動しているんですけれども、もちろん司法的な救済はあるんですけれども、それ以外のですね、名前はいろいろですね、人権委員会とか雇用平等委員会とかいろいろあるんですけれども、いわゆるそういう行政機関でのー
訴訟にないですね、もっといろんなうまみを持った解決方法ができているということで、それをわたし、日本でも検討する必要があるというふうに思っております。
以上です。

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明日は、別の議員からの質問をみてみます。

(再掲。角田由紀子 弁護士)

そのときにですね、在職しながらー
在職しながらうったえるというのはとてもむずかしい、というふうに思うんですね。

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それからですね、性被害では、別にセクハラにかぎらずですね、あの、刑事事件でもそうなんですけれども、性被害に遭ったひとに対して、まわりは基本的になんと言うか。
それは、
「あんたに落ち度があったんじゃないか」
「あんたが悪いんだよ」
ということが一番最初にやっぱり言われることだと思うんですよね。
そうすると、告発するということ、セクシュアルハラスメントであってもそれ以外の性被害であっても、告発をするということは、
「私にも落ち度がありました」
と、その反面で言っているような実際的な結果になってくるわけなんですね。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2018年11月14日

コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。

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香西咲さんは数多(あまた)の妨害と難詰を払い除けました。
結果、政府がうごきました。
香西咲さんをはじめ、自身の被害を告発された方々が、国の在り方をかえました。
セクハラ被害につきましても、人々のこころのなかでおおきく波打つことを願っております。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
(哲学者のウィトゲンシュタイン)
「絶望に終わりはない。自殺もそれを終わらせることはない。人が奮起して絶望を終わらせない限りは」

(明日のブログへつづく)



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