昨年(2018年)の9月に内閣府は、
「『若年層における性的な暴力に係る相談・支援の在り方に関する調査研究事業』報告書」
を公表しました。
(参考。当ブログ)
・2018年10月7日(その1)
・2018年10月8日(その2)
・2018年10月9日(その3)
・2018年10月10日(その4)
・2018年10月11日(その5)
同報告書には、AV出演強要に関する事柄が多数掲載されています。
5日前(2019年12月19日)のことです。
発行元の内閣府は、同報告書を差し替えました。
(参考)
(内閣府のサイトより) |
(再掲。内閣府)
「2019年12月18日 『若年層における性的な暴力に係る相談・支援の在り方に関する調査研究事業』報告書を差替えました」
↓
(内閣府のサイトより) |
(再掲。内閣府)
「4ページから25ページまでのデータの集計結果の表示方法や説明について追記・見直し等を行っています」
どのような変更がおこなわれたのでしょうか。
AV出演強要の箇所を見比べてみます。
「若年層における性的な暴力に係る相談・支援の在り方に関する調査研究事業」報告書
●旧版(2018年9月)
<14ページ>
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●新版(2019年12月19日)
<14ページ>
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(再掲)
【旧】性風俗産業等への従事経験については、「売春」が最も多く 83 件、次いで「AV出演」が 24 件、「風俗業」が 21 件であった。
【新】14団体が選定した事例(構成事例を含む。)268件のうち、性風俗産業等への従事経験について確認できた事例(133件)については、「売春」が最も多く83件、次いで「AV出演」が24件、「風俗業」が21件であった。
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●旧版(2018年9月)
<21ページ>
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●新版(2019年12月19日)
<21ページ>
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(再掲)
【旧】被害内容については、「性交等」が最も多く 166 件、次いで「わいせつ行為」が66件、「画像・動画・音声の記録」が 38 件であった。(図 22-1)被害内容の詳細について、「画像・動画・音声の記録」の被害内容を確認できた事例においては、「児童ポルノ」が 18 件、「リベンジポルノ」が 1 件であった。また、「AV出演強要」の被害にあたる事例は 23 件あり、その被害内容については、「動画の流出被害」が 18 件と最も多く、次いで「出演強要」が 15 件、「契約強要」が 13 件であった。(図 22-2)
【新】14団体が選定した事例(構成事例を含む。)268件のうち、被害内容については、「その他の性犯罪・性暴力」を除くと、「性交等」が最も多く166件、次いで「わいせつ行為」が66件、「画像・動画・音声の記録」が38件であった。(図16-1)被害内容の詳細について、「画像・動画・音声の記録」の被害内容を確認できた事例においては、「児童ポルノ」が18件、「リベンジポルノ」が1件であった。また、「AV出演強要」の被害にあたる事例は23件あり、その被害内容については、「動画等流出被害」が18件と最も多く、次いで「出演強要」が15件、「契約強要」が13件であった。(図16-2)
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冒頭でのべたとおり、「『若年層における性的な暴力に係る相談・支援の在り方に関する調査研究事業』報告書」は、昨年(2018年)の9月に公開されました。
爾来(じらい)、1年以上が経過しました。
このたび内閣府は内容の加除、訂正をおこないました。
いまみたように、些少の「追記・見直し」です。
この種の資料はふつう、発刊したらそれで完了です。
一丁上がりです。
上梓することに意義があります。
あとは忘れら去られていきます。
内閣府はちがうようです。
(再掲。内閣府)
「4ページから25ページまでのデータの集計結果の表示方法や説明について追記・見直し等を行っています」
発行から1年経ったいまも、内閣府はこの報告書に拘泥している、ということがわかります。
今回、久しぶりに、AV出演強要にかかわる箇所を読んでみました。
同報告書のなかから一部分を抜粋させていただきます。
(2018年9月 内閣府 「若年層における性的な暴力に係る相談・支援の在り方に関する調査研究事業」報告書より、引用。改行を施しています。)
<45ページ>
モデルのオーディション、路上でのスカウト、パーツ・モデルの募集等をきっかけに、AVプロダクションにつながり、AVへの出演を強要される場合がある。 |
AV制作会社の面接において、出演の意思がないことを伝えても、執拗かつ巧妙に説得され続け、本人の意思が固まる前から、メーカーへの営業回りの予定を組まれ、話が進んでしまう場合がある。 |
<45~46ページ>
プロダクションのスタッフの中には女性も多く、相談者と友達のような関係性を作り、AV出演を断りにくいような状況に追い込まれる場合がある。 |
<46ページ>
体調不良や精神的不安定により、撮影に行くことができないと伝えても、「契約書がある。」、「違約金が発生する。」、「関係者全員に迷惑がかかる。」等と言われ、撮影に応じざるを得ない状況に追い込まれる場合がある。 |
<47ページ>
相談者の中には、「被害に遭ってしまったのは、自分が気を付けていなかったから。」などと自分を責め、相談をためらう場合がある。 広報啓発を通して、被害者への偏見、被害者の落ち度を責めるような風潮の改善を図ることが重要であると考えられる。 その際、広報啓発の内容自体が、被害者を責めるようなものとならないよう、配慮することが必要であると考えられる。 |
<48ページ>
プロダクションおよびAV制作会社に対する刑事的責任追求の強化に向けた議論等が進められることが望ましいと考えられる。 |
<63ページ>
休日に街を歩いていると、声をかけられ、パーツ・モデルのアルバイトを紹介された。 「パーツ・モデル」が何かよく分からなかったが、時給は高かった。 ちょうど、一人暮らしを始めたばかりで、母親からの仕送りも期待できなかったので、アルバイトに登録した。 最初の数回の撮影は、問題なく済んだが、ある日撮影に行くと、露出度の高い服に着替えるように言われた。 着替えてスタジオに入ると、いきなり複数の男性に囲まれ、身体を触られたり、服を脱がされそうになったりした。 「イヤ」と抵抗したが、「スタッフに迷惑がかかる。」、「やめるなら、○百万円の違約金を支払え。」等と脅されるなどし、性行為に応じざるを得ない状況に追い込まれた。 その様子は、撮影され販売されている。 その後も、撮影が続き、大学には行けなくなってしまった。 また、業者からは、痩せたほうが売れるという理由で食事制限をするように言われた。 しばらくすると、連日、食べ吐きを繰り返すようになった。 |
大学進学と同時に都市圏に移ってきた若年女性がスカウトされ、AV出演強要につながるケースは後を絶たない。 本事例のように、最初はモデル等の仕事といって声をかけ、数回こなして慣れた頃に、AVへの出演を強要され、辞めたいといっても、違約金が発生する等の理由を挙げられ、逃げにくい状況に追い込まれる場合もある。 |
<72ページ>
本調査において、AV制作会社等が、若年層の法的知識の乏しさに乗じ、「契約書にサインしたら、断わることはできない。」、「断ったら、違約金を支払わなければならない。」等と言うなどして、AVへの出演を強要する場合があることが報告された。 |
<78~79ページ>
AV出演強要の被害者においては、辞めたいという意思をプロダクション等に伝えても、「契約書にサインをしたから辞めることができない。」、「契約が成立しているので、辞める場合は、多額の違約金を支払わなければならない。」と脅されること等により、「契約書等にサインをしてしまった私が悪い。」と自分を責め、相談することを諦めてしまう場合があることが報告された。 |
<80ページ>
ま た 、AV等の性的画像等の削除等に向けた支援を受ける際にも、親や学校に知られることを恐れ、被害を申告したり、警察に被害届を出すことをためらったりする場合があることが報告された。 |
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以上、「若年層における性的な暴力に係る相談・支援の在り方に関する調査研究事業」報告書のなかからほんの一部を引用させていただきました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2018年6月21日>
私がGW前にお会いした警視庁の方からは「香西さんさぁ、この事件忘れなければあなた一生幸せになれないよ?」と言われ会話が終わりました。 それから1ヶ月は絶望的でしたね。 |
●香西咲さん
<2016年10月8日>
【お願い】 ニュース記事は一定期間を以て消えてしまいます。 ですがこの発信した事はどうか風化しない様に皆様もご協力をお願い致します。 同じ様な被害者が減る事を祈って。
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(再掲。内閣府)
「4ページから25ページまでのデータの集計結果の表示方法や説明について追記・見直し等を行っています」
AV出演強要問題は風化しません。
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臥薪嘗胆(がしんしょうたん)ということばがあります。
苦(にが)い胆(きも)をなめて報復を忘れまいとする姿勢のことです。
本日はクリスマスイブです。
ぼくはこれからケーキでなく、苦(にが)いものを口にしたいと思います。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
(明日のブログへつづく)
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