一昨日と昨日のブログで、AV出演強要問題にとりくんでいる自民党議員の人となりにふれました。
(参考)
□性暴力のない社会の実現を目指す議員連盟 (上川陽子 会長。赤沢亮正 会長代行。渡嘉敷奈緒美 幹事長) | □自民党アダルトビデオ出演強要問題を考えるPT (渡嘉敷奈緒美 座長。宮崎政久 事務局長) |
(参考。当ブログ)
・2019年11月29日
・2019年11月30日
自民党の議員が全員、佳良(かりょう)かと言いますと、そうではありません。
奇矯(ききょう)な議員も存在します。
その筆頭が、杉田水脈議員です。
毎日新聞の報道を参照します。
(2019年8月24日 毎日新聞「杉田水脈議員の『住所さらし』ツイートは間違いだった 『扇動』責任の行方は」より、引用。)
●2019年8月24日 毎日新聞
自民党の杉田水脈衆院議員が、天皇制に反対する団体の本部だという住所をツイッターに投稿したが、毎日新聞が調べたところ、誤りだった。 |
(再掲。毎日新聞)
「天皇制に反対する団体の本部だという住所」
「誤りだった」
杉田水脈議員のツイートを確認します。
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(2019年8月24日 毎日新聞「杉田水脈議員の『住所さらし』ツイートは間違いだった 『扇動』責任の行方は」より、引用。)
●2019年8月24日 毎日新聞
ところが、記者が西早稲田のビルを確認したところ、反天連の事務所は見当たらなかった。 |
同ビル関係者によると、象徴天皇制について議論を呼びかける団体が入居していたことはあったものの、反天連は一度もこの住所に事務所を構えていないという。 |
(再掲)
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杉田水脈議員は未(いま)だ、このツイートを削除していません。
杉田議員はどのような経緯で、「反天連」の住所を知ったのでしょうか。
毎日新聞の取材に対して、杉田議員は、
「当該住所はかねてより保守系論壇界隈では非常に有名な住所であり、これまでも様々な方々が言及を行ってまいりました」
と回答しています。
自分で調べたのではないようです。
伝聞です。
杉田議員は日々、このような手法をもちいているものと思料します。
AV出演強要を揶揄する杉田議員の国会質疑をふりかえってみます。
(2018年3月9日「衆議院 内閣委員会」より。)
(※参考。当ブログ)
(※音声の文字化は、筆者。)
●2018年3月9日 杉田水脈 衆議院議員
実はこれ残念なこと、残念なことって言ったらよくないのかもしれませんが、この職業に就きたいという女性はすごく多いんですよ。 引く手あまたで(笑) すごく狭き門らしいですよ。 だからわざわざいやがる女の子を無理やり出して、そんなことするとかならず業者はつぶれるわけで。 (プロダクションを)やっているようなところはすごくちいさいので。 それよりは(自分から進んで応募する)、っていうような事例のほうがすごくたくさんあるんですね。 だから、かならずしも相談件数がぜんぶがぜんぶ、本当に騙されてそれに出さされて、すっごいひどい目に遭った子たちばかりではない、っていうことをまず1点、指摘しておきたい(略)。 |
このように語る杉田議員は、何ら根拠となるものをしめしていません。
以下の発言についても同様です。
(2018年3月9日「衆議院 内閣委員会」より。)
(※参考。当ブログ)
(※音声の文字化は、筆者。)
●2018年3月9日 杉田水脈 衆議院議員
で、このアダルトビデオの強要問題なんですけれども、ちょっとこちらもみなさんに手持ちの資料で配っておるんですけれども、これはわたし自身が産経新聞にもっていたレポートのなかのひとつなんですが、
ここのところですね、いくつかのそういうのに出演していた女性が、借金を返すために出演していた女性が、実際にそのアダルトビデオをやめたあとにつきあいだした男性にそれがばれてしまって、咄嗟についた嘘が、 こういうふうなことはすごくたくさんあるということで、実際にわたしも業者のほうの聞き取りをして、こういうふうな事例をとってきて、この記事を書いたんですが(略)。 |
(再掲。杉田水脈氏)
「業者のほうの聞き取り」
杉田氏は、被害者でなく、AV業界人からはなしを聞いたようです。
AV業界人のはなしは信用に値するのでしょうか。
あるAV監督が、毎日新聞のインタビューに応じています。
内容は、AV出演強要に関してです。
記事のなかから一部分を抜粋させていだだきます。
(2016年10月5日 毎日新聞「語り始めた業界人(5)“カリスマ監督”の独白」より、引用。)
「人権団体ヒューマンライツ・ナウ(HRN)による強要被害告発をどう受け止めている?」
●2016年10月5日 溜池ゴロー 監督(SODクリエイト 社外取締役)
2000人以上を面接してきましたが、僕の前に来た段階では98%~99%が「いい状態」です。 |
1本でも出た人に「現場はどうですか?」と聞くと、皆さん笑顔で「楽しいです」と答えます。 |
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「これまでに出演、撮影を強要されている人は見ていない?」
●2016年10月5日 溜池ゴロー 監督(SODクリエイト 社外取締役)
ないです。 |
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「その際の違約金などは?」
●2016年10月5日 溜池ゴロー 監督(SODクリエイト 社外取締役)
後でマネジャーと話したら「全くそういうのはない」と。 |
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「告発の内容を知り、『演技ではなく本当に嫌がっている作品があるのか?』とユーザーも驚きました」
●2016年10月5日 溜池ゴロー 監督(SODクリエイト 社外取締役)
僕の常識の範囲内では、それ(強要)は絶対ないと思いますね。 |
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この発言に対して、瀧本梨絵さんはつぎのように嘆息されています。
(参考。当ブログ)
・2019年11月20日
(YouTubeより)
■Rie Takimoto (AV強要問題)瀧本梨絵 AV2作目の告白 2016 11 08 |
((AV強要問題)瀧本梨絵 AV2作目の告白 2016 11 08より。)
(※音声の文字化は、筆者。)
●2016年11月8日 瀧本梨絵さん
夕方ぐらいに監督とすこしおはなしー 「いいかな」 って感じで、休憩していたときに入ってきて、 「で、今日なんですけど」 その、 「最後、撮影がおわる前」 おわる前、というか、 「そのEDの患者さんを帰したあとになんですけど、ぼくとからむことになると思います」 みたいな。 そこで、はじめて言われて。 |
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●2016年11月8日 瀧本梨絵さん
でも、あの、数日経って、なんか、最後どうだったんだろう、って、すごい不安になって。 なんて言うか、あの、まあ、いままで、そのEDの患者さんに対して、あの、奉仕をしていったのに、最後、(略)、その、ぜんぜんEDではないっていう監督がからんでくるっていうのは、作品の流れとして、あの、なんかおかしいんじゃないかな、とか思ったりとかして。 でー、うん、すごい、うん、もやもやしちゃった、というのがあるんですけど。 |
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●2016年11月8日 瀧本梨絵さん
で、数日後なんですけど、監督が、あの、毎日新聞のインタビューに答えていらっしゃって。 |
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●2016年11月8日 瀧本梨絵さん
うーん、っていうかそのね、基本的な女優さんの人権を無視するようなことをしておいて、よくあんないけしゃあしゃあとインタビューに答えられるなあ、っていうふうにー 本当に調子のよい軽いひとなんじゃないか、っていうふうに思いました。 |
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溜池ゴロー監督は上述のインタビューで、AV出演強要被害者の実相についても言及されています。
(2016年10月5日 毎日新聞「語り始めた業界人(5)“カリスマ監督”の独白」より、引用。)
「告発の内容に違和感がある?」
●2016年10月5日 溜池ゴロー 監督(SODクリエイト 社外取締役)
これは本人から聞いたわけではないのですが、(警察に)強要被害を訴えたある女優さんは、交際を始めた男性がAVをすごく嫌悪する人だったので「嫌々やっていた」と説明し、引っ込みがつかなくなったらしい。 |
杉田水脈議員はAV業界人のはなしをなんの検証もなく垂れ流しています。
(再掲。杉田水脈議員)
「実際にわたしも業者のほうの聞き取りをして、こういうふうな事例をとってきて、この記事を書いたんです」
「いくつかのそういうのに出演していた女性が、借金を返すために出演していた女性が、実際にそのアダルトビデオをやめたあとにつきあいだした男性にそれがばれてしまって、咄嗟についた嘘が、『強要されてやった』ということで、それで相談に行ったのがヒューマンライツ・ナウだった」
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(再掲。Simon_Sinさん)
「嫌いな考え方のヤツの住所を晒したつもりが晒したのは杉田議員の恥だった」
言い得て妙です。
杉田水脈議員の言辞に真実性はありません。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月8日>
一生自分の中だけに留めて置かなければいけない、と思った時に気が触れてしまいました。
吐き出す事で過去を清算できる機会を頂けて、救われました。 |
●香西咲さん
<2016年7月14日>
今まで人間とは思えない仕打ちを受け続けてきた事、やっと吐き出す事ができました。 こんな私ですが今も変わらず好きでいてくださる方、本当にありがとうございます。 何度も言うけれど今後私はその人たちを大切に生きていくのみです。 「おまえ明日死ぬかもしれないんだから(←青木亮の口癖)」 |
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香西咲さんたち被害者の方々の声は人々の深淵に届きました。
いっぽう、杉田水脈議員やAV業界人の口から発せられたデマゴギーは浸透しませんでした。
立消えとなりました。
そう遠くない将来、AV出演強要にかかわった輩(やから)はこの日本から駆逐されることでしょう。
その後の人生が哀れなものになることを願っております。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
(明日のブログへつづく)
香西咲さんを勝手に応援するサイトへ
管理人さん、いつもお世話になってます。
杉田議員やその仲間の方たちは、慰安婦問題に関してHRNや伊藤和子弁護士を敵視しているので
この国会答弁の時も伊藤先生などを批判するためにAV強要問題を持ち出したのだと思います。
杉田議員にとってAV女優やAV業界のことなど大して興味がないということは、その後の活動、発言を見ても明らかですが、彼女が国会で発言をしたことで告発者や人権団体を攻撃している人間たちを勇気づけてしまった罪は重いと思ってます。
これについては伊藤先生がAV強要問題と慰安婦問題とは別だ、とはっきりツイートされています。
https://twitter.com/KazukoIto_Law/status/829229512294547456
2018年3月18日 杉田水脈
>実はこれ残念なこと、残念なことって言ったらよくないのかもしれませんが、この職業に就きたいという女性はすごく多いんですよ。
引く手あまたで(笑)
すごく狭き門らしいですよ。
だからわざわざいやがる女の子を無理やり出して、そんなことするとかならず業者はつぶれるわけで。
この言葉、どっかで聞いたことあるなと当時から思ってたんですが、このツイートの内容に似てるなと思いました。
>ええ。自分から応募してくる女性が増えているそうですが、誰も彼もがスターになれるわけではありませんから。大手メーカーで単体デビューできる新人は極めて僅か。面接で落とされる確率が非常に高い、狭き門です。
https://twitter.com/MarikoKawana/status/830435749023477760
つまり杉田議員はHRNなどの人権団体を貶めるために、業界人だけの主張を(直接聞いたか調べたか分かりませんが)垂れ流しただけで、ご自分で告発した女優に聞き取り調査したとか業界人に公式にインタビューしたとかの報告は全くありません。
杉田議員とよく行動を共にしてる人たちもAV強要問題について触れています。
>AV出演強要って、自演じゃありませんでしたっけ?
https://twitter.com/hasumi29430098/status/1113245097804488705
>AV出演強要問題が「もし本当なら」、個別に警察に相談を。強姦罪とか色々あるべさ。
https://twitter.com/hasumi29430098/status/857217648836231168
>7.AV出演強要をしているというヒューマン・ライツ・ナウ等NGOによるデマに対する対策を行った。
http://staff.texas-daddy.com/?eid=542
つまりAV出演強要というのは告発したAV女優の自演であり、人権団体がデマを拡散してるということです。
確たる根拠もなくこのような発言をされることは、辛い経験を告発しその後も不安な日々を過ごしている女性の心にとどめを刺すような残酷な行為です。
AV強要問題は、過去の歴史認識についての論争でもなく、政治的イデオロギーの対立でもありません。今現在起こっている人権侵害の問題です。
自分の嫌いな人権団体を批判するために、命がけで被害を訴えてるAV女優の発言を虚言自演扱いする彼女たちの言動こそがAV女優を差別・蔑視してると思います。
密室の空間で行われる契約・撮影であるため、弱い立場の女優が自分から録音・録画するのは困難です。
その結果客観的な証拠に乏しく、警察や司法に相談しても事件化されないという大きな壁があるため、現在人権団体の方々が中心となって新法成立のために努力されているのです。
AV強要問題そのものに興味がないのであれば、軽率な発言は控えてもらいたいと思ってます。